今後の取組と成果の検証方法 [26KB pdfファイル]

今後の取組と成果の検証方法
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今後の取組
平成 25 年度は電子黒板の導入、平成 26 年度は学習支援員の配置やハイパーQU 検査の実施、平成 27
年度はデジタル教科書の導入など、千歳市教育委員会の諸施策の実施とともに、各小中学校では、児
童生徒の学力向上に向けた取組を加速させてきた。千歳市 PTA 連合会では「千歳市家庭生活宣言」を
採択し、インターネットなどの使用に関する「家庭生活ルール」と家庭学習や生活リズムに関する「家
庭生活目標」を定め、全市的な取組が開始された。平成 25 年度から始められた千歳市学力向上検討委
員会の三者(学校・家庭・教育委員会)への提言は、着実に具体化されてきているが、一層の充実を
目指していくことが必要であり、先に示した課題の解決に向けて次年度も引き続き取り組みを進めて
いく。また、平成 26 年 3 月、平成 32 年度までの7年間を見通した「千歳市学校教育基本計画」が策
定されたが、この基本計画と一体的にとらえ、学力向上をめざす取組を推進することとする。
学校への提言
(1)ハイパーQU 検査の活用
今年度は、年 2 回(6 月と 11 月)の実施となり、診断結果を活用した指導の充実により「満足型学
級集団」の育成が促進された。今後も「親和的で建設的な切磋琢磨のある集団を基盤とした学習指導
が展開されることによって確かな学力が育成される」とする開発者の河村茂雄氏の考えのもとに、ハ
イパーQU 検査を活用し、
「満足型の学級集団」の育成を目指す。この際、K13 法を用いた研修会の実施、
要支援群の児童生徒への具体的な支援、1 回目の診断から 2 回目実施までの期間における具体的な指
導を確実に行なう。また学級集団の変容とその過程における指導内容を分析し、その内容を日常の指
導に生かす。
(2)自己有用感を高める取組の充実
これまでも千歳市の自然や施設を利用した学習活動、職場見学や職場体験活動、ボランティア活動
などを積極的に進めてきた。今後も社会や人々とのつながりを実感できる体験的な学びを通して、学
校での学習が自己の可能性を拓くことを知り、自立への道筋を形成するように指導を工夫する。この
際、これまで実施してきた体験的な学習活動の実施状況を評価し、教育課程の編成と実施にあたる。
また、日常の子どもたちの自主的自治的な活動について、一人一人の役割や責任を明確にし、その努
力を評価するなどの取組を一層促進する。
(3)いじめを許さない学校風土の醸成
これまでも「いじめ防止基本方針」に基づくアンケート調査、全校教員で対応する教育相談体制の
整備、児童生徒によるいじめ防止の具体的な取組を積極的に進めてきた。今後も、児童生徒に問題が
起きてから対処するのではなく、
「いじめ防止基本方針」に基づいて、アンケート調査、教育相談体制
の整備、児童生徒による自主的な活動、道徳教育の充実を進める。この際、人格が知的な学力面と道
徳的人間性の面を両輪として形成されることをふまえるとともに、いじめが見過ごされた時、児童生
徒の学習環境は根底から崩壊していくことを重大に受け止めることが大切である。また、日常的に行
われる教育活動の姿を常に点検し、いじめを許さない学校風土の醸成を図り、確実な定着をめざす。
(4)板書計画作成による授業改善
これまでも、
「課題」と「まとめ」の板書、
「まとめの 10 分間」の確保による適用問題の実施につい
て取組を進めているが、全ての学級、全ての教科について確実に定着される必要がある。今後は、こ
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れらが一層具体的、積極的に進められるよう「板書計画の作成」を基本に取組を集約し、授業にあた
っては構想された指導過程に沿って「課題」
「学習活動」
「まとめ」
(定着のための問題等)の内容と時
間の配分を記すなど、工夫して板書計画を作成するものとする。この際、児童生徒の学びの成立と指
導過程のあり方は一体であること、指導した内容を確実に定着させるためには「まとめの 10 分」を確
保し、一人一人の児童生徒の理解の定着を重視した授業づくりが必要であることの考えについてはこ
れまでと同様である。
また、
これら板書計画とノート指導の一体的な取組についても一層徹底を図る。
(5)ICT 機器活用による授業改善
各学校では電子黒板の導入以降、学習内容の理解を深めるためこれら ICT 機器を積極的に活用して
きている。千歳市教育委員会では研修会を開催したり、各校では効果的な活用方法について交流する
場を設けたりするなどの取組を進めてきた。今後も、これらの取組を一層充実し、児童生徒の豊かな
学びを引き出していくことが必要である。この際、これら ICT 機器は教師の指導力に組み込まれるこ
とにより大きな効果が得られることをふまえ、板書計画に示された黒板の活用を基本に授業改善を進
めることが重要である。また、授業改善や指導力の向上につなげることをめざし、機器のよさが最大
限生かされた事例を参考に交流を進めるなど校内研修の充実を図ることが求められる。
(6)児童生徒の授業評価による授業改善
全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙と学校質問紙を照らし合わせると、指導者と児童生徒の
意識に差がみられる。
教師の行動がどのように児童生徒に伝わっているのか、定期的に評価を行ない、
指導者としての基本的な資質の向上に努めるとともに、児童生徒の側にたった授業改善を進めること
が必要である。この際、学習過程に関わることの他に、教職員の言葉づかい・話すスピードや声の大
きさ・身ぶり・板書の構成や書字・服装なども学習の成立に大きな影響を与えることに留意し、評価
の観点に加える。また、これらの授業評価が確実に指導力の向上や授業改善につなげるよう、校内で
の取組を具体的に進める必要がある。
(7)学習規律の徹底
これまでも学習規律の指導については定期的な評価・改善に取り組み成果をあげている。今後も学
習用具の準備、ノートの使い方、聞き方・話し方等の指導を徹底する。この際、学年学級や教科によ
って差が生じないよう教職員の共通理解を深めることはもとより、児童生徒の自主的なかかわり、定
着状況の評価と指導のあり方等全校あげて取り組む必要がある。また、小中連携の担当者を決め、中
学校区毎の学習規律の共通化を図ってきているが、児童生徒の発達の適時性と即時性を踏まえ、9年
間を見通した指導を一層充実する必要がある。
(8)学力下位層に対する指導
これまでも学力下位層に位置する児童生徒の働きかけとして、朝や放課後に補充学習の時間を設け
たり、習熟度別少人数指導、長期休業中における補充的学習サポートなどを実施したりしている。今
後も学力下位層に対する指導は重要課題であり、NRT 検査、ハイパーQU 検査による学力とのクロス集
計結果などをもとに、個別の指導を要する児童生徒を把握し、それらのデータを学校改善プラン(分
析)に位置づけ、指導の充実を図る。その際、下位層の児童生徒一人一人の実態をとらえ、授業にお
ける指導の他、朝の時間、休み時間、放課後の時間において目をかけ、声をかけるなど、きめ細かい
指導を進める必要がある。また、学力下位層の児童生徒に対する継続的な指導が望ましい学級集団の
育成や豊かな学校風土の醸成に大きくつながることに留意する。
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(9)習熟度別少人数指導の充実
これまでも児童生徒の学習の理解や定着の差に応じた指導を行ってきているが、とりわけ小学校に
おいては独自に配置した学習支援員を活用し、習熟度別少人数指導を実施している。今後も、課題で
ある算数・数学の指導の充実を図るため、小学校においては学習支援員を含めた全校体制での習熟度
別少人数指導、中学校においては担当教科外の教員を含めた全校体制での TT 指導の充実を図る。この
際、つまずきが多い単元や重点的に指導を要する領域について、実施する時数や指導者の配置などを
定めた年間の指導計画を策定するとともに、学力上位層と下位層では実態が相当異なることを考慮し、
習熟度に応じた指導目標、指導形態、教材、学習活動など毎時間の指導過程を一層工夫する。また、
これらの授業が効果的に実施されるよう適宜評価を行うことが必要である。
家庭への提言
(10)「千歳市家庭生活宣言」運動の普及
千歳市 PTA 連合会ではインターネットなどの使用に関する「家庭生活ルール」と家庭学習や生活リ
ズムに関する「家庭生活目標」を定め、全市的な取組を開始している。この宣言は、子どもたちの家
庭における生活について共通する課題を取り上げているが、それぞれの家庭が自らの課題として受け
止め、自ら目標(家庭の約束)を定め、行動することを呼びかけている。今後、この運動の普及に向
けて各単 P は全力を傾注し、保護者を中心に PTA 便りや独自のポスター配布などによる広報宣伝、標
語募集やアンケート調査による意識の喚起、研修活動や学年学級行事などの機会をとらえた呼びかけ
など工夫した取組を推進することが求められる。この際、この運動は、家庭の教育力の向上をめざす
とともに、解決への地道な努力を通して、家族としての絆を強めることを願っていることに留意し、
これまで取り組まれてきた「家族への感謝の手紙」
「家事の手伝い」などと一体的にとらえていく必要
がある。
(11)家庭学習の習慣づくり
各学校では、家庭学習の手引きを作成し、配布するなど積極的な働きかけを行ってきている。しか
し、依然として取り組む時間の短さや休日における取組の不足など家庭での学習習慣は十分とはいえ
ない。家庭学習は学校での学習をより確かなものにするものであることを踏まえ、当日学校で学んだ
ことの適用問題を家庭で解く、これから学ぶ内容について家庭で調べるなどの宿題を一層積極的に出
すことが必要である。その際、児童生徒の自主的な取組を促すため、これまでと同様に、学習のし方
の具体的な指導、点検や評価、参考になる取組の紹介、生活リズムチェックシートなどを活用した学
習習慣づくりの働きかけなどは粘り強く進めていく必要がある。また、学校からは、学校便り、学年
学級便りなどを通して取組の状況や子どもたちの努力する姿や保護者の感想などを伝えたり、保護者
説明会や学年学級懇談会において理解と協力を求めたりするなど、学校と家庭が一体となって展開し
ていくことが重要である。
(12)教育に関する啓発
子どもたちの健全な成長は家庭や学校の願いであると同時に市民全体の願いである。このことから、
これまでも教育委員会だより「からふる」や HP による啓発などを行い、教育に対する関心を高めてき
ている。今後もこれらの広報活動を継続するとともに、千歳市 PTA 連合会や各学校の取組に対する
支援を通して家庭への働きかけを充実していくことが求められる。
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教育委員会への提言
(13)ICT 機器の活用
これまで全小中学校普通教室への電子黒板、実物投影機、ブルーレイビデオプレイヤーが配備され、
小学校に対してはデジタル教科書が導入されるなど ICT 機器の活用が進んでいる。今後、電子黒板に
ついては、特別教室への配置、デジタル教科書の中学校への導入が求められる。その際、これらの有
効な活用について教職員を対象に研修会を実施してきたが、操作方法や活用事例などの他に、活用の
場面を位置づけた学習指導案を交流するなど、授業改善と一体となった内容の研修を進めることが求
められる。また、先進的な取組として、児童生徒がタブレットを活用し、協働学習やプレゼンテーシ
ョンなどを行っている事例があるが、電子黒板の有効な活用を拡げ、学習者の学びを大きく変えるツ
ールとしてタブレットの導入を調査研究する必要がある。
(14)習熟度別少人数指導への支援
平成 26 年度から市内の小学校に学習支援員を配置し、各学校における習熟度別少人数指導の充実を
支援している。このことにより、児童の理解や定着の度合いに応じた指導が一層きめ細かく実施され
るようになった。今後もこの事業を継続するとともに、学級数や児童数などの学校の規模に対応した
配置を充実していく必要がある。この際、習熟度別少人数指導の効果を高めるため、指導方法工夫改
善加配などを含めた全校体制の状況を踏まえた年間指導計画の策定、習熟度別クラスの編成のし方、
それぞれのクラスの指導過程や指導方法、適応問題の作成等が重要な課題となるが、学校教育指導訪
問等を通して、各学校に資料を提供するなど改善に向けた支援を強化していくことが必要である。
(15)諸検査の実施
毎年 4 月には市内の全児童生徒を対象に NRT 検査を実施し、学力の定着状況の把握や経年比較が可
能になった。また、昨年度から導入されたハイパーQU 検査により、学力とのクロス集計が行われ個別
に支援を要する児童生徒が抽出されることなどにより、個別の指導が一層促進された。ハイパーQU 検
査について、昨年度は年に 1 回(6 月)の実施であったが、今年度から年に 2 回(6 月と 11 月)の実
施となり、これらの診断結果をもとに、児童生徒一人一人の健やかな成長を支える安定した学習集団
の育成などが進められた。今後も NRT 検査やハイパーQU 検査の実施を継続するとともに、ハイパーQU
検査については、対象学年の拡大(小 1 年、小 2 年、中 3 年)が求められる。また、今年度、市内小
中学校の教職員全員を対象に研修会を開催し、ハイパーQU 検査について理解が深まるとともに効果的
な活用が一層進んだことや、この検査については管内で一般的に実施されていないことから今後、取
組の継続と充実を図るため、転入教職員に対する研修会の開催が必要である。
(16)家庭への支援
教育委員会では各学校と連携し、学校を休みがちな子ども、生活習慣が身についていない子ども、
就学支援などの必要な家庭の把握に努め、スクール・ソーシャル・ワーカー、スクールカウンセラー
や心の教室相談員との連携などにより、個別のケースに応じた支援を行うとともに、
「千歳市要保護児
童地域ネットワーク協議会」に参加し関係機関との情報共有や家庭への支援を充実してきている。今
後、一層積極的な取組を進め、子どもが安心して家庭での生活を送ることができるようにするととも
に、問題行動や不登校などにつながることがないよう対応することが求められる。また、イントラネ
ットである「サイボウズ」にこれまで作成してきた算数や国語などの練習問題が保管されているがこ
れらが家庭で活用されるようにすること、千歳科学技術大学が開設している e-ラーニングの積極的な
活用が促されるようにすることなどの取組を進めていく必要がある。
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成果の検証方法
学力の向上にかかわり、三者(学校、家庭、教育委員会)に対し 16 の提言を行ったが、それらの取
組の成果と課題を検証し、今後の取組の具体的な改善に生かしていかなければならない。これについ
ては本検討委員会事務局を担当する教育委員会事務局職員が取り組むこととする。
①「全国学力・学習状況調査の教科に関する調査」結果及び「標準学力調査・知能検査」結果を基に、
児童生徒の学習内容の習得状況及び相対的な学力を検証する。
②「全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙及び学校質問紙」結果を基に、学校の教育活動や教育
課程の改善状況を検証する。
③「全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙」及び「全国体力・運動能力・運動習慣等調査」結果
を基に、生活習慣や運動習慣及び学習習慣の定着状況を検証する。
④「ハイパーQU 検査」結果を基に、学校における望ましい人間関係や学習集団の状況を検証する。
⑤「千歳市学力向上検討委員会の提言に関するアンケート調査」結果及び「全国学力・学習状況調査
の教科に関する調査」結果を基に、提言内容の実現状況及び児童生徒の学力向上への効果を検証す
る。なお、各種調査の分析、検証作業を迅速に進めるため、
「全国学力・学習状況調査の教科に関す
る調査」及び「標準学力調査」については、自校採点及び採点結果の提供を各小中学校に依頼する。
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【千歳市学力向上検討委員会の提言に対するチェックシート】
取組の評価
検討委員会による提言内容
(◎○△×)
取組状況
(記
述)
改善点
(記
述)
【学校への提言】(①∼⑨) 【家庭への提言】(⑩∼⑫) 【教育委員会への提言】(⑬∼⑯)
① ハイパーQU 検査の活用
② 自己有用感を高める取組の充実
③ いじめを許さない学校風土の醸成
④ 板書計画作成による授業改善
⑤ ICT 機器活用による授業改善
⑥ 児童生徒の授業評価による授業改善
⑦ 学習規律の徹底
⑧ 学力下位層に対する指導
⑨ 習熟度別少人数指導の充実
⑩ 「千歳市家庭生活宣言」運動の普及
⑪ 家庭学習の習慣づくり
⑫ 教育に関する啓発
⑬ ICT 機器の活用
⑭ 習熟度別少人数指導への支援
⑮ 諸検査の実施
⑯ 家庭への支援
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