ダイヤモンド半導体 -新しいエレクトロニクス材料 新しいエレクトロニクス材料新しいエレクトロニクス材料 産業技術総合研究所 招聘研究員 山崎聡 研究領域:二酸化炭素排出抑制に資する革新的技術の創出 研究課題名:超低損失パワーデバイス実現のための基盤構築 1 本日皆様へお伝えしたいこと ダイヤモンドエレクトロニクスが次世代の産業へつながる。 パワーエレクトロニクスの将来。 基本的な道筋は本CRESTで示すことができた。 ダイヤモンド半導体による新しい機能のエレクトロニクス なぜ、ダイヤモンド? 問題となる基板のコスト・大きさに新しい技術が生まれた。 社会実装には新しい技術が必要となること。 新しい技術には新しい産業が生まれる。 新たなメンバーの参入が必要。 ダイヤモンドエレクトロニクスを知っていただき、 新しい事業展開として考えていただきたい。 2 持続可能社会実現のためのエネルギー予測 再生可能(橙) 化石燃料(赤) 原子力(紺) 電力(緑) 水力(水) エネルギー量(PJ) 50,000 0 一次 最終 2000年 点線:GDPの伸びに比例 一次 最終 2050年 CO2/GDP:1/3 一次 最終 2100年 <1/10 超長期エネルギー予測(経産省資源エネルギー庁) www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g50809a04j.pdf 石油を採掘し、ガソリンを燃やす時代から 太陽電池による電力を使って、電気自動車を動かす時代へ! 太陽電池による電力を使って、電気自動車を動かす時代へ! 電力化社会が必ず来る! 3 先進パワーデバイスの展望と研究開発体制 ワイドバンドギャップ半導体プラットフォーム (SiC:2015~、GaN:2015 ~Diamond:2025~) Si-スイッチングデバイスと SiC ダイオード のハイブリッドペア (2013~2025) シリコンプラットフォーム (~2025) オンチップ変換器 Diamond FET/ BJT/PiN 高温動作 SiC-IGBT 高温動作 SiC-PiN SiC-MOS SIT/SBD GaN-FET/GaN Diode GaAs-FET Si-IGBT/ SiC-SBD, SiC-PiN Si-MOS/ SiC-SBD オンチップ変換器 の融合) IGBT, Thyristor/PiN (パワーとLSIの融合) (パワーと CMOS, MOSFET (SJ)/SBD, PiN メモリとロジックの融合 1 10 100 1k 10k Blocking voltage [v] 2008年度NEDO調査「2050年における省エネルギー社会の実現に向けた電気エネルギー有効利用に関わる グリーンエレクトロニクス技術」、大橋弘通、NEDO省エネフォーラム2009 ダイヤモンドは次世代パワーデバイスとして認知されている。 4 これまでのパワーデバイス材料の比較 絶縁耐圧 熱伝導率 比誘電率 結晶性 資源制約 (MV/cm) (W/cmK) 電力性能指数 2 Si 0.3 1.5 1 11 ◎ ◎ SiC 4 5 670 9.9 多形 ◎ GaN 2 1.5 140 9.8 ○ X ダイヤモンド > 10 > 20 24000 5.7 ◎ ◎ (V /cmsec) ダイヤモンドは、絶縁耐圧・熱伝導率が最も高く、電力性能指数としては最高! パワーデバイスとして、非常に大きなポテンシャルを持っている。 性能指数として、Si, SiC, GaNを凌駕する大きな値。 パワー密度が大きくとれ、冷却系を含めた電力系の小型化・軽量化が図れる。 最大のダイヤモンドの問題点:大面積・低コスト基板がない。 基板が宝石であり、「広く・安い基板がない」! パワーデバイス以外にもユニークな機能を持つデバイスが可能! 5 p+-i-n+ n+ layer (P : ~1020cm-3) i layer p+ layer (B : ~1020cm-3) ダイオードから電子が漏れ出る! 超高耐圧用 半導体真空スイッチ 発光強度 (任意単位) ダイヤモンドなのに大電流が流れる! 高耐圧大電流ダイオード e e e n+ cathode i p 材料の置き換えではない、ダイヤモンドだからできたデバイス開発! 10 8 6 4 2 0 200 室温で単光子源、室温で多量子ビット! 室温量子デバイス 300 400 500 発光波長 (nm) 600 間接遷移半導体なのに光る! 新原理 励起子LED 励起子 半導体の教科書にないデバイス群 ダイヤモンドは常識はずれのデバイスができる! 6 水素終端ダイヤモンドを用いた 熱電子発電技術 (負性電子親和力) バンド図 e 金属の場合 障壁が高い (1500℃が必要) 金属 真空レベル 高温側 水素終端 ダイヤモンド 低い障壁 (500℃で実証) ダイヤモンド中窒素空孔ペアを用いた 量子デバイス(磁気センサー) (高いフォノン周波数) 低温側 水素終端 ダイヤモンド ee e e 真空レベル 高温側 真空 低温側 ee e e D ee ee e A-STEP (ハイリスク挑戦タイプ) 革新的なダイヤモンド熱電子発電技術の開発 多結晶ダイヤモンドを利用。 産総研・デンソー CREST (革新的ナノエレクトロニクスの創成) 炭素系ナノエレクトロニクスに基づく 革新的な生体磁気計測システムの創出 東工大・産総研・ルネサス・阪大・京大・筑波大 7 <優れた基礎研究としての成果> ダイヤモンドの持つ周期表第2周期の半導体としての特殊性を明確化 初めての第2周期元素のみからなる半導体 しかも、高品質化可能な単元素半導体 ダイヤモンド半導体 ― 第2周期半導体 周期半導体 初めて手に入れた新しい半導体 8 IV族元素の比較 3 2.5 Si ダイヤモンド 2 1 0.5 Ge Si 水素の電気陰性度 1.5 結合長(Å) C 4p 4s 3d 3p 3s 2p 2s 1s 電気陰性度 4p 4s 3d 3p 3s 2p 2s 1s 0 結合エネルギー(eV) 4p 4s 3d 3p 3s 2p 2s 1s Ge C ダイヤモンド Si Ge Si Ge 最高の硬度、最高の熱伝導率、高い絶縁耐圧 炭素の内殻電子の数が少ないために、元素として特殊な構造を持つ! 9 熱伝導率(W/cmK) バンドギャップ(eV) 半導体の比較 ダイヤモンド Si SiC GaN GaAs 14ダイヤモンド Si SiC GaN GaAs SiC GaN GaAs 絶縁耐圧(MV/cm) 12 10 比誘電率 8 6 4 2 ダイヤモンド Si SiC GaN GaAs ダイヤモンド Si 0 炭素の内殻電子の数が少ないために、半導体として特殊な物性を持つ! 10 新技術の特徴 • 超高耐圧用パワーデバイス – 高い絶縁耐圧・熱伝導率・新しい物性 • 新しい半導体真空スイッチ – 高い電気陰性度、安定な水素終端 • 高温・高出力対応殺菌用新原理励起子LED – 誘電率が小さいために室温でも安定な励起子 • 一個の核スピンを検出できる高感度磁気センサー – スピン緩和が極端に長い。 • 新しい廃熱利用熱電子発電素子 – 高い電気陰性度、多結晶・n型ダイヤの利用 11 実用化に向けた課題(企業の皆様への期待) ダイヤモンドエレクトロニクスの社会実装に必要な技術 高性能デバイス特性の実証 新構造デバイスの設計 新しい応用 ダイヤモンドの持つユニークな機能を使える場所 実装技術 高温にも耐えられる 高電圧でも壊れない。 紫外線にも耐えられる。 ダイヤモンド薄膜の作製装置 等々・・・ 活躍の場は広い! 12 従来技術とその問題点 ダイヤモンドは新しい半導体:新しい機能がある。 問題点 ・応用の範囲が広く、最初の応用をどこに置くか 機能とコストの両立 ①量産性とコストに優れた基板の製法が未確立 ②優れたダイヤモンド半導体の特性を活かしたデ バイス開発のための要素技術の確立 13 ダイヤモンド基板の作成方法 50000atm 1500℃ ℃ 高圧高温(HPHT)ダイヤモンド基板 )ダイヤモンド基板 高圧高温( HPHT法によって作製された ダイヤモンド レーザーカットされた ダイヤモンド ダイヤモンド デバイス 高温高圧(HPHT) ) 高温高圧( ダイヤモンド基板 ダイヤモンド基板 ホモエピダイヤモンド基板 ホモエピダイヤモンド基板 CVDにより成長 (ホモエピ法) スライス ホモエピCVD ホモエピ ダイヤモンド基板 ダイヤモンド基板 ダイヤモンド デバイス diamond ヘテロ自立ダイヤモンド基板 ヘテロ自立ダイヤモンド基板 シリコン or MgO + 中間層 diamo nd diamond ダイヤモンド ヘテロ自立 ダイヤモンド基板 デバイス ヘテロ薄膜ダイヤモンド基板 ヘテロ薄膜ダイヤモンド基板 シリコン or MgO ダイヤモンド ヘテロ薄膜 + 中間層 ダイヤモンド基板 デバイス 産総研・信越化学で 開発したダイヤモンド基板 新技術 14 新技術:ヘテロ薄膜ダイヤモンド基板と電気特性 ショットキー電極 0.18 mm 径 チタン/白金/金 10 -1 室温測定 10 -3 白金 ボロンドープ層 : 4 x 1016cm-3 1 µm 高濃度ボロンドープ層: ~1020 cm-3 1 µm ヘテロ薄膜ダイヤモンド基板 ~30 µm イリジウム ~1 µm 電流(アンペア) オーミック電極 0.38 mm 径 10 1 測定値 理論曲線 10 -1 10 -5 10 -3 10 -7 10 -5 10 -9 10 -7 10-11 10 -9 10-13 シリコン+中間層 ~1 mm 検出限界 10-15 -2 -1 0 1 2 3 10 -11 電流密度 電流密度(アンペア (アンペア (アンペア/平方センチメートル) 平方センチメートル) ● SBD 作製 良好な整流特性(理想因子:1.2、整流比:1012 at ± 4 V ) 初期のデータながら1MV/cm の絶縁耐圧 ● 大面積化、低コスト化に高いポテンシャル 4 電圧(ボルト) ・ GaNの場合、「GaN on Si」が「GaN on GaN」より実用化では先行 ・ SiCの場合、「SiC on Si 」は材料として困難。 ・ 「SiC on SiC 」の場合、threading dislocation はあっても問題なし。 15 ダイヤモンド基板の比較 高温高圧 ホモエピCVD ヘテロ自立 大面積化 × △ ○ 低コスト化 × △ ○ デバイス特性 ◎ ◎ ? ○ 結晶性 不純物混入 成長膜厚 研磨回数 スライスの手間 ○ × 2 × ○ ○ × 2 × △ △ × 2 ○ ヘテロ薄膜 ◎ ◎ ? ○ △ △ ○ 1 ◎ ヘテロ薄膜上ダイヤモンドデバイスの特性が確認されたことにより、 低コスト大面積基板の展望が開けた。 16 各種半導体ウエハーサイズの年次展開 18 12 8 Si (LSI) Si (Power) GaN/Si (表面デバイス) ウェハサイズ(インチ) 6 5 SiC 4 3 GaN 2 貼り合わせ 1 ヘテロ薄膜 ダイヤ ホモエピダイヤ ‘90 ‘95 ‘00 ‘05 ‘10 ‘15 GaNではオンシリコン(表面デバイス)が開発の主流 GaNではオンシリコン(表面デバイス)が開発の主流 SiCのオンシリコンは特性が出せない!(多型の影響) SiCのオンシリコンは特性が出せない!(多型の影響) ヘテロ薄膜ダイヤモンド(オンシリコン)では2 ヘテロ薄膜ダイヤモンド(オンシリコン)では2インチは容易に拡大可能 さらに大きな基板サイズ、コストの見積もり 17 本技術に関する知的財産権 • • • • • 発明の名称 出願番号 公開番号 出願人 発明者 :ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法 :特願2013-141218 :特開2013-258407 :国立研究開発法人産業技術総合研究所 :加藤宙光,牧野俊晴,小倉政彦,大串秀世,山崎聡 ダイヤモンド半導体の新しい作成プロセス 選択成長によるPN接合 その他、 深紫外線LEDや接合型FET構造・新構造パワーデバイスなど・・・ 18 欧米・日本におけるダイヤモンドパワエレ関連開発プロジェクトの概要 CRESTにおけるダイヤモンド研究の成果(n型、ホッピング、BJT、FET、JFET、etc.)をベースに ● ヨーロッパ Green Diamond Project EU 産学官15機関で開発 大規模プロジェクトのスターターとしての位置づけ フランス国内ヘテロダイヤモンド基板プロジェクト (2015- 2019) 5つの公的機関 Fraunhofer Project (2015.9開始)がスタート Fraunhofer5研究所(Ir Ir上ヘテロ成膜、 Ir上ヘテロ成膜、PNP 上ヘテロ成膜、PNPバイポーラトランジスタ、 PNPバイポーラトランジスタ、デバイスからパッケージ) バイポーラトランジスタ、 ● アメリカ ARPA-E SWITCHES 2つのダイヤパワーデバイスプロジェクト Michigan State University、Arizona State University ● 日本 府省連携の旗の下、内閣府SIPで日本のパワーデバイス展開 主なテーマはSiC、GaN、回路。ダイヤモンドは現在FSとして研究展開。 ダイヤモンドエレクトロニクスで世界が動いている。 ダイヤモンドエレクトロニクスは、日本が世界をリードしている! 19 お問い合わせ先 産業技術総合研究所 先進パワーエレクトロニクス研究センター 山崎聡 TEL: 029-861 - 2632 e-mail : s-yamasaki@aist.go.jp 知財に関して イノベーション推進本部知的財産・標準化推進部知財管理室 TEL:029-862-6965 20
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