問 5 腹膜平衡試験(PET)の説明について正しいのはどれか。 ① PET

問1
問2
1854 年に透析の原理について発見した人物は次のうちのどれか。
a)
Thomas Graham
b)
Kolff
c)
Kill
d)
Abel
e)
Steward
積層型ダイアライザの特徴について正しいのは次のうちどれか。。
①
積層型は,中空糸型よりも圧損失が大きい。
②
理論値ほどの効率を発揮するのが困難である。
③
合成高分子膜であり陰性荷電が強くブラジキニンショックを引き起こす可能性がある。
④
アルブミンロスが中空糸型ダイアライザよりも少ない。
⑤
血液浄化器機能分類では,S 型に部類される。
a,①②③
問3
問4
b,②③④
c,③④⑤
d,①②⑤
e,①④⑤
ACE 阻害薬服用患者の禁忌となる膜は次のうちどれか。
a)
PAN 膜
b)
PS 膜
c)
PMMA 膜
d)
PES 膜
e)
PEPA 膜
腹膜透析の説明について正しいのはどれか。
①
腹膜の腹腔を覆っているのは奨膜であり,その総面積としておよそ体表面積と等しい面
積を持っている。
②
壁側腹膜は,総腹膜面積の 80%を占め,腹膜透析において重要な腹膜である。
a,①②
問5
b,①のみ
c,②のみ
d,両方当てはまらない
腹膜平衡試験(PET)の説明について正しいのはどれか。
①
PET 結果である「high (transporter)」は,腹膜の透過性が高い状態を意味しクレアチ
ニンや尿素が,最も早く平衡状態に達することを示している。
②
PET 結果である「low (transporter)」は,残腎機能を無視すれば「high (transporter)」
よりも,良好な限外濾過量を得ることができるが透析効率は不十分になる。
a,①②
b,①のみ
c,②のみ
d,両方当てはまらない
問6
腎不全での薬物動態の変化について誤りなのは次のうちどれか。
問7
a)
体内水分量の増加により,薬物分布の遊離型が増加する。
b)
腎排泄能が低下しているため,薬物血中濃度は上昇する。
c)
薬物代謝酵素活性の低下により,一部の薬物代謝能が低下する。
d)
蛋白結合型は,透析により容易に除去される。
e)
低蛋白血症は,遊離型が増加する。
次のリガンドのうち,吸着材と吸着機序の組み合わせについて正しいのはどれか。
①
スチレン・ジ・ビニルベンゼン共重合体
―
イオン結合
②
デキストラン硫酸
―
静電的相互作用
③
トリプトファン
―
疎水的相互作用
④
フェニルアラニン
―
疎水的相互作用
⑤
エチレンビニルアルコール共重合体
―
イオン結合
a,①②③
問8
b,②③④
c,③④⑤
d,①②⑤
e,①④⑤
クリアスペースについて誤りはどれか。
①
治療条件が不変の時,除去量は治療前血液濃度に反比例する。
②
除去量(mg),治療前濃度(mg/mL)の時,クリアスペースの単位は,体積(L)である。
③
クリアスペースは,標準化された除去量として比較の指標となる。
④
1-コンパートメントモデルが成立することを前提に誘導した概念である。
⑤
この指標は腹膜透析と血液透析の併用療法には使えない。
a,①②③
問9
b,②③④
c,③④⑤
d,①②⑤
e,①④⑤
次の説明について正しいのはどれか。
①
穿刺部が同一を頻回に穿刺することで,その部分が紡錘状に拡張する瘤のことを仮性瘤
という。
②
静脈高血圧症は,静脈の中枢側に強い狭窄があり,シャント肢の浮腫,腫脹,発赤,疼
痛が生じる病態のことである。
a,①②
問 10
b,①のみ
c,②のみ
d,両方当てはまらない
悪性関節リウマチ(MRA)で選択される血液浄化療法は次のうちどれか。
①
PA
②
LCAP
③
CHDF
④
CF(血漿冷却濾過法)
⑤
PE
a,①②③
b,②③④
c,③④⑤
d,①②⑤
e,①④⑤
問2
積層型ダイアライザの特徴について正しいのは次のうちどれか。。
①
積層型は,中空糸型よりも圧損失が大きい。
②
理論値ほどの効率を発揮するのが困難である。
③
合成高分子膜であり陰性荷電が強くブラジキニンショックを引き起こす可能性がある。
④
アルブミンロスが中空糸型ダイアライザよりも少ない。
⑤
血液浄化器機能分類では,S 型に部類される。
a,①②③
b,②③④
c,③④⑤
d,①②⑤
e,①④⑤
【キーワード】外見,素材,取扱方法,プライミングボリューム(PV)などの特徴は,知っておく。
【解説】
現在,国内で特定積層型として保険償還されている積層型ダイアライザは H12®のみである。合成高分子
膜(AN69)を使用しているため,陰性荷電を有する特徴を持つ。そのため陽性荷電を有しているメシル酸ナ
ファモスタット(NM)の使用には注意が必要。PVP やビスフェノール A などが使用されていないため生体適
合性に優れている。
①) 誤り
積層型ダイアライザは,中空糸型よりも流路が単純であり圧損失が低いため,透析膜
内での逆濾過を抑制する効果がある。透析膜内での逆濾過を抑えることは,アルブミ
ンロスや透析液が流入することが抑えられる。
②) 正しい
設問文の通りである。平板状の透析膜であり血液を通過する際,流体が流れる各流路
幅を構造上において均一にするのは容易ではなく,実モジュールでは,理論値ほど性
能を発揮させるには困難といえる。
③) 正しい
設問文の通りである。しかし,バルク層がもつ陰性荷電の特徴から,炎症性サイトカ
インの吸着に優れている。また強い陰性荷電のため,同じ荷電を有するアルブミンの
漏出を抑制することができる。しかし,陰性荷電による補体活性や陽性荷電している
NM を吸着除去するなどの問題点も有している。
④) 正しい
解説文③の通りである。
⑤) 誤り
日本透析医学会(JSDT)の血液浄化器の機能分類 2013 では,特定積層型は除外されて
いるため,設問文の記述は誤りである。
(※診療報酬上(償還価格)では,区分されている)
【解答】b
類題 8
ダイアライザの説明について誤っているのはどれか。
①
中空糸型ダイアライザと比較して,積層型ダイアライザは 1 枚の透析膜の破損(リーク)
による,出血が少なく,感染のリスクも総じて低い。
②
血液浄化器の機能分類(JSDT 機能分類)の分類 S 型の膜には,EVAL 膜や PMMA 膜が
含まれる。
a,①②
【解答】c
b,①のみ
c,②のみ
d,両方当てはまらない
[参考]EVAL や PMMA,生体適合性や吸着特性があるため。
問4
腹膜透析の説明について正しいのはどれか。
①
腹膜の腹腔を覆っているのは奨膜であり,その総面積としておよそ体表面積と等しい面
積を持っている。
②
壁側腹膜は,総腹膜面積の 80%を占め,腹膜透析において重要な腹膜である。
a,①②
b,①のみ
c,②のみ
d,両方当てはまらない
【キーワード】リンパ管の再吸収量は 1.0~2.0mL/min と比較的一定である。
【解説】
(図.1)参照。
(腹腔内は臓側腹膜と壁側腹膜に分けられる。)
腹膜は,成人でおよそ 1~2 ㎡と体表面積と等しい面積を有し,臓側腹膜と壁側腹膜の 2 つの膜に分かれて
いる。
・臓側腹膜は,腹膜面積の 80%を占めており,血液供給は上腸管膜動脈から受けている。
・壁側腹膜は,腹膜透析において重要な腹膜であるが,血液供給は腰動脈,肋間動脈,腹壁動脈から受けて
おり,下大静脈へ流れている。
総腹膜血流量は,直接測定できないが,間接的に推測できる。およそ 50~100mL/min であるとされている。
腹膜の組織は,1 層の中皮細胞で被われている。その中皮細胞は絨毛を有し,潤滑液の薄い被膜を産生して
いる。なお,中皮細胞の下には,ゲル状の物質(コラーゲ
ンや繊維質)からなる間質がある。さらに,間質は,「コロ
肝臓
イド成分が多く水分の少ない部分」と「水分が多くコロイ
ド成分の少ない部分」がある。
①) 正しい
上記,解説文の通りである。
②) 誤り
上記,解説文の通りである。
胃
総腹膜面積の 80%を占めるの
臓側腹壁
は臓側腹膜であり,壁側腹膜
ではない。
壁側腹膜
【解答】b
直腸
膀胱
類題 68
腹膜透析の利点や問題点の説明について正しいのはどれか。
①
食事管理の際,透析液からのエネルギー吸収量分を差し引く必要があり,ブドウ糖中濃
②
腹膜透析には,横隔膜交通症や出口部感染などの特有の合併症がある。
度液では約 120kcal,イコデキストリンでは,約 60~80kcal として算出する。
a,①②
【解答】a
b,①のみ
c,②のみ
d,両方当てはまらない
[参考]イコデキストリンは吸収性が緩やかなため,除水効率を維持しやすい。
問7
次のリガンドのうち,吸着材と吸着機序の組み合わせについて正しいのはどれか。
①
スチレン・ジ・ビニルベンゼン共重合体
②
デキストラン硫酸
―
静電的相互作用
③
トリプトファン
―
疎水的相互作用
④
フェニルアラニン
―
疎水的相互作用
⑤
エチレンビニルアルコール共重合体
―
イオン結合
a,①②③
b,②③④
―
c,③④⑤
イオン結合
d,①②⑤
e,①④⑤
【キーワード】吸着機序が問われるなど,やや詳細な内容が問われる問題が多い。
【解説】
リガンドとは,吸着療法(血漿吸着療法もしくは血液吸着療法)に使用され,目標のタンパクに特異的に結
合する吸着材のことである。目標とする吸着物質に応じた吸着材を使用することで,病因物質を比較的限定
して除去することが可能である。 吸着原理(作用機序)は,
「静電的相互作用」,
「疎水的相互作用(疎水結合)」,
「イオン結合(静電結合)」,「物理吸着」がある。
疎水的相互作用とは・・・
疎水性の物質がお互いに集合する作用(結合)のこと。疎水性のリガンドを使
用して,疎水性のタンパク質を吸着するために使用される。
静電的相互作用とは・・・
ある電荷(+もしくは-)をもつ物質(分子)が,その反対の電荷をもつ物質(分
子)と結合しようとする作用のこと。
広義として,静電結合とも呼ばれるが化学反応(電荷による受渡し)による結
合を有してないため,結合様式は分子間力によるものである。
ACE 阻害剤を服用している患者は服用を中止する必要がある。陰性荷電した吸着材により血中キニン系
の代謝が亢進、ブラジキニン産生が増大し、また ACE 阻害剤によりブラジキニン代謝が妨げられ,さらに
体内にブラジキニンが蓄積することでショックが起こるとされる。
①) 正しい
②) 正しい
イオン結合(静電結合)であるため,正しい。
免疫疾患用及び LDL 吸着用として,使用されるリガンドである。上記解説のとおり,
静電的相互作用を有しているため陰性荷電のあるリガンドには注意が必要となる。
③) 正しい
トリプトファンは疎水的相互作用による吸着様式であるため正しい。トリプトファン
は複素環アミノ酸であり,比較的強い疎水作用をもつアミノ酸である。
④) 誤り
設問③と同様に免疫疾患用のリガンドとして使用される。作用機序は疎水相互作用
による吸着様式である。
タンパク質分子の内側には疎水性の側鎖を持つアミノ酸が多いので,タンパク質構造
の安定化に疎水結合が大きく寄与している。その作用を利用して吸着材として利用さ
れる。そのリガンドであるフェニルアラニンは,芳 香環アミノ酸であり極性を持ち
にくいため,比較的強い疎水性を持っている。
⑤) 誤り
エチレンビニルアルコール共重合体(EVAL)は血漿成分分画器に使用される膜であり,
リガンド(吸着材)ではないため誤りである。なお,透析にも使用される合成高分子膜と
しても EVAL が製品化されている。EVAL 膜は,血小板など凝固系に対する影響が少
なく,抗血栓性も優れているため,メシル酸ナファモスタッドが普及するまでは無ヘ
パリン透析などにも用いられていた。
【解答】a
問8
クリアスペースについて誤りはどれか。
①
治療条件が不変の時,除去量は治療前血液濃度に反比例する。
②
除去量(mg),治療前濃度(mg/mL)の時,クリアスペースの単位は,体積(L)である。
③
クリアスペースは,標準化された除去量として比較の指標となる。
④
1-コンパートメントモデルが成立することを前提に誘導した概念である。
⑤
この指標は腹膜透析と血液透析の併用療法には使えない。
a,①②③
b,②③④
c,③④⑤
d,①②⑤
e,①④⑤
【キーワード】クリアスペースは,1‐コンパートメントモデルの成立が仮定されている。
【解説】
①) 誤り
治療条件が不変の時,除去量は治療前濃度と正比例する。
②) 誤り
単位は体積(mL)となる。
③) 正しい
細胞レベルでデータを測定するのは困難であるが,クリアスペースであれば臨床的に
も比較的容易に測定できるため,比較の指標として使用されやすい。
④) 正しい
上記の設問通りである。
⑤) 誤り
クリアスペースは濃度がゼロになったと考えられる体液量を表す。
その指標は,腹膜透析(PD)と血液透析(HD)の効率評価にも使われる。
【解答】d
(図.1)
※(図.1)
コンパートメントモデルのイメージ図
各コンパートメントモデル間には,細胞膜クリアランス(細胞内液と組織間液),毛細管クリアラ
ンス(組織間液と血液),血液浄化器クリアランス(血液と血液浄化器)があることに注意。
類題 21
クリアスペースの単位は次のうちどれと同じか。
a)
【解答】e
濃度
b)
除去量
c)
除去率
d)
面積
e)
体積
[参考] クリアスペースは,浄化された体積(容積)の意味です。
問 10
悪性関節リウマチ(MRA)で選択される血液浄化療法は次のうちどれか。
①
PA
②
LCAP
③
CHDF
④
CF(血漿冷却濾過法)
⑤
PE
a,①②③
b,②③④
c,③④⑤
d,①②⑤
e,①④⑤
【キーワード】保険適応と疾患の範囲を問われる内容である。PA の適応範囲を覚えると PE が覚えやすい。
【解説】
悪性関節リウマチは,血漿吸着療法(PA),二重濾過血漿交換療法(DFPP),単純血漿交換療法(PE)が選択
される。既存の関節リウマチ(RA)に,血管炎などの関節外症状を認め,難治性もしくは重症な臨床病態を
伴う場合に悪性関節リウマチ(MRA)と定義される。RA と MRA の保険適応条件と施行限度の違いに注意。
①) 正しい
血漿吸着療法(PA)は,血漿分離器で分離した血漿が吸着器を通過する間に,目的とし
た病因物質を特異的・選択的に血漿中から吸着除去する治療法で,アルブミンの吸着
も少なく血漿製剤などの置換液が不要で感染リスクがない等のメリットがある。また
血球成分と吸着材との直接的な接触がないため,血液適合性からの DHP(直接血液灌
流法)では,使用不可能な吸着材でも使用することができる。特に,感染リスクがない
ことが,大きい利点といえる。
②) 誤り
膜式白血球除去療法(LCAP)は,関節リウマチに対して適応のある浄化療法である。上
③) 誤り
持続的血液浄化療法(CHDF)は,主に救命救急,ICU,CCU などの急性腎不全や多臓器
記解説の通り,関節外症状等も認めた場合,悪性関節リウマチと定義されている。
不全を呈する循環動態が不安定(間欠得的な血液浄化法が実施が困難)な重症患者に対
して行われる持続的な血液浄化療法である。慢性腎不全患者に対して行われる間欠的
な透析(HD,HF,HDF)と治療原理は同じである。従ってリウマトイド因子(関節リウ
マチなどで見られる自己抗体の一つ)を取り除くための治療とはいえない。
④) 正しい
二重濾過血漿分離交換法(DFPP)の変法として,血漿冷却濾過法(CF:Cry filtration)
が存在する。医療保険適応上定義されていない。ヘパリン化された血漿を冷却すると
クライオゲル(分子量 105~106Da 程度)が形成される。これを血漿成分分画器で除去す
ることで,クライオゲルに含まれる種々の免疫グロブリンや免疫複合体を除去する。
このクライオゲルにはアルブミンなどの小分子蛋白はほとんど含まれず,ゲル化する
ことで血漿分画器での分画性能が向上し,置換液の節約や有用成分の損失を防ぐこと
できる。また,指定テキストには記載はされていないが,加温再循環型二重膜濾過血
漿交換法(効率よくアルブミンを回収する手法の一つ)がある。
⑤) 正しい
病因物質を含む血漿成分を排液するため,高効率よく病因物質を取り除くことができ
る。しかし,自己血漿を排液するため,他人の血漿より大量に置換するため感染症な
どの危険性や副作用の危険性が高い。
【解答】d