指導分野 - 日本福祉大学通信教育部

■穂坂 光彦 教授
1.指導分野(テーマ)
私の専門分野は「アジアの居住福祉」です。アドバイスしうるテーマは、開発途上国における社会開発
(貧困、居住、環境、教育、保健、障害、人権、ジェンダー、人口、ガバナンス、経験交流等への取り組
み)、およびそれに対応する日本でのまちづくり、ホームレス支援、地域福祉、住民参加、オルタナティ
ブな経済活動(フェアトレード、地域通貨等)。さらに、これらの背景にある社会開発理論(ケイパビリ
ティ論、コモンズ論、エンパワメント論、社会的排除論)や計画方法論(「プロセスとしての開発」論、
相互意識化論)です。
具体的に例示すると、過去15年間に日本福祉大学大学院で私が指導担当した論文約75本のテーマは、概
ね以下の分野・対象地域でした。
・貧困地域の住環境改善や生活保障(研究事例はインドネシア、タイ、スリランカ等)
・参加型計画と地方行政(フィリピン、スリランカ、モンゴル等)
・社会開発における「障害」、障害者の自立、障害モデル、Community-based Rehabilitation(タイ、インド
ネシア、マレーシア、シリア、ミャンマー、バングラデシュ、エジプト、東アフリカ等)
・ソーシャルワークとコミュニティ開発(フィジー、コスタリカ、ベトナム、日本、等)
・被差別民衆のエンパワメント、経験交流、共生(日本の部落解放と女性、ネパール、インド)
・基礎教育開発(中国の都市流入子弟の学校、日本における移住労働者子弟の教育、他にホンジュラス、
ボリビア、ネパール、スリランカ等)
・環境と開発(フィリピンの沿岸漁業、中南米の廃棄物処理、エジプトのゴム収集人社会)
・ジェンダーと開発(ニカラグアのリプロダクティブヘルス政策、タイから日本への女性人身売買、エチ
オピアのHIV/AIDS、バングラデシュのダウリと家庭内暴力)
・保健開発(フィリピンの「村の薬局」、災害と保健行政、栄養政策と援助の歪み、母子保健研修)
・子ども支援(ストリートチルドレン、児童労働、ソーシャルワークと子ども参加)
・日本の経験(生活保護法の成立、愛育会による地域保健、コミュニティカフェ、部落のまちづくり)
・開発教育(学校と地域の共同、教材作成、意識化論)
通信教育部では、毎年1~数名の研究論文指導を担当していますが、近年のテーマは、日本の少子化対策、
医療費の社会的コストと制度的支援、ひとり親世帯への生活支援、祭りと都市コミュニティの変質、在宅
精神障害者支援における保健師の機能、障害者の自立生活センター、「におい」の社会学的考察等でした。
私の本来の「指導分野」と大きく離れているものが多いのですが、視点やアプローチにおいてどこか共通
理解が可能な場合には受けいれて「論文の書き方」をアドバイスします。ただし、専門性からして明らか
に私よりもふさわしい教員が学部内にいる場合には、原則として私は辞退します。
2.指導方針
私と大枠のところで研究関心を同じくする学生に対して、以下のようなプロセスで議論を重ねていくつ
もりです。通常は毎月約1回のペースで、研究上の疑問にメールでお答えします(最終段階では、この頻
度は数日に1回くらいになります)。必要と希望に応じて面談(原則として名古屋キャンパス)も行います。
複数の学生がいれば、合同のメーリングリストや集中ゼミなど、互いに討論しあう共同の場を設けます。
はじめに私が作成した「通信制での学習法・論文の書き方」をお渡しし(「論文作成基礎」スクーリン
グでも配布)、これに基づいて研究計画(つまり具体的に研究を進めるアクションプラン。選考時に提出
する計画書は、実は研究計画「素案」にすぎない)を完成してもらいます(目処として5月末まで)。一般
的には9月末までに現地調査や文献の分析を、いちおう終えます。10月から執筆にかかり、一部補足調査等
も行いながら、12月初めには第一次ドラフトを提出してもらいます。これに対して私が添削します。おそ
らく、文章上の修正にとどまらず、構成の変更などを求めることも少なくないと思います。それを踏まえ
て2月初めまでに論文を完成してください。完成後、しばらく「寝かせて」おく時間も必要です。
3.指定課題
共通課題の研究計画書にじゅうぶん意が尽くされていれば、それ以上のものは不要です。私は研究計画
での「問題意識の鮮やかさ」を最も重視します。もし言い足りないこと(問題意識の背景にある個人的な
経験、自分の得意とする研究方法とその理由、テーマにかける思い、等々)があれば、「指定課題」用紙
に好きなだけ自由に書いてください。また、選ぶテーマが、上記の私の「指導分野」と大きく離れている
と思われる場合は、なぜ私を志望したかを「指定課題」用紙に記してください。