中小企業の活力強化・地域活性化のための規制・制度

「中小企業の活力強化・地域活性化のための規制・制度改革の意見 50」の実現状況等について
平成 27 年3月5日現在
全53項目中
○:法令改正などにより規制緩和が実現したもの〔23〕
△:実現に向け検討されているもの〔20〕
×:未実現だが引き続き検討を働きかけているもの〔5〕
◆:規制所管省庁から対応不可と回答があったもの〔3〕
他:自治事務につき各都道府県や市町村で対応するもの〔2〕
補 足 事 項
(進捗状況、規制所管省庁からのコメント等)
Ⅰ.政府(規制改革会議等)における検討分野について
1. 健康・医療
(1)確実に実施すべき事項
①医療機器と医薬品の規制を分離し、医療機器の審査を迅速化するための薬事法改正の確実な実施、ならびに医
療機器製造業を許可制から登録制に改めるなど中小企業の医療機器分野への参入促進
②健康食品における効果・効能の商品や包装への表示の容認
○ H25.11 に薬事法が改正され、H26.11.25 から「医薬品医療機
③保育事業への株式会社等の参入促進
△
④待機児童問題解消のための保育所設置基準や保育士等の配置基準の見直し
△
△
器等法」として施行された
実験データなど根拠を届ければ、国の許可なく企業等の責任で
食品の効能表示が可能となる見込み(食品表示基準を改正予
定)。H27.3 に自民党消費者問題調査会でも協議
公平な認可制度の運用がなされるよう都道府県に通知。また規
制改革会議が多様な経営主体間でのイコールフッティング確立を提言
保育室などを4階以上に設置する場合の避難用階段等の設
置基準見直しを決定し、H26.4 に省令改正
(2)商工会議所が追加して検討すべきと提案した事項
①患者への新薬提供の早期化(医薬品のドラッグ・ラグ解消)を図るため、現在、唯一設置されている独立行政法人
(PMDA)以外の民間審査機関の設置
②株式会社による医療機関への参入の容認
○ 関西にも拠点設置(PMDA 関西支部を H25.10 開設)。職員も
③医療サービス向上のための医療法人による広告の自由化
△
④介護労働者の作業を代替する介護補助機器等の市場創出
○
⑤介護分野における深刻な人材不足状態を解消するための看護師試験、介護福祉士試験における条件付き母国
語等での受験容認など外国人合格率の向上対策
△
×
増員された(521 人[H21.4]⇒748 人[H26.4])
厚労省から、利益追求の不適切診療による医療費増大等の懸念
が示されたが、規制改革会議で再検討となった。第2弾意見書で
継続要望
規制改革会議で今後検討される可能性があるとの連絡を受
け、第2弾意見書で改めて要望・後押し
経産省がロボット介護機器開発・導入促進事業として予算化。介
助者のパワーアシストを行う装着型機器ロボットなどを開発する企
業・大学等を支援し、実用化のための実証環境整備を行う
外国人介護人材受入れ検討会の中間報告で、技能実習制度は日
本語教育の指導者を配置することが望ましい旨が盛り込まれた。
2. エネルギー・環境
(1)確実に実施すべき事項
①石炭火力発電所早期建設のための環境アセスメント手続期間の短縮など審査基準の合理化・明確化
○ 3年程度→1年強程度への期間短縮を着実に進める
②太陽光など発電設備にかかる電気主任技術者の外部委託を可能にする発電出力の承認範囲の緩和
○ 出力2千 kw 未満まで外部委託可能に(要望では1千 kw 未満)
③国際先端テストを活用した水素スタンドや充電スタンド設置にかかる保安規制・設置規制の早期見直し
○ 水素スタンド普及開始に向け、市街地等での設置基準緩和の検
討を地方分権改革推進本部決定に基づき H27.1 閣議決定
(2) 商工会議所が追加して検討すべきと提案した事項
①国際先端テストを活用したPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物処理コスト引き下げのための処理対象基準の見直し
△ 規制改革会議WGで、微量PCB処理の加速化に向けた新た
な仕組み導入を議論(H26.3~)
3. 雇 用
(1)確実に実施すべき事項
①解雇が無効であった場合の救済措置の多様化の一つとして、労働者が職場復帰を希望しない場合における金銭
支払による労働契約終了の仕組みの整備
△ 国家戦略特区法に基づき、解雇の裁判例等を分析・類型化し
②同一派遣先への派遣期間の制限(原則1年、最長3年)、および日雇派遣禁止等の見直し
△
③国際先端テストを活用した中途採用市場の活性化のための有料職業紹介事業における対象業種や年収要件の緩和
△
④ハローワークが保有する有益なデータの活用による求人・求職の実施など民間企業との一体的な人材マッチング
の取組みの実施
○
た「雇用ガイドライン」を H26.4 策定・公表。また産業競争力会議
では、民間議員提出資料で、解雇無効の場合の救済措置の
多様化の必要性が提起された(H26.4)
今通常国会で 26 業務の廃止や期間制限の緩和等を内容とす
る労働者派遣法改正案が審議中。また日雇派遣の見直しにつ
いては、労政審の受給制度部会で検討を継続
「規制改革実施計画」(H25.6)を踏まえ、規制改革会議WG
で、有料職業紹介事業の法的あり方や枠組みそのものからの
見直し議論が行われており、26 年度の早期に結論を得る予定
H26.9 から、民間事業者等に対し、ハローワークの求人情報の提
供を開始。求職者情報の提供については、求職情報公開仮登
録サービスを開始
(2) 商工会議所が追加して検討すべきと提案した事項
①通算契約期間5年超の有期契約労働者の雇用継続を可能とするための一定の金銭補償等による無期転換申込
権を発生させないルール等の導入
②中小企業等におけるインターンシップを通じた人材採用の容認
○ 特例として年収 1075 万円以上の高度専門労働者について最
③高度外国人材受け入れ拡大のための高度外国人材ポイント制における年収要件など基準の緩和と優遇措置の拡充
○
△
長 10 年の有期雇用を認める法改正が行われ H27.4 から施行
H26.4 に文科省・厚労省・経産省連名で「インターンシップの推進
に当たっての基本的考え方」の見直しに関する通知発出。採
用選考活動開始後のインターンシップで取得した学生情報につい
ては、採用選考活動に使用できる旨が示された
法務省告示(H25.12)で、高度人材ポイント制の年収要件が緩
和(高度学術研究活動の最低年収基準を撤廃。高度専門・技
術活動、高度経営・管理活動では全年齢区分を無くし最低年
収基準 300 万円以上に引下げ)されるとともに、親や家事使用
人帯同要件緩和等の優遇措置が拡充された
4. 創業、その他経済再生に資するもの
(1)確実に実施すべき事項
①地域ブランドづくり促進のため、事業協同組合に限定されている地域団体商標の出願人への商工会議所等の追加
○ 商工会議所が出願人となれる商標法が改正され、H26.8 に施行
(2) 商工会議所が追加して検討すべきと提案した事項
①免税対象品目を人気の高い化粧品や地域の魅力を伝える特産品(日本酒等)などへの拡充、および諸外国と同
様に出国時の書類等確認後に消費税相当額を一括で受け取れるシステムに変更する免税制度への見直し
②訪日外国人観光客拡大のためのビザ発給要件の緩和と出入国手続きの迅速化
○ H26.10 以降、すべての品目が免税対象になり、また購入記録
③株式会社による農業参入と農地直接所有の容認
×
④国際先端テストを活用した化学系ベンチャーの事業化の障害となる危険物取扱い規制の緩和
△ (未回答)
1
○
票等の様式の弾力化及び手続きが簡素化済み
H25.7 に、タイ・マレーシアはビザ免除、インドネシアは数次ビザ滞在期
間延長、ベトナム・フィリピンは数次ビザ発給を、H25.11 にラオス・カ
ンボジアが H26.1 にミャンマーが数次ビザ発給を措置済み
現行農地法で農地所有が認められている農業生産法人の出資割合を緩和
し、農業関係者がいなくても株式会社だけで設立可能(生産継続等を条件)
とする意見書を規制改革会議WG がH26.5.14 に公表(従来の株式会社の出
資割合は 25%以下)。また、国家戦略特区では農業生産法人の役員要件が
緩和され、役員1人が農作業に従事していればよいこととなった(従来は役
員の過半)。第2弾意見書で株式会社が直接所有できるよう継続要望
Ⅱ.中小企業の活力強化と地域活性化を促進する分野について (商工会議所オリジナルの意見)
1. 地域の再生・活性化を後押し
(1)商店街の魅力向上と中心市街地の賑わい回復
△ 中心市街地活性化基本計画に基づく施設等の設置に対する道路
①歩行者天国など地域活性化イベントで道路を使用する際の許可基準の明確化
②屋外で飲食物を提供するイベントなど広域開催を容易にするため、一部自治体で取扱いの異なる食品営業許
可基準を弾力的に運用可能なガイドラインの明示
△
占用許可の特例措置を盛り込んだ改正中活化法が H26.4.25 公布
H27.1 の規制改革会議で再検討項目に挙げられ、H27.2 の規
制改革会議・地域活性化WGで「イベント飲食の露店・臨時営業
許可」について議論されることになった
(2)売上拡大と地域経済循環の回復
①プレミアム(付き)商品券発行拡大のための資金決済法に基づく保証金供託制度の見直し
②観光地において適切な範囲内で客の接待をする料理店等に対する風営法の終業時刻の繰り下げ
○ 企業実証特例制度による規制緩和措置が実現(経産省、金融庁)
△ 規制改革会議が、風営法の終業時刻を繰り下げ、ナイトクラブ
等における深夜営業を可能とするよう提言(H26.5.12)
(3)観光の振興
① 観光遊覧船や屋形船などの新航路開設手続きの許可制から届出制への緩和と航行プランの自由度拡大
◆ 人を運送するものなので安全面等から審査は必要
△ (未回答)
②観光客の回遊性向上等のため、安全性が確保された低速の乗合小型車両(電動カート等)を法令上の小型特 ○ 「超小型モビリティ認定制度」が創設(定員2人以下に限定)。また輪島で
①'瀬戸内海航路における航路内通行規定の緩和
殊車両として位置づける保安基準等の見直し
② 外国クルーズ船の日本領海内でのカジノ営業の容認
×
③ 国際観光拠点化のための特別史跡への商業施設設置にかかる許可基準の緩和
×
⑤商工会議所等が“手づくり観光”を通じたまちおこしを行うため、旅行業登録の際に必要となる営業保証金の免
除
○
はゴルフカートを改良してヘッドライトや方向指示器等を付けた4人乗り電動
カート(エコカート)2台が公道走行に必要なナンバーを全国で初めて取得
IR推進法案の国会審議動向をみて、法務省と国交省が対応
協議中で未回答状態のため、第2弾意見書で継続要望
文化庁から、地元自治体を中心に「保存管理計画」を作成すること
で現状変更可能な基準を設けられるとの回答があったが、本則の
文化財保護法の基準を緩和するよう第2弾意見書で継続要望
手づくり観光ができるよう隣接市町村限定で旅行業を営める「地
域限定旅行業」が新たに創設され、その際の営業保証金が大幅
に引き下げられた(300 万円供託⇒同 100 万円)
(4)強い農林水産業づくり
①耕作放棄地を農地のまま有効活用する場合の住民説明会開催や農業委員会の了承等煩雑な手続きの簡略化
○ 農地権利移動の申請を受け地元自治体が計画作成すれば農業委員会の許可は不要
④ 住居分布の疎密など地域特性に応じた畜産業に対する悪臭防止法の臭気規制の見直し
他 地方自治体の自治事務(環境省)
(5)地域の成長を支える基盤づくり
○ 無線 LAN 整備支援(総務省)、無線 LAN 提供団体(民間)による協力実現
②市街地における防災機能向上による安全・安心なまちづくり実現のための老朽建築物等建て替えを促すための ○ 国家戦略特区で都心居住を加速化するための容積率の最高
①行政施設や公共空間等で手軽にアクセスできるWi-Fi環境の整備
防災街区整備手続きの簡素化・迅速化
③ビジネス拠点の整備を図るため流通業務団地内にショールームや組立加工施設等を整備するための用途規制の緩和
④物流業の実態に合わせ、荷さばき車両に配慮した駐車規制(放置駐車違反取締り)の見直し
⑤商工会議所法の認可事項にかかる手続きの緩和、および地域の実情に応じた役員・議員定数基準の自由度拡大
限度や用途地域制限の緩和等が認められた
○ 国交省等から一部流通業務団地について運用で緩和可能との書面回答あり
△ 現行制度内で優先パーキング等の設置、駐車規制見直しを継続実施(警察庁)
○ 定款変更の認可(目的、名称、地区の事項に係るものを除く)につい
ては届出制に変更した上で都道府県、指定都市に移譲する第4次
地方分権一括法(商工会議所法改正)が H27.4 に施行
2. 中小企業の成長の促進
(1)中小企業の創業・起業・ベンチャーの支援
①店舗を持たなくても開業でき、出張施術専門の営業形態を可能とするための理容師法、美容師法の店舗規制の
見直し
△ H27.1 の投資促進等WGで「出張理美容に係る規制の見直し」が議
⑤ 地下水の枯渇防止を目的とした地下水条例における枯渇の恐れがない地下海水の採取規制の分離
他 地方自治体の自治事務(環境省)
③都道府県ごとに仕様が異なる消防車の消防ホース結合差込金具の規格統一
◆ 規格が異なっても媒介金具の装着により結合は可能(総務省)
論され、H27.6 答申に向け公式に検討・厚労省と調整が開始された
(2)海外展開と国際競争力の強化
① 特許審査の迅速化、および海外展開を図る可能性のある中小企業に対するスーパー早期審査の適用拡大
△ 通常審査における審査順番待ち期間が 28.7 ヵ月(H22 年末)
② グローバル人材として外国人留学生を採用するための在留資格変更許可審査の迅速化
×
③高性能な工作機械製品等の不具合などで同じ輸入元に輸出する場合における許可申請手続きの免除
△
から 11 ヵ月以内に短縮(H25 年度末)。また、今後 10 年以内
(H35 年度末まで)に特許の権利化までの期間を 14 ヵ月以内
(H24 年平均の半減)とする目標を設定
現行の2週間~1ヵ月の標準処理期間で十分(法務省)。なお
「成長戦略進化のための今後の検討方針」(産業競争力会議
決定)で、外国人受入環境整備の検討が盛り込まれた
個別許可申請が不要な特別一般包括許可を適用し、「予期せぬ返
送のための輸出」の該当範囲の明確化をQAに掲載する(経産省)
(3)経営力の強化
①地域特産品を原料とする焼酎の製造を全国で可能とするための焼酎製造免許取得にかかる規制の緩和
◆ 酒税法上の税制関連内容のため対象外(財務省)
(4)雇用の拡大
①高校新卒者就労促進のための普通第二種運転免許と中型免許取得の年齢要件や運転経歴の緩和等
○ H25.9 に警察庁に免許制度見直しに向けた有識者検討会が
設置され、満 18 歳以上が運転可能な新たな免許区分として
車両総重量 3.5t以上 7.5t未満の「準中型自動車免許」を新設
する道路交通法改正案が今通常国会に提出見込み
3. 行政・財政運営の効率化
(1)行財政改革・補助金・委託費等
①国・自治体における予算執行効率化のための発生主義・複式簿記による会計制度の早期整備
○ 総務省が地方自治体において発生主義・複式簿記による帳簿類
②補助金・委託費執行の複数年化、申請書類等の簡素化、手続きの迅速化、また補助金適正化法で禁止されて
いる補助金で取得した施設の担保規制の解除
○
③デフレを助長し中小企業を低価格競争に巻き込むおそれのある競り下げ方式の廃止
△
2
導 入 と固 定 資 産 台 帳 整 備 の ための統 一 基 準 を策 定 ( H26.4)。
総務省において統一的な 基準による地方公会計マニュアルが作成された
現行の補助金・委託費等の繰越制度を利用することで可能。
H22.1 に手続きの簡素化・迅速化が図られている。また補助金
等の交付目的に反して担保に供する場合でも所管省庁の承
認があれば可能(財務省)
「競り下げ試行の検証結果」(行革推進本部)で「各府省庁で個別
案件ごとに実施の適否を判断することが適当」とされた(更なる
見直しを求め、第2弾意見書で継続要望)