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【琉球大学教育学部紀要】
【Bulletin of College of Education, University of the Ryukyus】
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東洋移民業務代理人・肥後孫左衛門の経歴と明治中∼後
期の沖縄県における海外移民の斡旋
花木, 宏直
琉球大学教育学部紀要＝Bulletin of Faculty of Education
University of the Ryukyus(84): 69-81
2014-02
http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/handle/123456789/31954
東洋移民業務代理人・肥後孫左衛門の経歴と
明治中後期の沖縄県における海外移民の斡旋
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業務代理人となった絞緯と，斡旋の展開について
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検討する。研究対象として.沖縄県で初めて正規
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の業務代理人となった.束洋移民合資会社に属す
近代期の沖縄県では，明治中
移民を送出した府県の 1つとなった。近代期の沖
る肥後孫左衛門を中心に検討する。方法として.
縄県が海外移民送出地域へと展開した経緯につい
外務省外交史料館所蔵「東洋移民合資会社業務関
ては，①人口過剰による経済的要因や.②当山久
係雑件Jに収録された肥後が業務代理人に認可さ
三や大城孝蔵をはじめ移民啓蒙家及び先駆者の出
れた際の書類や.外務省外交史料館所蔵「移民会
現.③地割制廃止に伴う階層分解といった共同体
社ヲ経由セル海外渡航者名簿Jより東洋移民の斡
規制の崩壊，④I
血族的血縁的紐帯の強さといった
旋による渡航許可者の名簿. 琉球新報J等に掲
社会組織.⑤徴兵忌避といった，さまざまな要因
載された東洋移民による海外移民の募集に関する
が指摘されている九しかし海外移民送出地域
新聞広告を中心に検討した。
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の成立には.海外移民自身(海外移民を幹旋され
た側)の意志や送出地域の地理的条件だけでなく，
移民会社業務代理人や移民会社に属さない斡旋業
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. 近代期の沖縄県における海外移民の送
出と東洋移民および肥後の位置づけ
者 3) をはじめ.いわば海外移民を斡旋した側の役
割にも注目する必要がある九この点をめぐり.
著者は，明治中
後期の沖縄県における海外移民
図 1は.近代期の沖縄県における人口移動の概
要を示したものである。まず
出入寄留者数に注
の送出においても.鹿児島県や熊本県出身の実業
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) 年以前は他府県から
目すると.明治 3
家 5) や官吏等が業務代理人となり，沖純本島の広
の入寄留者数が他府県への出寄留者数を大きく上
い範囲にて多数の海外移民を斡旋し.海外移民送
回っており，在外者数は少数であった。一方.明
出地域の成立に重要な役割を果したことを指摘し
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0年代半ば以降は，入寄留者や出寄留者とも
た。。しかしこれまでの研究では.彼らが沖縄
に増加したが，在外者数が急増しており.明治
県へ移住し業務代理人となった経緯や.沖縄県で
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) 年以降は他府県からの入寄留者数を上
の斡旋の実態について十分検討されていなし ¥0
回った。また，渡航許可数について.沖縄県から
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1
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V
lにあたる明治中後期l
，明治 2
3
属取扱人川崎正蔵代理トシテ事務取扱 J
に注目すると，海:外移民の大半が移民会社の斡・旋
年 4月以降は「会計法実施ニ付組税取扱人廃止 J
2年から明治
により渡航していた。なお，明治 3
4
4(
19
1
1
) 年における移民会社の渡航許可数の総
.
3
9
2人に対し東洋移民の斡旋によるものは
計8
1
.
13
0人であり.移民会社別で日本殖民(1.8
0
5人)
に次ぐ 2位の渡航許可数がみられた。
に伴い「沖縄県租税品鑑定事務取扱嘱託Jに従事
6(
18
9
3
) 年 4月には「沖縄
した。一方，明治 2
. 明治 2
8(
1
8
9
5
)年 1
2月に
関連株式会社社長 J
は「日本生命保険株式会全:
1
i'!'純代理人嘱託 J
.明
1年 4月には「九州生命保険株式会社那覇代
治3
後期の沖縄県において海外移
理人嘱託 J
. 明治 3
1(
18
9
8
) 年 8月には「共済生
民の斡旋に従事した業務代理人の概要をまとめた
命保険株式会社沖縄代理人嘱託J
. 明治 3
2年 7月
表 1は，明治中
ものである。まず.出身地に注目すると.鹿児島
には「沖縄関連株式会社定款改正ニ付取締役Jに
県出身 5人や熊本県出身 5人，沖縄県外の業務代
5年
就任しいずれも履腰帯の作成された明治 3
理人や移民会社社員であった 6人をはじめ. 3
2
8月時点まで継続して従事していた。
人中 1
8人が j
l
l
l純県外出身であった。とくに，明
ただし肥後の履歴書では.明治 1
7年以前の
6(
1
9
0
3
) 年の業務代理人に注目すると. 2月
治3
経歴が不明であることをはじめ.詳細な経歴が記
に鹿児島県出身の肥後孫左衛門. 5月に熊本県 1
1
¥
されていない。一方
身の林田茂太郎. 3月に熊本県出身の園木陸平が
5年 1
2月 2
6日付にて，外
係雑件 Jには.明治 3
就任しており.最初期に業務代理人に就任した者
務省通商局長より沖縄県知事と鹿児島県知事に宛
には沖縄県外出身の比重が大きかった九また，
てて. 移民取扱業務代理人身元調査之件j とい
「東洋移民合資会社業務関
r
就任前の経暦に注目すると，鹿児島県出身者は海
う書類が発送され，肥後の身元調査が依頼されて
運業をはじめ実業家や官吏.熊本県出身者は農業，
いた。身元調査の結果について，沖縄県知事から
沖縄県出身者は教員や間切書記といった地元有力
は明治 3
6年 1月 9日1-1'，鹿児島県知事からは明
者が多くみられた。
治3
6年 1月 2
3日付にて回答が送付され.いずれ
つまり，東洋移民は.沖縄県で最も多数の海外
移民を斡旋した移民会社の lつであった。また.
も「業務代理人タル貨務ヲ尽ス上ニ於テハ何等不
都合無之j と記されていた 10lo ただし鹿児島県
l
l
'縄県で斡
東洋移民の業務代理人である肥後は. j
知事からの回答には
旋に従事した業務代理人の主な出身府県の lつで
肥後のより詳細な経歴について.以下のように記
ある鹿児島県出身であり，沖縄県で初めて正規の
されていた。
履歴書では判明しなかった
業務代理人となった者であった。
拾四五ノ時出郷本県磯島津邸紡績所(職名不詳)
m
.肥後の沖縄県への移住と業務代理人へ
ニ入リ五六年間在勤シ夫レヨリ大坂市西区立売
の就任
蝋通五丁目ニ寄留シ三菱郵船会社ヘ在勤スルコ
ト拾六年間位夫レヨリ堺紡績所長トナリ居ルコ
次に，肥後が沖縄県へ移住し業務代理人となっ
ト三四年夫レヨリ神戸市川崎造船所監管五六年
た経緯を検討する。「東洋移民合資会社業務関係
間夫レヨリ沖縄県那覇西村上ノ倉へ寄留シ全県
雑件」には.外務省通商局に対し肥後が東洋移
諸税取集人及 j
l
l
'縄関連会社副社長タル拾壱年間
民の業務代理人となることを申請し認可された際
位明治世二年頃会社々長トナリ今ニ至レリト
の書類一式が収録されていたへこの書類より，
「身元調査 Jによれば.肥後は 1
4~ 1
5歳で指
まず，明治 3
5(
19
0
2
)年 8月付の肥後の「履肢書J
9
) に注目する。
宿村を出郷し磯島津邸(現，鹿児島市)にあっ
「履歴書」によれば，肥後は天保 1
4(
1
8
4
3
)年
た紡績所で 5~6 年間勤務した。その後.大阪市
1
0月に鹿児島県揖街郡指宿村十二町(現.指宿
へ移住して三菱郵船，すなわち日本郵船の前身
市)にて生まれた。その後.明治 1
7(
1
8
8
4
)年 9
の lつである郵船汽船三菱会社へ 1
6年間勤務し
月から明治 2
3(
18
9
0
) 年 3月まで「沖縄県租税
堺紡績所長に 3~4 年間従事して.さらに神戸市
一ー
71 一一
琉球大学教育学部紀要第 84集
の川崎造船所の監督に 5~6 年間従事した。ここ
)。この時期について，
治 37年 5月であった(表 2
で.いま 1度「履歴書」に注目すると.肥後は明
明治 3
6年の沖縄県では.地割制が廃止され土地
治1
7年 9月に「沖縄県租税属取扱人川崎正蔵代
私有が成立するとともに
理トシテ事務取扱 Jに従事したと記されていた。
民となる者が登場したへまた，明治 37年に特
土地を売却して海外移
この点を踏まえ.川崎造船の概要や川崎正蔵の経
別税法が廃止されたことから，同時期に肥後は官
1
8
3
7
) 年に鹿
歴にも注目すると.川崎は天保 8 (
梢の検査の仕事を離職したとみられる。
加えて，肥後は海運業である沖縄関連の社長
児島(現.鹿児島市)で生まれ.呉服商を経営し
1
5
)
ていた。その後.商用で大阪から鹿児島へ向かう
や保険業にも従事していたことから，海運業と保
船で暴風に遭遇し
西洋型船舶に乗船していたた
険業，海外移民の斡旋との関わりにも注目する。
め難を逃れた経験から西洋型船舶の重要性を認識
まず.海運業と保険業について.旅客や荷物等の
18
8
0
) 年に.将来海運
した。そこで.明治 13 (
安全保障のため.海運業者による保険業の兼業が
で有望な地とみこんだ神戸市に造船所を開業した
みられた。また.海運業と海外移民の斡旋につい
ll)。つまり，肥後と川崎造船所の経営者であった
て.外国航路では海外移民の輸送といった大口の
川崎とは，同じく鹿児島県出身であり，生年も天
旅客が航路の拡張や海運業の大きな収入源の 1つ
4年や天保 8年と近接していた。
保1
となっていた
1
6
)
。この点を踏まえると.園内航路
また，沖縄県へ移住直後の経肢に注目すると.
についても.海外移民を各地から外国航路の出港
「履歴書Jには「沖縄県租税属取扱人」や「沖縄
地である横浜港や神戸港へ輸送することは.大口
. 身元調査Jには「諸税取集
県租税品鑑定事務 J
の旅客として重要な収入源であったことが推察さ
人Jと記されていた。これらの職種について，琉
れる。さらに，保険業と海外移民の斡旋について，
1
球新報記者等に従事した大田朝敷が7
'
1
純県の政治
いずれも読み書きのできる人が代筆業の一環とし
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経済を回顧した『沖縄県政五十年j には，以下の
て従事する側面が強い。表 2より，いま l度業務
ように記されていた。
代理人の就任前の経歴に注目すると，教員や書記
をはじめさまざまな職種がみられるが.読み書き
官糖及び貢納布の如きものはどう取扱われたか
ができる点で共通していることからも裏付けられ
というに，置県当初より神戸の商人川崎某がこ
る
。
れを引受け，鹿児島の人肥後孫左衛門が代人と
以上を踏まえ.肥後は阪神地方に移住し，海運
して那覇に詰め，収納の検査から大阪への搬出
会社への勤務や.同郷かつ同年代の川崎の経営す
に至るまで一切この人が差配していた。肥後は
る造船所の監督に従事した。その後，川崎の代理
この外には何等の職業も有っていなかったが.
人として官糖や貢納布の検査に従事するために沖
寄留商人間でも一般社交界でも代表的な権威者
であった 12)
縄県へ移住して.沖縄関連の社長や保険業に従事
し，さらに官糖の検査からの離任と同時期に海運
業や保険業と関わり業務代理人へと展開した。
なお.近代期の沖縄県における砂糖取引につい
1
9
0
4
) 年の特別税法廃止以前の砂
て.明治 37 (
N. 斡旋の展開
糖には官糖と私売糖の 2種類がみられた。砂糖の
生産者は一定量の官糖を納入し納入完了後には
(
1
)沖縄本島北部での斡旋
1
3
)
。つ
図 2 と表 2 は.明治 37~44 年における，東洋
まり，肥後は.川崎の代理人として，官糖や貢納
移民の斡旋拠点と，東洋移民の斡旋による渡航許
布の検査に従事するために沖縄県へ移住した。
可者の分布を示したものである。なお，業務代理
余った砂糖を自由に売買することができた
さらに.業務代理人に就任した時期や海外移民
人は斡旋拠点、にて海外移民の希望者の来訪を待つ
6
の斡旋を開始したに注目すると.肥後は明治 3
だけでなく，各地を巡回して渡航希望者を斡旋し
年 2月に東洋移民の業務代理人に就任しており，
ていったと推察される
肥後による海外移民の斡旋の新聞広告の初出は明
段は徒歩等であったことを踏まえると，巡回の純
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ー 72 一
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)
。ただし当時の移動手
花木:東洋移民業務代理人・肥後孫左衛門の経歴と明治中後期の沖純県における海外移民の斡綻
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次}をもとに作成.
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琉球大学教育学部紀要第 84集
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名護町制十周年記念誌j に掲載された
聞は斡続拠点の周辺の比重が大きかったとみら
行された
れ，斡旋拠点からもおおよその巡回の範囲を検討
広告によれば，
することができる。
一心館 j と記されており
まず，斡旋拠点に注目すると，東洋移民は万1
5端j
r
名護町会社通
1
9
)
清潔第一御旅館
名護村の「会社通」
0(
19
3
5
)
沿いにある旅館であった。なお，昭和 1
l
孟に加え.名諮問切名護村(現.名護市)や読谷
年に名護港の拡充をめざし刊行された『名護海運
1
.
1
.1
間切喜名村. (現.読谷村)といった沖縄本島の
史話j には.明治中期の名護村の様子について以
北部や中部にも拠点がみられた。また.渡航許可
下のように記されていた。
者の分布について
沖縄本島全焼に渡航許可者が
1
みられたが.名護間切や羽地問切付近をはじめ 7
1
縄本島北部に渡航許可者が多く，
'
1
1縄本島中部の
7
海運会社設立の時名護町城海岸には事務所が
置かれ(中略).三十四年には倉庫も完備して.
与勝半島付近にも集中していた。さらに.渡航先
城浜のー術は港町として小さな原型が備はっ
や職種について.メキシコの炭鉱工夫やニューカ
た。名護大通りから海岸に通づる道路を会社通
レドニアの鉱夫の比重が大きく.フィリピンやペ
りと呼んでゐるが，海運会社への通路であるこ
ルーへの農業移民もみられた。しかし明治中
とから斯くは命名したもので.名もない淋しい
後期の海外移民の主な移住先であった，ハワイや
北米への移民 18)の斡旋はみられなかった口
茅原の路次から一躍大通りと並び称せられて.
ここで.沖縄本島北部への斡旋の偏りについて.
繁栄を遂げるに到った。それは全く名護港の急
速度な発展に反映した結栄に他ならない抑
より詳細に検討する。「琉球新報j明治 3
7年 5月
1
7日付には.肥後による海外移民の斡旋に関す
この記述にみられる「海迎会社」とは.明治
る新聞広告の初出がみられ(表 2
).斡旋拠点に
29 (
1
8
9
6
) 年に沖縄関連の船舶が名護港へ寄港す
ついて「国頭郡名護間切大兼久一心館 Jと記され
るようになったことを踏まえ
ていた。「一心館 Jとは，昭和 9 (
19
3
4
) 年に刊
ていることは明らかであり.会社通の名前は沖縄
- 74-
2
1
1
沖縄関連を示し
花木:東洋移民業務代理人・肥後孫左衛門の経歴と明治中
後J
V
Jの沖縄県における海外移民の斡旋
関長s
をEl
r
来としていた。また.肥後は.沖縄関連
の社長等に従事していた。つまり，肥後が業務代
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1披僻
開J
理人である東洋移民は，肥後が社長である沖縄関
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I卒賑々しく御来
物和洋一切の雑貨販売仕候間 1
弊i
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1:f儀今般正直正廉を旨とし呉服太
連の経済的影響力の強い沖縄本尚北部において，
脂多少に不係御用仰付被下度状而奉希上候尚々
重点的に斡旋を展開したとみられる。
弊自主義本春神戸大阪に趣き専ら海外移民諸氏
また.東洋移民の斡旋した海外移民の職種につ
必要なる携情品につき綿密なる注意を以て親し
いて.メキシコの炭鉱やニューカレドニアの鉱山
く実地調査致し候結果最も適当せる必須品新規
をはじめ，工夫の比重が大きかった。この点につ
注文致 1~t候処今回漸次着荷仕候に付開応と共に
中純本島北部では，明治 2
0(
1
8
8
7
) 年に
いて， i
非常なる版価を以て発売仕{民間県下移民諸氏御
尚家により開発の始まった金川鉱山(現，名護市
渡航の節は是非弊脂へ御立寄の上自主苦心の結
伊差川)をはじめ.明治中
果御認め被下皮弊庖独特の勉強と親切を以て御
後期には伊差川銅山
(現，名護市伊差川)や源河黒山銅山(現.名護
満足に御用立可申上候此度特に申添候
市源河)，諸志マンガン鉱山(現，今帰仁村諸志)
那覇区字東一六二四屋号
の鉱山がみられたが
敬白
日出屋
いずれも明治後期には採掘
o 一方.沖縄関連についても，
が中止されていた m
6
2
4番地には.日出屋とい
この記述より.東 1
2
0年代半ばより西表島で炭鉱の開発を行っ
ており.並行して工夫の斡旋を行っていた m。つ
だし取扱品目に注目すると.呉服太物や雑貨で
1
まり， 7
f
'純開運も東洋移民も工夫の斡旋を得意と
はなく.海外移民の必要品を重視していた。さら
l
Jl縄本島北部では鉱山の衰退が
していたことや， j
に
，
みられたことも.沖縄本島北部にて重点的に斡旋
告には.以下のように記されていた。
明治
う呉服太物や雑貨を扱う商庖が立地していた。た
1
琉球新報 J明治 4
0年 9月 2
7日付の新聞広
を展開した要悶の lっと推察される。
メキシコ行炭鉱工夫大至急募集ス
(
2
)海外移民に関わる専門業者との協力
十月五日
肥後は，名護村や喜名村だけでなく.那覇区に
も 2か所の斡旋拠点を展開していた。まず，明治
那樹港出船
東洋移民合資会社代理人肥後孫
左衛門事務所那覇区字東一六二四林秀太
郎方
4
0年 3月頃から 1
0月頃まで斡旋拠点であった那
6
2
4番地に注目すると.近代期の那覇区
覇区東 1
6
2
4番地は林の居住地であ
この記述より，東 1
を代表する繁華街であった東町屋通(東大通)に
り，この場所を東洋移民の業務代理人である肥後
面していた(図 3
)。この番地について， 1
琉球新報J
が事務所として利用して.メキシコへの炭鉱工夫
明治 4
0年 3月 9日付の新聞広告には.以下のよ
0年 3月 9日付の
を斡旋していた。なお.明治 4
うに記されていた。
広告には.斡旋拠点について具体的な地番は記さ
れていなかった。しかし
メキシコ移民ヲ取扱フ
タシ
志望者ハ歪急申込アリ
事務所那覇区字東大通東洋移民会社
業務代理肥後孫左衛門
メキシコ行移民ニシ
0年 9月 2
7日付
明治 4
の広告にて，肥後と林がともに事業に従事してい
ることを踏まえると
明治 4
0年 3月 9日付に登
6
2
4番地であった可能性が高い。
場する場所も東 1
テ渡航費借用御希望ノ御方ヘハ迅速貸金御周旋
6
2
4番地と記されていても.分筆
また.同じ東 1
可仕候那覇区字東大通林秀太郎
により.日I.B屋と林の居住地は別の場所であった
この記述より.東町屋沿いにて.肥後が海外移
民への渡航費の貸付や海外移民の斡旋に従事し.
ことも考慮する必要がある。しかし林は海外移
民を斡旋するとともに，林秀太郎が海外移民への
日出屋も海外移民の必要品を扱っており，同じく
琉球新報」明治 4
0年
貸金を行っていた。また， 1
9月 2
7日付の新聞広告には.以下のように記さ
海外移民を対象とした商業を展開していることか
れていた。
日出屋の経営者であった可能性が高いと推察され
ら.林と日出展は同じ場所に立地しており，林が
一 75 ーー
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斡旋を展開していたとみられる。
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I'はのちに海外興業の業務代理人となる
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，
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さらに， )肥後は.明治 3
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いて以下のように記されていた。
れており.肥後の邸宅であったとみられる。ただ
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，
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一方.四 1
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二 l
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Iいて検討す
つまり . 問 1
4
3
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)年頃において.徳田安敦の邸宅であっ
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3
7
) 年刊行の I
州制県人事銀 j によれば.
一 76一一
花木:東洋移民業務代理人・肥後孫左衛門の経歴と明治中
後期の沖純県における海外移民の斡旋
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附9
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肥後孫左衛門
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無人島(人夫}
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広島移民
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) 住所および内容の祭伺は不明であることを示す。
資料:外務省外交史料館所蔵『移民会社業務関係維f1:J.
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泌総新悦I
J をもとに作成.
経歴について以下のように記されていた。
秒、で海外移民の斡旋に従事したのではなく.士族
をはじめ沖縄県出身者との問で協力し斡旋に従事
君は慶応二年五月二十五日を以て首里区当蔵町
に生る。移植民取扱業者中の最古参者にして.
したことが推察される。
また，図 3と表 3は業務代理人や斡旋業者に
明治三十九年に創業し今日に至れりお}
0年
よる海外移民の斡旋が最盛期となった明治 4
9年に斡旋業者と
この記述より，徳田は明治 3
の斡旋拠点を示したものである。これらの図表よ
に注目し，沖縄県における業務代理人や斡旋業者
なったと記されているが.人事録に記された内容
り，斡旋拠点は那覇港付近や繁華街である県庁前
は誤記が多いことを踏まえると，実際には明治
通や東町屋通付近だけでなく.西 1
4
3
0番地をは
3
0年代後半---4
0年代前半頃に斡旋業者に従事し
じめ那覇市街北部や久米地区といった宅地部に多
はじめたとみられる。また. 移民会社業務関係
く展開していた。宅地部の斡旋拠点の詳細に注目
r
雑件Jには.管見の限り.すべての移民会社にお
すると，たとえば，竹村与右衛門や小見正孝の業
いて徳田が業務代理人として登場しなかった。こ
務代理人であった鹿児島県日置郡伊作村(現，日
れらの点を踏まえ.西 1
4
3
0番地は.首里区出身
置市(旧吹上町))出身の篠原政禎や鹿児島市出
0年代後半以降に移住
の士族である徳田が明治 3
身の丸山友次郎は，名護殿内の跡地や具志川御殿
して斡旋業者を開業するとともに，同時期に東洋
を斡旋拠点としていた制。つまり，肥後と徳田と
移民の肥後が徳田の居住地に寄留して東洋移民の
の関わりだけでなく.沖縄県出身で那覇区に居住
斡旋拠点および邸宅として利用していた。肥後と
する士族には.業務代理人には就任していないが，
徳田の事例から.沖縄県外出身の業務代理人は単
沖縄県外出身の業務代理人の斡旋に協力する事例
一 77 一
琉球大学教育学部紀製第 84集
人を離任後に.肥後と同じく死去したか.沖縄
型n
が複数みられた。
県外へ移住したため.沖縄県内で作成された資料
v
. その後の展開
に記録に残らなかったと推察される。つまり.明
if:ìIj，I~ 後期に 7 1tl 縄県で海外移民を斡旋した沖縄県
続いて.明治 4
0年代以降における.東洋移民
外出身の業務代理人は
明治期に死去した者・や.
による斡旋の展開の概要を検討する。まず.肥後
鹿児島県をはじめ沖縄県外へ移住したと推察され
について. 沖縄毎日新聞 j 明治 4
2(
19
0
9
)年 9
る者・が多くみられた。
r
月 6日付の「肥後孫左衛門氏の葬式 Jという新聞
一方.徳田について.大正 9年刊行の
r
r
~III 縄
寺頃脳出血の為め逝去せられた
記事-には「昨日二 H
県案内 Jには. 海外波航周旋業
2年 9月に死去した。
り」と記されており.明治 4
色通
その後，東洋移民による海外移民の斡旋は.橋本
1
2(
19
3
7
)年刊行の『日報の沖縄県人事録Jにも，
l
!
&
t
I
Hは「沖縄移植民取扱業組合 jの組合員であり.
B向により
太三郎という他の地域の業務代理人の I
維持されていた(表 2
)。そして.明治 4
3年 1
0
那覇区辻町前
徳問安敦Jという広告がみられた;置に昭和
r
1JI~ 制市上之政町 1 ・55J
に居住していたおら一方，
1
2年刊行の f
沖縄県人事録j には.
月に肥後の使用人であった捌野が東洋移民の業務
同じく昭和
代理人となり.肥後の寄留先であり斡旋拠点であ
徳川が古参の斡旋業者として紹介されており.居
1
4
3
0番地を出張所に登録した 27)。
大正期以降について.大正 3(
1
9
1
4
)年刊行の中
った西
n
r
住地について「那覇 '
1
1
1上之政町二ノ五五 j と記さ
れていた
3
2
i
o
なお.徳日J
の居住地について.上之
縄県案内j には. 沖縄県那覇区字凶千四百三十
政1
1
町1
5
5番地は前毛通に而していることや.人
番地日本生命保険株式会社沖縄代理府
側野弥
事録には誤記が多いことを踏まえ.前毛通と上之
七」と「沖縄県那制区字西千四百三十番地東洋移
1
汀1
5
5番地は同一の地番であり.この場所に
政1
民合資会社出張所
東洋移民合資会社常務代理人
移住したとみられる。また.移住した時則につい
初野安松」という広告が並列して拘秘されて
て.大正 9年に前毛通への移住が初めて確認され
いたお10 また.大正 3:
'
r
f
・
刊
行
の
r
f
九州屯話実業案
ることを踏まえると
大正 6年の東洋移民の廃業
1
4
3
0番地に賠住し掬野と協力して海外
内j にも. 日本生命保険代理応捌野弥七四 .
まで凶
19
1
7
)
一四三 OJと記されていた訓。その後.大正 6(
移民の斡旋に従事していた可能性が推察される。
年
1
2月に東洋移民が成業となり.大正 9年 1月
J以降も斡旋業者を継続し
つまり.徳田は，大正 W
1
0日付の捌野の「履歴書」には「現住所鹿児
東洋移民の廃業後は単独で海外移民の斡・焼に従事
島県鹿児島市長問町二十三番地平民戸主捌野
するようになり.昭和初期には那覇市でも古参の
安松 j と記されていた。つまり.材j
野は.大正期
斡旋業者となった。
以降も初野の関係者とみられる捌野弥七とともに
業務代理人と保険業を継続していたが.大正 6年
¥11.結論
の東洋移民の廃業後には鹿児島県鹿児島市に移住
本稿では，東洋移民の業務代理人であった肥後
した。
なお，肥後と同じく鹿児島県出身の業務代理人
r
に注目して.沖縄県からの海外移民の送出の本格
に注目すると.篠原についても. 琉球新報 J明
化した明治中
4年 9月 8日付に「私儀多年本県ニ在住仕公
治4
縄県へ移住し業務代理人となった経緯と.斡旋の
私共御愛顧ヲ蒙リ居候処今回帰県ニ付 j という広
展開を検討した。まず.肥後が沖縄県へ移住し業
後期において沖縄県外出身者が沖
告を掲載していた。また.丸山や.鹿児島市出身
務代理人となった経緯に注目すると.肥後は当初
で神戸渡航等 4つの移民会社の業務代理人で、あっ
阪和1地方へ移住し海運会社や同郷である川崎の
た徳田弥太郎をはじめ
鹿児島県以外の出身者も
経営する川崎造船所に勤務後，川崎の代理人とし
含めて，沖縄県外出身の業務代理人の大半は人事
て官糖や貢納布の検査に従事するために沖縄県へ
録等に記載がなく
業務代理人を離任後の経歴が
移住した。その後.海運業や保険業に従事し.官
判明しなかった。この点について.彼らは業務代
糖の検査を離任する前後に業務代理人となった。
一
ー
78 一
花木:東洋移民業務代理人・肥後孫左衛門の経歴と明治中
後期の沖縄県における海外移民の斡旋
また，肥後は東洋移民の業務代理人となり.沖縄
いる.移民会社が外務省通商問に柴:務代理人とし
本島北部で重点的に斡旋を行っていた。この経緯
f
1
l
i
i
'
jし認可され.移民会社に属して斡旋を行う
てI
r
について.肥後が社長に従事した沖縄関連は沖縄
者を「移民会社業務代理人 Jと定義する。また，移
本島北部での経済的影響力が強かったことや.沖
1
業務関係雑件」に業務代理人として笠場し
民会全:
縄関連と東洋移民ともに炭鉱の開発や炭鉱工夫の
ないが.新 1
m広告等で海外移民の斡肢に従事した
斡旋を行っていたこと.沖縄本尚北部では明治中
ことが確認できた者を. 移民会社に属さない斡旋
期に鉱山が衰退したことといった要因がみられ
染者"
J と定義する。本文中では，移民会社業務代
た。さらに，肥後は海外移民の必要品や海外移民
理人を「業務代理人 J
. 移民会社に胤さない斡旋業
への貸金.海外移民の斡旋を総合的に行う専門業
者を「斡旋:業者」と略して表記する。
r
者との協力に加え，肥後の死去後も後継者である
4
) 7 1 11 綱引I~ における海外移民の斡旋に関する検討につ
初野が大正 6年の東洋移民の廃業まで継続して沖
いて.沖縄県教育委員会編・発行『沖純県史
1
¥身の士族と協力し海外移民の斡旋に従事
縄県 1
7巻各論編 6 移民J. 1
9
7
4， 1
1
5
・1
2
5頁. 1
5
7
・
1
7
2f
t
. 等には.新聞広告からみた業務代理人に
した。
著者は.明治中
後期の沖縄県における海外移
第
よる募集‘の概要や.業務代理人による違法行為.
民の送出をめぐり，沖縄県外出身の業務代理人の
業務代理人を煽った虚偽の斡旋が検討されている。
役割が大きかったと指摘した却。しかし本稿を
しかし業務代理人の詳細!な紙肢や斡旋の実態.
通じて. j
l
l
l縄県外出身の業務代理人は単独で活動
移民会社に属さない斡旋業者の動向については.
していたのではなく
i
i
[拘 2
)②. 3
7
5
0
十分検討されていない。また. i
海外移民にかかわるさまざ
まな実業家や.沖縄県出身の士族と協力し斡旋を
Hにおいても.移民会社による海外移民の送出が
展開していたことが明らかになった。とくに.沖
検討されている。しかし移民会社の総論がまと
縄県外出身の業務代理人と沖純県出身の士族が協
められているのみであり.名護市域における移民
力し海外移民の斡旋に従事していた点は注目さ
会社業務代理人による斡旋の実態については検討
れる。今後の課題として.沖縄県外出身の業務代
されていない。
理人の斡旋を支援した沖縄県出身について，とく
5
)業務代理人に限らず.近代 j
切には鹿児島県をはじ
I
純県出身の士族の役割に注目し，詳細に検討
にが1
めれ11純県外より多数の実業家.すなわち寄留商人
する必要がある。また，業務代理人だけでなく，
1
1制県の政治や経済
や官吏等が沖縄県へ移住し .7
沖縄県外出身の実業家の活動をめぐる沖縄県出身
に軍要な役割を果した(①岡県高行『近代沖縄の
の士族の協力の実態についても.より詳細に検討
寄制商人j ひるぎ社.
する必要がある。
1
1縄県宮古島平良における商業空 I
7
U
Jの特性ー寄留
1
9
8
2
. ②堂前亮平「近代期.
6
・
1
.1
9
9
5
.1
・
1
5頁.
商人街をめぐって -J地域研究 3
注
③堂前亮平「近代期，奄美大品名瀬における商業
1) 石川友紀『日本移民の地理学的研究 j 栴樹社.
!
I
i
一山簡の成り立ちとマチの特性 J(沖純悶際大学
1
9
9
7，1
4
2
・
1
4
3頁.の第 2
・
1
5:衣を参照した。
2
)①石川友紀「沖縄県における出移民の歴史及び出
.
1
1
3
0頁。近年では.
移民要因論J移民研究1.2 5
市島文化研究所編・発行『南島文化研究所叢書q
空間の特性 J久留米大学文学部紀嬰.情報社会学
科制1. 2
0
0
3
.7
・
2
4頁.④堂前兆平「石垣島の都
∞
④社会組織をめぐって.多様な居住地選択のあり
方やミクロな社会・経済的関係を踏まえ.送出地
域の詳細な実態の検討の深化がみられる{②名護
市史編さん委員会編『名護市史
本編 5 出稼ぎ
∞
と移民 I 総括編・地域編j 名識市役所， 2 8
)。
3
) 本稿では，
r
移民会社業務関係雑件Jに収録されて
八重 1
1
.1
の地域性J2
0
0
6
)
.3
5
45:W.等)。
1
6
) 花木宏直「明治中後期の 7
1縄県における移民会
長
:
1
業務代理人の経歴と属性 j 沖縄地理 1
3，2
0日.
1
1
6封
。
7
) もちろん.沖縄県出身者も.初期の海外移民の送
出に￨関与・していた。明治 3
2年に森岡真の斡旋に
7人の渡航許可者や.明治 3
6年に帝国殖民
よる 2
の斡旋による 4
5人の渡航許可者がみられた、これ
一 7
9一
琉球大学教育学部紀要第 84集
らの渡航許可者は.当山が i
'
l
'縄県以外より業務代
理人を呼び寄せ.斡旋を行っていた。また • j
'
t純
県における海外移民の斡旋に￨期する新聞広告の初
報(神戸大学経済経営研究所) 1
8
・
1
.
1
9
6
7
.6
7
1
1
9
f
:
t をはじめ凶向の一連の研究に詳しい。
1
7
)肥後が明治 3
7年 6月の一時期に読谷山間切喜納村
r
6年 1
0月 7
出は.管見の限り. 琉球新報 j 明治 3
にて斡旋を行っており.巡回の 1事例と位置づけ
日付の.東京市にある交誠社渡米事務所による米
ることができる。なお.児玉は，東洋移民の業務
国への白山移民の斡旋に関する広告であった。こ
代理人であった土肥積の作成した日記を
の広告について.当時交誠社の社日であり，のち
広島県における業務代理人の巡回の実態を明らか
に熊本移民等の業務代理人となった大城兼義の関
にしている(児玉正昭
mいて.
f
日本移民史研究序説』渓
1
9
9
4
.2
9
2
・
3
7
7頁)。しかし児玉の研究以
)
.4
8頁
)
。
与がみられた(前掲 6
水社.
8) 移民会社業務関係雑件jには，業務代理人の申請
r
外には.巡回の実態に関する検討はみられず.業
や認可に関する書類が.業務代理人ごとに収録さ
務代理人や斡旋業者の作成した日記等の資料も発
れている。著者は.業務代理人は外務省通商局の
見されていない。
r
認可を受ける必要があったため. 移民会社業務関
係雑件jには申請したが不許可となった者・を合め.
すべての業務代理人が収録されていると推察する。
ただし管見の限り.属歴書や財産の記載をはじめ，
が大きい。
業務代理人ごと記載内容の精粗i
9) 肥後の「履歴書 j は.東洋移民が明治 3
5年 1
0月
1
8
)前掲 1)
.1
7
6
・1
7
8f
i。
1
9
) 比嘉宇太郎編『名護町制十周年記念誌Jj
'
l
'純県名
i
i
鹿町役場. 1
9
3
4
.4
6頁
。
2
0
)比嘉宇太郎編 f
名護海運史話』名護築港促進 J
U
J成会.
1
9
3
5
.1
7
・1
8頁。
2
1)前掲 2
0
)
.
1
4頁。なお.沖縄関連会社は.明治 4
0年(諸
に写したものである。このため. I
Y
1治 3
5年 8月に
作成された「履歴書jの原本から.省略等の内容
の変化がみられた可能性が推察される。
1
0
)r
移民会社業務関係雑件j には. r
身元調査 Jに関
する書類が合まれていない業務代理人も多くみら
r
U:類があった場
れる。また. 身元調査Jに関する 1
合でも.大半は「業務代理人タル質務ヲ尽ス上ニ
説有)に解散した。
2
2
) 島袋源一郎編『悶顕 1
1
s誌j 閏頭郡教育部会. 1
9
1
9
.
8
6
8
7頁
。
2
3
) r 琉球新報 J 明治 37 年 8 月 1 日 ~5 日付.明治 38
年 8月 7日-19日付の新聞広告による。
2
4
)捌野の経歴について. r
東洋移民合資会社業務関係
3年 8月付の棚野の「履
雑件」に収録された明治 4
於テハ何等不都合無之 Jと記されているのみであ
臆書」や，外務省外交史料館所蔵「海外興業株式
る。管見の限り.肥後のように. 身元調査Jに関
会社業務関係雑件」に収録された大正 9年 l月 1
0
する記載の多い業務代理人は少ない。
日付の掬野の「履挺 l
f
jJ
と大正 9年 1月 8日付の「戸
r
1
1
) 安部市助編『川崎造船所四十年史j 川崎造船所.
1
9
3
6
.5
6
頁
1
2
) 大田朝敷 f
沖縄県政五十年』国民教育社. 1
9
3
2
.
2
0
8
2
0
9頁
。
1
3
) 前掲 1
2
)
.2
0
8頁
。
1
4
)前掲 2
)①. 2
5頁
。
1
5
) 肥後が沖純関連の社長となった経緯について.大
阪市へ移住後に三菱郵船に勤務していたことも要
因の 1っと推察されるが，現状では裏付けとなる
資料が少なく.詳細な検討は今後の課題としたい。
1
6
) 海外移民の輸送と外国航路の拡大については.①
佐々木誠治「本邦移民輸送の展開 J(神戸大学経済
f
中南米研究抜書 2 対南米
9
6
0
)
.1
2
9
1
4
8頁.や.②西向嘉昭「戦
経済対策J. 1
前の移民輸送とわが国の海運業 J経済経営研究年
経営研究所編・発行
- 8
0ー
籍Jによれば.捌野は文久元(18
6
1
) 年 5月に和
r
歌山県有田郡湯浅町にて生まれた。その後. 戸籍 J
の住所記載欄に「明治廿六年四月十六日兵雌県神
戸市兵躍湊町四百三十六番地屋敷ヨリ転住 Jと加
6年以前に
準されていたことから.棚野は明治 2
1
8
1
1月に「肥後孫左衛門ノ使用人 J
. 明治
神戸市へ移住していたとみられる。また.明治
日8
8
5
)年
4
1年 1月に「東洋移民会社元業務代理人肥後孫左
衛門ノ事務員」に従事し明治 4
3年 8月には那覇
区間 1
4
3
0番地に窃:制していた。なお.前市で検討
したように.肥後は明治 1
0~ 2
0年代に神戸市で
6年 4月
川崎造船所の監骨に従事しており.明治 2
に沖縄関連の社長となった。つまり.捌野は.肥
後が沖縄県へ移住する以前に神戸市で知り合って
おり，肥後が沖縄問迎の社長に就任すると同時に
花木:東洋移民業務代理人・肥後孫左衛門の経歴と明治中
1
1
'
1
縄県へ移住し.肥後の使用人となったと推察さ
2
7
)
後期の沖純県における海外移民の斡旋
r
東洋移民合資会社業務関係雑件」所収の，出張所
の設置の申請や i
i
1
:可に関する掛:類による。出張所
れる。
J
1
純朝日新聞社 .
2
5
)尚樹柑j光編 I
沖縄県人事録J7
1
2
4
0頁。
2
6
) 沖縄県外出身の業務代理人だけでなく.沖縄県出
1
6
2
4番地や名護村の一心館等を斡旋拠点としてい
身の業務代理人も那覇区にある士族の邸宅や邸宅
たが.これらの場所について出張所への申請や許
跡地を斡旋拠点としていた。那覇区泉崎では海外
可はみられなかった。出張所は.外務省通商局の
茂や大 i
控殖民の比嘉昌郎と徳田弥太
正式な許可を受けた斡旋拠点、であるが，出張所を
渡航の星野
について.東洋移民では明治 3
7年より那覇区東
設けなくとも海外移民の斡旋は展開していた。
郎.小見正孝の篠原が同じ番地で斡旋に従事して
9
おり.那覇区久米の具志川御殿についても明治 3
-4
3年に東京移民の与儀正道の斡旋拠点となり.
5(
19
1
2
) 年以降は竹村与右衛門の丸山の斡
明治 4
旋拠点となった。沖純県出身の士族や!日家は.沖
縄県外出身の業務代理人のみに協力していたので
はなく.ひろく業務代理人の活動に協力したとい
う側面が強いとも推察される。
2
8
)親泊朝擢編・発行『沖縄県案内J
.
1
9
1
4
.頁の記載なし。
2
9
)由比顕次編『九州電話実業案内j励精社 .
1
9
1
4
.
9頁。
3
0
)親泊朝摺編・発行『沖縄県案内J.1
9
2
0
.頁の記載なし。
3
1)沖縄日報社編・発行『日報の沖純県人事録J.
1
9
3
7
.2
3
6頁。
3
2
)前掲 2
5
)
.2
4
0頁。
3
3
)前掲 6
)
.1
3頁。
一
-81
ーー

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