説明:化学用体積計の使用法及びホールピペットの補正

説明:化学用体積計の使用法及びホールピペットの補正
○化学用体積計
・ガラス体積計の許容容量公差
測定値のばらつきが許容される限界
・JIS R 3505
体積の許容誤差
メスフラスコ
ホールピペット
メスピペット
ビュレット
メスシリンダー
(TC)
(TD)
(TD)
(TD)
(TD、TC)
5ml
±0.025
±0.015
±0.03
±0.01
±0.1
10ml
±0.025
±0.02
±0.05
±0.02
±0.2
25ml
±0.04
±0.03
±0.6
±0.03,0.05
±0.25
50ml
±0.06
±0.05
±0.2
±0.05
±0.5
精度
3
1
5
体積計
容量
2
4
※TC…To Contain (受用体積計)
TD…To Deliver (出用体積計)
・メスフラスコの使用上の注意
加熱しないと溶解しにくい場合や、発熱する場合は、秤量瓶の内容物をビーカーに
移して溶解し、室温まで冷却してからメスフラスコに移す。
・ビュレット
活栓付ビュレット(ガイスラー型)
モールビュレット
NaOH,KOH 溶液(塩基性溶液)などを長時間入れたままにしておくと、活栓がくっ
ついて動かなくなる。
↓対策
①モールビュレットを使用する
②ガイスラー型ビュレット→活栓:テフロン
・ビュレットの滴定値の読み取り
小数点以下 2 桁(0.01ml)まで読み取る
実験:ホールピペットの補正
①5ml ホールピペットを検定する
A
②秤量瓶を用いて純粋の重量を測定する
標線
備考)・安全ピペッターの使い方に慣れておく
B
・秤量瓶はあらかじめ乾燥させておく
を測定しておく
③A まで測り、兵糧瓶に移し、重さを測る。
次に B まで測って秤量瓶に追加し、重さを測る
④計算
1,000,000 − (P + P' )
水温 ℃(0.1℃まで)
−B
f
室温 ℃(0.1℃まで) S =
A −B
気圧 kPa
20
縦が 2cm の方眼紙
※温度計で水温
S=正しい刻線の位置
A=A までの水の質量
B=B までの水の質量
f=1,000ml/容器の容量
・秤量瓶の恒量値(P40,144 参照)
30 分間 乾燥
15 分間 デシケーター中で乾燥,放冷
↓
秤量
前後の秤量差が±0.3mg 以内になったときの前の値を秤量値とする
実験:ホールピペットの補正
○実験道具
・秤量瓶 (赤 90)
・ホールピペット(TD 20℃ 5ml)
○実験環境
気温 21.0℃
水温 18.3℃
気圧 102.4kPa
○実験結果
・秤量瓶のみの重さ
22.5160g
・A までの水と秤量瓶の重さ
27.5623g
・A と B までの水と秤量瓶の重さ
32.4468g
↓
・A 線までの水のみの重さ 27.5623-22.5160=5.0463g= 5046.3mg
・B 線までの水のみの重さ
32.4468-27.5623=4.8845g= 4884.5mg
・Pの値 水温 18.3℃より 2527mg
・P’の値 気温(20+1)℃より 1×(-4.0) = -4.0mg
気圧(101.33+1.07)kPa より 1.07÷0.133×1.3= 10.5mg
・fの値 5ml のホールピペットを使用 →1000÷5= 200ml
1,000,000 − (2527 + 6.5)
− 4884.5
200
S=
= 12.6(mm)
5046.3 − 4884.5
20
演習:濃度
Ⅰ.重量(体積)百分率
ⅰ.重量百分率
溶液 100g 中に存在する溶質のグラム数(単位:%)
ⅱ.体積百分率
溶液 100ml 中の溶質含有量(ml)(単位:v/v%)
ⅲ.溶液 100ml 中の溶質のグラム数(単位:w/v%)
Ⅱ.単位体積あたりのグラム数
単位体積の溶液(1l または 1ml)中の溶質のグラム数あるいはミリグラム数
Ⅲ.比重法
溶質,溶媒ともに 1 種類ずつの溶液ではその比重で濃度を示すことができる
Ⅳ.体積比(実験で用いる
濃溶液と水との体積比で濃度を示す
例) HCl(1:5) = HCl(1+5) →濃塩酸 1ml に水 5ml を混ぜた希塩酸
※但し、日本薬局方では濃塩酸 1ml に水を加えて 5ml とした希塩酸
Ⅴ.モル濃度とフォーマル濃度
ⅰ.モル濃度 (M,mol/l,mol/dm3)
溶液 1l 中の溶質のモル濃度で表した濃度
ⅱ.フォーマル濃度 (F)
溶液 1l 中の溶質のグラム式量(化学式に相当する原子量の和)数で表した濃度
Ⅵ.規定濃度
溶液 1l 中の溶質のグラム等量数で示した濃度
1molの質量(g)
1グラム等量 =
価数
Ⅶ.グラムイオン法
溶液中で溶質が全部または一部が電離しているとき、グラムイオン 1l でイオン濃度を
表す。しかし、盛ろう濃度で表すことも多い。
Ⅷ.滴定濃度法(タイター法)
標準溶液 1ml の定量成分相当量
標準溶液の滴定濃度またはタイターよいう
説明:容量分析
○容量分析の化学反応の条件
Ⅰ.反応が定量的にかつ正反応のみ進行すること。
Ⅱ.反応速度が大きいこと
Ⅲ.終点を指示する方法が明らかであること
○容量分析の分類
・中和滴定(neutralization titration)
酸
滴
定(acidmetry)
アルカリ滴定(alkalimetry)
・酸化還元滴定(oxidation-reduction titration)
過マンガン酸カリウム滴定(permanganate titration)
二クロム酸カリウム滴定(dichromate titration)
ヨウ素滴定(iodometry)
・沈殿滴定(precitation titration)
・キレート滴定(chelatometric titration)
○滴定終点を指示する方法
Ⅰ.指 示 薬 を 用 い る 滴 定 …液内指示薬法と液外指示薬法がある
Ⅱ.指示薬を用いない滴定 …滴定溶液の着色または変色などによる
Ⅲ.電位差滴定など器機分析による滴定
説明:標準物質と標準液
○標準物質の条件
ⅰ.入手しやすく組成変化することなく精製,乾燥できること
ⅱ.秤量中に空気酸化されず水分や二酸化炭素を吸収しないこと
ⅲ.よく水に溶けること
ⅳ.標定のとき反応が定量的で反応が早いこと
ⅴ.秤量誤差を小さくできること
○容量分析用標準物質(日本工業規格)
・亜鉛
Zn
・アミド硫酸
・塩化ナトリウム
NaCl
・三酸化二ヒ素
・シュウ酸ナトリウム
Na2C2O4
・炭酸ナトリウム
・銅
Cu
・二クロム酸カリウム
・フタル酸水素カリウム C6H4(COOK)(COOH)
・フッ化ナトリウム
NaF
・ヨウ素酸カリウム
KIO3
HOSO2NH2
As2O3
Na2CO3
K2Cr2O7
○標準液(standard solution)
容量分析に使用する濃度の正確な溶液
・一次標準液…標準物質から調整した溶液
・二次標準液…一次標準液を用いて標定した溶液
○標定(standardization)…標準液による濃度決定
説明:中和滴定
○中和滴定の式
濃度 c(mol/l)の n 価の酸性溶液 V(ml)と、濃度 c’(mol/l)の n’価の塩基性溶液 V’(ml)がちょ
うど中和したとき
n c V = n’c’V’
○水素イオン指数 pH
1
pH = log + = −log[H + ]
[H ]
※水素イオン濃度 [H+]
○中和反応 …酸と塩基から塩と水を生成する反応
○加水分解
中和反応の逆反応
Ⅰ.強酸と強塩基からの塩
加水分解しないのでその溶液は中性
pH 指示薬はフェノールフタレインとメチルオレンジの両方使用できる
例)0.1M-HCl と 0.1M-NaOH
Ⅱ.弱酸と強塩基からの塩
加水分解しないで、その溶液は中和点で塩基性
M+ + A- +H2O ⇌ HA + M+ + OH∴ A- + H20 ⇌ HA + OHpH 指示薬はフェノールフタレインが使える
例)0.1M-CH3COOH と 0.1M-NaOH
Ⅲ.強酸と弱塩基からの塩
加水分解して、その溶液は中和点で酸性
M+ + A- +H2O ⇌ MOH + M+ + H+
∴ M+ + H2O MOH + H+
pH 指示薬はメチルオレンジが使える
Ⅳ.弱酸と弱塩基からの塩
塩を作る弱酸や弱塩基を比べて電離度の大きいほうの性質を中和点で示す
pH 指示薬はフェノールフタレインとメチルオレンジは使えない
例)0.1M-CH3COOH と NH3 水
説明:水酸化ナトリウム・炭酸ナトリウム混合物の定量
○中和滴定用標準液の調製と標定
⑴0.05mol/l 炭酸ナトリウム(Na2CO3)一次標準液の調製
・空の秤量瓶の恒量値の決定(P144 参照)
定温乾燥機中で乾燥(1 回目 30 分,2 回目 15 分)
デシケーター中で放冷し電子天秤で秤量値を求める
1 回目と 2 回目の秤量値の差が 0.0003g 以内か
最後の秤量値を恒量値とする
・(Na2CO3+秤量瓶)の恒量値の決定
0.05mol/l- Na2CO3,250ml 調製
Na2CO3:1.0599×0.05×250/1000=1.33(g)
・ファクター(factor) f
標準液の濃度を補正するための係数 f =
調製した溶液の濃度
基準とする濃度
・ラベル …赤:酸性,青:塩基性,黒:その他
⑵0.1mol/l 塩酸(HCl)二次標準液の調製と標定
酸の標準液…HCl(熱時:硫酸 H2SO4)
濃塩酸(conc-HCl)→約 12ml
0.1mol/l-HCl 溶液の調製
n c V = n’c’V’より 1×12×V=1×0.1×500
∴V=4.2ml
※滴定誤差:0.2ml
少なくとも 3 回以上滴定する。値は 0.01ml 単位
3 回行った内、最大値と最小値の差が 0.2ml 以内
滴定値は、滴定誤差範囲内の 3 つの値の平均値
3 回以上行った場合は誤差範囲内である 3 つの値をとる
○混合アルカリの定量法
⑴ワーダー法(Warder 法)
2 種類の指示薬を用いる連続滴定法
この方法はかなり誤差が大きいが、簡単である
NaOH +HCl
→ NaCl + H2O
フェノールフタレインを指示薬としたときの
Na2CO3 +HCl
→ NaHCO3 + NaCl
塩酸の使用量:xml
(この時、約 pH8.4)
NaHCO3 +HCl
→ NaCl + H20 + CO2 メチルオレンジを指示薬としたときの
塩酸の使用量:y ml
(この時、約 pH3.8)
⑵ウインクラー法(Winklar 法)
同一量の試料溶液を 2 個とって別々に滴定する
1)メチルオレンジを指示薬として HCl で滴定する(滴定量:a ml)
・NaOH + HCl → NaCl + H2O
・Na2CO3 + HCl → 2NaCl + H20 + CO2
2)新たに BrCl2 溶液の少過量を加えて BaCO3 を沈殿させる
・Na2CO3 + BaCl2 → 2NaCl + BaCO3
・2NaOH + BaCl2 → 2NaCl + Ba(OH)2
3)溶存する Ba(OH)2 をフェノールフタレインを指示薬として HCl で滴定する
(滴定量: b ml)
Ba(OH)2 + 2HCl → BaCl2 + 2H2O
NaOH は b に、Na2CO3 は(a-b)に相当する
例)0.1mol/l-HCl を使用したとすると
0.1mol/l-HCl・1ml ≡ 0.004g・NaOH ≡ 0.0053g・Na2CO3
NaOH(%) =
b×0.0040
×100
試料(g)
Na 2CO3 (%) =
( a−b )×0.0053
×100
試料(g)
実験:水酸化ナトリウム・炭酸ナトリウム混合物の定量
実験結果
・空の秤量瓶の重さ
1回目 22.5160g
2回目 22.5140g
3回目 22.5142g
・秤量瓶+炭酸ナトリウムの重さ
1回目 23.7993g
2回目 23.7996g
・炭酸ナトリウムの採取量
23.7996-22.5142=1.2854g
空の秤量瓶の恒量値
秤量瓶+炭酸ナトリウムの恒量値
22.5142g
23.7996g
・0.05mol/l 炭酸ナトリウム 250ml のファクター
1000
1.2854×
÷105.99 ÷ 0.05 = 0.9702
250
・0.1mol/l-HCl の標定
終点 1回目 22.90ml
2回目 22.85ml
3回目 22.80ml
0.05mol/l-Na2CO3 の f 0.9702
0.05mol/l- Na2CO3 滴定量 22.85ml
・0.1mol/l-HCl のファクター
n c V=n’c’V’
1×x×22.85=2×0.05×25
x=0.1094
f =0.1094÷0.1=1.094
・未知試料の滴定
第一終点
1回目 16.40ml
2回目 16.60ml
3回目 16.72ml
4回目 16.70ml
5回目 16.38ml
6回目 16.40ml
HCl の濃度 0.1094mol/l
0.1mol/l の f 1.094
第二終点
5.85ml
5.71ml
5.69ml
5.67ml
5.59ml
5.58ml
第一終点 第二終点
2∼4回目の平均 16.67ml
5・6回目の平均
5.690ml
16.39ml(x) 5.585ml(y)
・Na2CO3 量=2×y×0.0053×4×fHCl
=2×5.585×0.0053×4×1.094
=0.2590(W/V%)
・NaCl 量=(x-y)×0.0040×4×fHCl
=(16.39-5.585)×0.0040×4×1.094
=0.1891(W/V%)
演習:質量作用の法則
一般に、
aA+bB+… ⇌ cC+dD+…
の反応が平衡に達したときは次の式が成立する
[C]c・[D]d・L
= K (温度一定)
[A]a・[B]b・L
このことは次のように言える
化学平衡で、反応する物質の濃度の相乗積と反応生成物の濃度の相乗積との比
は一定である。この関係を『質量作用の法則』(law of mass action)という。
例)
初期
化学平衡
CH3COOH
1mol
(1-⅔ )mol
+
C2H5OH ⇌ CH3COOC2H5
1mol
0mol
(1-⅔ )mol
⅔ mol
+
H2 O
0mol
⅔ mol
説明:ヨードメトリー
実験:ヨードメトリー
NaClO(次亜塩素酸ナトリウム)中の有効塩素量の定量
○概説
・ヨウ素酸化滴定(iodimetry)
(直接ヨウ素滴定)
ヨウ素 I2 の酸化作用を利用
ヨウ素滴定(iodometry)
・ヨウ素還元滴定(iodometry)
(間接ヨウ素滴定)
ヨウ化物イオン I-の還元作用を利用
・ヨウ素滴定の基礎反応式
I2 + 2Na2S2O3 → 2NaI + Na2S4O6
チオ硫酸ナトリウム
四チオン酸ナトリウム
・終点の判定
I2 自身(薄褐色)の退色によって知ることができるが、でんぷん溶液を加えて、濃青色
とし(ヨウ素デンプン反応)、この色が消失する点を終点とする。
※有効塩素量…試料に酸を加えて発生する塩素量
○試薬溶液の調製及び標定
・0.1mol/l チオ硫酸ナトリウム二次標準液(P87∼90)
↑滴下
1/60 ニクロム酸カリウム一次標準液(P80∼81)
その他必用な試薬
・HCl(1:1) 100ml
・10%-KI 溶液(10g-KI+純水 100ml)
・デンプン溶液(デンプン 0.5g+純水 100ml)
○未知試料(NaClO)中の有効塩素の定量
2KI + Cl2 → 2KCl + I2
I2 + 2Na2S2O3 → 2NaI + Na2S4O6
上記の反応式より、
Cl2 ≡ I2 ≡ 2Na2S2O3
∴ Cl ≡ I ≡ Na2S2O3
※ K2Cr2O7 → 2K+ + Cr2O72Cr2O72- + 14H+ + 6e- → 2Cr3+ + 7H2O
実験:ヨードメトリー
○実験結果
(1)秤量瓶の恒量値を求める
1回目 22.5166g
2回目 22.5166g
秤量瓶の恒量値
22.5166g
(2)二クロム酸カリウムの重さを求める
1回目 23.7881g
2回目 23.7880g
秤量瓶+K2Cr2O7 の重さ 23.7880g
∴23.7880g−22.5166=1.2714g
K2Cr2O7 の恒量値
1.2714g
(3)チオ硫酸ナトリウムの標定
・二クロム酸カリウムのモル濃度
1.2714×1000/250÷294.19=0.017287
K2Cr2O7 のモル濃度 0.017287(mol/l)
・二クロム酸カリウムのファクター
f = 0.017287÷1/60=1.037
∴1/60M-K2Cr2O7(f=1.037)
・チオ硫酸ナトリウムの滴定量
1回目 26.10ml
2回目 25.59ml
3回目 25.62ml
4回目 25.62ml
・チオ硫酸ナトリウムの濃度
6×(1/60×1.037)×25=1×x×25.61
∴x = 0.1012
Na2S2O3 の滴定量 25.61ml
Na2S2O3 のモル濃度
0.1012mol/l
・チオ硫酸ナトリウムのファクター
f = 0.1012÷0.1 = 1.012
∴0.1M-Na2S2O3(f =1.012)
(4)未知試料C中の標定
・Na2S2O3 の未知試量に対する滴定量
1回目 23.34ml
2回目 23.61ml
3回目 23.70ml
4回目 23.60ml
・有効塩素量を求める式
f = 0.1M-Na2S2O3 のファクター
x = 0.1M-Na2S2O3 の滴定量 とすると、
0.1M-Na2S2O31ml=0.0035453g-Cl より、
NaClO 中の有効塩素量(W/V%)=0.0035453×x×4 f
・未知試量中の有効塩素量を求める
有効塩素量=0.0035453×1.012×4×23.64
≒0.339266…
∴未知試量C中の有効塩素量
0.3392 (W/V%)
Na2S2O3 の滴定量 23.64ml
説明:水の分析(COD)
○COD…化学的酸素要求量(消費量)
Chemical Oxygon Demand
消費された酸化剤量
試料水
酸化剤
有機物
分解 (CO2,H2O,etc)
酸化量
汚れ(汚染物質)
○COD の測定(酸化剤の種類別)
①二クロム酸カリウム法(K2Cr2O7 法)
酸性溶液中
Cr2O72- + 14H+ + 6e- ⇌ 2Cr3+ +7H2O
酸性にした試料水に一定の K2Cr2O7 を加え、試料水中の被酸化性物質を酸化する。その後
残存した Cr2O72-を硫酸鉄(Ⅱ)アンモニウムで滴定し、試料水中の被酸化性物質と反応し
た Cr2O72-の量を求める。
6Fe2+ + Cr2O72- + 14H+ → 6Fe3+ + 2Cr3+ + 7H2O
②過マンガン酸カリウム法(KMnO4 法)
酸性溶液中
MnO4- + 8H+ + 5e ⇌ Mn2+ + 4H2O
酸性にした試料水に一定量の KMnO4 を加え、試料水中の被酸化性物質を酸化する。その
後一定過剰量のシュウ酸ナトリウム(Na2C2O4)を加えて、未反応の MnO4-を分解する。
2MnO4- + 5C2O42- + 16H+ ⇌ 2Mn2+ + 10CO2 + 8H2O
ついで、過剰の C2O42-を KMnO4 標準溶液で滴加し、計算によって試料水中に含まれる被
酸化性物質と反応した MnO4-の量を求める。
○酸性条件
酸性にするために用いる酸:硫酸 = H2SO4 → 2H+ + SO42○終点判定
滴定法であるが指示薬は用いない: MnO4-(紅色)→ Mn2+(無色)
○KMnO4 溶液の調整について
KMnO4 溶液(二次標準液)
↑標定
ターで分離
Na2C2O4 溶液(一次標準液)
不純物として酸化マンガン(MnO4)
溶液にし、煮沸または放置 → ガラスフィル
5Na2C2O4 + 8H2SO4 + 2KMnO4 → 5Na2SO4 + 10CO2 + K2SO4 + Mn2SO4 + 8H2O
○試薬
・0.025N-Na2C2O4
・0.025N-KMnO4
・H2SO4
○標定
0.025N-Na2C2O4 溶液のファクターを f’
KMnO4 滴定量を a ml とすると、KMnO4 のファクターf は、 f=
10
×f'
a
※0.025N- KMnO4 のファクター>0.025N-Na2C2O4 溶液のファクター
の場合、空試験値が求められないことがある。
説明:水の分析(硬度)
○硬
度…Mg2+,Ca2+量
全硬度(Mg2+,Ca2+量)
カルシウム硬度(Ca2+量)
マグネシウム硬度(Mg2+量)
○キレート滴定
CaCO3 量に換算(ppm)
※キレート…挟む
○キレート試薬
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)
(Ethylenediamin tetraacetic acid)
EDTA 分子中の N,O が配位
キレート化合物生成後は五員環となる
HOOCH 2C
N
C
HOOCH 2C
C
N
CH 2COOH
CH 2COOH
○緩衝液 → pH 調整
○金属指示薬 → 金属濃度により変化
○全硬度(総硬度)
[原理]
pH:約 10
金 属 指 示 薬:エリオクロムブラック T(EBT)
キレート試薬:EDTA
EBT-Ca2+(Mg2+)キレート化合物(赤色)…O,O 配位
↓←EDTA
EDTA- Ca2+(Mg2+)キレート化合物(無色)
EBT→遊離(青色)
○カルシウム硬度
[原理]
pH:12∼13
〔Mg2+ + 2OH- → Mg(OH)2〕
金 属 指 示 薬:HSNN 指示薬(NANA 指示薬)
マグネシウムが
キレート指薬:EDTA
反応しなくなる
HSNN- Ca2+キレート化合物(赤色)
↓←EDTA
EDTA- Ca2+(Mg2+)キレート化合物(無色)
HSNN→遊離(青色)
○硬度の単位
・アメリカ硬度…水 11 中の CaCO3 の 1g を含むとき 1 度
・ ドイツ硬度 …水 100ml 中の CaO の 1g を含むとき 1 度
・フランス硬度…水 100ml 中の CaCO3 の 1g を含むとき 1 度
・イギリス硬度…水 70ml 中の CaCO3 の 1g を含むとき 1 度
○硬度の種類
・一時硬度(炭酸塩硬度)
水中のカルシウム塩,マグネシウム塩が炭酸水素塩の形で含まれるとき、ただ煮沸
するだけで不溶性の炭酸塩として除くことができる。
・永久硬度(非炭酸塩硬度)
カルシウム及びマグネシウムの硫酸塩,塩化物,硝酸塩,リン酸塩,ケイ酸塩等を
含む(天然)水は煮沸しても軟化することができない。これらの原因に由来する硬度。
実験:水の分析(COD および硬度)
◎COD の測定
(1)秤量瓶の恒量値を求める
1 回目 22.5174g
2 回目 22.5171g
秤量瓶の恒量値 22.5171g
(2)秤量瓶+シュウ酸ナトリウムの恒量値を求める
1 回目 22.9372g
2 回目 22.9375g
∴22.9375-22.5171=0.4204
Na2C2O4 量 0.4204g
(3)0.025N-Na2C2O4 のファクターを求める
0.4204×(1000/250)
= 0.01255 (mol/l)
134.00
f =0.01255×2÷0.025=1.004
(4)KMnO4 の滴定
1 回目 11.94ml
2 回目 12.00ml
3 回目 12.02ml
4 回目 11.98ml
(5) 0.025N-KMnO4 のファクターを求める
KMnO4 と Na2C2O4 の規定度は等しいから
ncV = n’c’V’ より、 N f V = N ’f ’V ’
10.00
V'
f= ×f ' =
×1.004 =0.837
V
12.00
∴0.025N-Na2C2O4 (f =1.004)
KMnO4 平均滴定量 12.00ml
∴0.025N- KMnO4 (f =0.837)
(6)COD の測定用ブランクテスト
1 回目 12.48ml
2 回目 12.48ml
3 回目 12.52ml
KMnO4 平均滴定量 12.49ml
(7)COD の測定
1 回目 14.48ml
2 回目 14.52ml
3 回目 14.49ml
KMnO4 平均滴定量 14.50ml
(8)COD の計算
0.025N-KMnO4 のファクターを f
COD 測定用の KMnO4 平均滴定量を a
COD 測定用のブランクテストの KMnO4 平均滴定量を b
試料水量を V とすると
1000
1000
COD = f ×0.025×8×( a ‐ b )×
= 0.837×0.025×8×(14.50-12.49)×
V
100
=3.36(O2mg/l) [10/19 採水分]
COD=3.36(O2mg/l)
(9)浄水の COD の計算
99ml の純水に 1ml の洗浄液を加える
1 回目 19.15ml
1000
1000
COD = f ×0.025×8×( a ‐ b )×
=0.837×0.025×(19.15-12.49)×
V
100
=11.15(O2mg/l)
洗浄水の COD=11.15(O2mg/l)
◎硬度の測定
(1) 秤量瓶の恒量値を求める
1 回目 22.5151g
2 回目 22.5150g
(2)秤量瓶+EDTA2Na・2H2O の恒量値を求める
1 回目 23.4388g
2 回目 23.4386g
∴23.4386-22.5150=0.9236
(3)0.01mol/l-EDTA2Na・2H2O のファクター
0.9236×(1000/250)
= 0.0099248(mol/l)
372.24
f =0.0099248÷0.01=0.9
秤量瓶の恒量値
EDTA2Na・2H2O 量
22.5150g
0.9236g
∴0.01mol/l-EDTA2Na・2H2O(f =0.992)
(4)全硬度滴定
1 回目 4.00ml
2 回目 3.85ml
3 回目 3.90ml
4 回目 3.90ml
EDTA 平均滴定量 3.88ml
1000
全硬度H = (EDTA滴定量)×
×1×(EDTAのf)
試料水量
[10/26 採水分]
1000
= 3.88×
×1×0.992 = 76.98(ppm)
50
全硬度 76.98ppm
(5)カルシウム硬度
1 回目 2.60ml
2 回目 2.62ml
3 回目 2.65ml
EDTA 平均的定量 2.62ml
カルシウム硬度 = (EDTA滴定量)×
= 2.62×
1000
×1×(EDTAのf)
試料水量
1000
×1×0.992 = 51.98(ppm)
50
カルシウム硬度
(6)水道水の全硬度
1 回目 1.90ml
2 回目 1.90ml
3 回目 1.90ml
51.98ppm
EDTA 平均滴定量 1.90ml
1000
水道水の全硬度H = 1.90×
×1×0.992 = 37.70(ppm)
50
水道水の全硬度
37.70ppm
(7)水道水のカルシウム硬度
1 回目 1.00ml
2 回目 1.05ml
3 回目 1.05ml
EDTA 平均滴定量 1.03ml
1000
カルシウム硬度 = (EDTA滴定量)×
×1×(EDTAのf)
試料水量
1000
= 1.03×
×1×0.992 = 20.44(ppm)
50
水道水中のカルシウム硬度 20.44ppm
報告:水の分析
COD(化学的酸素要求量)
↕
BOD(生物化学的酸素要求量)…試料水中の生物化学的に分解される有機物量の一つの
目安。20℃で 5 日間培養し、5 日後の溶存酸素量を測定
する。
※1人が1日に環境中に出す有機物の BOD の値
し尿…13g
生活雑排水…30g
台所…55%
風呂…30%
洗濯…13%
○水の処理法
単独処理…し 尿 の み で 8 g 処 理
(全体で 19%処理)
合併処理…し尿と生活雑排水を処理(全体で 91%処理)
下水処理…し尿と生活雑排水を処理(全体で 95%処理)
○水に関する法律
・水 道 法
水道事業等の営業,水道により供給される水の水質基準
全 46 項目 1∼29:健康に関する項目
30∼46:水道水が有すべき性状に関する項目
・環 境 基 本 法
環境保全に関する基本的な考え方,環境基準の設定
公共用水域の保護に関する
生活環境の保全に関する
・水 質 汚 濁 防 止 法
公共用水域の水質保全のための排水規制措置等
一律水質基準
有機物関係→Cd,CN など
生活環境項目関係→pH など(160ppm 以下)
○中海の COD
全地点平均(75%平均 mg/l)
最悪値
S59
3.9
5.3
S60
3.3
5.6
S61
3.6
5.0
S62
3.9
5.8
S63
4.1
7.0
一期保全計画
水質目標 COD5.9 以下
H1
4.1
6.0
H2
4.2
6.5
H3
4.2
6.1
H4
4.0
5.4
H5
4.5
6.9
二期保全計画
水質目標 COD5.5 以下
H6
4.7
6.6
H7
4.3
6.0
H8
4.7
7.5
H9
4.8
5.7
H10
5.0
6.5
演習:溶解度積
容量分析 ―― 濃度,化学平衡
↕
重量分析 ―― 溶解度,溶解度積
○溶解度積
BA
B・A←溶解している分子 ⇌
B++A-
[B+ ][A - ]
温度が一定であれば一定値
[BA]
溶解度積(Solubility product) S = K[BA] = [B+][A-]
電離定数K=
[問題1]硫化銀は室温で 5.3×10-17mol/l の溶解度である。硫化銀の溶解度積を算出せよ
[解] SAg2S=[2Ag+]2[S2-]=6.0×10-49
[問題2]塩化銀は1㍑の水に何グラム溶けるか。
(※SAgCl=1.2×10-10)
+
-10
[解] [Ag ][Cl ]=SAgCl=1.2×10 より、[Ag+]=[Cl-]≒1.1×10-5
溶ける量を xg とすると
x÷143.321=1.1×10-5
∴x=1.58×10-3= 0.00158g
[問題3]クロム酸銀(Ag2CrO4)は室温で、水 1l に 0.025g 溶ける。溶解度積はいくらか。
[解] クロム酸銀の分子量は 331.732 であるから 2.5÷331.732=7.5×10-5
Ag2CrO4 ⇌ 2Ag++CrO42- であるから、
SAg2CrO4= [7.5×10-5]2 × [7.5×10-5] = 1.7×10-12
[問題4]酢酸銀の飽和水溶液 200cm3 中に酢酸銀が 3.04g 溶けていた。
酢酸銀の電離度を 73%
ととしたとき、酢酸銀の溶解度はいくらか。
73
[解] 200cm3=0.2 ㍑ であるから 3.04×5×
÷166.914=6.6×10-2
100
CH3COOAg ⇌ Ag+ + CH3COO- であるから、
SCH3COOH=[Ag+][CH3COO-]=(6.6×10-2)2=4.4×10-3
[問題5]硫酸カルシウムの飽和水溶液 1l 中に硫酸イオンが 0.006mol 含まれているときカル
シウムイオンの濃度はいくらか。(SCaSO4=1.2×10-6)
[解] SCaSO4=[Ca2+][SO42-]=[Ca2+]×0.006=1.2×10-6
∴[Ca2+]=2.0×10-4
演習:沈殿の生成
[B+]・[A-]<S 不飽和溶液)
[B+]・[A-]=S(飽和溶液)
[B+]・[A-]>S(沈殿析出,一部超飽和)
○共通イオン効果 (化学平衡に関係した共通イオンについて)
BA ⇌ B+ + A①B+,A-を添加する…逆反応が進行 →BA がさらに析出(溶解度が減少)
②B+,A-を取り除く…正反応が進行
[問題]AgCl の飽和溶液に NaCl を加えてその濃度を 0.1M にすると、銀イオン濃度はどのよ
うになるか。(SAgCl=1.2×10-10)
[解] SAgCl=1.2×10-10 より [Ag+]=[Cl-]=1.1×10-5
NaCl を加える前:[Ag+]=1.1×10-5
NaCl を加えた後:[Cl-]=1.1×10-5+0.1=0.100011
∴[Ag+]= ∴ [Ag + ]
[Ag+ ][Cl - ] 1.2×10−10
=1.2×10-9
=
0.100011
[Cl - ]
説明:重量分析
○重 量 分 析…定量しようとする成分を、組成が一定で、かつ、秤量できる形に変えて
他の成分から分離させた後、天秤でその質量を量り、その結果からその
成分の量を求める方法
○ガス発生法…試料を加熱するか、反応によって発生したガスを追い出して定量
する方法で、最も簡単な重量分析法
吸収法(直接法)…発生したガスを適当な吸収剤に吸収させて、
吸収剤の増加した質量を量って定量する方法
減量法(間接法)…発生したガスを完全に追い出した後、残留物
の質量を量り、その減量から成分の量を求め
る方法
○沈殿法
難溶性沈殿物を生成→安定な秤量形
[条件]①沈殿物の溶解度が極めて小さいこと
②洗浄によって他の成分を完全に除くこと
③安定な一定組成の化合物(秤量形)にすること
○溶解度積
・共通イオン効果
沈殿の生成 ― 共通イオンを添加することによって、溶解度が減少する
沈殿の洗浄 ― 共通イオンを添加することによって、沈殿物の洗浄による損失が少
なくなる
○オストワルドの洗浄理論
沈殿の洗浄は多量の洗液を一度に用いるより、少量の洗液を用いて回数を多くするほ
うが効果的である
例) 不純物 0.1g
沈殿に含まれる液(残液) 1ml
洗浄に用いる洗液量 36ml
1 1
・1回洗浄(一度に 36ml の洗液を用いる)
: w1 = (0.1)( ) = 0.0027g
36 + 1
1 4
・4回洗浄(一回に 9ml を4回): w4 = ( 0.1 )(
) = 0.00001g
9 +1
○るつぼの空焼き
容量分析…秤量瓶
↓
重量分析…るつぼ
るつぼの恒量値決定…空焼き(トング(るつぼばさみ)で行う)
酸化炎(空 気 充 分 → 青色の炎)
還元炎(空気不充分 → 橙色の炎)
水洗→電気乾燥機で乾燥
↓
三角架にのせて直火で強熱する(初めは小さい炎で、次第に大きくする)
底が暗赤色になってから約 30 分間加熱(二回目以降は約 15 分間)
↓
三角架の上で 1 分間放置してから、トングを少し温めて
デシケーター中に移し、毎回約 30 分間放冷
↓
前回との秤量差が±0.0003g 以内であれば恒量値とする
◎沈殿の焼成法
○乾 式 焼 成 法
濾紙を焼成する途中において生成する炭素によって還元され得る沈殿を焼成する時に
用いる方法。
沈殿を濾紙と共にあらかじめ定温乾燥機などによって一定温度(通常 105∼110℃)で乾
燥し、重量既知のるつぼの本体にできるだけこの沈殿を移し、沈殿の一部が付着してい
る濾紙を折りたたんでスパイラル(棒状に巻いたもの)とし、ガスの炎をもって灰化した後、
還元によって生成した金属を適当な処理によって、もとの沈殿と同じ化合物に戻し、沈
殿の主体と共に、恒量となるまで焼成する。
○湿 式 焼 成 法
沈殿が濾紙の燃焼生成物である炭素と共に高温に過熱されても還元されないような沈
殿を焼成する時に用いる方法。
まだ湿った沈殿の入っている濾紙を丁寧に折りたたみ、既に恒量に達しているるつぼ
の底部にしっかり押付け、このるつぼを斜めに三角架の上に置き、そのふたをるつぼの
口に斜めにもたらせ掛け、最初は極めて小さい炎(酸化炎)で、そのふたを加熱し、それに
よる反射熱で内部のものをまず乾燥させる。次第に乾燥が進むにつれて炎をるつぼの本
体の下に移し、徐々に加熱を強めて完全に灰化し、その後るつぼの本体を正立させて、
焼成する。
説明:結晶硫酸銅中の Cu の定量
○加熱による組成変化
45 ℃
℃
250 ℃
CuSO4・5H2O 
→ CuSO4・3H2O 110

→ CuSO4・H2O 
→ CuSO4
(白色)
(青色)
(青白色)
℃
50
0
→ CuO
(黒色)… 安定
○結晶水について:コンプレックス(錯体)化学による
○配位水について
CuSO4・5H2O → [Cu(OH2)4]2++SO42-H2O
H
H
H
O
O
Cu
H
2+
加熱
H
O
O
H
H
∼110℃ ⇒4分子脱水(配位水)
∼250℃ ⇒1分子脱水(アニオン水)
H
テトラアコ銅(Ⅱ)イオン
◎結晶硫酸銅中の結晶水の定量
結晶硫酸銅を一定温度に加熱し、その減量から結晶水(配位水) 4 分子を定量する
[注] CuSO4・H2O は吸湿しやすいのですばやく秤量する
◎結晶硫酸銅中の硫酸基の定量
結晶硫酸銅を水溶液とし、これに塩化バリウム(BaCl2)を加えると、硫酸バリウムの白色
結晶性沈殿を生じる。
CuSO4+BaCl2 → BaSO4+CuCl2
BaCl2 は水に溶けにくく、強熱しても安定
[注]①硫酸銅の水溶液の調製
一部加水分解→Cu(OH)2
あらかじめ希塩酸を加えて CuCl2 として溶解しておく
②BaSO4 の沈殿は微粒子のため、約 70∼80℃の湯浴で「沈殿の熟成」を行う
③BaSO4 の定量→乾式焼成法
◎結晶水と硫酸基の定量の計算
・4分子結晶水の理論値:
・硫酸基の理論値:
4H2O
×100 = 28.86%
CuSO4・5H2O
SO4
×100 = 38.47%
CuSO4・5H2O
◎結晶硫酸銅中の銅の定量
①電子天秤で一度だけ正確に約 1g の精製結晶硫酸銅を秤量瓶を用いて秤量し、ビーカーに
定量的に移し、約 200ml の純水を加えて溶解させる。
②別に dil.NaOH をつくる。(25ml の純水に約 1g の NaOH を加える)
③硫酸銅溶液をほとんど沸騰点近くまで加熱する。このとき、時計皿でふたをし、加熱を
やめたら時計皿についているかもしれない硫酸銅をビーカー中に洗って落とす。
④加熱した硫酸銅溶液を撹拌しながら NaOH 溶液を徐々に加え、もはや沈殿の生じないこ
とを確認してから数分間放置する。
煮沸
Cu2++2OH- 
→ Cu(OH)2 
→ CuO+H2O
(青色)
(黒褐色)
沈殿が青色であるなら加熱がたりないので更に加熱をする。
⑤黒褐色の沈殿が沈降すればデカンテーションにより沈殿を洗いつつ(熱湯で)最後に沈殿
を濾紙上に移し濾過する。(濾紙は№5B)この時できるだけ上澄み液だけを濾過し、濾紙の
目つまりを防ぐ。ポリスマン(またはガラス棒)によってビーカー壁の沈殿は完全に濾紙内
に移し、熱湯により洗浄を反復する。この時濾紙は NaOH のアルカリ性で弱くなってい
るから十分注意する。洗浄液がフェノールフタレインでアルカリ性を示さなくなれば洗
浄は完全である。
⑥沈殿を濾紙とともに、エアーバスの中で 100℃前後の温度で乾燥させる。
⑦光沢紙の上で、濾紙上の沈殿を恒量になったるつぼの片隅に移す。
⑧濾紙を焼き、灰をるつぼの中の沈殿の横に落とす。
⑨約 15∼20 分間強熱し、一度るつぼを冷却し conc.HNO3 を数滴加える。
⑩褐色気体の出なくなるまで徐熱しその後強熱し完全に濾紙を灰化させる。(CuO は 850℃
以上で恒量になる)
⑪強熱が終わればデシケータ中で放冷し秤量する。(CuO は吸湿性があるから手早く秤量
する)
⑫秤量中吸湿して重さが変わればもう一度強熱して秤量しなおす。恒量になるまで
強熱放冷秤量を繰り返す。
※補足
⑧濾紙→炭化→灰化
CuO+C → Cu+CO(金属銅 Cu が濾紙灰に混ざっている)
⑨濾紙灰を濃硝酸で湿らすと金属銅が溶ける
Cu+4HNO3 → Cu(NO3)2+2H2O+2NO2↑
⑩るつぼを強熱すると Cu(NO3)2 が分解して CuO に戻る
Cu(NO3)2 → 2CuO+4NO2↑+O2↑
◎銅の定量の計算
①CuO-1g 分子中の Cu の量の計算
CuO の分子量…63.55+16.00=79.55
CuO-1g 分子中の Cu…Cu の原子量=63.55
②試料採取量…A(g)
③CuO の実験値から試料の中に含まれる Cu の量の計算
実験で得た CuO の量…B(g)
④試料中の Cu の量…C(g)
⑤Cu の%を計算する…D%=
C
×100
A
⑥理論値の計算…Cu(%)=
Cu
63.55
×100 =
× 100 = 25.45%
CuSO4・5H2O
249.69
⑦誤差の計算
・絶対誤差…実験値−理論値=D−25.45
絶対誤差
D−25.45
×100=
・相対誤差…
×100
理論値
25.45