平成26年度 第2回都市地域セミナーの報告 札幌市では

平成26年度
第2回都市地域セミナーの報告
札幌市ではここ数年の間に、大通交流拠点地下広場、創成川公園内の狸小路広場、北三
条広場が造られ、中心部のにぎわい空間として注目を集めている。そこで日本都市計画学
会北海道支部では、平成 27 年 3 月 10 日(火)18:00-20:30、札幌学院大学社会連携セ
ンターにおいて、「北国の都市における広場の活用を考える」と題した都市地域セミナーを
実施することとした。参加者は 83 名、以下にその概要を報告する。
太田清澄支部長による開会挨拶
窪田映子支部幹事による司会進行
太田清澄支部長の開会挨拶の後、国土交通省北海道開発局機械課長の小松正明氏から、
「北国の都市における広場の活用を考える」というタイトルで基調講演がなされた。その主
な内容は、以下のとおりであった。
小松正明氏による基調講演
セミナー会場の様子
『広場を中心にして成長した西洋の諸都市に対して、日本では、橋詰広場、神社
境内、寺院境内、広小路などの歴史的な広場状オープンスペースがあったものの、
都市にとっての中心施設とはならなかった。今日、広場は目的性の強い都市施設
または建築物に付随する(公開)空地として整備されているが、ともすると暮ら
しの中での位置づけは曖昧である。広場のあり様は公共及び民間の都市開発者に
委ねられる傾向にあるが、良いまちづくりに資する広場につなげるべきであろう。
何故なら、民間の都市改造をとおした地域貢献は、市民にとって魅力ある都市づ
くりにつながるものであり、その賑わいは民間の収益拡大をもたらすものである
のだから。』
基調講演の後、「北国の都市における広場の創造と活用」と題したパネルディスカッショ
ンを行った。最初に、三井不動産㈱北海道支店長の清水弘之氏、札幌市市民まちづくり局
都市計画課長の村瀬利英氏から話題提供を頂き、その後に小松氏も加わって、北海道大学
大学院工学研究院の小篠隆生氏をコーディネーターに討論を行った。その内容は以下のと
おりであった。
小篠隆生氏
清水弘之氏
村瀬利英氏
小松正明氏
 広場とは何か;民間の都市改造事業で生まれる広場が現在注目されている。そ
れは、民間のディベロッパーにとって、公共空地を行政に差し出せば建物の容
積ボーナスを貰えるという、ビジネス(収益増大)が目的で成されている。行
政は、まち全体の統一性を考えながら、民間の開発インセンティブを与える努
力が必要とされている。
 何のために広場を作るのか;にぎわい空間づくりが目的。民間にとっても、に
ぎわいという付加価値は収益につながる。また、まちづくり会社も、人の集ま
る場所に広告塔などを造り収益を上げて、それを広場のイベント企画などに使
っている。このような参加者が win-win の関係になれる管理・運用の仕組みづ
くり(好資金循環)を伴った広場であることが重要。
 北国の広場に求められるもの;雪や寒さ対策。例えば、建物のまわりの歩行空
間の工夫。また、北国ならではの建物と広場の関係が大切で、例えば、室内が
あるから屋外が成立する、といった演出が魅力を増大させる。課題は、広場と
広場のネットワーク化である。また、地方都市での広場づくりには、どうやっ
てお金を生み出すか、地域の人々がまちの地域性を楽しむ工夫が必要。
パネルディスカッションの後、参加者からの活発な質疑も出され、田村亨副支部長の閉
会挨拶により、2 時間半のセミナーを成功裏に終えることができた。
会場からの質問
パネルディスカッションの様子
田村亨副支部長による閉会挨拶
日本都市計画学会北海道支部セミナー担当幹事
以
窪田映子
上