素材と技で 構築する “洗練された 普通”の家

株式会社 梅田工務店/一級建築士事務所 宗玄舎
works
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Idea Embodiment Professional
[PLAN] NEWHOUSE
素材と技で
構築する
“洗練された
普通 ”の家
株式会社 梅田工務店/
一級建築士事務所 宗玄舎
梅田 宗春
Muneharu Umeda
ここで言う普通とは伝統的な木組 ・ 手法を
継承し、その形を素直に意匠とすることだ。梅
田氏が手がけた邸宅、見せてくれるのは「洗練
された普通 」とでもいうような、設計者と大工
の矜持が感じられる凛とした佇まい。
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北側には自然の地形を活かした緩やかなア
プローチ。 爽やかな緑のアオダモの木立を抜
けると長く突き出た薄く鋭い玄関の庇がおお
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らかな外観と対比し、凛とした姿が印象的だ。
玄関扉を開けると、どっしりと居住まうケヤキの
敷台とストリップ階段。その秩序ある美しさを踏
みしめて2 階へ歩を進めると小屋裏まで伸び上
がるリビングの大空間。目に飛び込んでくる大
径木の梁や玄関の敷台に見られるように、無
理に整形はせず自然の形をそのままに扱うこと
で、木が持つ美しさを活かした。バルコニーに
しても、応接や寝室も、奇をてらうことなく真
正面から、ただあるべき姿を表現しており、内
面から醸す美しさが力強い。
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1-5_1 階から屋根裏まで伸び上がった 9 寸角のヒノキの大黒柱を中心に、そこへ太鼓梁を組み込んだ姿はリビング空間を象徴する力強さ。薪
ストーブが設えている場合、空間で一番影響力を持つ存在となることも多いが、薪ストーブは構成要素のひとつに過ぎないといえるほど、材の
質感と量感が空間を支配している。また、床に用いた楢、天井に総赤の吉野杉、壁の漆喰と、基本的にこの 3 素材の色調で、整然とした
秩序がある。何かを足していくこととは対極に、余分なものは何も足さず計算されたシンプルな設計と、屋根の荷重がどう伝達されていくかを感
じ取り、年月を経るとますます密着し吸い付くように締まる大工の仕事—こちらの木構造は 100 年以上は持つ、と梅田氏は語る。
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株式会社 梅田工務店/
一級建築士事務所 宗玄舎
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Muneharu Umeda
梅田 宗春
株式会社 梅田工務店/
一級建築士事務所 宗玄舎
奈良県奈良市西大寺芝町1-3-7
TEL/0742-46-0088
営業/8:00~19:00
定休/日曜
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プロフィール
うめだ むねはる
1954年奈良県生まれ。 奈良県卓越技能
者・一級建築士・インテリアプランナー。1973
年『梅田建築 』入社、設計・大工を学ぶ。
1975年裏千家(現)参事の森田宗圓氏に茶
道・数寄を師事。1987年『株式会社梅田工
務店 』代表取締役に就任。2003年『一級
建築士事務所 宗玄舎 』主宰に就任。
読者へのメッセージ
偽物の材料は極力使用せず、本物の材料で
建築を創ります。また、構造自体を意匠として
洗練された美しさを生み出すなど、素直に美し
さを見せます。自然の素材を活かし、大きな
架構から細部に至るまで神経を巡らせ丁寧に。
高い技能を持つ大工の手仕事でしか成し得な
い空間をつくり続けていきます。
資料請求は巻末の
「一括資料請求ハガキ」から
素材と技で構築する
“洗練された普通”
の家
志を持った職人が組み上げる
まごころを込めて創る家
浴室
ハレの日の食事に、シェフの星の数や名前や経歴を調べてレスト
ランを予約して行く人は、たくさんいる。しかし、家を建てる際に「家
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洗面
脱衣
ウォークイン
クローゼット
洋室
W
C
づくりのシェフ」
とも言える大工棟梁の作品や技能などを調べる人はほ
W
C
洋室
バルコニー
DN
とんどいない。ましてや大工棟梁の名前など…。考えてみれば、これ
居間
からの長い人生の、毎日をともに過ごす住まいを「誰 」が建てるのかは、
非常に重要なことだ。ちなみにこの建物の大工棟梁は出原健嗣だ。
LDK
UP
梅田氏率いる『梅田工務店 』では、設計と大工仕事は車の両輪
デザインテイスト
自然の木が持つ本来の美しさ。それぞれに
宿るその美しさをさらに醸し出すために木を引
き立てる素材と組み合わせ、シンプルな空間
を創りあげています。視覚のみならず、五感
のすべてと、さらに質感に対するプラスアル
ファの知覚までもが、その明快なコンセプト
と高い技術の賜物に本物の力強さを感じず
にはいられません。
ロビー
と考え、自社設計の建築に対して自社で長年修行を積ませた大工棟
玄関
梁が一貫して担当。こちらのお住まいでもそうだが、実直に大工の道
を極めてきた玄人である大工にとって、担当した建物は自身の人生の
1F
歴史でもある。そこに自身の誇りをかけて妥協のない仕事をおこなうの
2F
は当たり前。そして、大工が渾身の力をかけて空間を構築し創りあげ
た建物に対しては、それに続く工事を担う各職人も気が抜けない空気
が支配する。木構造の段階で明らかに緊張感が違うので手を抜けな
いのだ。こうして見てくると、
「緑ゆたかな町並みと普通に溶け込んだ、
おおらかな外観 」の佇まいが何とも心憎い。
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1_正面がスロープになっている傾斜地だが、擁壁などで区切らず、家の中にこの傾斜を
取り込んでスキップフロアとし、内外ともにごく自然な姿に仕上がっている。梅田氏の設計
力の賜物だ。2_玄関敷台とケヤキ8 寸角の登り梁に仕掛けた一尺板が圧巻。タモの玄
関扉を開けると、この住まいが「本物 」であるとすぐに分かる存在感。3_玄関の庇のスカ
イラインはシャープで驚きの薄さ。先端に人が乗っても大丈夫だという。
[家族構成]4人
[敷地面積]260㎡
(78.65坪)
[延床面積]170㎡
(51.43坪)
[工 法]木造在来工法
[設計・工期]6カ月
プロセス
お客様と打ち合わせをした設計担当者が設
計を行い、現場管理を担当しています。今
回のお施主様は親御さんの代から数十年に
わたるお付き合いもあり、安心してお任せい
ただけた面も多く、スムーズに進めることがで
きました。大工棟梁はその着手から完成、さ
らにメンテナンスフォローまで一貫して責任を
持って担当をしました。
アイデア
アイデアと言っても、小手先の装飾や上辺
だけの小細工は避け、シンプルで堅牢な佇
まいを目指しました。木を知り尽くした設計者
と大工が、美しさと強さを意識しながら木取り
を行いました。そうして、日々の暮らしを重ね
ながら、時の流れとともに、材が放つ風合
いと趣の変化が愉しめる至極の住まいとなり
ました。
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