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13.研究成果概要図 (別添2 )
(ID06-14)「インテリジェントナノDDSを利用した急性心筋梗塞に対する
次世代型血栓溶解療法の開発とその臨床応用」
【研究目的】血栓溶解薬を内包するナノパーティクルを作製し、超音波照
射により局所にて薬物溶出を促すインテリジェントナノDrug Delivery
System (DDS)を確立し、安全性・迅速性・確実性かつ医療経済性を兼
ね備えた次世代型冠動脈血栓溶解療法を開発する。ブタ急性心筋梗塞
モデルを用いて本システムの基礎データを集積し、ヒトへの臨床研究を
目指す。
【研究期間】H18~H22
【実施体制】
研究代表者:斎藤 能彦
奈良県立医科大学 第1内科学教室 教授
総括:奈良県立医科大学 第1内科学教室
分担:京都大学 再生医科学研究所 生体材料学分野
熊本大学 大学院医学薬学研究部 循環器病態学
アロカ株式会社 メディカルシステム技術部
【研究成果】・血栓溶解薬である組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)とゼラチンを混和し、亜鉛などの金属イオンを添加すること
により、tPA活性を約55%抑制し、かつ超音波照射によりtPA活性を回復し得る直径50~150nmのインテリジェントナノDDSを作製す
ることに成功した。またウサギを用いて、インテリジェントナノDDS静脈内投与を行ったところ、血中tPA活性は約75%抑制され、経皮
的超音波照射により回復することも確認した。
・超音波およびインテリジェントナノDDSの生体に対する安全性については、明らかな有害事象は確認なかった。
・上述のインテリジェントナノDDSと超音波併用による血栓溶解効果をウサギ大腿動脈血栓閉塞モデルを用いて検討した。結果、イ
ンテリジェントナノDDSと超音波併用により血栓溶解効率が向上し、かつ必要とされるtPA量も減量し得た。
・ブタ冠動脈に対しバルーンにより内皮を傷害し、その末梢部をバルーンによって閉塞させることにより、血小板に富む心筋梗塞と
類似した血栓によるブタ急性心筋梗塞モデルを作製することに成功した。
・さらに、ブタ急性心筋梗塞モデルにおける冠動脈をターゲットとした経胸壁的超音波照射装置のプロトタイプも完成した。
・ブタ急性心筋梗塞モデルを用いて、我々の作製した経胸壁的超音波照射装置とインテリジェントナノDDSによる血栓溶解実験を実
施した。血栓溶解成功率は、tPA55,000単位/kgの静脈内投与のみでは10%であったが、tPA静脈内投与にブタ用超音波を併用し
た場合には60%であった。一方、DDSと超音波を併用した場合には、血栓溶解成功率は70%であったが、tPAと超音波併用時に比
してより短時間で血栓溶解が得られることを確認した。さらに、tPA27,500単位/kgを用いた場合の血栓溶解成功率は、超音波を併
用してもわずか10%であったが、DDSと超音波併用時には60%であり、DDSによりtPAの減量が可能であることが示唆された。
【今後の計画】
小動物における生体安全性試験を行い、安全性が確認されれば、ヒトでの臨床研究を開始したいと考えている。
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保健医療分野における基礎研究推進事業
(ID06-14)「インテリジェントナノDDSを利用した急性心筋梗塞に対する次世代型血栓溶解療法の開発とその臨床応用」
【研究概要】
(図3) 大腿動脈閉塞
(図1) ゼラチン
+
+
血栓溶解
50~150nm
血中tPA濃度(µg/ml)
(図2)
**
**
超音波照射による
tPAの局所的放出
金属イオン インテリジェントナノ
DDS
tPA
*
血栓溶解後
超音波
照射
(図4)ブタ経胸壁超音波照射装置
(図5) tPA単独群
DDS+超音波照射群
30
**
20
10
0
tPA
US- US+ US- US+
DDS (LCA) DDS (FA)
・図1のように、ゼラチンなどの高分子材料や金属イオンを用いて血栓溶解薬(tPA)を内包したインテリジェントナノDDSを作製する。既に、直
径が50~150nmであり、tPA活性を約55%抑制し、超音波照射後に活性を回復し得るインテリジェントナノDDSの作製に成功している。
・図2に示すように、インテリジェントナノDDS静脈内投与時の血中tPA活性は同量のtPA単独静脈内投与時の約1/4まで抑制され、in vivoでも
超音波照射によりtPA活性を回復し得た。また、図3に示すように、ウサギ大腿動脈血栓閉塞モデルを用いた検討により、インテリジェントナノ
DDSと超音波併用による血栓溶解療法の有用性についても確認した。
・本研究は、急性心筋梗塞を対象としてインテリジェントナノDDSと超音波併用による血栓溶解療法の開発を目的としている。そのための動物
実験モデルとして、ブタ冠動脈に対するバルーン傷害により閉塞性血栓を惹起させ、ブタ急性心筋梗塞モデルの作製に成功した。
さらに、図4のように4個の超音波探触子を組み合わせることにより、ブタ冠動脈をターゲットとした経胸壁超音波照射装置を作製し、心臓全
体に均一な超音波照射が可能であることを確認した。
・図5に示すようにブタ急性心筋梗塞モデルを用いた血栓溶解実験により、本研究で作製しインテリジェントナノDDSと経胸壁超音波照射装置
により血栓溶解効果が増強されることを確認した。
・本研究では、インテリジェントナノDDSと超音波併用による血栓溶解療法の安全性および有効性を確認し、ヒト急性心筋梗塞患者を対象とし
た臨床研究を最終目標としている。
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保健医療分野における基礎研究推進事業