診療科別主要手術の術前、術後日数 症例数トップ3

福岡大学筑紫病院の病院指標(平成 25 年度)
6.診療科別主要手術の術前、術後日数
症例数トップ 3
診療科ごとの手術について症例数上位 3 つを集計しています。指標に示されるそれぞれの項目
に関しては以下の通りです。
○K コード
手術術式の点数表コードです。
○名称(部位)
手術術式の名称です。同一の K コードで複数の部位が対象となる手術は、部位別に集計して
います。
(例)整形外科 K0461 骨折観血的手術(大腿)47 件 と
K0461 骨折観血的手術(上腕)16 件 は別集計。
○平均術前日数
入院日から手術日までの日数の平均です。
○平均術後日数
手術日から退院日までの日数の平均です。
循環器内科(対象手術件数:347)
K コード
名称(部位)
症例数
平均術前
平均術後
日数
日数
転院率
平均
患者用
年齢
パス
K546
経皮的冠動脈形成術
112
3.60
7.67
4.46%
69.51
なし
K549
経皮的冠動脈ステント留置術
108
3.69
7.82
2.78%
69.26
なし
K5972
ペースメーカー移植術
27
5.19
10.04
3.70%
80.74
なし
循環器内科では、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)に対する経皮的冠動脈形成術と経
皮的冠動脈ステント留置術といった心臓カテーテル治療の症例数が多くなっています。心臓
カテーテル治療は、腕や足の血管から心臓まで管を通して病変を治療する方法です。即日入院
して緊急で行う場合や検査と同時に行う場合、検査から日数を空けて行う場合、検査して一旦
退院してから再入院して行う場合など患者さんの状況に合わせて様々なタイミングで手術が
行われます。
内分泌・糖尿病内科(対象手術件数:1)
K コード
K386
名称(部位)
気管切開術
症例数
1
平均術前
平均術後
日数
日数
-
-
転院率
-
平均
患者用
年齢
パス
-
-
内分泌・糖尿病内科の集計対象は 1 件でした。患者さんが特定され得るため、情報および詳
細は記載いたしません。
1
福岡大学筑紫病院の病院指標(平成 25 年度)
呼吸器内科(対象手術件数:26)
平均術前
K コード
K386
K6182
K0011
名称(部位)
気管切開術
中心静脈栄養用植込型
カテーテル設置(頭頸部その他)
皮膚切開術(長径10cm未満)
症例数
日数
平均術後
日数
転院率
平均
患者用
年齢
パス
6
17.00
50.83
66.67%
70.83
なし
3
16.33
13.67
0%
56.67
なし
2
36.00
4.00
50.00%
79.50
なし
呼吸器内科では、集計対象となる手術はあまり多くありません。呼吸器疾患による呼吸不全
のために気管切開術を施行された患者さんがいらっしゃいました。その他症例数が少ないた
め、詳細は記載いたしません。
消化器内科(対象手術件数:1,667)
K コード
K688
K7211
K6852
名称(部位)
内視鏡的胆道ステント留置術
内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術
長径2センチメートル未満
内視鏡的胆道結石除去術(その他)
症例数
平均術前
平均術後
日数
日数
転院率
平均
患者用
年齢
パス
226
6.74
13.86
21.24%
73.10
⑥
197
1.41
1.38
0%
65.78
⑦
114
9.45
7.27
17.54%
72.04
なし
消化器内科では、胆道疾患や膵臓疾患に対して行われる手術である内視鏡的胆道ステント
留置術の症例数が最も多くなっています。これは様々な病態で狭窄した胆道にチューブを通
して拡張し、胆汁の流れを良くする手術です。この手術は、胆石症に対する内視鏡的胆道結石
除去術などの他の手術の前段階として行われることも多く、術後日数が長くなる傾向にあり
ます。
大腸ポリープや大腸腫瘍に対する内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術の症例数が次いで多
くなっています。ポリペクトミー目的の 2 泊 3 日入院が典型的な症例です。また、この手術
は腫瘍の部位や大きさによって分類されていて、類似手術の症例数を合計すると 352 件とな
り、消化器内科で最も多く施行されている手術となります。
2
福岡大学筑紫病院の病院指標(平成 25 年度)
小児科(対象手術件数:30)
平均術前
K コード
名称(部位)
K300
鼓膜切開術
K7151
腸重積症整復術(非観血的)
症例数
日数
平均術後
日数
転院率
平均
患者用
年齢
パス
26
1.69
4.38
0%
1.15
なし
4
0.00
2.00
0%
1.50
なし
小児科の入院患者さんで手術として扱う中では中耳炎に対する鼓膜切開術が多くなってい
ます。中耳炎の治療が目的で入院する患者さんもいれば、肺炎などの呼吸器症状に中耳炎を
合併して発熱する患者さんもいます。小児科に入院中に耳鼻いんこう科の診察を受け、必要
があると判断されれば鼓膜切開術を受けていただいています。
外科(対象手術件数:794)
K コード
名称(部位)
症例数
平均術前
平均術後
日数
日数
転院率
平均
患者用
年齢
パス
K726
人工肛門造設術
52
5.50
26.85
21.15%
63.06
なし
K672-2
腹腔鏡下胆嚢摘出術
45
2.84
8.67
6.67%
60.62
⑩
44
5.70
19.14
15.91%
70.48
なし
K7193
結腸切除術 全切除、亜全切除
又は悪性腫瘍手術
外科の手術件数は人工肛門造設術が最も多い手術となっています。人工肛門とは腸の切除
術などに伴って、排泄のために腹部に造設する消化管の排泄孔です。消化管の癌や炎症性腸疾
患のために結腸切除術を施行して、一時的もしくは永続的に人工肛門を造設する場合があり
ます。
胆嚢炎や胆石症などの胆嚢疾患に対して、胆嚢摘出術を行っています。急性胆嚢炎を起こさ
れた患者さんは、まず消化器内科の治療で炎症を改善させて一旦退院し、改めて外科に手術目
的で再入院するケースが典型的です。胆嚢摘出術は腹腔鏡視下で施行されることが多く、手術
に対する患者さんの負担をできるだけ小さくするように努めています。
3
福岡大学筑紫病院の病院指標(平成 25 年度)
整形外科(対象手術件数:630)
平均術前
K コード
K080-41
名称(部位)
関節鏡下肩腱板断裂手術
簡単なもの
症例数
日数
平均術後
日数
転院率
平均
患者用
年齢
パス
62
1.35
12.21
95.16%
63.29
⑪
K0461
骨折観血的手術(大腿)
47
6.43
15.62
82.98%
81.87
⑫
K0821
人工関節置換術(股)
29
2.00
16.93
93.10%
66.79
⑬
整形外科の入院患者さんでは肩腱板断裂の患者さんが最も多く、手術件数も同様に肩腱板
断裂手術が最も多くなっています。肩腱板断裂手術に関しては、特に関節鏡視下で行う手術が
9 割を占め、患者さんの負担が比較的少なくてすむように努めています。
次いで足の骨折に対する手術が高齢の患者さんで多くなっています。
関節症の患者さんに対して、関節を人工関節に置き換える手術も行われています。指標では
股関節置換術が挙げられていますが、膝関節置換術も 22 件の症例を数えます。
手術後の継続リハビリとしてリハビリ病院への転院をお願いしているため、整形外科では
転院率が高くなっています。
脳神経外科(対象手術件数:439)
K コード
名称(部位)
症例数
平均術前
平均術後
日数
日数
転院率
平均
患者用
年齢
パス
K1781
脳血管内手術 1箇所
67
3.93
16.97
20.90%
64.60
⑰
K164-2
慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術
56
1.23
14.05
25.00%
76.54
⑱
44
3.82
10.27
4.55%
62.16
⑰
K1783
脳血管内手術
脳血管内ステントを用いるもの
脳神経外科で最も多い手術は脳血管内手術です。足などの血管から脳まで管を通して病変
を治療する方法です。脳動脈瘤に対するコイル塞栓術が主な症例になります。当院では脳動脈
瘤の治療の第一選択をこの脳血管内手術としています。
脳血管内手術は脳血管内ステントを用いるかどうかで集計が分かれます。脳血管内ステン
トを用いた脳血管内手術も指標に挙げられます。脳血管内ステントは、動脈瘤頸部の広い脳動
脈瘤の治療時に親動脈にステントを留置し、塞栓したコイルが親動脈に落ちるのを防ぐため
のものです。以前まで血管内治療が難しかった症例も治療可能となってきました。
脳血管内治療に次いで多いのが慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術です。慢性硬膜下血腫に対して、
頭蓋から血腫を洗浄除去する手術です。高齢の患者さんの割合が高く、入院後緊急での手術と
なることも少なくありません。手術後の状態が落ち着くと、継続治療およびリハビリのために
転院する患者さんが 4 分の 1 ほどいらっしゃいます。
4
福岡大学筑紫病院の病院指標(平成 25 年度)
泌尿器科(対象手術件数:185)
平均術前
K コード
K8036 ロ
名称(部位)
膀胱悪性腫瘍手術
経尿道的手術 その他のもの
症例数
日数
平均術後
日数
転院率
平均
患者用
年齢
パス
53
2.00
7.70
1.89%
71.94
⑳
K783-2
経尿道的尿管ステント留置術
41
3.37
7.22
0%
73.20
㉑
K768
体外衝撃波腎・尿管結石破砕術
16
1.25
1.31
0%
62.31
㉒
泌尿器科で最も多い手術は経尿道的膀胱悪性腫瘍手術です。膀胱腫瘍に対する手術で、尿道
から内視鏡を膀胱に通し、腫瘍を切除するものです。手術後は尿道から導尿のための管を入れ
て 3~7 日ほど経過を診ます。
体外衝撃波腎・尿管結石破砕術は、平成 25 年 5 月の新病院開院から当院でも施行可能にな
った手術です。今後、尿路結石の診療体制がより整っていくものと思われます。
眼科(対象手術件数:485)
K コード
K2821 ロ
K2801
K2822
名称(部位)
水晶体再建術 眼内レンズを挿入
する場合 その他のもの
硝子体茎顕微鏡下離断術
網膜付着組織を含むもの
水晶体再建術
眼内レンズを挿入しない場合
症例数
平均術前
平均術後
日数
日数
転院率
平均
患者用
年齢
パス
251
1.24
2.85
0%
69.46
㉔
68
3.96
11.81
2.94%
64.13
㉕
45
3.56
12.16
2.22%
67.69
なし
眼科では白内障などに対する水晶体再建術が最も多くなっています。水晶体再建術は眼内
レンズを挿入する場合としない場合に分類されます。眼内レンズを挿入しない場合の入院で
は、白内障の他に糖尿病性網膜症や網膜剥離を併発している症例があり、手術後の眼底管理や
眼圧コントロールのために術後日数が長くなる傾向にあります。
5
福岡大学筑紫病院の病院指標(平成 25 年度)
耳鼻いんこう科(対象手術件数:365)
平均術前
K コード
名称(部位)
症例数
日数
平均術後
日数
転院率
平均
患者用
年齢
パス
K3772
口蓋扁桃手術 摘出
76
1.09
7.04
0%
13.93
㉖
K370
アデノイド切除術
44
1.05
5.77
0%
5.91
㉙
K319
鼓室形成手術
32
1.13
14.81
0%
36.56
㉚
耳鼻いんこう科の手術で最も多いのは、慢性扁桃炎やアデノイド増殖症に対する口蓋扁桃
摘出術およびアデノイド切除術です。患者さんによって口蓋扁桃摘出術とアデノイド切除術
を同時に行う場合がありますが、より年齢の低い患者さんにその傾向があることが分かりま
す。慢性中耳炎や真珠腫などに対する鼓室形成術の件数も多くなっています。
術前日数については、耳鼻いんこう科全症例数の平均でも 1.1 日ほどで、概ね患者さんが入
院されてから次の日に手術が行われています。
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