透析患者の高感度心筋トロポニン I の有用性

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透析患者の高感度心筋トロポニン I の有用性
高感度心筋トロポニン T との 12 ヶ月間の比較検討
◎篠田 智和 1)、菊池 宏明 1)、齋藤 維織 1)、池澤 剛 1)
セントラル医学検査研究所 1)
【はじめに】
50 名全員であったが、12 カ月後も 50 名全員が陽性であっ
血液透析患者の心疾患合併による死亡リスクは男女ともに
た。②測定値の差:hsTnI は検討開始前と 12 カ月後(12 カ
感染症に次いで高い。今回、我々は 50 名の血液透析患者を
月後-検討前)で-128.5~949.3pg/mL、hsTnT は-0.028~
対象にトロポニン I(以下 hsTnI )とトロポニン T(以下
0.133ng/mL、BNP は-583.1~2126.3pg/mL、CK-MB は-3.3~
hsTnT )で比較検討を行い、血液透析療法中 12 カ月間の
2.4ng/mL、CRE は-6.44~9.33mg/dL の変動があった。
hsTnI と hsTnT の変動を調査した。その結果、血液透析患
者では血液透析療法中の心筋マーカーとして hsTnT よりも
③hsTnI と hsTnT の測定値の比較では、2 名が 12 カ月間で
治療により hsTnI が陰性化し、3 名が心疾患合併により陽性
hsTnI に有用性がみられたので報告する。
となった。この 5 名の hsTnT は検討開始時より 12 カ月間
【測定対象】
陽性のままであった。
血液透析療法中の患者 50 名(男性 27 名、女性 23 名)とし
【考察】
た。このうち 5 名は心疾患合併症を患っていた。
hsTnT は 12 カ月間、血液透析患者 50 名全員が陽性を示し
【方法】
た。hsTnI は測定値の顕著な変動を示し、治療効果や疾患特
毎月採血される透析前の検体を対象とした。検討前に hsTnI
異性が反映された。
、hsTnT、BNP、CK-MB、CRE を測定した。①トロポニン
陽性患者の推移、②各測定値の差、③治療効果による
hsTnI と hsTnT の測定値の変動を 12 カ月間で調査した。
【結果】
①トロポニン陽性患者数:調査開始時 hsTnT 陽性者は
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