1 ・研究代表者 :名古屋工業大学 准教授 分島 彰男 ・研究開発期間:フェーズⅠ 平成26年度 研究内容説明図 ミリ波による高速通信の拡大を牽引する Si基板上の窒化物半導体トランジスタの研究開発 1 研究開発の目的 光ファイバの置き換えをターゲットとした大容量のミリ波帯(70~80GHz)用トランジスタに 関して、従来のミリ波トランジスタである GaAs 系や SiC 基板上の GaN 系トランジスタでは実 現できなかった大電力特性と低コスト性を兼ね備えたトランジスタを開発し、急速にニーズ が顕在化する基地局のエントランス回線等の高い周波数への移行を促すことを目的とする。 2 研究開発の概要 GaN トランジスタの断面構造図 Si基板の低コスト性を維持しつつ、厚膜GaN 技術で高周波特性の劣化を最小限に抑制 高周波特性 Si 基板上の GaN 系トランジスタがミリ波帯(70~80GHz)で実用可能であることを実証する。 フェーズ I では、これまで技術蓄積してきた Si 基板上 AlGaN/GaN 構造において GaN 層を厚く することによって、Si 基板への高周波電力のリークを抑制する。その結果として、最大ドレ イン電流>250mA/mm、耐圧>40V、最大発振周波数>150GHz を実証する。また、同様の構造を用 いて伝送線路における高周波電力リークの低減を行う。フェーズ II では、フェーズ I で開発 したトランジスタを用いて、電力増幅器などの機能素子レベルで実用可能性を実証する。ま た、低価格化に向けた取り組みとして大口径 Si ウエハ(6または8インチ)を用いる。加え て、InAlN/GaN 構造を採用することで、トランジスタ単体の高周波特性をより向上させる。 GaN on SiC GaN on Si GaAs 3 期待される研究開発成果及びその社会的意義 通信フロントエンド素子の使い難さ(特性が貧弱)や高価格といったミリ波普及の障害の要 因を劇的に改善することによって、ミリ波通信の普及を加速できる。本研究開発課題では、 基地局のエントランス回線等の光ファイバからの置き換えを想定しているが、この応用で技 術力を高めることによって、現在の基地局-端末間通信用の増幅器の超高効率化技術として技 術開発がはじまっているスイッチング動作増幅器にも適用可能であることから、トランジス タ技術が通信技術全般の発展を強く後押しすると予想される。 SiGe CMOS 低価格性 開発する技術のポジショニングマップ ウェブアクセシビリティ 東海総合通信局
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