欠陥住宅関東ネット定例相談会見学記 地盤品質判定士 小野日出男 今般,欠陥住宅関東ネットの定例相談会を見学する機会がありました。 欠陥住宅関東ネットは, 「欠陥住宅被害関東連絡協議会」の略称で,そのウェブサイトによ りますと,欠陥住宅被害の救済や予防を目的に,関東地方の弁護士・建築士・市民によっ て平成 13 年(2001 年)11 月に結成され,欠陥住宅全国ネット〔欠陥住宅被害全国連絡協 議会の略称〕を構成する関東地方における下部組織の団体です。住まいのトラブル(欠陥 症状,業者とのトラブル,地震等の災害への不安,新築・リフォーム・新中古住宅購入前 の予防相談・調査など)に対して,弁護士や建築士が相談に応じるしくみを構築していま す。 主に, 「とにかく相談」する月 1 回開催の定例相談会(完全予約制,初回1時間 5,000 円(税 込),2 回目以降1時間 3,000 円(税込))と,「問題点を絞った相談」となる通常相談(随 時受付,30 分につき 5,000 円(税別),ただし初回は1時間につき 5,000 円(税別))のメニ ューが用意されています。 私は 2 月と 3 月の第2土曜日に開催された定例相談会を見学させていただきました。 定例相談会は,100 名以上が入ることができる会場(会議室)で行われ,そこには 3 人掛 けのテーブルが 4 列に配置されていました。前方にはテーブルを向かい合わせにした 4 つ の島が設けられ,そこで相談者と相談員(弁護士と建築士のペア)が応対し(パーテーシ ョンは設けられておりません),他の相談員は後方のテーブルで待機していました。 私が見学させていただいた相談物件は,2月の時は継続相談,3月の時は新規相談で,い ずれも地盤に関わる相談ではありませんでした。 相談者は,トラブルに関わる専門的な事項について少なからず知識を入手しているものの, トラブルの解決に向けた方法が分らずに困窮しているようでした。そのため,相談員は相 談者の話を詳しく聞き,問題点を明確にしながら,トラブルの解決に向けた現実的な方法 を相談者に提示していました。その結果,1時間枠の相談時間を越えて対応している状況 でした。3月の定例相談会において,新規相談者の一人が, 「どこに相談してよいか分らな かった」と言われたことばが印象に残りました。 定例相談会終了後には,毎回「関東ネット会議」を開催するほか,年 3 回(9 月,11 月,2 月)研修会を行い,相談員が扱った事例を紹介して情報共有を図っていました。 2 月の研修会(参加者 19 名)では 3 例の裁判事例の報告がありました。また,3 月の会議 (参加者 15 名)では,冒頭,相談物件の概略報告があり,続いて,相談会の広報,欠陥住 宅全国ネットの大会に向けた活動,関東ネット通信の内容等についての審議・報告がなさ れていました。なお毎回,関東ネット会議や研修会終了後,会場を移して意見交換会(懇 親会)を行っております。 欠陥住宅関東ネットの定例相談会をはじめとする組織運営は,地盤品質判定士会が計画し ている相談業務の進め方の参考になると感じました。また,相談業務を含め,欠陥住宅関 東ネット等との連携も必要があると思いました。 現在,地盤品質判定士会主催による,地盤に関わる無料相談会を月1回程度開催しようと いう企画が地盤品質判定士会幹事会で議論されていますが,相談会実施に向けた広報,窓 口業務の注意点,相談員が心掛けなければいけないこと,評価業務を行ううえでの留意事 項,他の専門家との連携方法や支援方法など・・・解決すべき課題が山積されています。 それら山積課題を一つひとつ崩す方策をあれこれ考えながら,地盤品質判定士会が大きく 育ち社会に役立つことを期待して帰路についた次第です。 最後になりましたが,定例相談会の見学を快く了承していただいた河合弁護士,高木弁護 士をはじめとする欠陥住宅関東ネットの皆さんに心より御礼申しあげます。 【参考】 欠陥住宅全国ネットの URL:http://www.kekkan.net/ 欠陥住宅関東ネットの URL:http://www.kjknet.org/ 以上(2015.3.20)
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