I Ph086 含ハロゲン芳香族ポリ (グアナミン-イミド) の合成 岩手大工 ○大石好行・半田篤史・オラベッツ ヤン・森 邦夫 東工大院工 照井貴陽・安藤慎治 <緒言 >含フッ素芳香族ポリマーは,熱安定性に優れ,低吸水性,低屈折率,低誘電率などの特性を 有することから光学材料に適した高分子である。フッ素原子をポリマー中に導入すると分子の分極率 が小さくなりポリマーの屈折率が低くなり,塩素原子を導入すると分子の分極率が大きくなってポリ マーの屈折率が高くなる。従って,フッ素原子と塩素原子の含有量の割合を変化させることで,ポリ マーの屈折率を制御できる。そこで本研究では,ペンタフルオロフェノキシ基またはペンタクロロフェ ノキシ基を置換したトリアジンジクロリドを用いて,含フッ素芳香族ジアミンおよび含フッ素芳香族 テトラカルボン酸二無水物 (6FDA) との共重合により,含ハロゲン芳香族ポリ (グアナミン-イ ミド) を合成し,その特性に及ぼすフッ素原子および塩素原子の含有量の影響を検討した。 <結果と考察 >モノマーの合成:塩化 シアヌルとペンタフルオロフェノール またはペンタクロロフェノールを相間 移動触媒を用いる二相系反応により, 含フッ素および含塩素トリアジンジク ロリドを合成した。ポリマーの合成: 含フッ素芳香族ジアミンを NMP に溶解 させ,シリル化剤である N,O-ビス ( ト リメチルシリル) トリフルオロアセトア ミド (BSTFA) を加えて,in situ シリル 化により N-シリル化ジアミンに誘導さ せ,これに含フッ素および含塩素トリ アジンジクロリドと含フッ素芳香族テ トラカルボン酸二無水物 (6FDA) を加 え,室温で 2 時間,80℃で 24 時間重合させて,ポリ (グアナミン-アミド酸シリルエステル)(PGASE) を合成した。PGASE の対数粘度は 0.25∼0.41dL/g であった。この PGASE をガラス板上にキャスト し段階的に加熱し 300℃で 1 時間熱イミド化させることで淡黄色で透明なポリ (グアナミン-イミド) (PGI) を得ることができた。ポリマーの性質:PGI は有機溶媒には不溶であった。ガラス転移温度は 242-318℃であり,塩素の含有量が増えるにつれて低下し た。また,10%重量減少温度は約 400℃で あった。PGI のカットオフ波長は 300-340nm であり,370-400nm 以上では 80%以上の透過率を示 した。また,屈折率(1320nm) は 1.524-1.546 であり,塩素の含有量が増えるにともない高くなっ た。また,複屈折率は 0.0034-0.0097 と小さな値であることから,ポリマー鎖は無配向に近いことが 示唆された。 Synthesis of Fluorine or Chlorine-Containing Aromatic Poly(guanamine-imide)s Yoshiyuki OISHI1, Atsushi HANDA1, Jan ORAVEC1, Kunio MORI1, Yoshiharu TERUI2, Shinji ANDO2 (1Department of Chemical Engineering, Iwate University, Morioka 020-8551, Japan 2Department of Organic and Polymeric Materials, Tokyo Institute of Technology, Tokyo 152-8552, Japan) 1 Tel: +81-19-621-6930, Fax: +81-19-621-6930, E-mail: [email protected] Key Word: fluorine / chlorine / polyimide / in situ silylation / refractive index / optical transparency Abstract: Fluorine or chlorine-containing aromatic poly(guanamine-imide)s (PGIs) were synthesized by the in situ silylation method from fluorinated aromatic diamines, 6-pentafluorophenoxy or pentachlorophenoxy-2,4-dichloro-1,3,5-triazine, and fluorinated aromatic tetracarboxylic dianhydride. The glass transition temperatures of PGIs were 242-318˚C, which decreased with increasing the chlorine content. The PGI films exhibited the cutoff wavelength of 300-340 nm. The transmittance of PGI films was more than 80% above 370-400 nm. The refractive indices of PGI films at 1320 nm were 1.524-1.546, which increased with increasing the chlorine content. Polymer Preprints, Japan Vol. 53, No. 1 (2004) 517
© Copyright 2024 ExpyDoc