エコビジネス論 エコビジネス論④ 省エネルギー 2009 年月 10 月 20 日 1. 省エネ機器・技術 (1) 省エネの意味 エネルギーの消費抑制→エネルギーの効率利用 (2) 省エネ先進国、日本 産業部門のエネルギー効率(GDP1単位当たりのエネルギー消費量) 日本 EU ドイツ 米国 韓国 中国 インド ロシア 1.0 1.9 1.8 2.0 3.2 8.7 9.1 18.0 (3) 99 年:省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)改正 トップランナー制度 電気製品や自動車の省エネルギーを推進する制度。市場に出ている同じ製品 の中で、最も優れた製品の性能レベルを基準にし、どの製品も基準以上を目指 す。対象は自動車、エアコン、電子レンジ、冷蔵庫、自動販売機、コピー機な ど 21 種。基準に達しない製品を正当な理由なく販売し続けた場合は、社名を 公表、罰金を科すこともある。 (4) 2008 年:改正省エネ法 ① 事業所の合計エネルギー使用量 原油換算で 1500kℓ以上の企業:09 年4月から使用量を報告 ② エネルギー使用効率の年1%以上改善を努力目標 (5) 経済産業省「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」(08 年3月) CO2 を現在の半分に削減する方針→新技術 11 項目 省エネ技術開発:省エネビル、発光ダイオード(LED)、電気自動車など (6) 改正省エネ法関連ビジネス 企業名 事業内容 伊藤忠 事業所の電気機器を一括制御 大和ハウス工業 コンビニにLEDなど省エネ設備を一括購入 三機工業やNECなど エネルギー消費量の計測システム 高砂熱化学工業 空調設備の消費エネルギーを一元管理 OKIネットワーク オフィスの環境情報をデーター化 インテグレーション 2. 水素・燃料電池(FC=Fuel Cell) (1) 「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」 定置用FC、燃料電池自動車、水素製造・輸送・貯蔵技術を重視 (2) 燃料電池の仕組み 1 燃料電池に水素注入→マイナス極で水素イオンと電子に分解→水素イオンはプ ラス側で酸素と反応→電子が外部回路を通って移動→発電に (3) 家庭向け燃料電池の販売 「エネファーム」の販売 FCシステムメーカー エネルギー供給 東京ガス 価格 燃料 販売開始 パナソニック 346 万 5000 円 都市ガス 09 年5月 荏原バラード 346 万 5000 円 都市ガス 09 年7月 東芝燃料電池システム 325 万 5000 円 都市ガス 09 年6月 ENEOSセルテック 325 万 5000 円 都市ガス 09 年9月 パナソニック 346 万 5000 円 都市ガス 09 年5月 荏原バラード 346 万 5000 円 都市ガス 09 年5月 西部ガス パナソニック 346 万 5000 円 都市ガス 09 年6月 新日本石油 ENEOSセルテック 320 万円 LPガス 09 年5月 アストモス 東芝燃料電池システム 325 万 5000 円 LPガス 09 年7月 大阪ガス 東邦ガス エネルギー (4) セコム 2009 年春:家庭用FCシステムのレンタル事業 家庭用電池(固体高分子型)の販売ルート (メーカー) (販売店) 新日本石油 ENEOSセルテ ック(新日本石油、 三様電機) 大阪ガス 東芝燃料電池システ アストモスエネルギー ム (出光興産、三菱商事) パナソニック 東京ガス、東邦ガス 西部ガス 開発中 京セラ・新日本石油 新日本石油 (5) マイクロFC 2 携帯電話、ノートパソコンの長時間電池 東芝:ダイレクトメタノール方式 3. 燃料電池車(FCV) 燃料電池;カナダのベンチャー企業「バラード社」が開発 (1) トヨタ自動車 ① 2007 年9月: 「トヨタFCHV」改良型 ② 2008 年:新型FCV「トヨタFCHV-adv」 (2) ホンダ:「FCXクラリティ」時速 160km、航続距離 570km (3) 日産自動車:2005 年: 「エクストレールFCV」 (4) スズキ ① 3種の軽自動車:小型FCV「SX4-FCV」 ② 二輪車:07 年:二輪FCV「クロスケージ」 (4)課題 ① コストダウン ② 水素車載貯蔵方式→液化 ③ 白金使用量の削減 4. コージェネレーション(CGS、co-generation-system) (1) エネルギー利用の効率化;コジェネ エンジンやタービンで発電→廃熱を回収して給湯、冷暖房に利用 (2) エネルギー効率の向上 電力:40%を利用(60%はロス) CGS:70~80%を利用 (3) トリジェネレーション(triple generation) ① 電気、熱、二酸化炭素の3つを供給 ② トヨタフローテック(青森県六ヶ所村) トヨタ自動車、関西電力、クラボウなど出資 3 5. ヒートポンプ(Heat Pomp) ヒートポンプ 空気中や河川、家庭などから排出される未利用熱を汲み上げて熱エネ ルギーに転換する仕組み。気体は圧縮すると温度が上昇し、膨張すると下降するが、 その原理を応用。冷媒を圧縮した凝縮熱、あるいは減圧・膨張させた気化熱を水や空 気に移動させる方式が一般的。昔から冷蔵庫やエアコンなどに利用されてきた。ヒー トポンプが日本の空調、給湯、加温機器に普及すると年間のCO2 排出量を1億 3000 万㌧、国内総排出量の 10%を削減できるといわれる。 (1) 家庭用ヒートポンプ機器 冷蔵庫、エアコン、洗濯乾燥機 ① インバーターの開発 ② エコキュート ③ 多機能型 ダイキン工業、三洋電機など:床暖房、浴室暖房・乾燥機能付き パナソニック電工:給湯に自動お湯張り、床暖房 (2) 業務用ヒートポンプ 改正省エネ法のトップランナー制度:ビルや工場空調などに普及 ① ダイキン工業:大型業務用ヒートポンプ給湯システム開発(東電と共同開発) ② 東京ガス:ハイブリッド型ガス空調機 ガスヒートポンプと吸収式冷凍機を組み合わせ →エンジン排熱の利用も (3) 日本のヒートポンプ技術は世界最高水準 ① EU:2008 年「再生可能エネルギー推進指令」案 ヒートポンプ:再生可能エネのひとつ ② ヒートポンプの性能 IPCCの試算:EU:COP2.2~3.8、日本:COP4.5~6.2 COP 使ったエネルギーの何倍の仕事ができたかという数値。自動車の燃費と 同じ発想。エアコンの場合、「冷房能力÷消費電力」で表す。COP6のエアコ ン、1kwh の電力で6kwh の熱量を生み出す。 ③ 日本メーカーの海外進出 ・三菱重工:スウェーデン最大の暖房メーカー「NIBA」と提携 ・ダイキン工業の「ダイキンヨーロッパ」 6. 蓄電池 (1) 2次電池 2次電池 電気エネルギーを化学エネルギーの形で蓄積、必要時に電気エネルギーとして取 り出すことが出来る電池。 4 (2) リチウムイオン電池 ① 電解中のリチウムイオンが電気伝導を担う電池 ② 2009 年は「リチウムイオン電池元年」 ③ 三菱自動車、富士重工:三菱自「i-MiEV」 (アイミーブ) ④ EV用電池 ・ NECと富士重工業「NECラミオンエナジー」 ・ トヨタとパナソニックグループ「パナソニックEVエナジー」 ・ 日産自動車+NEC ・ フォルクスワーゲン+三洋電機 ⑤ 携帯電話、ノートPCなどモバイル用電池 ・ パナソニック:大阪市住之江区の工場:角型電池、円筒形電池の量産 ・ 三洋電機:兵庫県南あわじ市:09 年春、生産拠点を1ヵ所追加 ・ シャープ:住宅用蓄電池の開発 ・ 大和ハウス工業、大日本印刷と提携→3社共同で住宅専用の電池 ・ 旭化成ケミカルズ:リチウムイオン電池用セパレータの世界シェア 50% 7. LED(発光ダイオード、Light Emitting Diode) LED:電気を通すと光を放つ半導体 (1) 青色LEDの量産 ① 赤、黄緑色のLEDは昔から存在 ② 日亜化学(徳島市)の中村修二氏(現UCSB教授)が青色LED開発 ③ 青色LEDをベースに緑色LEDの量産が可能に ④ 青色LEDと透明な蛍光体と組み合わせ→白色LED→照明器具に利用 (2) 省エネ効果 ① 電気エネルギーを光に変える効率:90%→消費電力:白熱電球の8分の1 ② 耐久性:白熱電球の 40 倍→政府:2012 年に白色電球廃止を表明 (3) LED照明の市場の誕生 500 億円 400 9.2 300 7.2 白色LEDの割合 200 100 0 1.9 3.1 50 75 2004年 2005年 193 279 世界の市場規模 2006年 5 2007年 14 11.7 12 10 8 6 402 4 2 0 2008年 % 世界のLED市場規模と白色LEDの割合 (4) 相次ぐ新規参入企業 日本の照明市場:パナソニック、東芝、三菱電機、日立製作所、NECの寡占 ① シャープ、ローム、三菱化学など半導体・化学メーカー、アイリスオーヤマ ② 世界:韓国サムソン電子などが参入 (5) 1次産業の利用 ① 植物工場 ② 植物工場のフェアリーエンジェルと半導体のシーシーエス ③ ビニールハウスでLED:京丸園(浜松市)ベビーリーフの栽培 (6) LEDの課題 ① 価格をどこまで下げられるか ② LED素子は確保できるか 8. エネルギー管理システム(EMS、Energy Management System) (1) エネルギーマネージメント ビル向けEMS(BEMS)、 家庭向けHEMS(HEM) 地域EMS(分散エネを連携制御) (2) BEMS、HEMS 政府目標:2030 年度までに全世帯にHEMSを導入 ① トヨタ自動車+トヨタホーム→2011 年実用化 ② 新日本石油+三洋電機:太陽光発電と燃料電池コージェネレーション (3) エコーネット(Ecoh net)規格 エコーネット規格 家庭内の電灯線や無線を利用し、家電機器を制御するホームネットワークの 規格。1998 年にシャープ、東芝など日本企業が中心となって設立されたエコー ネットコンソーシアムが提唱。屋内に設置されたコントローラーで、家電製品 を集中的に制御できる。また、外出先から携帯電話やパソコンなどでエコーネ ットに接続し、屋内の家電製品を操作できる。2008 年に国際規格が発効。 ① 家庭のCO2 削減 ② 規格作成、コンソーシアムの運営 ③ エコーネットの特徴 (4) 外部から家電製品などをコントロール (5) 家庭全体のエネルギー消費をコントロール (6) 病院など屋外との接続も可能 6
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