食料問題と環境 4 地域ブランド 真正性の規格化 「本物」への需要 グローバル化・工業化 スローフード ローカル志向 「本物」の食文化の保護 国内産地の保護 ファストフード,加工食品 グローバル化 食文化の画一化 国内産地の衰退 地域ブランド・「本物」志向 ヴァルター・ベンヤミン 「複製技術時代の芸術」(1936年) 複製技術(写真,映画)以前 • 1枚限りの絵画や彫刻に は「本物」としての「アウラ (オーラ)」が. 複製技術(写真,映画)以後 • 大量生産→「アウラ」喪失 • 誰でも芸術作品を鑑賞 • やがて,「本物」とコピー の区別は困難に Walter Benjamin (1892 - 1940) 「本物」のオーラ 工業技術 準地域 ブランド 模倣技術 伝統的技術 伝統的技術 歴史の長さ=地域への根付き =地域の自然環境との関係 地域 ブランド 「本物」を模倣品や量産品と区別する • 「本物」を規格化できるか? • 規格化された食品に オーラは保 たれるか? 模倣品 量産品 規格化 認証化 EUにおける地理的表示の保護制度(件数は~2011年3月) PDO 保護原産地呼称 PGI 保護地理的表示 分類 登録件数 イタリア フランス PDO PGI 507 471 978 140 83 223 81 102 183 合計 PDO 507件 油脂 23% 肉製品 7% 肉 6% 果実・野 菜・穀物 25% チーズ 39% スペイン ポルトガル ギリシャ 79 66 145 58 58 116 油脂 4% 65 23 88 PGI 471件 肉製品 22% 肉 25% 果実・野菜・ 穀物 42% チーズ 7% ドイツ 29 48 77 二つの真正性 • 規格化による真正性 • 生産者と消費者の地理的近接性による真正 性 – 生産者と消費者が密接な信頼関係で結ばれるこ とによって生じる,「かけがえの無さ」,「オンリー ワン」の「本物」 – 芸術作品でも,作品の客観的な美しさではなく, その作品や作者への鑑賞者の思い入れがあって 生まれるような,主観的な価値がある. 地域ブランドの産地への効果 • • • • 農業所得支持効果 雇用創出・就農増加効果 生産者集団を介した地域社会統合効果 地域振興効果 農村ツーリズム • 農業ツーリズム • 美食ツーリズム 観光客と住民の交流 ツーリズム消費 食品文化遺産: 地域資源の文化遺産化 地域的文化的 アイデンティティの強化 地域アクターの 集合的動員 文化遺産振興の地方ダイナミズムと経済多角化 農村地域振興 地域ブランドと環境保全 • 農業環境の生き物,棚田,湧水,山林,海などの景 観,これらをシンボルとして農産物を地域ブランド化 ⇒ 地域の環境保全活動を促進 • コウノトリ本舗(兵庫県豊岡市):http://kounotorihonpo.jp/ • 「トキを育むお米(佐渡こしひかり)」(新潟県佐渡市片 野尾地区):日本最後のトキの生息地域であった佐渡 前浜地区片野尾集落の生産者30名が「もう一度トキ が住めるような環境を取り戻すための米づくりをした い」と農業生産法人化.トキのエサ場や生息環境を整 え,減農薬・減化学肥料による環境保全型稲作開始.
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