ここでは分析方法(ⅰ)1 用いて、日本人に 360 拍/分の読み方スピード(以下、360 拍/分)が受け入れら れるかを見てみた。日本人全体と各年齢層において 4 種の読み方スピードへの支持率を比較した。 なお図中、表中の n は被調査者の人数、x は被調査者の回答の合計点数(x=n×2 点×3 問)である。これは分 析方法(ⅰ)の計算法に基づいている。 日本人全体 まず、日本人全体(199 名)における 4 種の読み方スピードへの支持率を見てみる。 なお図での「***」は有意水準 1%、 「**」は有意水準 5%、 「*」は有意水準 10%で有意差 2 が認められた 事を表している。 *** *** 80 70 60 50 40 30 20 10 0 日本人全体 *** 320拍 360拍 400拍 440拍 45 73 68 64 (単位:%、n=199、x=1194) 図 日本人全体における 4 種の読み方スピードへの支持率 (加点法による 3) 図は日本人全体における 4 種の読み方スピードへの支持率を示したグラフである。図中の 360 拍/分への 支持率(73%)と他の 3 種の読み方スピードそれぞれへの支持率の間に有意水準 1%で有意差が認められた。 このことから、360 拍/分は日本人全体に受け入れられる傾向がある。 1 分析方法(ⅰ)・・・ (分析方法 URL)を参照 2 有意差・・・統計上からは偶然に起こったとは判定できない差のこと。有意差検定を行うことで、数値間の差は意味がある差なのか、意味の ない単なる見かけ上の差であるのかを確かめることができる。 3 加点法・・・ある設問に対し用意された質的な選択肢の、たとえば「とても」や「ときどき」 、 「やや」 、 「まったく」といった、その程度に対 して傾斜した点数を加えて数量化する方法。 1 年齢層別 次に、年齢による結果の偏りがないかを知るため、年齢層ごとの支持率を同じように見てみる。 表 年齢層ごとの 4 種の読み方スピードへの支持率 320 拍 360 拍 400 拍 440 拍 36 68 65 61 40 71 71 66 51 73 64 59 61 84 78 78 小学生層 (n=56、x=336) 若者層 ( n=54、x=324) 中年層 ( n=58、x=348) 高年層 ( n=31、x=186) (単位:%) 表は、年齢層ごとに 4 種の読み方スピードへの支持率を示したものである。色がついているのは、それぞれの 年齢層において支持率が高い部分である。 〇小学生層 表の小学生層(56 名)に注目する。320 拍/分への支持率(36%)に対し、他の 3 種の読み方スピードそ れぞれへの支持率の間に有意水準1%で有意差が認められた。他方、360 拍/分への支持率(36%)に対し、 400 拍/分への支持率(65%)と 440 拍/分への支持率(61%)それぞれの間の有意水準はいずれも 10%か それ以上で、際立った有意差は認められなかった。 これらのことから、360 拍~440 拍/分は小学生層に受け入れられる傾向がある。 〇若者層 若者層(54 名)に注目する。320 拍/分への支持率(40%)に対し、他の 3 種の読み方スピードそれぞれ への支持率の間に有意水準 1%で有意差が認められた。他方、360 拍/分への支持率(71%)に対し、400 拍 /分への支持率(71%)と 440 拍/分への支持率(66%)それぞれの間には有意差が認められなかった。 これらのことから、360~440 拍/分は若者層に受け入れられる傾向がある。 〇中年層 中年層(58 名)に注目する。360 拍/分への支持率(73%)に対し、320 拍/分への支持率(51%)と 440 拍/分への支持率(59%)それぞれの間に有意水準 1%で有意差が認められた。また、360 拍/分への支持率 (73%)と 400 拍/分への支持率(64%)との間に有意水準 5%で有意差が認められた。 これらのことから、中年層には 360 拍/分がもっとも受け入れられる傾向がある。 2 〇高年層 高年層(31 名)に注目する。320 拍/分への支持率(61%)と 360 拍/分への支持率(84%)との間に有 意水準 1%で有意差が認められた。他方、360 拍/分への支持率(84%)に対し、400 拍/分への支持率(78%) と 440 拍/分への支持率(78%)それぞれの間に有意差が認められなかった。 これらのことから、360~440 拍/分は高年層に受け入れられる傾向がある。 ※また、全ての読み方スピードにおいて、高年層と他の年齢層の支持率の間には有意水準 1~10%で有意差 が認められた。このことから、全ての読み方スピードは高年層にもっとも受け入れられる傾向がある。 360 拍/分は全ての年齢層に受け入れられる 中年層では 360 拍/分、それ以外の年齢層では 360~440 拍/分が受け入れられ、すべての年齢層で受け 入れられている読み方スピードは 360 拍/分であった。 これらのことから、360 拍/分は全ての年齢層に受け入れられる傾向があることが明らかとなった。 3
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