「自動車運転中の体調の急変に気を付けて!」

2016.03.22
「自動車運転中の体調の急変に気を付けて!」
平成 28 年 2 月 25 日のお昼頃、大阪・梅田で 11 人が死傷する大きな事故がありましたよね。運転手の
方が運転中に心臓付近の血管が裂ける大動脈解離による出血で心臓の機能が急激に低下した心タンポナ
ーデだったと発表されました。事故時の生存が確認されたので、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)
の疑いで捜査しています。
大動脈解離とは、心筋梗塞などの虚血性心疾患とともに主な「突然死」の原因疾患
とされています。動脈壁の硬化・劣化により、大動脈内の内層(内壁)が裂ける病気で、
裂け目に勢いよく血液が流れ込み、無傷の外層から中層を引きはがすことを指します。
突然胸や背中、肩甲骨のあたりに激しい痛みを伴うのが特徴で、意識を失うこともあり
ます。もし、運転中に発症して意識を失ってしまったら、大事故になりかねません。
血液の固まりが心臓や肺・脳の血管を詰まらせる心筋梗塞や肺梗塞・脳梗塞も侮れません。長時間(2
時間以上)運転すると足の血管に固まりができやすい状態になり、ふとした拍子にその固まりが心臓へ
到達することもあるそうなので、長時間運転するときは適度に休憩を取るようにしましょうね。また、
大動脈解離は女性より男性のほうが多くみられ、40~70 代の高血圧体質の方がかかる割合が高く、親や
兄弟に発症者がいれば注意が必要です。
平成 26 年 3 月 11 日には、レスリングの吉田沙保里選手の父、栄勝さん(61)
が高速道路で車を運転中、くも膜下出血で亡くなられたこともありました。
栄勝さんは路肩へハンドルを切って停車したとみられています。このように
大事故になる前に体調の異変に気づいたらすぐ、路肩へ停車する、車を降り
て休憩するなどの判断も必要ですね。また、運転する前に体調の異変があっ
たら、できるだけ運転をしないで、病院へ行きましょう。
梅田の今回の事故の場合、運転手が事故後に死亡してしまっているので、
容疑者死亡で不起訴になります。運転前に飲酒していた等の要因がなければ
刑事罰に問われることはほぼないそうです。しかし、民事は、運転手の心筋
梗塞や脳卒中が原因でも一般的に交通事故の賠償責任は免責とはならず、運
転手側は被害者が被った損害を賠償しなければなりません。1 人死亡で、10
人重軽傷の今回の事故の場合、賠償金額はとても大きくなります。なので、
自動車保険の対人・対物賠償は無制限に入っておくといいですね。
今回の梅田の事故は、過失運転致死傷なので、平成 26 年 5 月 20 日施行の
自動車運転死傷行為処罰法の第五条が適用されます。
第五条は、
「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年
以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽い
ときには、情状により、その刑を免除することができる。」と明記されています。
急性とはいえ、体調管理という自動車の運転上必要な注意を怠ったとして、処罰
の対象となっているのです。
また、自動車運転死傷行為処罰法第三条には、
1. アルコールまたは薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態
で、自動車を運転し、よってそのアルコールまたは薬物の影響にとり正常な運転が困難な状態に
陥り、人を負傷させた者は 12 年以下緒懲役に処し、人を死亡させた者は 15 年以下の懲役に処
する。
2. 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行
中に正常な運転に衣装が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よってその病気の影響に
より正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。
とされています。政令に定める病気とは、統合失調症、てんかん、再発性失神、低血糖症、躁鬱病、重
度の睡眠障害の 6 つを挙げています。これらの疾患を患っている人が自動車を運転し、その疾患の症状
が原因で人身事故を起こすと、危険運転致死傷罪として、飲酒運転や薬物服用の運転
と同様の扱いになります。もちろん、刑事責任とは別に、民事でも損害賠償責任が発
生します。
こちらも注意が必要ですね。
相手への賠償は、保険で補償することができます。しかし、酒気帯び運転・
麻薬等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で運転した場合や、
脳疾患・疾病または心神喪失(認知症、知的障害、精神障害等)によって本人
に生じた損害は補償の対象となりません。
(保険会社よって多少違うところがあ
ります。)絶対に、酒気帯び運転、薬物はやらないでくださいね。
また、日頃より体調管理をしっかり行い、安全運転を心がけてください。
今回、起きてしまった悲しい事故。加害者となってしまった運転手さんの遺族も、ひかれてしまい被
害者となってしまった方々も、人生が大きく変わってしまう出来事となってしまいました。このような
事故で悲しむ人が増えないように、日頃からの体調管理は大切ですね。直接の事故の原因となってしま
った、大動脈解離は防ぎようのないものかもしれませんが、定期的な人間ドックや高血圧にならないよ
うにするなど、日々できることもあります。また、運転中に異変が起きたら、すぐに路肩に停め、エン
ジンを切ることなどができれば、防ぐこともできますね。
この梅田駅の周辺は、高いビルや商業施設が多くあり、平日の昼間でも多くの人が歩いています。ま
た、大きな駅の近くなので高速バスの降車場所でもあり、多くの人が行き交います。
(私、この場所には
何度か行ったことがあります。
)車を運転するということは、大きな責任を伴うことです。運転中、注意
することはもちろん、体調悪いなら、乗らない、乗らせない!!!周りも気を付けたいですね。
実は、この記事を書いている私が一番、車の運転が怖くなっていたりして・・・
(笑)