産総研 技術シーズ発表会 資料集

平成 26 年度 先端産業研究交流会【光関連技術】
産総研 技術シーズ発表会
資料集
平成 27 年 2 月 2 日(月)
会場 オークラアクトシティ浜松 4 階 平安の間
主催 静岡県 独立行政法人産業技術総合研究所
産総研 技術シーズ発表会 プログラム
11:00~11:10
11:10~11:30
開会挨拶
静岡県 理事(新産業集積担当)
黒田 晶信
産業技術総合研究所 特別顧問
請川 孝治
産総研の紹介
産学官連携推進部 関東産学官連携推進室 室長
11:30~11:50
黒澤 茂
鏡状態と透明状態がスイッチングできる調光ミラー
サステナブルマテリアル研究部門 環境応答機能薄膜研究グループ
吉村 和記
研究グループ長
11:50~12:10
サーモトロピック型調光材料
サステナブルマテリアル研究部門 環境応答機能薄膜研究グループ
垣内田 洋
主任研究員
12:10~12:30
光センシング
電子光技術研究部門 光センシンググループ 研究グループ長
12:30~13:30
13:30~13:50
昼休み
ナノサイズ・ハイブリッド・マテリアルの創製
ナノシステム研究部門 フィジカルナノプロセスグループ 主任研究員
13:50~14:10
15:10~15:40
休憩
15:40~16:00
レーザー局所場反応技術ならびに活性化学種・光材料物性の分析評価技術
環境化学技術研究部門 レーザー化学プロセスグループ 研究グループ長
金子 晋久
齋藤 則生
閉会挨拶
静岡県 経済産業部 商工業局 技監
17:30~18:00
鈴木 良一
光・放射線・放射能の高精度計測技術
計測標準研究部門 量子放射科 研究科長
17:20~17:25
白井 智宏
加速試験を代替する電気特性評価を用いた超精密計測
計測標準研究部門 電磁気計測科 研究科長
17:00~17:20
佐藤正健
針葉樹型カーボンナノ構造体小型 X 線源の開発とその応用
計測フロンティア研究部門 首席研究員
16:40~17:00
王 学論
光波を利用したスペクトル強度干渉断層イメージング技術とその展望
計測フロンティア研究部門 超伝導分光グループ 上級主任研究員
16:20~16:40
伯田 幸也
エバネッセント光−伝播光変換技術を利用した高効率・高指向性発光素子
ナノシステム研究部門 ナノ光電子応用研究グループ 上級主任研究員
16:00~16:20
木原 秀元
蛍光体ナノ粒子
ナノシステム研究部門 主任研究員
14:50~15:10
石川 善恵
光異性化反応を利用した革新的機能材料の開発
ナノシステム研究部門 スマートマテリアルグループ 研究グループ長
14:30~14:50
古賀 健司
液中レーザー溶融法による球状サブミクロン粒子の製造と応用
ナノシステム研究部門 フィジカルナノプロセスグループ 研究グループ付
14:10~14:30
藤巻 真
名刺交換会
北川 剛弘
産総研 技術シーズ発表会資料集
目次
産総研技術シーズ発表会【光関連技術】 講演概要
P1
鏡状態と透明状態がスイッチングできる調光ミラー
P3
サーモトロピック型調光材料
P4
光センシング
P5
ナノサイズ・ハイブリッド・マテリアルの創製
P6
液中レーザー溶融法による球状サブミクロン粒子の製造と応用
P7
光異性化反応を利用した革新的機能材料の開発
P8
蛍光体ナノ粒子
P9
エバネッセント光−伝播光変換技術を利用した高効率・高指向性発光素子
P10
レーザー局所場反応技術ならびに活性化学種・光材料物性の分析評価技術
P11
光波を利用したスペクトル強度干渉断層イメージング技術とその展望
P12
針葉樹型カーボンナノ構造体小型 X 線源の開発とその応用
P13
加速試験を代替する電気特性評価を用いた超精密計測
P14
光・放射線・放射能の高精度計測技術
P15
産総研技術シーズ発表会【光関連技術】 講演概要
.
テーマ
登壇者
所属
講演概要
1
鏡状態と透明
吉村 和記
サステナブ 当研究グループで研究を行っている幾つかの種類のス
状態がスイッチ 環境応答機能薄 ルマテリア
マートウィンドウ用調光シートの開発の現状、特に鏡状態
ングできる調光 膜研究グループ ル研究部
と透明状態がスイッチングできるガスクロミック調光シー
ミラー
ト及び冬と夏で自動調光する全反射調光シートについて
研究グループ長 門
紹介する。
2
サーモトロピッ
垣内田 洋
サステナブ 透明基板間の数十μ厚の液晶・高分子複合層は、透明/
ク型調光材料
環境応答機能薄 ルマテリア
白濁状態が室温付近の任意温度で切換る。本素子は、
膜研究グループ ル研究部
季節順応型の日射制御窓、熱可視化シート等のセンサ
主任研究員
ー、生活を豊かにするアメニティ設備へ応用が見込まれ
門
る。
3
光センシング
藤巻 真
電子光技
生活安全や先進的農業に向けたウイルスや細菌、環境
光センシンググ
術研究部
物質などに対する実用的な光センサシステム、工業用材
ループ
門
料の特性管理用センサシステム、生体組織内の機能や
研究グループ長
4
形態の低侵襲、無侵襲センシング技術を紹介する。
ナノサイズ・ハ
古賀 健司
ナノシステ
イブリッド・マテ
フィジカルナノプ ム研究部
ブリッドナノ粒子は、接合界面とその周辺部等に起因す
リアルの創製
ロセスグループ
る様々な機能発現が期待されている。今回、それらの全
門
主任研究員
5
く新しい生成法として、気相中での生成法を開発した。
液中レーザー
石川 善恵
ナノシステ
溶融法による
フィジカルナノプ ム研究部
する原料粒子から、球形でサイズの揃った結晶性サブミ
球状サブミクロ
ロセスグループ
クロン球状粒子を得る ことが出来る。本法で得られる粒
ン粒子の製造
研究グループ付
門
7
光異性化反応
液中レーザー溶融法では、不規則な形状やサイズを有
子はDDS医療用材料や光学材料などへの展開が期待出
と応用
6
異種のナノ粒子が非対称的に接合して出来上がったハイ
来る。
木原 秀元
ナノシステ
結晶/アモルファス相転移を利用した光記録有機材料、
を利用した革新 スマートマテリ
ム研究部
また固体/液体相転移を利用した光可逆接着剤、さらに
的機能材料の
アルグループ
門
光で分散性を制御することができるナノ炭素材料分散剤
開発
研究グループ長
蛍光体ナノ粒
伯田 幸也
ナノシステ
マイクロミキサー技術を用いた高温高圧流体中の化学反
子
主任研究員
ム研究部
応により、直径10nm程度の金属酸化物蛍光体ナノ粒子を
門
連続合成する技術。得られるナノ粒子は分散性に富み、
を開発した。
無機EL素子、レイザー光源、波長変換材料としての利用
可能。
8
エバネッセント
王 学論
ナノシステ
微小リッジ・錐台構造において発現するエバネッセント光
光−伝播光変
ナノ光電子応用
ム研究部
―伝播光変換現象を利用し、光の取出し効率が極めて高
換技術を利用
研究グループ
門
く(90%以上)、しかも発光の方向性が制御可能な高効率・
した高効率・高
上級主任研究員
高指向性発光素子の実現を目指す。
指向性発光素
子
1
9
レーザー局所
佐藤 正健
環境化学
ポリマー、ガラス、金属、セラミックス等の先端化学材料
場反応技術な
レーザー化学プ
技術研究
のレーザー局所場反応技術、活性化学種・光材料物性の
らびに活性化
ロセスグループ
部門
分析評価技術を行っています。製造プロセスの省工程・
学種・光材料物 研究グループ長
省部品化および環境負荷低減に効果があります。
性の分析評価
技術
10 光波を利用した 白井 智宏
計測フロン
光波の干渉を利用した断層イメージング法(OCT)を高度
スペクトル強度 超伝導分光グル ティア研究
化することにより、サンプルに分散があっても分解能が
干渉断層イメー ープ
部門
低下しない性能を獲得することに成功した。
計測フロン
針葉樹型カーボンナノ構造体により、ヒーター不要で、従
ボンナノ構造体 首席研究員
ティア研究
来のX線発生装置と同等以上の出力のX線を電池駆動で
小型X線源の開
部門
発生できる小型軽量X線源を開発している。これを用いた
ジング技術とそ 上級主任研究員
の展望
11 針葉樹型カー
鈴木 良一
発とその応用
12 加速試験を代
非破壊検査・診断等の応用についても述べる。
金子 晋久
計測標準
超精密性能評価は必要以上に過酷な試験をすることな
替する電気特
電磁気計測科
研究部門
く、その環境特性・経年特性を比較的短期間で評価でき
性評価を用い
研究科長
る。つまり、加速(劣化)試験に取って代わる技術として利
た超精密計測
用できる。抵抗を中心とした電気特性評価などを中心に、
超精密電気計測を加速試験などの製品評価へ代替使用
する事例などを紹介する。
13 光・放射線・放
齋藤 則生
計測標準
紫外線からX線・γ線にわたる計測技術、特に、低エネ
射能の高精度
量子放射科
研究部門
ルギーX線用の外挿電離箱、紫外・X線パルスレーザ計
計測技術
研究科長
測用カロリメータについて紹介する。また、微弱光計測を
応用した環境中の放射性物質の高精度測定技術につい
て紹介する。
2
鏡状態と透明状態がスイッチングできる
調光ミラー
吉村和記/山田保誠/田島一樹
[email protected]
サステナブルマテリアル研究部門 環境応答機能薄膜研究グループ
連携担当:西尾 敏幸 [email protected]
中部センター
●研透明から鏡状態に変化することで太陽光を効果的に遮ることのできる調光ガラスを開発。
●大型ガラス・シートが透明状態と鏡状態にスイッチングできるガスクロミック調光ミラー。
●電気的に透明状態と鏡状態にスイッチングできるエレクトロクロミック調光ミラー。
窓ガラスの省エネルギー性能は、その断熱性能と遮熱性能によって決まりますが、夏の冷房負荷を下げるためには、
遮熱性能が特に重要です。産総研では、従来のガラスよりも格段に優れた遮熱性能を持つ新しい調光ガラス「調光ミ
ラーガラス」の開発を行っています。
「調光ミラー」は透明状態と鏡状態もしくはその中間状態に自由にスイッチング
できる新しい材料で、建物や自動車の窓ガラスに用いると冷房負荷を下げ、大きな省エネルギー効果を得ることがで
きます。
産総研では、優れた調光特性を持つ調光ミラー材料とし
て、薄いパラジウムでキャップされたマグネシウム合金薄
膜を用いた調光ミラーを開発しました。
調光ミラーのスイッチング方法には二種類ありますが、ガ
スクロミック調光ミラーは大型のガラスに適しており、建
物の窓として用いると高い省エネルギー性能を発揮する
ことを実証しています。最近、シート状でもスイッチング
が行える新たな技術を開発しました。もう一つのエレクト
ロクロミック調光ミラーは、電気的に透明/鏡状態をスイ
ッチングできるもので、利便性に優れています。
新方式のガスクロミック調光ミラーシート
・スイッチング方式の開発
・窓ガラスの省エネルギー性能の評価
・特開 2013-83911「反射型調光素子、該反射型調光素子を
用いた反射型調光部材、及び、複層ガラス」
・特開 2009-025785「バッファ層を有する全固体型反射調
光エレクトロクロミック素子及びそれを用いた調光部材」
謝辞:本研究の一部は、NEDO の委託で行われました。
エレクトロクロミック調光ミラーデバイス
3
サーモトロピック型調光材料
研究担当: 垣内田 洋
[email protected]
サステナブルマテリアル研究部門 環境応答機能薄膜研究グル-プ
連携担当: 西尾敏幸 [email protected]
中部センター
●液晶・高分子からなる光学異方性メゾスケール相分離構造の形成
●熱感応型の光散乱制御素子 (Bragg 回折制御素子への展開も可能)
●日射制御窓、空間演出用部材、熱感知シート、波長切換え器、偏光・波長フィルター
液晶と高分子からなるメゾ複合構造は、高分子分散液晶(PDLC)と呼ばれ、熱・電場・光など、様々な刺激に応答す
る光制御素子として期待されています。我々は、とくにパッシブ制御型の新しい省エネ建材への応用を目指し、PDLC
を活用した熱感応型調光材の開発を進めています。国土を多く占める温暖地域では、窓を通して建物内に入る日射を、
季節とともに適切に制御することは、冷・暖房負荷低減の一つの解決法です。中でも、外気温などに応じ自律変化する
熱感応型は、構成が単純で単独動作が可能なことから、実用化した際の市場への普及が容易と期待されています。
透明基板
本材料の実用化の際の利点は、
作製技術お
①
(液晶,
モノマー)
よび調光方式です。作製は基本的に、液晶
とモノマーの混合原料を透明基板で挟み、
光重合でメゾ相分離を誘起するという単
高
温
混合
原料
②
低
温
③
10μm
純な工程です。一方、素子の調光方式は、
室温付近で動作できる熱応答型のため、
構
高分子
透過
制御できるため、
取扱いとコストの点で強
みがあります。現在、実用的性能を目指し
散乱
液晶滴
成がシンプルで、
スタンドアローンで調光
作製:光重合・メゾ相分離
て開発を進めています。
熱応答調光:透過⇔散乱
PDLC の作製および透明/散乱変化のスキーム
・特許 5493073「太陽光透過制御素子」.
・特許 5217664「感温型光制御素子及びその作製
方法」.
・特開 2013-152445「液晶と高分子の配向相分離
構造とその製造方法」.
・特願 2013-266418「回折格子とその製造方法」.
謝辞:本研究の一部は、科研費(23560427)の下で
進めてきた神戸市立高専との共同研究による。
熱感応型調光素子の調光例。透明/白濁の変化が、温度変化
で反転して生じるようパターンをデザインした。
4
光センシング
研究担当:藤巻 真/古川祐光/島 隆之/芦葉裕樹
[email protected]
電子光技術研究部門 光センシンググループ
連携担当:森 雅彦 [email protected]
つくばセンター
●独創的な設計に基づく近接場光学や分光光学を用いた物質検出
●生活安全、工業・農業の発展に資するセンシング技術開発
●細菌やウイルス検出、非侵襲血液検査などに応用可能
近接場光学や光ディスク技術をベースとした微量微小物質検出技術や、分光技術を駆使したイメージセンシングを
コア技術とし、これらの技術を微細加工技術や各種高度計測手法によってサポートすることにより、健康な暮らしを
誰もが享受できる社会、安全安心な住環境、より高い国際競争力を持つ工業・農業生産技術、の実現に資するセンシ
ングシステムの開発を行っています。今回は産総研オリジナル技術である、導波モードセンサー、V 溝バイオセンサ
ー、光ディスク型細菌検出センサー、高感度分光技術、の 4 つの技術をご紹介します。
導波モードセンサーは、検出チップ表面での物質の吸着
・特願 2011-247298「気体中微粒子検出装置」
や変質を観測するセンサーで、バイオ物質の検出からめっ
・特願 2013-022522「微小構造物検出装置及び方
き液特性の評価まで幅広い応用が可能です。V 溝バイオセ
法並びに検出用ディスク」
ンサーは、生体物質検出に特化したセンサーで、微量検体
・特開 2010-045013「濃度に依存しない吸光度ス
中に含まれる極微量物質の検出に威力を発揮します。光デ
ペクトル測定法」
ィスク型センサーは、高速に大面積が走査可能で、その解
・特願 2012-153454「生体その場観察における分
像度は高性能な顕微鏡に匹敵し、菌の鮮明な画像取得が可
光分析法」
能な技術です。当グループが開発した高感度分光技術は、
・特願 2011-157242「目的物質検出チップ、目的
人体を透過した後の極微弱な光の分光が可能で、血中成分
物質検出装置及び目的物質検出方法」など。
の非侵襲分析を可能にします。
光源開発
多変量解析
フーリエ分光
分光イメージング
光記録イメージング
薄膜形成技術
相変化材料
光学設計
電磁場解析
導波路設計
表面化学修飾 マイクロ流路
高温物性
表面プラズモン共鳴
産総研 電子光技術研究部門 光センシンググループが持つ技術群
5
ナノサイズ・ハイブリッド・
マテリアルの創製
研究担当:古賀健司
[email protected]
ナノシステム研究部門 フィジカルナノプロセスグループ
連携担当:池上敬一 [email protected]
つくばセンター
●ナノサイズの貴金属と酸化物がヘテロ接合したハイブリッド・ナノ粒子
●合金ナノ粒子を急激に酸化させるだけのシンプルでクリーンな気相連続生成法
●ハイブリッド・ナノ粒子の光触媒やガスセンサ等への応用
ナノ粒子の機能高度化のためには、異種のナノ粒子間で接合を作りハイブリッド化させることが重要です。それに
より、粒子特性の増強や、接合界面に由来した新規物性が発現するからです。ナノ粒子間で接合を作る従来の手法は、
液相中で複雑な化学反応工程を行うなど簡便でなく、生成粒子の清浄化には、残存イオンや有機分子等の洗浄・焼成
工程も必須でした。産総研では、貴金属と酸化物が接合したナノ粒子のシンプルでクリーンな気相連続生成法を開発
しました。特に、貴金属と半導体酸化物が接合したナノ粒子は、光触媒やガスセンサへの応用が期待できます。
右上図のように、レーザーアブレーション法などによっ
て、He ガス流中に卑金属と貴金属の合金ナノ粒子を生成さ
せ、加熱管内へ流入させます。合金ナノ粒子は加熱された
状態で、急激に酸素ガスに曝され、合金中の卑金属成分の
みが酸化されて酸化物となり、貴金属との相分離が起こり
ます。産総研は、急激酸化では、酸化物の成長が異方的に
起こり、貴金属と酸化物が並列に接合したハイブリッド・
ナノ粒子が生成することを発見しました。右下図は、Ni-Au
合金ナノ粒子の急激酸化によって生成した、マッチ棒形態
の Au-NiO ハイブリッド・ナノ粒子の TEM 写真です。
合金ナノ粒子の急激酸化プロセス
・光触媒等の機能発現が期待できるハイブリッド・ナノ粒
子の開発と電子顕微鏡によるキャラクタリゼーション
・特許出願情報 WO 2012/105631 (2012/08/09)「貴金属
―酸化物接合ナノ粒子、及び、その高純度製造方法」
、
WO 2014/021230 (2014/02/06)「立方体形又は四角柱形
を有する岩塩型酸化物ナノ粒子と微細金属粒子との接
合構造体、及び、その製造方法」
謝辞:本研究の一部は、科研費(22560664, 26420716)の助
成により行われました。
マッチ棒形態の Au-NiO ハイブリッド・ナノ粒子
6
液中レーザー溶融法による
球状サブミクロン粒子の製造と応用
研究担当:石川善恵
[email protected]
ナノシステム研究部門 フィジカルナノプロセスグループ
連携担当:池上敬一 [email protected]
つくばセンター
●様々な材料で、サブミクロンサイズの結晶性球状粒子の合成が可能。
●界面活性剤や鋳型分子等が不要であり、表面が清浄な粒子を容易に得ることが出来る。
●光学材料や、医療用材料等への応用に期待。
既存のサブミクロンサイズの球状粒子として、ポリマーやシリカ等のアモルファス球状粒子や、ナノ結晶で構成さ
れた多孔性の結晶性球状粒子があります。これに対し、産総研のオリジナル技術である「液中レーザー溶融法」では、
無孔性で高い結晶性を有する球状粒子の合成が可能で、材料によってはサブミクロンサイズの球状単結晶粒子を得る
ことも可能です。本手法は材料汎用性に優れており、既存技術では合成が困難な難加工性材料の球状粒子を得ること
も可能です。
レーザー光 ZnO
原料粒子
形状が不揃いのナノ~サブミクロンサイズの粒子を分散
100 nm
させた分散液に短パルスレーザーを照射することで、サブ
ミクロンサイズ球状粒子を得ることが可能です。
(図1)本
手法では、原料粒子が選択的にレーザー光を吸収すること
を維持した状態で固化することにより、球状粒子が得られ
ます。この様なプロセスにより、無孔性で結晶化した球状
粒子を得ることが可能です。本手法では界面活性剤や鋳型
原料粒子
TiO2
で瞬間的に溶融し、パルスの間欠時に表面張力による球形
原料粒子
分散媒
攪拌子
1 m
(水、エタノール等)
分子等が不要であるため、清浄な表面を有する球状粒子を
図 1 液中レーザー溶融法の概略図と
得ることが可能になります。
本法で得られる球状粒子
医療用材料への展開
・DDS用薬剤粒子の開発(ホウ素含有球状粒子のホウ素
中性子捕捉療法(BNCT)用薬剤への応用研究など)
B4C
Fe3O4
TiO2
・光学材料への展開(蛍光粒子を用いた新規ランダムレー
ザーの開発、太陽電池用散乱体など)
BNCT 用薬剤粒子
スクリーニング用磁性ビーズ
光線力学療法
・特許第 5168690 号「ホウ素ナノ粒子又はホウ素含有ナノ
粒子及びその製造方法」
・特許出願情報 2012−183134 (2012/08/22)「ランダムレー
ザー素子及びその製造方法」
光学材料
光電変換効率
への展開
10%向上
図 2 球状粒子の応用展開
7
光異性化反応を利用した
革新的機能材料の開発
研究担当:木原秀元/秋山陽久/松澤洋子
[email protected], [email protected], [email protected]
ナノシステム研究部門 スマートマテリアルグル-プ
連携担当:名川吉信 [email protected]
つくばセンタ―
●光記録材料に応用できる結晶‐アモルファス相転移が可能な有機化合物を開発。
●光可逆接着剤に応用できる固体‐液体相転移が可能な有機化合物を開発。
●カーボンナノチューブの分散状態 ON-OFF 制御が可能な光応答性分散剤を開発。
有機化合物は、金属やセラミックスと比べて非常に軽量で、溶剤に溶けやすいという優れた性質を持っています。
また、同一の有機化合物でも、固体、液体、結晶、アモルファスなど様々な形態をとることが可能であり、それぞれ
の形態の特徴を生かした機能の発現が期待できます。当グループでは光異性化反応により形態(性質)が大きく変化
する有機材料の開発を進めています。光による有機化合物の形態変化を巧みに利用することにより、情報エレクトロ
ニクス分野や環境エネルギー分野に貢献できる革新的な機能性材料の創出が期待されます。
光記録材料に応用可能な有機化合物を開発しました。これ
・分子構造の最適化 ・新しい用途の開発
により塗布のような簡単な工程で書き換え可能な光記録
・特開 WO 2013/168712「光応答性接着剤」
メディアを生産できる可能性があります(図 a)
。光可逆接
・特許第 5552641「光応答性イオン性有機化合物
着剤に応用可能な有機化合物を開発しました。これを生産
及びその製造方法、並びに該イオン性有機化合物
工程の仮止めに使うことで歩留まりを向上させたり、製品
からなるカーボンナノチューブ分散剤」
の解体・リサイクルを容易にしたりできます(図 b)
。カー
・特許第 5083980「アントラセン誘導体及びその
ボンナノチューブ(CNT)の分散能を光で制御できる分散
二量体、これらを用いた光情報記録体並びに光
剤を開発しました。これにより市販の CNT の純度を高める
情報記録方法」
ことができ、さらに CNT のリソグラフィーに応用できる可
謝辞:本研究の一部は、科研費による助成、およ
能性があります(図 c)
。
び JST A-STEP による委託で行われました。
(a)
(b)
(c)
紫外光
紫外光
熱
可視光
18 mm
消去
紫外光
接着
脱離
書き込み
CNT 分散
CNT 凝集沈殿
(a)書き換え可能な有機光記録材料、(b)繰り返し使用可能な光可逆接着剤、(c)分散制御可能な光応答性 CNT 分散剤
8
蛍光体ナノ粒子
研究担当:伯田幸也
メ-ルアドレス [email protected]
ナノシステム研究部門
連携担当: 池上敬一 [email protected]
つくばセンター
●粒子径 10nm 程度の高分散金属酸化物蛍光体ナノ粒子
●流通式装置により製造量制御が容易。ナンバリングアップで量産も可能
●無機 EL 素子・照明、レーザー光源、波長変換材料として利用可能
金属酸化物蛍光体は、耐熱性、化学的安定性、耐環境性に優れており、これを微粒化できれば、塗布等の簡便なプ
ロセスで屋外照明などの光デバイスの製造が可能となります。しかしながら、従来技術では、微粒化と結晶性のジレ
ンマから高輝度な金属酸化物ナノ蛍光体を得ることが困難でした。そこで、我々は、独自の流通式反応装置により、
マイクロミキサー技術による微粒化と高温高圧流体中での化学反応による高結晶化を同時達成することで、高輝度蛍
光体ナノ粒子の合成に成功しました。
我々は、マイクロミキサー(流路径 0.1-0.5mmφ)を組み
込んだ独自の流通式反応装置を開発し、400℃、30MPa の超
臨界状態の水中での化学反応を利用して、種々の金属酸化
物蛍光体ナノ粒子の連続合成技術開発を行っています。マ
イクロミキサーにより、原料溶液は加熱水と混合され極め
て高速に加熱、反応し、ナノ粒子が生成します。さらに、
高温高圧水中では、ナノ粒子の低結晶性の要因のひとつで
ある水酸化物イオンの生成が抑制されます。その結果、高
赤色蛍光体ナノ粒子(Ca0.6Sr0.4TiO3:Pr0.002)の電子顕
結晶性ナノ粒子が生成し、それらはバルク結晶体と同程度
微鏡像と電界(EL)発光の様子
の発光特性を示します。
・金属酸化物ナノ粒子合成技術
・ナノ粒子の基礎構造解析および PL/EL 特性評価
・特願 2011-125318「蛍光体微粒子、該蛍光体微粒子の製
造方法、蛍光体薄膜及びELデバイス」
謝辞:本研究の一部は、JSPS 科研費の助成を受けたもので
す。
流通式ナノ粒子製造装置とマイクロミキサー
9
エバネッセント光―伝播光変換技術を
利用した高効率・高指向性発光素子
研究担当:王 学論
[email protected]
ナノシステム研究部門 ナノ光電子応用研究グループ
連携担当:名川吉信 [email protected]
つくばセンター
●微小リッジ・錐台の賦形により、半導体内部の光を高効率で取出し
●新原理により発光の空間指向性の制御も可能に
●革新的超高効率・高指向性発光素子の実現に道を拓く
LED による省エネ照明の本格的普及のためには、LED 内部に生じた光を 100%に近い効率で外部に取出す技術が必要
不可欠です。また、高い空間指向性を持つ LED が多くの応用分野において強く望まれています。我々は、微小リッジ・
錐台を表面に賦形することにより、LED 内部の光がエバネッセント光-伝播光変換現象という特異な物理現象によって
高い効率で取出せると同時に、強い指向性を発現させることも可能であることを明らかにしてきました。本研究では、
この技術を利用した超高効率・高指向性発光素子の実現を目指しています。
従来のLED は一般に、
平坦な光取出し面を持っています。
その場合、90%以上の光が LED・空気界面において全反射さ
れ、外部に取出すことができません。我々は、微小リッジ
構造を LED 表面に賦形することにより、全反射の光がエバ
ネッセント光の結合現象(屈折率に傾斜を設ける技術とは
本質的に異なる)によって高い効率で外部に取出せること
1.5m
を見出しました。上記技術を利用して赤色 LED の光取出し
効率を従来技術に比べて2 倍向上させることに成功しまし
赤色 LED の表面に賦形した微小リッジ構造の
た。さらに、発光層の位置・サイズを制御することにより、
電子顕微鏡写真
発光に強い指向性を持たせることにも成功しました。
2.0
・高指向性 LED の基礎技術の共同開発
・特許出願情報 PCT/JP2010/051813 (2010/02/08)「半導体
発光ダイオード」
・特開 2012-38977 (2012/02/23)「半導体発光ダイオード」
謝辞:本研究の一部は科学研究費補助金基盤研究
(A)(#24246011)の援助を受けて行われたものです。
光出力(任意単位)
・微小リッジ・錐台の大面積・低コスト作製技術の開発
2倍
1.5
本技術
(リッジLED)
1.0
従来技術
0.5
平坦LED
0.0
0
20
40
60
80
注入電流 (mA)
赤色 LED の電流-光出力特性
10
100
レーザー局所場反応技術ならびに
活性化学種・光材料物性の分析評価技術
研究担当:佐藤正健
[email protected]
環境化学技術研究部門 レーザー化学プロセスグループ
連携担当: 池上 徹,[email protected]
つくばセンター
●レーザーを利用した光化学プロセスによる位置選択的表面機能化
●ポリマー、ガラス、半導体、金属表面の高速微細パターン形成
●活性化学種・光材料物性の分析評価技術
化学/環境・エネルギー/電子情報などの先進産業分野では、製造技術の高度化とともに、省工程・省部品化、低コ
スト化、環境負荷低減が求められています。我々のグループでは、光の特性を最大限に活かし、脱真空・薬液低減な
どを通じて製造プロセス全体での省エネルギー化・環境負荷低減を図る、グリーンサステイナブルケミストリーに適
合するレーザー反応処理技術の開発に取り組んでいます。高速任意形状光走査や超短パルス照射といった最先端光技
術も利用し、高速且つ位置選択的、高効率に表面機能化を行う技術や分析評価技術の開発に挑戦しています。
レーザー照射により位置選択的に誘起できる光反応プ
ロセスを利用した表面機能化処理を行っています。レーザ
ー光をガルバノミラーにより高速任意形状走査すること
で、大気圧下で任意微細形状高速処理が可能なオンデマン
ド型光化学局所場処理システムを構築し、ガラス表面へ意
匠性マーキングを実現しています(図中(a))
。レーザーア
ブレーション時に発生する活性化学種の発光分析では、表
面に存在する元素の識別が可能です。表面の微量成分の検
・レーザー光による位置選択的表面処理
・ポリマー・ガラス・半導体・金属材料の
微細パターニング
・表面微細構造の観察・分析
・活性化学種・光材料物性の分析評価技術
・特許第 3012926 号(登録 1999/12/17)「透明材料
の微細加工法」(米国特許 6362453 号、独国
19912879 号など)
出に利用可能です。
(a)
(b)
局所場処理:微細加工、
光化学反応による機能付与
(a)ガラス表面への表面局所場処理(マーキング)(b)レーザーアブレーション時に発生する活性化学種の分析評価
11
光波を利用したスペクトル強度干渉
断層イメージング技術とその展望
研究担当:白井智宏
[email protected]
計測フロンティア研究部門 超伝導分光グループ
連携担当:齋藤直昭 [email protected]
つくばセンター
●分散によって分解能が低下しない断層イメージング技術を開発
●光コヒーレンストモグラフィに類似したシンプルな実現光学系
●歯根部の断層像を非侵襲で取得する歯科診断機器の実現に期待
光波の干渉を利用した OCT(光コヒーレンストモグラフィ)は、低侵襲かつ高い深さ分解能で断層のイメージング
が可能となることから、網膜の断層情報を取得する眼科診断機器から生物・医学分野の基礎研究に至るまで広く利用
されています。しかし、被測定対象に未知もしくは複雑な群速度分散(以下、分散)が存在する場合には、原理的に
分解能の低下を避けることができません。この問題を解決する技術の開発により、断層イメージング技術の適用範囲
が広がり、さらに光を使った医療診断機器の高性能化が期待されます。
量子もつれ光子対を使った量子 OCT は、分散の影響を
受けないことが知られています。しかし、量子もつれ光子
Reference
mirror
Source
U1
対は微弱かつ発生と制御が容易ではないことから、この量
G
BS2
子 OCT を実際の計測現場で使用することはかなり困難と
Detector 1
Computer
(Intensity
Correlation)
U2
BS1
なります。そこで産総研では、量子 OCT と従来型のスペ
G
Detector 2
クトル領域の OCT を融合し、一般的な古典光源を使った
場合でも分散の影響を受けない「スペクトル強度干渉断層
イメージング技術」を開発しました(図1)
。さらに、そ
の効果的な実装方法を考案し(図2)
、市販の OCT 装置の
Sample
図1:スペクトル強度干渉断層イメージング技術
オプションとしての実現可能性を明らかにしました。
Source
Reference
mirror
・光波の伝搬、干渉、回折、散乱に関する理論解析
・統計光学、コヒーレンス理論に関する理論解析
BS1
Computer
PZT
・液晶位相変調素子を利用した光波の制御技術
G
・スペクトル強度干渉断層イメージング技術の実現
謝辞:本研究の一部は、平成 25 年度科学研究費助成事業・
基盤研究(C)「生体光計測のための強度相関イメージン
グ技術の研究(課題番号: 25390104)」の助成を受けま
した。
12
Sample
図2:効果的な実装光学系
Detector
針葉樹型カーボンナノ構造体
小型 X 線源の開発とその応用
研究担当: 鈴木良一
[email protected]
計測フロンティア研究部門 首席研究員
連携担当: 齋藤直昭 [email protected]
つくばセンター
●ヒーターレスで従来の熱陰極 X 線源と同等以上の X 線を発生可能
●小型軽量・バッテリー駆動可能な X 線源により可搬性が高い
●非破壊検査や医療診断などに利用可能
セキュリティや医療診断の分野など様々な分野で、X 線を用いた検査が利用されているが、従来の X 線源は重い、
大きい、消費電力が大きいといった問題があり、利用分野が限られていました。当所では、特殊なカーボンナノ構造
体を用いた小型軽量で電池駆動も可能な X 線源を開発しました。この X 線源は、小型、軽量、電池駆動可能、寿命が
長い、パルス駆動可能といった多くの特徴を持ち、これまでの X 線源の置き換えだけでなく、その高い可搬性を利用
することにより、新たな応用も期待できます。
当所では、高エネルギー電子線・X 線の発生・利用技術
の研究を行ってきており、針葉樹型カーボンナノ構造体を
X 線発生用の冷陰極電子源として用いることで、安定した
X 線発生が可能であることを見いだしました。このカーボ
ンナノ構造体を利用した X 線源は、
最大管電圧 150kV 以上、
最大管電流 10mA 以上と、従来の熱陰極 X 線源と同等以上
の X 線発生が可能で、ヒーター等の電力が不要なため、乾
電池や USB 電源でも駆動でき、右上図のように小型化でき
ます。この X 線源を用いて、様々な対象物の X 線透過像を
撮ることができます(一例:右下図)
。
X線
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
155 mm x 160 mm x 70 mm
開発したX線源(CDケースとの比較)
・カーボンナノ構造体 X 線源の製造・性能評価
・可搬型非破壊検査装置の応用技術
・電池駆動による高電圧発生ノウハウ
謝辞:本研究の一部は、経産省戦略的基盤技術高度化支援
事業、JST A-STEP、NEDO インフラ維持管理・更新等の社会
課題対応システム開発プロジェクトによる支援を受けて
開発を行ってきたものです。
13
金属製バルブの X 線透過像
金属製バルブ(1ショットで撮影)
加速試験を代替する電気特性評価を
用いた超精密計測
研究担当:金子晋久
[email protected]
計測標準研究部門 電磁気計測科
連携担当:石川 純 [email protected]
つくばセンター
● 超精密電気計測は、製品評価や加速試験の代替として利用可能です。
● 一次標準を用いた絶対計測は、経年変化や環境変化の兆候を素早くとらえます。
● 大きく環境を変化させたり、時間をおくことなく、非破壊で素早い評価が可能です。
超精密性能評価は必要以上に過酷な試験をすることなく、その環境特性・経年特性を通常使用に近い条件の変化に
対し、比較的短期間で評価できます。つまり、非破壊試験であるにもかかわらず、加速(劣化)試験に取って代わる
技術として利用可能です。そのような観点から、一次標準あるいはそれにトレーサブルな測定系を用いた絶対測定に
より、製品評価、開発を行った事例:蓄電池のインピーダンスによる評価、抵抗の一次標準を基本にした絶対評価、
接触抵抗の評価などを紹介します。
製品評価に頻繁に使用されている加速(劣化)試験を含む
繰返し
充放電
電圧
手法は、実際の使用環境を模擬していないことも多く、そ
時間
の条件の選定と根拠には曖昧な点も多いのが現状です。そ
内部状態変化
のため必要以上に過酷な試験をすることになる事も多く
なります。超精密計測では、非破壊に製品の状態を評価し
金属Li析出等
繰返し使用後
未使用状態
内部状態の変化に起因する
インピーダンスの変化
↓
性能劣化の指標
たり、製品の状態変化、出力変化、測定値変化などをその
変化量が極めて微小な状態で検出することが出来るため、
Z”
製品に過大な負荷をかけずとも、その環境(温度・湿度・
より精密な評価により
早期検出が可能?
Z’
印加電圧・振動・紫外線・放射線など)による変化、経年
変化などが検出できます。
蓄電池の充放電に伴うインピーダンス変化による劣化診断
・抵抗、電圧、インピーダンス、電力関係量の一次標準に
トレーサブルな精密測定
アニール処理のみ
薬品処理+アニール処理
企業
・上記を用いた製品評価・加速試験の代替・製品開発
産総研
薬品処理のみ
測定の不確かさ
・環境特性、製品劣化の診断、不良検出等への応用
未処理
・標準や基準のより安価な維持に関する技術移転
・センサなどの評価、基準器・信号源等の開発・評価
測定の不確かさ@企業:ppmレベル(10-6 !!)
測定の不確かさ@産総研:ppbレベル(10-8 !!)
素早い条件の評価・
最適化!!
抵抗器の経年変化を最小化するための条件の最適化例
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光・放射線・放射能の高精度計測技術
研究担当: 齋藤則生/黒沢忠弘/田中隆宏/海野泰裕/柚木彰
[email protected]
計測標準研究部門 量子放射科
連携担当:石川 純 [email protected]
つくばセンター
●評価が困難な 5 keV 以下の低エネルギー軟X線の線量測定技術
●カロリメータ技術による紫外線からX線の光・レーザ強度(パワー)計測
●軟X線発生装置の品質管理、光・線量・放射能検出器の開発への応用
放射線計測技術を応用して、ニーズに対応した線量、光強度、放射能測定手法や測定機器を開発し、製品の安全性・
信頼性を高めることなどに貢献できます。また、放射線計測には光を用いた検出手法が多く用いられ、これらの技術
を光センサーに対する評価等にも応用できます。
特に、1)先進的に開発が進められている軟X線発生装置を利用した機器の安全性評価、2)紫外線~X線の光や
レーザパワーの評価、検出器・センサーの感度評価、3)環境試料中の放射性物質の評価に応用できます。
1)軟X線利用機器の安全性に関して、5 keV 以下の低エ
ネルギー軟X線の線量評価は非常に困難でしたが、外
挿電離箱を用いて評価する手法を実現しました。
(図 1)
2)先端分析や加工で利用されている紫外線~X線の光ま
たはレーザの強度(パワー)を、独自に開発したカロ
リメータ技術で精度良く測定し、測定器・光センサー
の感度などの評価が可能となりました。
(図 2)
3)微弱光の測定は、シンチレーション検出器を用いた放
射能測定器の新規測定法の開発に応用されています。
図 1 外挿電離箱(軟X線の線量評価を実現)
環境試料中の放射性物質の評価に貢献できます。
・低エネルギー軟X線に対する線量測定
・放射線計測に関連する光センサーの評価
・紫外線・X線の光またはレーザパワーの評価
・放射性セシウム、放射性ストロンチウムの感度評価
光・X線
・環境試料中の放射性物質の高精度測定の開発、評価
・特許出願情報 2013-144818 (2013/07/10) 「絶対光強度
測定装置及び測定方法」
・特許出願情報 2013-197916(2013/09/25)
「大立体角ガン
マ線・ベータ線同時検出装置」
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図 2 X線レーザ測定用常温カロリメータの受光部
平成 26 年度 先端産業研究交流会 【光関連技術】
産総研 技術シーズ発表会 資料集
平成 27 年 2 月 2 日
本資料は平成 27 年 2 月 2 日に開催された「産総研 技術シーズ発表会」の講演内容の概要を取りまとめたも
のです。内容の全部または一部について無断での複製を禁じます。
内容に関する問い合わせ等は以下までお願いします。
連絡先
産業技術総合研究所 産学官連携推進部 関東産学官連携推進室
電話 029-862-6644
FAX 029-862-6130
Email [email protected]
静岡県 経済産業部 新産業集積課 技術振興班
電話 054-221-3622
FAX 054-221-3216
(非売品)
Email [email protected]