見附市教育センターだより 〒954-0052 見附市学校町2-7-9 電話/Fax 0258-62-2343 [email protected] 平成 27 年8月 24 日 NO.5 (8月 19 日 刈谷田川 ) 夏休みの体験と命の尊さ 教育センター嘱託指導主事 小黒知也 子どもの頃理科が好きだった私は,夏休み すぐに亡くなってしまった。天を恨み,慟哭 の自由研究「カエルの骨格標本」を作ったこ (どうこく)の日が続いた。今,幸いにも,生 とがあった。生きたカエルを,逆さにしたバ まれ変わりの子を授かり,妻や母とともに, ケツに閉じ込め,餓死させた。カエルは,や あどけない笑顔に接することのできる喜び せ衰え,脱出しようとして何度もバケツに体 をかみ締めている。 当たりしたのか,鼻先が傷だらけだった。 蟪蛄(けいこ;夏ゼミ)は春秋を知らず。 この姿に心が痛んだのか,私は標本ノート この夏も,多くの生命が誕生し,また,多く に,「これからは生命を大切にします。」と の尊い命が無残にも失われた。やがて新学 いう意味の文を書いた。このノートを見た母 期。学校に戻ってくる元気な子どもたちの一 が,「よいことに気付いてくれました。これ つ一つの「命」を大切にしなければとの思い からもこの気持ちを大事にしてください。」 を新たにしている。 と認めた手紙を,私の机の中に,そっと入れ ておいてくれた。この教えは,私の人生の指 針となっている。 上記の文章は,22年前の8月の終わり,新 潟日報に掲載していただいたものです。 奥様の病気看護のため,定年を待たずに退 教育センター勤務3年目。子どもたちと一 職された小学校の恩師は,私の結婚に際し, 緒に夏の夜空を見上げたり,科学遊びをした 「結婚は命の駅伝ランナーである」との言葉 りしながら,今また改めて,生命の尊さに思い を贈ってくださった。遅い結婚。ようやく授 を巡らせています。見附の子どもたちや職員 かった初子は,不慮の事故のため,生まれて の皆様の「個(命)」が輝きますように。 -1- 「4時から夢塾」 第4回「国語指導のあり方」(8/5)(講師 名木野小学校長 山本哲哉様) <講座の概要> (1)単元を貫く言語活動を位置付けた授業づくり(並行読書材の位置付け・全文掲示全文シート) (2)魅力的な単元のゴールの設定と指導法(全文で読む力・比較して読む力・検討する力) (3)明日からできそうな指導法(教材比較<原文や原本を提示>・教材作成<全文打ち直し>) <参加者の声> ○説明文,文学的文章において,全文シートを ためにも,教師がいろいろな本を知らない 年1回は作ろうと思いました。「吹き出し といけない・・と改めて思いました。ぜひ は,絵本(原作)を使う」は,実際にやってみ 講座のパート2,3をお願いしたいです。 たくなりました。教科書会社の違いを見る ○全文を打ち出して提示すること,教科書を だけでも,何か全然違う学習になるのだと 読み比べること,絵本とも比べてみること いうことが分かりました。 など,教材研究で実施すべきことをいくつ ○国語の指導が難しい,困っている・・・とい も紹介していただきました。全文を通して う側に挙手しました。しかし,研修が終わっ 読む力を子どもにつけさせるかを考えなが てみるとワクワクして胸がいっぱいになっ ら,2学期からの文学・説明文教材の指導を ています。全文打ち出しは,ぜひやってみた 行っていきたいと思います。 いと思いました。また,読みくらべさせると 第5回 「美術指導のコツ」(8/6)(講師 見附市立西中学校 浪川一也様) <講座の概要> (1) 子どもが自ら学ぶ主体性を育てる美術・図画工作の授業(教師の仕掛けが大事である。) (2)主体的な学びの要素 ①子どもにとって,新鮮であり,発見がある②教師によって,引き込む・ のめり込む伝え方の工夫がある③互いにとって共感・共有できるものがある(2) (3)「鑑賞」・・主体的な手法(①ルーティーン⇒ 鑑賞タイム②クイズ⇒ ワークシート,話し 合い③体験⇒ 表現的な鑑賞,ロールプレイ) (4)「絵画制作」・・「お題」描画で実態把握⇒ 個や発達段階にあった指導(遠近感・立体感) <参加者の声> ○普段,鑑賞指導は短時間ですませてしまって しゃっていたように,のめり込んで聴いて,観 いたのですが,今回のお話を聞いて,子どもの ていました。子どもがのめり込めるような授 感性をもっと伸ばせるような授業をしたい 業を目指したいと思いました。 と思いました。美術の鑑賞は,とても好きなの ○参考になる事例がたくさんあり,二学期か で,楽しかったです。もっといろいろな話をお ら鑑賞の授業をしっかりやっていこうと思 聞きしたいです。機会があったらよろしくお いました。子どもたちに鑑賞させるためには, 願いします。 教師も絵についての知識が必要だと思いま ○とても楽しかったです。美術作品のエピソー ドをもっと知りたくなりました。先生のおっ -2- した。何でも教材研究は大切だと改めて思い ました。 第6回「英語活動」(8/7)(講師 長岡市英語指導室 吉川純子 様) <講座の概要> (1)外国語活動の3つの目標の確認(①言語や文化について体験的に理解を深める。②外国語を 通じて積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成③外国語の音声や基本的な表現 に慣れ親しませる。) (2)応用がきく活動の紹介(①Key Word Game ・消しゴム1つ・ハイタッチ・消しゴム2つ ②Telepathy Game ・言葉の選び方・声の大きさ③Clap Game ・印をつけた言葉は言わない・ポ ーズをつける④Missing Game ・貼るカードの数・答えの言い方⑤ステレオ Game・聖徳太子 Game <参加者の声> ○代表の児童が嫌な気持ちになったり,不安 ○実際の活動をたくさん教えていただいて になったりしないような雰囲気が基盤に よかった。すぐ授業に取り入れられそう なることを改めて感じた。そのためには, だ。小学校でどのような活動をしている 日頃の学級経営はもちろんのこと,ゲーム のかよく分かったので,中学校でも活動に 前のルールの確認等が大切である。 生かしていきたい。 先進校視察報告 上北谷小学校 教諭 大坪 裕子 7月3日(金),東京都中野区立中野神明小学校へ視察研修に出かけました。視察のねらいは, 「初等教育から高等教育までの連続性のある言語活動の実践研究及び理論」について学ぶこと です。 (1)研究概要の説明(過去3カ年の研究内容及び成果,今年度の方向)をまとめると次のよ うになります。研究主題は,「自ら学び,豊かに表現し合う児童の育成」で今年度は4年目を迎 えます。研究1年目は,「国語科指導における言語活動の工夫」,2年目は,「説明的文章を中心と した学習」,3年目は,「文学的な文章の読みを深める指導の工夫」,そして本年度は,「読みの交流 を通して,自分の考えを広げ深める指導」と,数年間をかけて領域別に取り組み,成果を上げてき ています。 東京女子体育大学の田中洋一教授の指導を受け,数年間の研修を積み重ねてきた結果,国語科 授業のあり方の方向性が見え,教職員の意識と授業力向上につながってきています。 (2)参観授業をまとめると次のようになります。研究主任が,3年生/国語科「感謝の手紙を 書こう」を行いました。次の3点が参考になりました。①ゴールを見据えた単元学習を大切に していたこと②学習課題と学習の流れの視覚化を図り,子どもが主体的に学ぶことができる工 夫がされていたこと③教師の指示が的確で,児童の反応が優れていたこと(書き出したり,話し 合ったりする姿)。ここでも,研究の積み上げの成果を見ることができました。 今後に生かしたいことは次の2点です。①上北谷小学校の研究主題と内容が,視察校と類似し ている部分があり,校内研修会で教職員に参考となる内容を伝えていくこと②南中学校区では, 小中学校の連携として,小学校は中学校教諭の出前授業,中学校は,小学校教諭とTTとしての授 業補助の実施などを参考にして,学区の実態に合った情報交換を深める方向性を提案すること。 この2点を実現させたいと考えています。 -3- 先進校視察報告 葛巻小学校 教諭 鎌倉 正和 6月12日(金),筑波大学附属小学校へ視察研修に出かけました。視察のねらいは,次の 2 点 です。①ICT を活用した授業づくりについて,実践から学ぶこと②理科に対する提案などから理 科の授業づくりについて学ぶこと (1)ICT を活用した授業づくりについて,実践から学ぶこと 4年算数(ICT)「四角形」 山本良和教諭の参観をしました。山本教諭の ICT を用いた算数 授業では,「デジタルペン」の活用による授業展開の事例や,自分の考えや友達の考えを自分の 言葉で説明することを通して,理解を深めさせる手法を学びました。 「デジタルペン」はタブレット等の画面に書き込む方法とは異なり,実際に紙にペンで書いた ものをリアルタイムで画面上に表示できるので,自分で図形を作るという活動を損なうことがあ りません。また,デジタルペンには再生機能が付いており,作業の過程を1つずつ後で再生する ことできました。 これまでは学習の「結果」だけしか発表できなかったものが,「過程」についても学習できる ようになりました。まだ,機器が高価(2万円弱)なため,学校現場への導入は難しいですが, 将来的には同様の機器を用いた学習も考えていきたいものです。また,理解を深める方法として は,「下の学年に伝えられるように」という指示を行い,①平易な言葉で考えさせる,②感覚的 に得たものをジェスチャーで伝える,③他の子どもが考えていることを説明させるなど,子ども たちの関わり合いを通して学びを深める手立ての工夫が見られました。とても参考になりまし た。 (2)理科に対する提案などから理科の授業づくりについて学ぶこと 個人提案として,佐々木昭弘教諭から国語,算数と理科とのコラボ授業に関する講義がありまし た。内容は,国語や算数で学習したことを,理科という実践の場で活かすことによって,汎用的な スキルを得ることができるというものでした。また,理科の学習においても,異なる意見の根拠 を考えさせることで,視点を変えて物事を考える力を養う経験が重要であるということも盛り込 まれていました。 自分の考えに固執するのではなく,様々な意見に視野を広げ,修正できる素地を培うよう実践 していきたいと考えています。 今回の研究会参加の機会を得て,今後はより一層,他者理解の学習経験を取り入れなければな らないことを実感しました。友達の意見を表面的にとらえ,終わりにしてしまうだけでなく,「異 なった考えが分かることが楽しい」と子どもが言えるように,学習をデザインする取組に力を入 れたいものです。また,今後様々な機器が登場してくるであろう ICT 機器の情報にもアンテナを 張り,C(コミュニケーション)をとるための技術として有効活用できる授業を検討していき たいと考えています。 -4- 「夏休み作品展」「科学研究発表会」の申し込みをお待ちしています! 理科主任会や教育センターだよりでお知らせしたとおり,「夏休み作品展」,「科学研究発表会」 の受付を開始します。所定の申込用紙に必要事項を記入し,学校ごとにメールで申し込んでくださ い。申込用紙は,教育センターHPからダウンロードできます。不明な点は,各校の理科主任の先 生,もしくは直接教育センターまで,お問い合わせください。 「夏休み作品展」の締切は9月8日(火),「科学研究発表会」の締切は9月4日(金)です。 それぞれの締切日が違いますので、ご注意ください。 平成27年度 見附市児童生徒夏休み作品展 期 日 9月 12 日(土)~14 日(月) 会 場 まちの駅 同時開催 ネーブルみつけ多目的広場 「ふしぎ発見!科学教室」 ※後日,「ふしぎ発見!科学教室」のポスターを各校に配布します。 第51回 見附市児童生徒科学研究発表会 期 日 10 月2日(金) 会 場 見附市中央公民館 いきいきわくわく科学賞2015 バッジデザイ 2学期の理科の準備は,進んでいますか。 2学期が始まります。今学期学習する各単元の指導計画 学 年 3年生 の確認,教材や備品の点検はいかかでしょうか。2学期の 小学校3年生~6年生の単元(学校図書版)は,右表のと おりです。 特に9月,10月は学年によっては,動植物の観察,星 座や月,雲といった空の観察等,屋外での活動が必要な単 元も多くなっています。生きものを扱う場合,生育状況が 4年生 天候と関係するので,例年通りの時期に,観察ができない こともあります。また月の観察は,月齢をきちんと調べて おく必要もあります。このように,事前の準備や確認がた いへん重要です。 継続した観察が必要な単元も,いくつかかあります。行 5年生 事や天候に応じて時間割を工夫して,理科の授業時間を柔 軟に配置し,適切に観察が進められるような手立てが必要 となるかもしれません。教材等,いつでも教育センターま でご相談ください。 なお,年度始めにご案内したとおり,2,3学期の単元 に合わせて,次のような単元別研修会を予定しています。 日程は,どの研修会も単元の学習が始まる前に設定してい ます。追加申込を,いつでも受け付けています。 6年生 単 元 名 5 こん虫を調べよう ◎ 実ができるころ 6 光で遊ぼう 7 ゴムのはたらき 8 風のはたらき 9 明りをつけよう 6 月や星の動き 7 すずしくなると 8 自然の中の水 9 水の3つのすがた 10 ものの体積と温度 ○ 台風の接近 4 実や種子のでき方 5 雲と天気の変化 6 流れる水のはたらき 7 電流のはたらき 5 てこのしくみとはたらき 6 月の形と太陽 7 大地のつくりと変化 8 水溶液の性質 ※2学期は,授業公開研修が予定されている学校も多いと思います。 毎年この時期,指導案や教材等の様々なご相談をいただいています。お気軽に,お問い合わせください。 -5- 2,3学期の単元別研修会の紹介 ※1つの単元等で2日間,または同日に2回実施する研修会は,同じ内容です。 ※研修会の開始・終了時刻や研修時間がそれぞれ違います。ご注意ください。 学年 小3 単 元 名 日 時 内 容 11月26日(木) 「身の回りの金属=鉄」という素朴概念をもっている児童が多 明かり をつけよ う 27日(金) く,電気を通す/通さないと,磁石につく/つかないを混同する じ し ゃ く のひみつ 15:45~16:45 場合があります。実験を通してこれらの性質について見方や概念 の育成を図るためのポイントを学びます。 小4 水の3 つのすがた 10月22日(木) 水が凍るときの温度の変化や体積の変化の仕方の理解を促す 23日(金) 教材を紹介します。また,水を沸騰させたときに現れる泡の正体 15:45~16:45 が水蒸気であることを見いだす教材や,温度を測定する際のポイ ントを学びます。 小4 も ののあたたま り 方 12月25日(金) 固体,液体,気体の温まり方の共通点や相違点を理解させるた 10:30~11:30 めの実験方法の工夫や,熱の伝わり方を視覚的に捉える手立てに 15:30~16:30 ついて学びます。日常生活と関連させながら,より深い理解を促 す指導の在り方を考えます。 12月9日(水) 小6 電気と 私たちの生活 (旧 電気の利用) 電気の利用,発電,蓄電と日常生活を関連付ける手立てを紹介 10 日(木) し,電気の有用性を学びます。教科書にある手回し発電機,コン 15:45~16:45 デンサー,発光ダイオード,電熱線,蜜ろう粘土,電源装置など 様々な実験器具の適切な使い方を確認します。 小5 小6 中1 小5 小6 中1 < 水溶液を 学ぶ> 物の溶け方 水溶液の性質 10月29日(木) 粒子を柱とした単元の系統性を踏まえ,物の溶け方と水溶液の 30日(金) 性質についての基本的な見方や概念の育成について学びます。固 15:15~16:45 体や気体が水に溶けることを確かめる実験や,水溶液の性質を調 水溶液の性質 < 地学を学ぶ> べる試薬を紹介します。 10月8日(木) 小学校5年生から3年間連続で学ぶ大地の成り立ちに関する 流れる 水のはたら き 9日(金) 単元について,その系統性を意識し,より深い理解を図るための 大地のつく り と 変化 15:15~16:45 手立てを紹介します。モデル実験や教材を活用し,露頭観察と概 変動する 大地 念を結びつける指導の在り方を学びます。 ※上記の表は,中学校の研修会も含みます。 8月の研修会から 中学「化学変化とイオン」 小3「光であそぼう」 製氷皿を使ったマイクロスケール実験の紹 問題解決の過程を大切にした授業の展開につ 介,酸・アルカリ いて学んだり,ア の電気泳動実験 クリル板を使っ の際の留意点や た鏡や光が集ま コツについてい る道筋が確認で ろいろな方法を きる教材を製作 試しながら,研修 したりしました。 しました。 -6-
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