2 - 生物資源フィールド科学教育研究センター

古澤 壽治教授 Taro Kyoto
Tel.075—861-0000
E-mail: kbspace@kit.ac.jp
■タイ東北部イサン地方ではタイシルクの98%を生産
■イサン地方の教育研究の拠点マハサラカム大学(MSU)
■MSUがイサン養蚕地帯の技術指導者を養成する計画
■計画に基づき蚕糸技術者と研究者の養成を本学に要請
■2001年、MSUと本学との国際交流協定締結
研究の目的
■MSUに桑園造成および蚕飼育施設を建設
■本学でのMSU教員による蚕糸技術の修得
■本学から蚕糸科学に関する学術、技術をMSUへ導入
■蚕の無菌的人工飼料飼育技術、機械化飼育法の現地指導
■稚蚕人工飼料・壮蚕桑育飼育体系をMSUへ導入
開墾地に桑苗を植え(左)、5年後に成園となる
研究の概要
■MSUにSilk Innovation Center(SIC)を設置
■桑苗を増殖、開墾地に移植(写真上段左)、成園を完成(右)
沖縄生息の亜熱帯品種を現地に移植、適応性試験実施
■SICに本学開発の稚蚕人工飼料・壮蚕桑育飼育体系を導入
■SICで生産された繭糸の特性を調査(写真中段の表)
繭糸繊度は平均2.3デニールとやや細繊度
強度は3,74x10-2N/d
伸度は21.9%
■現地養蚕農家で生産されるマットミー(写真下段)の物理特性
引張強度、引裂強度の結果から強靭な織物
剛軟度から推定して風合いや織物のボリューム感がある織物
■本学生物資源フィールド科学教育研究センターで熱帯原蚕を飼育
織物を製作したところ、光沢、しなやかさを発揮
■生物資源フィールド科学教育研究センターでNang-Laiを人工飼料育
タイ原蚕の繭と糸の性質
性質を表す項目
繭重(g)
繭層重(g)
繭層歩合(%)
繊度(d)
引張強度(N/d)
伸張度(%)
タイ原蚕(Nang-Lai)
(♀)
(♂)
1.08
0.79
0.11
0.11
9.82
13.75
2.07
1.95
3.74 x 10-2
21.9
日本種
(錦秋x鐘和)
3.29
3.71 x 10-2
15.7
タイ原蚕(Nang-Lai)の繭糸(写真)とその性質
研究の応用
■Nang-Laiの優良糸形質を持った品種育成
■Nang-Lai適応低コスト人工飼料開発
■Nang-Lai産生セリシン. フィブロインタンパク質の有用利用
タイシルク織物の物理的特性
織密度 引張強度 伸長度
(本/cm) (N/cm)
(%)
将来展望
引裂強度
(N)
剛軟度
(N)
経糸
28
2.0x102
31.7
4.68x10
2.22x10-1
経糸
32
1.7x102
17.7
4.91x10
1.04x10-1
■改良Nang-Lai飼育による養蚕農家経営改善と国際支援
■改良Nang-Lai生産繭糸による新規織物生産
■伝統文化(マットミー)と新規織物との融合
タイシルクを用いた織物(写真)とその物理的性質
東北タイ生産生糸の特性
研究の背景
タイ・
シルク織物の原点・
マットミー
共同研究者
巽 二郎教授、宮本真敏教授 一田昌利助教授(繊維学部附属生物資源フィールド科学
教育研究センター)、亀井加恵子助教授(応用生物学科) 西村太良教授(デザイン経営
工学科) 安永秀計(工芸学部物質工学科)