ブロイラー新ハンドブックと 新栄養成分について

第100回JCA技術ゼミ
ブロイラー新ハンドブックと
新栄養成分について
於:大阪ガーデンパレス
2015年4月16日
㈱日本チャンキー
河合 泰典
本日のテーマ
ブロイラー ①新ハンドブック
②新栄養成分
③成績目標2014
①新ハンドブック
変更の概要
写真を多数使用
「キーポイント」と「有用な情報」
変更の概要
ストックマンシップ
ストックマン:鶏群飼養管理者
良いストックマンである重要性
五感を駆使した管理
経済性についての記述を追加
各セクションを書き直し
栄養セクションを追加
セクション1:ヒナの管理
ヒナの肛門体温
最高のスタートが出来ているかを確認
餌付後、最初の4~5日間測定
場所:鶏舎の少なくとも3箇所
羽数:それぞれ少なくとも5羽
理想的な
肛門体温
39.4~40.5℃
クロップフィル
さらに詳細な
ガイドラインを追加
セクション2:飼料と水の供給
飼料
栄養に関する情報は生産者向け
ペレット飼料の有効性について記述
飼料の物性試験を追加
→粒子サイズの推奨分布表追加
敷料に対する栄養戦略を詳細化
給餌・給水
具体的な飲水温度を記載
理想的な温度:15℃~21℃
飲水量低下:<5℃ 30℃<
ニップルドリンカーの吐出量測定
適切な給餌・給水器の高さについても
写真を使用
セクション3:ブロイラーと栄養
新たに追加されたセクション
飼料配合設計者向けの情報
栄養増補版の内容を含む
エネルギー タンパク質とアミノ酸
主要ミネラル 微量ミネラルとビタミン
非栄養性飼料添加剤
飼料(成分・設計・品質・形状)
全粒穀物給与 高温環境下での給餌
敷料の状態 環境とウェルフェア
セクション4:
健康とバイオセキュリティ
クリーニング
鶏舎
水洗・消毒
修理
メンテナンス
鶏舎外部エリア
給餌給水システム
P57
~ P60
水質
旧
P33 (2章)
さらに詳細化
新
P62 (4章)
鶏病リスクの軽減
人による伝播
訪問者記録の保存
鶏舎入退場時の消毒
搬入する道具や備品も消毒
動物による伝播
野鳥
虫
ネズミ
セクション5:鶏舎と環境
換気
さらに詳細な図や写真を追加
道具を使用した調査(スモークテスター等)
光線
点灯管理・照度・光源など
さらに詳しく
→光線と成績の関係性も記載
敷料
旧
敷料リストの拡充
古床に関する記載追加
新
セクション6:生体重のモニタリングと
成績のバラツキ
体重測定方法についての記載追加
個体測
群体測
自動体測
セクション7:処理前の管理
餌切りに関する詳細な情報を記載
捕鳥前のチェックリスト追加
付録
成績目標および栄養成分を削除
→別冊子へ(成績目標2014・栄養成分2014)
付録1:生産記録
→記録一覧表を拡充
付録3:主な生産パラメータ
→生産指数のみでなく、CV、FCR、補正FCR追加
付録4:羽毛鑑別
→写真も使用
まとめ
写真や図を多数使用
『ストックマンシップ』
『経済性』を追加
全てのセクションを書き直し
②新栄養成分
概要
改良が進み、成績が向上している
→栄養推奨値を更新する必要がある
より多くの市場に対応する為、体重による
区分増
2009
(栄養増補版 付録)
2014
< 1.6 kg
< 1.9 kg
1.7 ~ 2.4 kg
2.0 ~ 2.5 kg
2.5 ~ 3.0 kg
3.0 kg <
3.1 ~ 3.5 kg
3.5 kg <
フィニッシャー3 追加
アミノ酸の変更
【2009 (栄養増補版 付録):3.0 kg 以上】
日齢
スターター
グロワー
フィニッシャー 1
フィニッシャー 2
0-10
11-24
25-42
43-出荷
リジン(可消化)
%
1.27
1.10
0.94
0.89
メチオニン+
シスチン
*
74
76
78
78
メチオニン
*
37
38
39
39
スレオニン
*
65
66
67
67
バリン
*
75
76
77
78
イソロイシン
*
67
68
69
69
アルギニン
*
103
104
105
105
トリプトファン
*
16
16
16
16
*:リジンに対する割合(%)
アミノ酸の変更
【2014:2.5 ~ 3.0 kg】
日齢
スターター
グロワー
フィニッシャー 1
フィニッシャー 2
0-10
11-24
25-39
40-出荷
リジン(可消化)
%
1.28
1.15
1.02
0.96
メチオニン+
シスチン
*
74
76
78
78
メチオニン
*
40
41
42
42
スレオニン
*
67
67
67
67
バリン
*
75
76
76
76
イソロイシン
*
67
68
69
69
アルギニン
*
107
107
107
107
トリプトファン
*
16
16
16
16
*:リジンに対する割合(%)
アミノ酸の変更
Aviagen社の見解
+
Tillman氏およびDozier氏の研究
可消化リジン
%
1.40
2009
1.30
2014
Tillman
1.20
1.10
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
1
スターター
グロワー
フィニッシャー1
フィニッシャー2
2009
1.27
1.10
0.94
0.89
2014
1.28
1.15
1.02
0.96
6
差
11
16
21
+0.01
26
31
+0.05
日齢
36
41
+0.08
特に後半を増量
46
51
+0.07
可消化メチオニン
44
2009
43
2014
42
対 41
リ
40
ジ
ン 39
比 38
(%) 37
36
35
2009
34
1
2014
6
11
差
スターター
グロワー
フィニッシャー1
フィニッシャー2
37
38
39
39
40 21
16
+3
全て増量
264131
日齢+3
36 42
41
+3
46
42
51
+3
可消化スレオニン
70
2009
2014
69
対
リ
ジ
ン
比
(%)
68
67
66
65
64
63
2009
62
2014
6
11
1
差
スターター
グロワー
フィニッシャー1
フィニッシャー2
65
66
67
67
67
41
-
67
51
-
67
16 21
+2
前半を増量
67
26 31
+1
日齢
36
46
可消化アルギニン
109
2009
108
2014
対 107
リ 106
ジ
ン 105
比 104
(%)
103
102
101
2009
100
2014
6
11
1
差
スターター
グロワー
フィニッシャー1
フィニッシャー2
103
104
105
105
107
36 +2
41
107
51
+2
107
16
+4 21
全て増量
107
26+331
日齢
46
エネルギー(ME)
エネルギーは身体の維持と
発育に必要
現在のブロイラーはエネルギー
効率が良い
→フィニッシャー1以外のMEを下げた
MEよりアミノ酸に反応しやすい
スターター
グロワー
2009
3,025
3,150
3,200
3,225
2014
3,000
3,100
3,200
3,200
差
-25
-50
-
-25
単位:kcal
フィニッシャー1 フィニッシャー2
カルシウム(Ca)と有効リン(AvP)
育種改良により、骨強度向上
→CaとAvPの推奨値を下げた
CaとAvPの比率は変わらず2:1
Ca
AvP
スターター
グロワー
フィニッシャー1
フィニッシャー2
2009
1.05
0.90
0.85
0.80
2014
0.96
0.87
0.78
0.75
差
-0.09
-0.03
-0.07
-0.05
2009
0.50
0.45
0.42
0.40
2014
0.48
0.435
0.39
0.375
差
-0.02
-0.015
-0.03
-0.025
単位:%
ビタミン・ミネラル
ビタミンD3を除き、ほぼ全てのビタミン
を増量(ビタミンD3は国によって規制あり)
亜鉛と共にビオチン・パントテン酸を大幅
に増量
→皮膚の統合性、羽性、足裏を良くするため
銅
ヨウ素
鉄
マンガン
セレン
亜鉛
2009
16
1.25
40
120
0.3
100
2014
16
1.25
20
120
0.3
110
差
-
-
-20
-
-
+10
単位:mg
※全ステージ同数値
まとめ
【アミノ酸】
【エネルギー】
・リジン増量
・現在のブロイラーは
エネルギー効率が良い
・メチオニン、スレオニン、
アルギニンの対リジン比
を増量
・フィニッシャー1以外の
ME減少
【CaとAvP】
【ビタミンとミネラル】
・推奨値を減少
・ビタミンはD3以外ほぼ
増量
→比率は変わらない
・ビオチン、パントテン酸、
亜鉛は特に増量
③成績目標2014
概要
2年毎に更新される(前回は2012年)
世界各国の上位4分の1の成績と
育種改良を加味した数値
無鑑別成績
2014年版
日齢
体重
飼料要求率
7
189
0.877
14
480
1.118
21
929
1.270
28
1,501
1.409
35
2,144
1.548
42
2,809
1.687
49
3,457
1.827
56
4,061
1.967
2014年版
無鑑別体重推移
2012年
2014年
4,600
+59
4,100
3,600
3,100
全週齢において増体は改善
飼育後半での増体改善が目立つ
•
•
+50
+41
2,600
+31
2,100
+22
1,600
+13
1,100
600
+7
+4
100
7
14
21
28
日齢
35
42
49
56
2014年版
無鑑別要求率推移
2012年
2.100
2.000
1.900
1.800
1.700
1.600
1.500
1.400
1.300
1.200
1.100
1.000
0.900
0.800
2014年
-0.037
• どの週齢においても改善
• 飼育後半での改善幅が大きい
-0.034
-0.032
-0.028
-0.025
-0.021
-0.018
-0.016
7
14
21
28
日齢
35
42
49
56
3kg到達時の成績
無鑑別
オス
メス
2012
2014
差異
日齢
44.50
44.03
-0.47
要求率
1.769
1.728
-0.041
日齢
42.20
41.78
-0.42
要求率
1.707
1.666
-0.041
日齢
47.49
46.94
-0.55
要求率
1.851
1.806
-0.045
経済性(飼料コスト)
① 3kg時の飼料累計(g/羽)
2012
2014
差異
無鑑別
5,307
5,184
-123
オス
5,121
4,998
-123
メス
5,553
5,418
-135
② 飼料コスト削減額
条件:飼料代 50,000円/t
50,000羽/1回転
5回転/年
飼料差異
(g/羽)
飼料代
(円/羽)
× 50,000羽
(円)
× 5回転/年
(円)
無鑑別
-123
-6.15
-307,500
-1,537,500
オス
-123
-6.15
-307,500
-1,537,500
メス
-135
-6.75
-337,500
-1,687,500
まとめ
数値は2年毎に更新
増体も要求率も後半での改善大
約6円/羽の飼料コスト減(体重3kg時)