Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅

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原料開発輸入体制の形成史における商社・メーカー協調
―総合商社の機能と鉄鉱石商権―
田中, 彰
經濟論叢 (1994), 154(5): 66-89
1994-11
http://dx.doi.org/10.14989/44958
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
平成 六年 十 一月 一日 発 行
︹
毎 月 一日 回 発 行 ︺
論叢
第154巻
第5号
・…
…
・… 吉
サ ー ビ ス 業 の 生 産 性 と 就 業 構 造 … … … ・・…
…
・… 葛
・…
一
… 南
日 本 型 経 営 シ ス テ ム の 形 成 … … … … ・…
韓 国 の 海 外 移 民 … … … … 一 … … … … ・…
田
城
和
男1
政
明25
有
哲43
原 料 開 発 輸 入 体 制 の 形 成 史 に お け る
商 社
・ メ ー カ ー 協 調 … … … ・・… … … ・・…
・・…
…
田
中
彰66
経 済 論 叢(京
都 大 学)0154巻
第5号,1994年11月
原 料 開 発 輸 入体 制 の 形 成 史 にお け る
商 社 ・メ ー カ ー 協 訥
一
総合商社の機能 と鉄鉱石商権
田
課
日本 の 鉄 鋼 企 業 は,原
彰
題
料 の 鉄 鉱 石 を 多 数 の 商 社 を つ う じて 輸 入 ・調 達 して い
る 。 鉄 鉱 石 輸 入 業 務 は,1950年
代 に は 鉄 鋼 専 門 商 社 が お こ な っ て い た が ,60年
代 に 総 合 商 社 の シ ェ ア が 上 昇 し,以
課 題 は,総
中
後 総 合 商 社 が 担 う よ う に な っ た11。本 稿 の
合 商 社 が 鉄 鉱 石 輸 入 業 務 を 獲 得 ・集 中 す る 過 程 の 分 析 を つ う じて ,
総 合 商 社 が 日本 の 企 業 間 取 引 に お い て 果 た して い る役 割 を 明 らか に す る こ と で
あ る。
総 合 商 社 は,た
ん に 特 定 商 品 分 野 の 取 引 を お こ な う専 門 商 社 と は異 な り,取
引 商 品 分 野 も多 様 で あ り,資 金 や 運 搬 手 段 な ど の 調 達 能 力 を も っ て い る 。 総 合
商 社 が こ れ ら の 機 能 を 発 揮 で き る の は,継 続 的 な 取 引 関 係 を つ う じて 多 く の 巨
大 企 業 と の あ い だ に 多 面 的 ・体 系 的 な 結 合 関 係 を 形 成 して い る か ら で あ る 。 総
合 商 社 が つ く りだ し て い る多 面 的 な 企 業 間 結 合 の 集 積 こ そ 専 門 商 社 に た い す る
総 合 商 社 の 競 争 力 要 因 で あ り,巨 大 企 業 に た い して 総 合 商 社 が 独 立 した 対 等 の
取 引 相 手 と して の 地 位 を獲 得 で き る根 拠 で あ る と考 え ら れ る 。
鉄 鋼 専 門 商 社 は いず れ か の鉄 鋼 企 業 とのあ い だで 固 定 的 取 引 関係 をつ う じた
系 列 関 係 に あ り,総 合 商 社 と の 関 係 で は 鉄 鋼 企 業 の 利 害 に 規 定 さ れ て 行 動 し て
1)1993年
度 現 在,鉄
鉱 石 輸 入 を 手 掛 け て い る商 社 は27社 に の ぼ るが
を六 大 総 合 商 社 が 占 め て お り,そ の シ ェ ア は75 .5%で
ある 。
,取 扱 高 で1位
か ら6位
まで
原料 開発輸入体制の形成史における商社:・メーカー協調(395)67
い る 。 した が っ て 鉄 鉱 石 輸 入 業 務 を め ぐ る 総 合 商 社 と鉄 鋼 専 門 商 社 と の 競 争 は
総 合 商 社 が 鉄 鋼 企 業 に た い して 独 立 した 対 等 の 取 引 相 手 と して の 地 位 を獲 得 す
る こ と を め ぐ る競 争 で あ っ た 。 鉄 鋼 企 業 は ,鉄 鋼 専 門 商 社 を つ う じ て の 鉄 鉱 石
輸 入 が 限 界 に 直 面 した た め 総 合 商 社 の 利 用 を 選 択 した 。 総 合 商 社 は ,専
門商 社
に は な い 多 様 な 企 業 間 結 合 関係 を利 用 して 鉄 鋼 企 業 に 必 要 な 条 件 を 提 供 した 。
こ の 結 果,鉄
鉱 石 輸 入 業 務 は総 合 商 社 が 担 う よ う に な った 。 こ れ は 鉄 鋼 企 業 と
総 合 商 社 と の 相 互 依 存 ・協 調 の 側 面,両
者 の 利 害 の 一 致 を あ ら わ して い る 』。
本 稿 の 叙 述 は 以 下 の 順 序 で お こ な う。1節
で は ,60年
入 を め ぐ る 客 観 的 条 件 の 変 化 に つ い て 述 べ る 。H節
輸 入 の 形 態 が 限 界 に 直 面 して,鉄
第1表
社2社
代 の 鉄 鉱 石 開発
鋼専 門 商社 が 没 落 す る過 程 の分 析 をつ う
合 商 社 の 固 有 の 役 割 を 明 ら か に す る。
11960年
1)1950年
で は ,50年
鋼 企 業 が 総 合 商社 を利 用 せ ざ るを え な くな る
過 程 を 分 析 す る 。 最 後 に 皿節 で は,鉄
じて,総
代 に起 こ った 鉄 鉱石 輸
代 に お け る 鉄 鉱 石 輸 入 の 条 件 変 化 と総 合 商 社
代 の鉄 鉱 石 輸 入 と商 社
は65年
度 の 鉄 鉱 石 輸 入 商 社 で あ る 。 三 井 物 産 ,三
が 最 上 位 に あ る が,丸
紅3,,伊
の な か に 位 置 し て い る 。 ま た,第2表
菱 商事 の先 発総 合 商
藤 忠 な ど そ の他 の総 合 商 社 は 下 位 商 社 群
に よ れ ば ,60年
輸 入 プ ロ ジ ェ ク ド'へ の 投 融 資 の 主 体 は,鋼
管 鉱 業,日
代 初 頭 まで の 鉄 鉱 石 開 発
鉄 鉱 業 ,日
本鉱 業な ど
2)こ こに示 した総 合 商社 観 は.以 下 の2つ の見解 へ の批 判 を念頭 にお いて い る。す なわ ち,① 総
合商 社の 存在 根拠 を企 業 集団 の株 式相 互持 合い や役 員派 遣関係 な どに 求め,巨 大企 業 に と っての
総 合 商社 利用 の経 済的 合理 性 な い し総 合商社 の機 能 の分析 を軽視す る見解,② 総 合商 社 の機 能 を
あ れ これ と列 挙す るが,そ の うちで 何が総 合 商社 固有 の機 能で あ るか,そ の 機 能の源 泉 は 何か と
い う点 に分 析 を進 めな い見 解,で あ る。
た だ し,鉄 鋼 企 業 と総 合商 社 との協調 はあ くまで 両者 の関係 の 一側 面 にす ぎず ,全 体 を理 解 す
るに は,続 い て両 者 の対抗 の側 面,利 害の 不一 致 に分析 を進 め る必要が あ る。
3)丸 紅の 正式 社名 は55年9月 か ら72年1月 まで 丸紅飯 田であ るが ,本 稿 で は丸紅 で 統 一す る。
4)開 発 輸入 は,海 外資 源 開発 プ ロジェ ク トに資 本参加 を して 資源 を輸入 す る開発 参加 方 式 と,融
資 を して その見 返 りに資源 を輸 入す る融資 買鉱 方式 とに大別 され る。 これ にたい して,資 本 関 係
の ない 海外資 源企 業か ら市 場価 格 で韓 人 す る方式 を単純 輸 入 と呼 ぶ。 日本 の 鉄鉱 石輸 入 は,戦 後
当初 は単 純輸 入 が 支配 的で あ ったが.鉄 鋼 増 産 に ともな う鉄 鉱石 の低廉 安 定確 保 の課 題 にた い し
て,50年 代初 めか ら融資 買 鉱が 始 ま り,開 発 参加 方式 は50年 代後 半か ら萌 芽 的に現 れ ,60年 代/
,
第154巻
68(396)
第1表
商
第5号
商 社 別 鉄 鉱 石 輸 入 取 扱 高(ユ965年
取扱 高
社
商
度)
社
取扱高
①
三 井 物 産
9,488(24.4)
⑩
東 西 金 属
1,294(3.3)
②
三 菱 商 事
通
東
7.282(ユ8.8)
⑪
住 友 商 事
1,232(3.2)
2,790(7.2)
⑫
大 倉 商 事
東 南 貿 易
商
江
1、9ユ9(4.9)
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
商
995(2.6)
⑬
垣 内 商 事
971(2.5)
1,747(4.5)
⑭
岩 井 産 業
854(2.2)
1、629(4.2)
⑮
東 洋 棉 花
686(1.8)
山 本 商 店
1,449(3.7)
⑯
口 綿 実 業
546(1.4)
丸 紅 飯 田
伊
藤 忠
1,447(3.7)
日
総 輸 入
1,378(3.6)
38,769(100)
注)単 位:千 トン(%)
資料)「 輸入鉄鉱石の長期需給分析』1966年。
出所)塩 田長英 「日本の鉄鋼市場⊥至誠堂,1969隼 。
の 鉱 山 企 業 を 別 に す れ ば,木
東 通 と改 称)な
下 商 店(60年
ど の 鉄 鋼 専 門 商 社,お
木 下 座 商 と改 称),東
京 通 商(65年
よ び 当 時 の 巨 大 貿 易 商 社 で あ った 江 南 な
ど の い わ ゆ る 「関 西 五 綿 」5〕
で あ る。
65年 度 に は す で に 木 下 産 商 は 三 井 物 産 に 吸 収 さ れ て お り,ゴ ア 鉄 鉱 石 の 融 資
買 鉱 に と り く ん で い た 岸 本 商 店 も大 倉 商 事 に 吸 収 合 併 さ れ て い る の で,そ
れ以
前 に お い て は 鉄 鋼 専 門 商 社 の 比 重 は さ ら に 高 か っ た と推 測 さ れ る 。50年 代 の 鉄
鉱 石 開 発 輸 入 は 鉄 鋼 専 門 商 社,総
態 で 行 わ れ て い た が,現
合 商 社 な ど各 種 貿 易 商 社 を 利 用 す る とい う形
在 と比 較 し て 鉄 鋼 専 門 商 社 の 比 重 が 高 い 点 に特 徴 が あ
る。 利 用 され る鉄鋼 専 門 商 社 は い ず れ か の鉄 鋼 企 業 とのあ い だ で 固 定 的 取 引 を
中 心 とす る 系 列 関 係 に あ る 。
2)1960年
代 にお け る鉄 鉱石 輸 入 の 条 件変 化
60:年か ら の 第 三 次 鉄 鋼 合 理 化 計 画 に も とつ く鉄 鋼 増 産,そ
石 需 要 の 拡 大,お
よ び60年12月
れ に と もな う 鉄 鉱
の オ ー ス トラ リ ア 政 府 に よ る 鉄 鉱 石 輸 出 解 禁 は,
\ 後 半 以 後 支 配 的 形 態 とな る 。
5)こ
れ ら の 繊 維 専 門 商 社 の 性 格,位
置 づ け に つ い て は 別 稿 に 論 じ る予 定 で あ る。
(397)69
原 料 開 発 輸 入 体 制 の 形 成 史 に お け る商 社 ・メ ー カ ー 協 調
第2表
同
融 資 買 鉱(1960年
代 初 頭 ま で)
鉱 山名
(銘柄)
国名
ゴ ア
イ ン ド
鉄 鉱 石 開 発 輸 入 プ ロ ジ ェ ク トの 事 例
山 元,シ
ッパ ー
窓口
商社
契約 年
/月
岸本
Ch。wgule&Co.,Ltd.
(シ リ ガ
オ,コ
ス
テ イ)
鋼管鉱業
51/10
一 ● ●
■.,一.・.,一..
■ ■,.-.・
1,620千
・ ■.F
.一
61/10
鋼管鉱業
ShanalalKhushalde&
Irmacs,S.Kantial&
Cia.Ltd.
江南
山本
田村駒
60/2
江
南
山 本商 店
田 村 駒
キ リブ ル
NMDC社
岸本
木下
日商
など
58/3
神戸製鋼
日
立
日
商
60/3
CSA*
バ イ ラデ
置.・.圃
ドル
■.・
■ 「.-.「
1.440千
.一
(TheNationalMineralsDevelopmentCorp.)
買
鋼管鉱業
56/10
(シ ャ ン
カ ン)
ゴ ア
融資額
融資会社
ー 一
ド,レ
■.....¶
■ ■.」
2,870千
「 一
幽 幽
ドル
460百 万円
8,000千
ドル
21,000千
ド'レ
イラ
ラ ラ ップ
フ ィ リ
ピ ン
PhilippineIronNlining
Co.
木下
木下商店
52/5
■
■ 圃r..■
■...
圃
■ 一 ¶
ユ,000千
..一
「 ■ 「.....■.
木 下商 店
55/2
¶..■..■.一
..一
「 ・
■ 噛 一..■
一.幽.■
1,800千
■..「
一
..■
匿...¶
¶ 一
300千 ドル
58/11
南 洋物 産
港
馬 鞍 山
大 公 洋行
木下
52/10
日鉄 鉱 業
2,009百
カナダ
ゼ バ ロス
Zebai【
木下
63/ユ0
木下座商
1.570千
出 所)科
プ ラ ン ト輸 出 団 体Centra【SupplyAgen⊂yの
日本 鉄 鋼 原 料 史
〔
上 巻)鉄
「
万円
ドル
略。 実務 担 当は神 戸 製鋼 。
学 技 術 庁 資 源 調 査 会 「鉄 源 に 関 す る 調 査 報 告 』1964年,西
(ア ジ ア 経 済 調 査 研 究 双 書133.集)ア
一.一..幽
木 下 商店
南洋
注*)CSAは
「--
ドル
60/11
SamarMiningCo.
。sMiningCo.
「 ■
400千 ドル
シブ ゲ イ
香
ドル
■ 一-「
尾 滋 編 『海 外 鉄 鉱 資 源 の 開 発1
ジ ア 経 済 研 究 所,1967年,田
鉱 石編 ユ 産 業 新 聞 社,1982A,,な
部 三郎
「鉄 よ 永 遠 に一 一
ど に よ り作 成 。
日本 の 鉄 鉱 石 輸 入 の 条 件 を 根 本 的 に 変 化 させ た 。
客 観 的 条 件 の 変 化 の 第 一 は,輸
入 先 の 多 元 化 ・遠 距 離 化 で あ る 。50年 代 に お
い て は 鉄 鉱 石 の 年 間 輸 入 量 は まだ1、000万 ト ン61に満 た ず,フ
ィ リ ピ ン,マ
レー
シ ア な ど東 南 ア ジ ア の 比 較 的 小 規 模 な 鉄 鉱 山 か らの 輸 入 で ま か な え た 。 と こ ろ
が,60年
6>本
代 に 鉄 鉱 石 需 要 は 急 激 に 増 大 し(第1図),既
稿 で
「 ト ン 」 は,と
湿 量 メ ー トル ・ ト ン),粗
く に 指 摘 の な い か ぎ り,鉄
鋼 に つ い て はMT(メ
存 供 給 源 の 鉱量 枯 渇 と
鉱 石 に つ い て はWMT(WetMetricTon;
ー ト ル ・ ト ン)を
指す 。
一
70(398)
M154巻
第1図
第5号
戦 後 日本 の 粗鋼 生 産量 と鉄 鉱 石供 給 の推 移
140
A
'
'
,
、
、
㌧ ρ
1
'
ユ20
(単位:百 万 トン)
一 粗 鋼 生産 量
'
'\,'
'
一一 鉄 鉱 石 輸 入量
100
一
ノ
鉄 鉱石 国 内生 産量
ノ
'
ノ
'
80
'
60
'
'
'
'
'
''
40
'
20
ρ一
'
'
ノ
'
'
'
'
'
'
'
'
'
''
ノ'「
圏 一''一
■ 一.
㌧"
,'
一
0
1950
556065
資 料)大
出所)日
も あ い ま っ て,新
米(と
に な り,そ
(73)
76年
。
た な 供 給 源 の 開 拓 が 必 要 と な っ た 。 輸 入 量 は1億
る ま で に 急 増 し,供
ア,南
70
蔵省 『
通 関統 計1。
本鉄 鋼連 盟 『鉄鋼 統計 要 覧』 各年 度版 よ り作成
給 源 は 世 界.各 地 へ と 多 元 化 し た(第2図)
く に ブ ラ ジ ル) ,イ
トン を 超 え
。 オ ー ス トラ リ
ン ドは こ の 時 期 に 三 大 供 給 源 と 呼 ば れ る よ う
れ 以 来 現 在 ま で 大 き な比 重 を 維 持 して い る
。
供 給 源 の 遠 距 離 化 に と も な い ,鉄 鉱 石 の 輸 送 コ ス ト削 減 が 日本 鉄 鋼 産 業 に
と っ て 大 き な 課 題 とな っ た 。 ヨ ー ロ ッパ の 製 鉄 国 は ア フ リ カや 南 米 を 主 要 な 供
給 源 と し て い る・ ア メ リ カ は 消 費 鉄 鉱 石 の6割
米 に あ る,鉄
以 上 を 自給 しつ つ
鋼 企 業 の キ ャ プ テ ィ プ ・マ イ ン(自 社 鉱 山)に
こ ろ が 日本 は,鉄
鉱 石 の輸 入 依 存 度 が 製 鉄 国 中 も
,不 足 分 は 南
依 存 して い る
。 と
っ と も高 い う え に,三
源 へ の 依 存 度 が 高 ま り,海 上 輸 送 距 離 が 拡 大 した(第3表)。
大供給
輸入 鉄鉱石価 格
原料 開発 輸入 体 制 の形成 史 に お ける商社 ・メ ー カー協調(399)71
00
l
第2図
供 給 源 別 鉄 鉱 石 輸 入 依 存 度 推 移(単
位1%)
90
80
〆
ア ジ ア
アフリカ
(ブ イ リ ピ ン ・
マ レー シア ・
韓 国 な ど〕
70
〆'
,'!
ノ
60
〆
'
ノ./幽
ノ
50
//.ナ
40
・ メ リ カ ・カ ナ ダ
ラ ジ ル
・ イ.ド!//.!ズ
30
" ゴア
20
〆 荊.ペ
…
ノ
〃〆
ルー
・
ク
皿
!〃!か
ス トラ リ ア
O
二 食 ・=二_.一._._._,4ク
19505560657075年
資料)大 蔵省 『
通関統計』。
出所)日 本鉄鋼連 盟 「
鉄鋼統計要覧』 各年度版 より作成。
(CIF"価
格)中
に 占 め る フ レ・
一 ト(海 上 運 賃)の
比 重 が 大 き い た め ,日
本
鉄 鋼 企 業 の 国 際 競 争 力 は 原 料 コ ス トに よ っ て 制 約 さ れ て い た の で あ る 。 こ と に,
62年4月
に は新 た に イ タ ビ ラ 〈ブ ラ ジ ル 〉 鉄 鉱 石 の 第 一 次 長 期 契 約 が 締 結 さ れ
南 米 鉄 鉱 石 の 輸 送 コ ス ト削 減 は 緊 急 の 課 題 と な っ た 。
第 二 に,輸
入 の 方 式 に も大 き な 変 化 が あ っ た 。50年 代 に お い て は ,い
まだ 小
規 模 な 粗 鋼 生 産 に 見 合 っ て,東
南 ア ジ ア の 鉄 鉱 石 を 単 純 買 鉱 ,融 資 買 鉱 の 形 態
に よ っ て 輸 入 して い た が,60年
代 に 入 る と オ ー ス トラ リ ア を は じめ と し て 大 規
模 な 鉄 鉱 山 開 発 プ ロ ジ ェ ク トが あ い つ ぎ,開
(第2-b表)。
発 参 加 方 式 に よ る輸 入 が 増 大 す る
大 規 模 プ ロ ジ ェ ク トは 多 様 な 機 能 を 必 要 と し,開 発 輸 入 に 要 す
る投 融 資 の 規 模 は 著 し く膨 張 した 。 ま た ,50年
代 に は各 鉄 鉱 山 ご とに 山元一 輸
入 商 社 一 鉄 鋼 企 業 の 排 他 的 取 引 関 係 が 多 か っ た が ,鉄
鉱山 の大規模 化 に とも
な って複 数 の鉄 鋼 企業 に よ る共 同購 入 の体 制が とられ る よ うに な った 。
7)外
国 貿 易 に お い て は,売
手 と買 手 と の あ い だ の コ ス トと リス クの 負 担 の 移 転 は 慣 習 的 に い くつ
か の 定 型 取 引 条 件 に の っ と っ て お こ な わ れ る 。 代 表 的 な も の に,FOB(FreeonBoard;本
し 〉・C&F(C。
・・&F・eight;A賃
こ み 〉,CIF(C・
・t,[。Sur、n,e&F,eight;A賃
が あ る
船 渡
・保 険 こ み)
,
7z(400)
第154巻
第5号
、
(b)開
発 参 加(ユ970年
代 前 半 ま で)
窓口
商社
一
),
参 加年
/月
融 資 会社
投資 額(持 株 比 率)
東
通
55/7
鋼 管鉱
..一一一一585千Mド
業
ル(39.0%)
江
南
56/ユ2
日本 鉱業
81-T-Mド
ル(27%)
江
66千Mド
ル(22%)
丸
紅
60/1
岩
井
60/1
一
Co.
Co.
de
stde
東
三
日
通
菱
商
三
菱
住
友
三
井
64/4
59/2
63/12
294千Mド
ル(49%)
日本鉱 業
375千Mド
ル(24.5%)
岩井 産 業
375千Mド
ル(24.5%)
鋼 管 鉱業 一..75千Mド
ル(25%)
東
ル(14%)
通
三 菱鉱 業
三 菱商 事
神 戸製 鋼
日
商
42千Mド
125百
万 ペ ソ(50%)
125百
万 ペ ソ(50%)
00千 スイスフラン(64.5%)
48千
スイスフラン(15.5%)
丸
65/11
三 菱 商事
870千
ド ル(37.5%)
住 友 商事
290千
ド ル(12,5%〉
67/4
紅
(8%〉
三 井物 産
(7%)
伊 藤 忠
(3%)
70/5
三 井物 産
(30%)
三 菱
丸 紅
ほか
73/5
高 炉6社
三
住
71/
三
井
菱
友
(3.10%〉
丸
紅
三 菱 商事
7ユ/
tee]
丸 紅飯 田
65/
伊 藤忠
ほか
Pty.
南
(1.55%)
(1.55%)
三 菱商 事
530千
ド ル(27%)
住友 商事
270千
ド ル(13%)
川 崎製鉄
(ユ2,4%)
日商岩井
(4.9%)
伊 藤 忠
(4.9%)
丸
(1.2%)
紅
トー メ ン
(1.2%〉
原 料 開発 輸 入 体 制 の 形 成 史 に お け る 商 社 ・メ ー カ ー 協 調
ブラジ
ル
アグ アス
ク ララス
ほか
MBR社
三
(MineracoesBrazileiras
伊藤 忠
ほか
ReunidasS.A..)
ニ ブ ラス
コ
NIBRASCO#
日商岩
.t
(C。mpanhiaNip。
一
Bmsi且eiradePelodzacao
注1)「Mド
注2>南
井
7工/2
74/
816千
住 友商事
丸
紅
三菱 商事
ド ル(10,0%)
253千
ドル(3,1%〉
253千
ド ル(3,1%)
122千
ド ル ・(1.5%)
122千 ・ド ル(1.5%)
65千
6,807干
日商岩 井
343千
ドル(0.8%〉
ド ル(48.02%)
ド ル(0,98%)
ル 」 は マ レ ー シ ア ・ ドル。
ロー デ シ ア は 現 ジ ン バ ブ エ 。
事 業「ア ン イ ン クJV」(UnincorporatedJointVenture)と
の形 態。
注3)
高炉6社
三井物 産
伊 藤 忠
高 炉6社
井
ほか
(401)73
は:,独 立 した 法 人 を も た な い 合 弁
西 尾滋 編 「
海 外 鉄 鉱 資 源 の 開 発 」(ア ジ ア経 済 調 査 研 究 双 書133集)ア
ジ ア経 済研 究所
出 所)1967年
,
,田
部
三
郎
「
鉄
よ永
遠
に
一
日
本
鉄
鋼
原
料
史(上
巻)鉄
鉱
石
編
」
産
業
新 聞 社 ,1982年,
加藤勲 「
瀬戸 際 に 立つ 総合 商社一
三 国 間 貿 易 ・海 外 投 資 事 業」 政 経 通 信 社 出 版 部
など
,1979年,
に よ り作 成 。
第3表
日
年 度
本
主 要 国 鉄 鉱石 平 均海 上 輸送 距 離 の推 移
メ リカ
西 ドイ ツ
イギ リス
イ タ リア
フ ラ ンス
ユ950
1,940
51
3,100
52
3,430
53
3,190
54
3,100
55
2,900
、400
2,100
1,900
2,400
1800
56
3,400
,300
2,200
2,000
2,700
1,600
57
3,700
,400
2,300
2,000
2,700
1,900
58
3,400
,500
2,600
2000
3,100
2,000
59
3、500
,700
2,600
2,000
2,900
1,900
60
4.000
.500
2,900
2ユ00
卜
3,300
2,100
61
4,900
,400
3,000
2,100
3,600
2,400
62
5.000
,200
2,600
2100
3800
1900
63
5,100
,ユ⑪0
2,900
2200
3,820
2,970
64
5,440
,ユ40
3,000
2200
,
3560
2,710
,
:マ イ ル/ト
位
資 料)
日本 鉄 鋼 連 盟 。
田 部 三 郎r鉄 よ 永 遠 に一El本
ジ。
,
P
「
1
,
ン
注)単
出 所)
冒
叶
鉄 鋼 原 料 史(上 巻)鉄 鉱 石 編 」産業 新 聞 社 ,1984年,242ペ
ー
第154巻
74(402)
第4表
第5号
商 社 別 鉄 鉱 石 輸 入 取 扱 シ ェ ア 推 移(成
約 ベ ー ス)
(単位
1968
1970
22277
(21.2)
①
23、980
②
②
〔22.3)
18.189
(17.3)
20.844
③
③
15.897
〔15.5)
15,008
(14.3)
④
④
10,091
(7.9)
8,319
(7.9)
⑥
⑤
(2、3)
4.597
(4.4>
5,482
⑥
(20.8>
①14、784
③10,301
④ ⑪5,218
⑨1,519
友
商
事
⑪
6社 計
総輸入
年
三
物
⑤
産
①
2,935
⑤
(20,2)
〔17.6)
(13.4)
(8.5)
7,289
(6.2)
6,867
(3,2)
(4.4)
(5,2)
〔5,8)
22,676
(58,5)
48,566
73,872
(70.2)
84,968
(71.8)
38,769
66,391
(100.0)
(100.0)
(73,2)
24,795
105,299
①
(22.8)
3ユ,932
2ユ,555
①
33,400
16,797
②
23.7ユ9
12、488
③
18,825
8,519
④
14,001
7,731
⑤
10.604
(16.5)
③
19,105
(12.7)
④
13.980
(9.3>
⑤
11,052
(7.4>
(7.1)
⑥
8.831
(5.6)
(5.9)
99,022
ユ09,380
(7ユ.3)
ユ38,870
24、717
(9.3)
(6.1)
⑦
②
(12.5)
(9.0)
⑤
32,792
(21.8)
(15,8)
(ユ2.1)
④
①
(22.2)
(15.5)
③
ユ975
1974
(23.0)
②
118,422
(100,0>
(100.0)
1973
1972
度
井
1,232
197ユ
①
②13,809
住
千 トン)
⑥
8,486
(5..η
110.132
(73.4)
(72.8)
150,201
(100.o>
150.ユ40
〔100.0>
(100.①
ラ ラ
ユ 2料
往 往 資
九 内 数 字 は商 佐 取 抜 商 順 位gカ
ッコ 内 は シ 轟 ア 〔%)
「日商 岩 井 」 は1968年 度 まで は 日商 と岩 井 産 業 と の 合 計 値 。
「
輸 入 鉄 鉱 石 年 鑑 」 テ ッ ク ス レ ボ 」 ト,客 年 版 よ り作 成gた
だ し65年 度 は 第1表
に 同 じ。
原料開発輸入体制の形成史における商社 ・メーカー協調(403>75
こ の よ う な 客 観 的 条 件 の 変 化 に 対 応 で きた の は 総 合 商 社 で あ
よ る と65年 度 の 段 階 で は(後
2,300万
ト ン,58.5%で
そ れ 以 後70∼75%前
の)六
あ った が
った 。 第4表
に
大 総 合 商社 の取 扱 に よ る鉄 鉱 石 輸 入 は 約
,70年
度 に は 約7,400万
トン,70%強
と な り,
後 で 推 移 して い る。65年 度 以 前 は 総 合 商 社 の 取 扱 比 率 は お
そ ら く よ り小 さ か っ た と推 測 さ れ る の で ,鉄 鋼 専 門 商 社 の 地 位 の 低 下 お よ び 総
合 商 社 へ の 集 中 傾 向 は 明 ら か で あ る。 次 第 で は総 合 商 社 の 行 動 を 分 析 し
,そ の
理 由 を検 討 す る 。
111960年
1)幹
代 後半 に お け る総 合 商社 の 行動
事 商社 体 制 の確 立
鉄 鋼 企 業 は,設
る が,原
備 投 資,資
金 調 達 な ど を め ぐっ て は 互 い に 激 し く競 争 して い
料 確 保 に つ い て は 外 国 鉄 鋼 企 業 と の 国 際 競 争 力 保 持 の た め に共 同 購 入
を お こ な っ て お り,相 対 的 に協 調 的 で あ る。 つ ま り,鉄 鋼 企 業 は 鉄 鋼 原 料 輸 入
を 日本 鉄 鋼 企 業 総 体 の 立 場 で お こ な い ,相 互 に 平 等 な 競 争 条 件 を 提 供 し あ っ て
い る。
海 外 鉄 鋼 原 料 開 発 プ ロ ジ ェ ク トは 欧 米 資 源 企 業 を 含 む 国 際 コ ン ソ ー シ ア ム 形
態 を と る の が 一 般 的 で あ る が ,そ の さ い 日 本 側 企 業 を 代 表 す る の は 鉄 鋼 企 業 で
あ り,総 合 商 社 で は な い 。 こ の 意 味 で 山 元 は ど の よ う な 商 社 が 対 日輸 出 の 窓 口
と な るか に は無 関 心 で あ る。 また 山 元 と 日本 鉄鋼 企 業 との 関係 は
,前 者 は 鉄 鋼
生 産 に必 要 な 大量 の 鉄鋼 原 料 を 後者 に供 給 し
,後 者 は 大 規 模 に 産 出 さ れ る 鉄 鋼
原 料 に 見 合 っ た 市 場 を 前 者 に 提 供 す る とい う,利 害 の 一 致 に も とつ く協 調 関 係
に あ る。
少 数 の 大 規 模 鉄 鉱 山 か ら 日本 鉄 鋼 企 業 が 共 同 購 入 す る よ う に な っ た 結 果
入 業 務 が 多 数 の 窓 口 商 社 に 分 散 さ れ ,そ れ ら の 上 に1∼2社
れ 嶺
うに な ・た・ 船
の幹事商社がお か
商 社 に と ・ て ,幹 事 商 社 と な る こ と は 当 該 鋤
取 扱 に お い て プ ラ イ オ リ テ ィ を事 実 上 保 証 さ れ る と い うこ と を 意 味 す る
が ・て総舗
社舗
は大規模 プ・ジ ・ク トの鱒
,輸
の輸入
。 した
商社 の地位をめ ぐ。て競 争 し,
76(404)M154巻
第5号
70年 代 前 半 に は 鉄 鉱 石 供 給 源 の
2)コ
「分 割 」 が ほ ぼ 終 了 し た 助。
ン ビ ネ ー シ ョ ン輸 送 の 組 織 一
三 菱 商 事 の場 合
鉄 鉱 石 供 給 源 の 遠 距 離 化 ・多 元 化 に と も な う海 上 輸 送 費 削 減 の 課 題 に た い し
て,日
本 鉄 鋼 企 業 は,専
な い よ う に す る,専
を と っ た が,と
用船 の 就航 に よ って 世 界 海 運 市況 の変 動 の影 響 を受 け
用 船 の 大 型 化 に よ っ て 規 模 の 利 益 を追 求 す る,な
どの 手 段
りわ け 南 米 鉄 鉱 石 に つ い て は兼 用 船 を 利 用 した コ ン ビ ネ ー シ ョ
ン輸 送 の 実 施 が 決 定 的 で あ っ た 。 こ こで は 三 菱 商 事 に よ る コ ン ビ ネ ー シ ョ ン 輸
送 の 実 現9,につ い て 考 察 す る 。
三 菱 商 事 は54年 に再 合 同 し て 以 来,鉄
鉱 石 輸 入 で 木 下 商 店 と ユ,2位
を争 う
存 在 と な り,三 井 物 産 が64年 に 木 下 産 商 を 吸 収 し て 以 降 は80年 代 ま で 同 社 に 次
い で2位
で あ る。 三 菱 商 事 は,総
合 商 社 と して は も っ と も早 く,59年
に三 菱 鉱
業 と の 共 同 出 資 で チ リの ア タ カ マ 鉄 鉱 山 の 自主 開 発 を 手 が け た の を は じ め と し
て,南
米 の 有 力 な 供 給 源 に 重 点 を お い て い る(第5表)。
三 菱 商 事 製 鉄 原 料 部 は,ブ
ラ ジ.ル航 路 で は 日本 か ら 南 米 ま で の 往 路 が 空 船 と
な る こ と に 注 目 し,空 船 航 行 期 間 の 短 縮 に よ る コ ス トダ ウ ンを 計 画 した 。 す な
わ ち,65年10月
に ジ グ ナ ル ・オ イ ル 社,日
本 郵 船 との あ い だで 構 想 を ま とめ た
三 角 輸 送 で あ る 。 両 社 は そ れ ぞ れ75型(7万5,000DWTIoD鉱
紫 丸 」 お よ び 「M.C.Mosher」
結 ん だ 。2隻
油 兼 用 船 「筑
を 建 造 し,三 菱 商 事 と の あ い だ で 用 船 契 約 を
の 兼 用 船 は 中 東 原 油 の ヨ ー ロ ッパ 向 け 輸 送 と ブ ラ ジ ル 鉄 鉱 石 の 日
本 向 け 輸 送 と を組 み 合 わ せ た コ ー ス を 循 環 す るL"。
8)幹
事 商 社 の 具 体 的 茱 務,お
よ び60年 代 後 半 か ら70年 代 初 頭 にか け て の,総
の 地 位 を め ぐ る競 争 の 経 緯 とそ の 結 果 に つ い て は,拙
学:経済 学 会re済
9>鉄
合商 社 間の幹 事 商社
「
総 合 商 社 の 鉄 鉱 石 商 権 と競 争 」 京 都 大
論 叢 」 第149巻 第4・5・6号,1992年4・5・6月,を
鉱 石 の 対 日輸 入 の 場 合,山
が,こ
稿
参 照 され たい 。
元 と の 取 引 条 件 は 一 部 の例 外 を 除 い てFOBで
お こな わ れ て い る
の こ と は積 出 港 か ら先 の輸 送 コ ス ト と リ ス ク を 買 手 で あ る 日本 鉄 鋼 企 業 が 負 担 す る こ と を
意 味 す る 。 し たが って,輸
送 船 の 手 配 は 鉄 鋼 企 業 の 輸 入 実 務 を代 行 して い る 商 社 が お こな う こ と
に な る。
10)DWT(DeadWeightTon;重
量 トン.)と は 輸 送 船 の 規 模(船
重 量 限 度 に 船 舶 自 身 の 重 量 を 加 え た もの を 表 す 。
型)の
単 位 で ,積
荷 の積 載 可 能
、
(405)77
原 料 開 発 輸 入 体 制 の形 成 史 に お け る 商 社 ・メ ー カ ー 協 調
第5表
主 要 商 社 別 ・供 給 源 別 鉄 鉱 石 輸 入 取 扱 高(1972年
度)
(単 位1千
商
社
① 三井 物 産
② 三菱 商 事
③丸
紅
豪州
南米
8,678
5,869
⑤伊 藤 忠
一
529
合計
24,795
一
17,715
785
245
853
ユ,635
8,801
71
480
一
27
13,986
2,028
780
一
一
25
8,970
1,552
ユ35
23
130
3
6,705
343
一
33
6,031
90
1,052
一
4,475
820
一
18
3,949
1,222
3,531
955
240
439
95
609
1,185
10
1,013
⑩大倉商事
143
20
2,929
22,157
1,389
376
480
46,163
726
1,188
⑨東南貿易
総輸入
1,394
そ の他
459
1,129
⑧ 山本 産 業
5,215
3,110
北米
4,148
3,501
⑦ トー メ ン
東南 ア
6,088
3,907
⑥住友商事
ア フ リカ
8,108
2,606
④ 日商 岩 井
イ ン ド・
ゴ
ア
ト ン)
王8,363
1,163
110
11,828
50
一
5,194
注)「
東 南 ア(=東
南 ア ジ ア)」 に は 砂 鉄 を 含 む 。 「そ の 他 」 は北 欧
出所)『
輸 入 鉄 鉱 石 年 鑑jテ ッ ク ス レポ ー ト,1972年 版 よ り作 成 。
鉱 油 兼 用 船 を 用 い て の 三 角 輸 送 は,ア
500
一
一
3,318
3,216
5
1,980
3,207
108,940
社 会主 義諸 国 な ど。
フ リ カ鉄 鉱 石 の 日本 へ の 輸 送,中
東原
油 の 南 北 ア メ リ カ へ の 輸 送 な ど,組 合 せ の バ リエ ー シ ョ ン を 展 開 し た 。 三 角 輸
送 は 鉄 鉱 石 の 遠 距 離 海 上 輸 送 費 を確 実 に削 減 し,そ の 輸 入 増 大 の 条 件 を つ く り
だ した 。 第3図
に よ れ ば,60年
代 後 半 の ブ ラ ジル 鉄 鉱石 の下 落 幅 は平 均 値 よ り
も大 き い 。 こ こ に コ ン ビ ネ ー シ ョ ン輸 送 の 効 果 の 一 端 が 表 れ て い る。
そ の 後,兼
U)三
用 船 に つ い て も船 型 の 大 型 化 が 進 み,72年
菱 商事
「
三 菱 商 事 社 史」 下 巻,:[986年,273ペ
ラ ジ ル 石 油 公 社)と
鋼 部 が,日
に は26万DWTの
ー ジ 。 三 菱 商 事 は そ の 後 ペ ト ロ プ ラ ス 社(ブ
の あ い だ で も同 様 の 三 角 輸 送 を成 立 さ せ た 。 ま た,68年
本 郵 船,ジ
もの
に は 同 社 燃 料 部 と鉄
ャパ ン ラ イ ン両 社 と提 携 し,日 本 向 げ オ ー ス トラ リア ・ペ レ ッ ト と オ ー ス
トラ リ ア 向 け ス マ トラ原 油 の コ ン ビ ネ ー シ ョ ン輸 送 を 実 現 し,輸 送 費 を2割
削 減 した(同
上 書,
571ペ ー ジ)。
た だ し,コ
ン ビ ネ ー シ ョ ン輸 送 の 実 施 の た め に は,寄
ら 石 油 を 抜 き取 っ た う え で 水 で 満 た さ ね ば な らず,し
港地 が 増 え る うえに安 全 の ため に船 底 か
た が って 停 泊 日数 が 増 え る とい う新 た な コ
ス ト要 因 を もた らす 。 ブ ラ ジ ル 航 路 の 場 合 は 遠 距 離 で あ る の で こ の コ ス ト増 を 空 船 航 行 期 間 短 縮
対 的 に 近 距 離 な オ ー ス トラ リ ア航 路 に お い て は,船
型の
大 型 化 や コ ン ピ ュ ー タ管 理 に よ る 自動 化 が 進 む に つ れ て 航 行 の コ ス ト減 が 進 ん だ た め,コ
に よ る コ ス ト減 で 十 分 ま か な え るが,相
ンビ
ネ ー シ ョ ン輸 送 は か え って 割 高 と な っ た 。 現 在,こ
お こ な わ れ て い る。
の 航 路 で は 大 型 専 用 船 に よ る ピ ス トン輸 送 が
第154巻
78(406)
第3図
第5号
鉄 鉱石 の ≡:大供給 源 別平 均CIF価 格推 移
15
_.ブ
ー
__平
ラ ジ ル
オ ー ス
・一一 イ ン
均
ト ラ リ ア
ド ・ゴ
(単 位:ド
ル
ドト ン)
ア
ノ
14
7
'
'
「
'
「
'
「
「
'
'
13
'
'
、
7
馳
「
噛し
「
'
、
12
、L
、
隔
一一F一,、'、
、
、
、
、
、
馳
'
-
',
」
、
「「,
-
'
〆
'
一曲と
'
一 匿一
'
'
'
一
一r'
L一
一
一
一..'
8
一
L
'
'
亀
「
、
「'
覧剛
薩
11
」
、,、
剛r鴨
ρ
ρ ,、
,
ρ
隔
'
'
7
・
「
、.一
.,,
・ ■,
10
196667686970⊥7273年
資 料)大 蔵省 『
通 関統計 」。
出所,「 輸 入鉄 鉱 石年鑑 」 テ ックス レポー ト,各 年 度版 よ り作成 。
が 計 画 造 船 さ れ る に い た っ た 。 第6表
に み る と お り,ブ
ラ ジ ル鉄 鉱 石 の輸 送 コ
ス ト低 減 は 兼 用 船 の 大 型 化 と あ い.ま っ て そ の 効 果 を 増 大 し た 。
と は い え,そ
れ も 当 初 の7∼9万DVJT級
ら こ そ 可 能 と な っ た も の で あ る。 前 述 の
八 幡 製 鉄,富
4社
士 製 鉄(7ユ
の 鉱 油 兼 用 船 の 利 用 に 成 功 した か
「筑 紫 丸 」 「M.C.Mosher」
年 に 合 併 し て 新 日鉄 と な る),日
本 鋼 管,住
は ともに
友金属 の
の 鉄 鉱 石 積 荷 保 証 を 条 件 に 三 菱 重 工 が 計 画 造 船 に よ っ て 建 造 し だ21。 だ が,
鉱 油 兼 用 船 が 機 能 す る た め に は,鉄
鉱 石 ば か りで な く,同
時 に原 油 につ い て ・
も
安 定 的 な 積 荷 の 見 通 し が な け れ ば な ら ず,そ
こに こそ総 合 商社 た る三 菱 商 事 が
介 在 す る必 然 性 が あ っ た 。 鉱 油 兼 用 船 の 建 造
・就 航 は,鉄
ル ・オ イ ル 社,お
鋼 企 業4社
や シ グナ
よ び 同 じ 三 菱 系 企 業 集 団 に 属 す る 日 本 郵 船 ・三 菱 重 工 を ,三
菱 商 事 が 組 織 す る こ と に よ っ て は じ め て 実 現 した と い え る 。
12)以
後 の 兼 用 船 の 多 くが い ず れ か の 鉄 鋼 企 業 の 単 独 積 荷 保 証 の も と に建 造 さ れ た こ と を考 え れ ば
最 初 の2隻
の 建 造 が 日本 鉄 鋼 全 集 の共 同事 業 と して の 性 格 を も っ て い た こ と が わ か る 。
,
〔407>79
原 料 開 発 輸 入 体 制 の形 成 史 に お け る 商社 ・メ ー カ ー 協 調
第6表
積
地
才 一 ス
ト
ブ ラ ジル
ア7リ
60型
バ ラ
日本
3,700
100
欧州
11,450
185
米国
11,980
185
日本
11,600
一
カ
ス ウ ェー
デ ン
75型100型160型250型
鉱石
鉱油 鉱石 鉱油
距 離
(カ イ リ)
揚地
ラ リ ア
船 型 別 フ レー トー 覧
欧州
5,240
134
米国
4,580
117
日本
11,400
一
欧州
3,300
97
鉱石
鉱油
鉱油
84-81一
一
96
米国
4,150
110
日本
15,700
一
一
一
欧州
1,140
62
一
一56一
米国
4,700
128
一1881一
一
一
一
一
一
注Dオ
ース トラ リアー 日本,60型 を1001_す る指 数 。
注2)「
バ ラ」 は バ ラ積 み船,「 鉱石 」 は鉄 鉱石専 用船,「 鉱油 」 は鉱 油兼 用船 。
出所)浜
雄一.郎 「日本 鉄鋼 業 と豪 州 鉄鉱 石 」 小島清 編 「
西 太 平洋経 済 圏 の研究 第2巻 一
問題 か らみ た 日豪 関係 」 日本経 済研 究 セ ンター,1974年g
三 菱 商 事 は イ タ ビ ラ 鉄 鉱 石 の 取 扱 で65年5万4,000ト
年 に は29万7,000ト
と し て は,ま
10月,日
ン,18.3%へ
ず,そ
ン,4.6%か
ら 翌 年 の66
と 大 き く 実 績 を 伸 ば し た(第7表)。
れ ま で 全 体 の80%以
資源
この 理 由
上 の 取 扱 が 幹 事 商 社 の 岩 井 産 業(68年
商 と 合 併 し て 日 商 岩 井 と な る)1社
に 集 中 し て い た の で,山
元お よひ
鉄 鋼 企 業 が 窓 口 商 社 を 分 散 さ せ た とい う こ と が 考 え られ る 。 しか し そ れ に も ま
し て,三
角 輸 送 の 実 現 が 三 菱 商 事 の 取 扱 シ ェ ア を拡 大 さ せ た 決 定 的 条 件 で あ っ
た。
そ の後 大 手 総 合商 社 に は コ ン ビ ネー シ ョン輸送 の仲 介 を 求 め る海 運 企 業 な ど
が 日 参 し た が,こ
の こ と は 当 時 コ ン ビ ネ ー シ ョ ン輸 送 を 組 織 す る こ と は 海 運 企
業 単 独 で は で き ず,総
合 商 社 固 有 の 機 能 と し て 認 め ら れ て い た こ と を 意 味 して
い る 。 コ ン ビ ネ ー シ ョ ン輸 送 が 成 立 す る た め に は 鉄 鉱 石,石
油,海
複 数 の 産 業 部 門 に ま た が る 取 引 関 係 や 海 外 企 業 と の 取 引 関 係,す
運 とい った
な わ ち 取扱 地
80(408)
第154巻
第7表
第5号
イ タ ビラ鉄 鉱 石 の 窓 口商社 別 取 扱比 率 推 移
年度
1965
1966
967
1968
岩 井 産 業
86,8
46.3
9.3
37.2
7.2
4.1
3.3
1.9
ユ8.3
5.6
19.6
忠
4.6
5.4
10.6
三 井 物 産
10.2
0.2
10.2
11.O
ユ0.7
4.4
4.6
4.4
4.1
3.0
1.9
2.6
9.2
9.9
13.4
(ユ)
(3)
(4)
(8)
100
100
too
100
日
商
三 菱 商 事
伊
藤
丸
紅
4.6
4.0
住 友 商 事
そ
の
他
(社 数)
計
注1)
注2)
資 料)
4.7
(単 位:%)
1969
1970
1971
1972
1973
39.3
38.7
41.ユ
41.0
39.7
ユ9.o
19.8
18.0
18.4
ユ8.3
9.6
10.ユ
8.9
8.9
9.6
8.2
7.9
4.6
4.9
5.0
5.2
3.6
2.5
2.3
2.8
3.1
13.6
14.2
ユ4.ユ
15.6
17.1
(10)
(ユ2)
(ユ3>
ユ00
100
100
9.3
(8)
ユ00
(8)
100
空 白 は数値 が0で あ る こ とを示 す。
岩井 産業,日 商は69年 度以 降 合併 して 日商岩 井 。
「
輸 入鉄 鉱 石年 鑑」 テ フクス レポー.卜,各 年 度版 よ り作 成。
域 の グ ロ ー バ ル 化,取
扱 商 品 分 野 の多 角化 が 必 要 で あ る。
取 扱 地 域 の グ ロ ー バ ル 化 と 取 扱 商 品 分 野 の 多 角 化 と は,総
鉄 鉱 石 輸 入 に 対 応 で き た 理 由 で も あ る 。 と い う の は,第
合 商 社 が60年
一 に,遠
代 の
距 離供給源で
開 発 プ ロ ジ ェ ク トに 参 加 す る に は い ち 早 く新 規 開 発 な ど の 情 報 を 入 手 す る 必 要
が あ り,こ
の た め に 世 界 各 地 に 海 外 支 店,現
と が 必 要 と な る 。 第 二 に,開
発 プ ロ ジ ェ ク トの 大 規 模 化 に と も な っ て 付 随 取 引
さ れ る 商 品 も 多 様 化 し て く る が,総
に 必 要 な 企 業 を 探 し,こ
地 法 人 な どの拠 点 を も って い る こ
合 商 社 は 開 発 プ ロ ジ ェ ク トを 実 行 す る た め
れ に 参 加 させ な け れ ば な ら な い 。 も し適 当 な 企 業 が 見
つ か らな い 場 合 は 自 ら代 行 す る こ と に な る 。
総 合 商 社 は い ず れ も こ の よ う な 企 業 間 結 合 を 形 成 し て い る が,三
れ を も っ と も 早 くか ら 形 成 し,コ
13)三
菱 商 事 はそ
ン ビ ネ ー シ ョ ン ・デ ィ ー ル13)な ど の 形 態 で 積
菱 商事 の コ ンビネー シ ョン ・デ ィー ル とは,た とえば 以下 のよ うな もので ある。 「昭和34年 ,
イラ ン ・コ ン ソーシ アム ・メ ンバ ーの ソハ イオ社 と新 三菱重 工 とのあ いだ に三 菱 商事 が入 って ,
イ ラ ン原 油 を ソハ イ 身柱 か ら三菱 商事 が 買 うと同時 に,ソ ハ ィ オ社 の タ ンカー を三 菱 商事 が 受注
し,そ れ を新 三 菱 重 工 につ な ぐとい う コン ビネー シ ョン ・デ ィー ルを お こな って い る。 そ の後
BP(プ リテ ィ フシ ュ ・ペ トロ リア ム)やCFP(フ
ラ ンス石 油 公社 〉 な どのメ ジャー とも同 じ形
で,も っ と大規 模 な コ ン ビネー シ ョ ン ・デ ィー ル をお こな って い る」(奥 村宏r三 菱 一
日本/
原料 開発輸入体制 の形成史における商社 ・メー・一協調(、
。9)81
極 的 に 活 用 し て きた ・ 同 社 が 最 初 に ・ ・ ビ ネ ー シ ・ ン輸 送 を 実 現 した の ば 遠
距離
給 源 へ の 依 存 度 が 高 か ・ た か ら だ け で は な く高
の よ うな 企 網
結合を
活 用 で きた か らで あ る。
3)開
発 輸 入 プ ロ ジ ェ ク トへ の 投 融 資
.
60年 代 以 降 の 日本 の 鉄 鉱 石 開 発 輸 入 の 支 配 的 形 態 は 開 鯵
す べ て の地 域 で 開発 参加 方式 が とられ た わ けで は ない
リアで は同 醐
に マ ウ ン トニ ・ 一一マ ・
,ハ
.た
マ ス ・ 一,ゴ
加 方 式 で あ るが
と え ば,オ
,
ー ス ト。
ー ル ズ ・一 ジ 「
。一
ブ リバ ー の 四 大 鉄 鉱 山 開 発 プ ロ ジ ェ ク トが 進 行 し
,こ の う ち ゴ ー ル ズ ワ ー ジ ー
を 除 く3つ の プ ロ ジ ・ ク トに 躰 企 業 が 資 本 参 加 した が
,イ ・ ドや ブ ラ ジ ル で
は 日本 企 業 が 資 本 参 加 す る プ ・ 溢 ク トは わ ず か で あ る
.両 国 で 鰍
鋤
開
発'販 売 を そ れ ぞ れMMTC社(Th・Mi…al&M
・・
。1,T,ad・。gC。.P)お
よ
び リ押
セ 社(Ci・ ・V・1・d・Ri・D・ceS
.A.)と
・・う国 策 会 社 の 主 導 で 進 め
,
海 外 か ら の 融 資 は 受 け 入 れ た が ・ 外 国 企 業 の 資 本 参 加 は 自 国 の 資 源 主 権 を 脅 力、
す お そ れ が あ る と して 認 め な い か ,ま
た1ま制 限 して い た ・,.一 方 ,か
ス トラ
リ アで は 欧 米 資源 企 業 の 資 本 参 加 が 認 め られ
,開 発 プ ロ ジ ェ ク トが 国 際 コ ン
ソー シ ア ム方式 に よ ・ て経 営 され た
・ この よ うに瀾 発 輸 入 の形 態 の違 い は 現
地 国 政府 の 政 策 に規 定 され て い る。
日本 企 業 の 開 発 参 加 に さ い して の 出 資 は 日 本 へ の 安 定 的 資 源 輸 入 を 目 的 と し
た も の で あ り・ 鋤
融韻
鉱 翻
部 門 で の利 益 を 狙 ・規
発 参 加 も 同 じ灘
の で は な い1・,
。 こ の 点 か らみ れ ば
を 果 た して お り
,両 者 の あ い だ に 本 質 的 な 違 、、
は な い 。 む し ろ 日本 企 業 に と っ て は リ ス ク を 負 担 す る こ と に な る資 本 参 加 は な
隷
畿
蝶
蹴
14繍 饗象三
∫憂欝
15'
r燃
羅
藩
灘
麟
惣 芸碁蹴 野 ・一 一ジ… の・・な相 ・
ぎ
蕪 麟
蕪
警士てい・ 嶋
織
瓢 ㌍
管
軽
撫子
青・
・本・資縢
・海外投・・
上・
」
82(410)第154巻
第5号
る べ く避 け る 方 が 有 利 で あ る 。 そ の た め 山 元 が 要 請 し た 場 合 に の み 出 資 し ,持
株 比 率 も 少 数 で あ る こ とが 一 般 的 で あ る 。
た と え ば ハ マ ス レ ー の 場 合 山 元 で あ る 合 弁 企 業 ハ マ ス レ 一 社(Hamersley
HoldingsLtd.)の
Australia=イ
設 立 当 時(62年),出
ギ リ ス 系)54%,カ
ア メ リ カ)36%,現
資 比 率 はCRA社(ConzincRiotintof
地 資 本10%で
イ ザ ー ・ス チ ー ル 社(KaiserSteelCorp
あ り,日
.=
本 企 業 は参 加 し て い な か っ た 。 ハ マ
ス レ ー は プ ロ ジ ェ ク ト開 始 後 数 年 で 世 界 最 大 級 の 鉄 鉱 山 と な っ た が
,そ
の供 給
先 は 大 部 分 が 日本 へ の 輸 出 で あ っ た 。 そ の 後 ハ マ ス レ 一 社 は 日本 鉄 鋼 産 業 の 成
長 持 続 を 前 提 と し て パ ラ バ ド ゥ 鉱 区 の 拡 張 プ ロ ジ ェ ク トに 着 手 し た が ,72年
ら の 日 本 鉄 鋼 産 業 の 不 況 に よ っ て 打 撃 を 受 け た 。 三 菱 商 事 ,丸
社 と 高 炉 メ ー カ ー6社16,は
る こ と に な り,73年5月
か
紅 の 総 合 商 社2
ハ マ ス レ 一 社 の 要 請 で 同 プ ロ ジ ェ ク トに 資 本 参 加 す
に6.2%の
て い る 。 こ の と き 買 取 価 格5,850万
株 式 を カ イ ザ ー ・ス チ 一一ル 杜 よ り 引 き 受 け
負 担 し て い る こ と か ら,ハ
米 ド ル に つ い て10 .6%相
当 の 印 税 を 同社 が
マ ス レー社 は資 金事 情 の直 接 の改 善 よ り も日本鉄 鋼
産 業 へ の 鉄 鉱 石 の 引 取 保 証 を ね ら っ た もの と み られ る 。
総 合 商 社 に よ る 資 本 投 下 は,激
鋼 企 業 の 肩 代 わ り の 意 味 を も つ1㌔
しい 設 備 投 資 競 争 の た め に 資 金 不 足 で あ る 鉄
し た が っ て,投
融 資 の この よ うな 受動 的 ・
限 定.的 性 格 は 鉄 鋼 企 業 も 総 合 商 社 も 共 通 し て い る 。
だ が,鉄
鋼 企 業 が 共 同 購 入 の 体 制 を と っ て お り,個
調 的 性 格 が 強 い の に た い し て,総
別鉄 鋼 企 業 間 の 関係 は協
合 商 社 に と ら て は プ ロ ジ ェ ク トへ の 出 資 が 幹
事 商 社 と して の 地 位 を確 認 す る 意 味 を もつ 。 こ の こ と は 総 合 商 社 間 の 競 争 に お
い て 決 定 的 な 条 件 な の で,総
合 商 社 は こ う した 機 会 を む し ろ 積 極 的 に 生 か さ ね
ば な ら な い 。 資 本 参 加 が 許 さ れ る か ど う か は 山 元 の 事 情 に 依 存 す る が ,山
16)新
日鉄,日
17)日
本 製 鋼 連 盟 「鉄 鋼10年 史 一
元か
本 鋼 管.川
崎 製 鉄 ,住 友 金 属.神 戸 製 鋼,日 新 製 鋼 の6杜 。
昭 和43年 ∼52年 』1981年
,253ペ ー ジ参 照 。 な お60年 代 に お い
て は総 合 商 社 が 単 独 で 出 資 す る 形 態 か ・
一般 的 だ が ,70年 代 に 実 施 ・計 画 さ れ た プ ロ ジ ェ ク トで は
鉄 鋼 企 業 と の 共 同 投 資 の 形 態 とな っ て い る 。 こ れ は ,60年
転 し た こ と を 反 映 して い る 。
代 に比 較 して 鉄 鋼 企 業 の 資 金 事 情 が 好
原料開発輸入体制の形成史における商社 ・メー カー協調(411)83
ら参 加 を 要 請 さ れ た 場 合 に は 鉄 鋼 企 業 の 肩 代 わ り を す る こ とが 幹 事 商 社 に 求 め
られ る た め,.そ の 場 合 を 想 定 して 幹 事 商 社 に は 一 定 の 資 金 調 達 能 力,借
入金 の
金 利 負 担 に 耐 え う る 財 務 体 質 が 必 要 と さ れ る。
商 社 が 開 発 輸 入 プ ロ ジ ェ ク トへ の 投 融 資 を お こ な う場 合,資
本 輸 出 入 銀 行(以
下 輸 銀 と 略)が
織 し て な さ れ て い だ8,。 第8表
金 調 達 は通 常 日
幹 事 とな って 都 市銀 行 な どで 協調 融 資 団 を組
に よ れ ば,融
資 先 企 業 は,50年
代 にお い て は そ
の 多 く は 鉄 鋼 企 業 系 列 の 鉱 山 企 業 ま た は 鉄 鋼 専 門 商 社 で あ る が ,融 資 承 諾 額 は
小 規 模 で あ る。 そ れ に た い して 融 資 承 諾 額 が10億 円 を超 え る 巨 大 な も の は,59
年 三 菱 商 事 の ア タ カ マ(チ
リ〉,66年 三 菱 商 事 ・住 友 商 事 の サ ベ ー ジ リ バ ー,
67年 三 井 物 産 ・伊 藤 忠 の マ ウ ン トニ ュ ー マ ン,70年
三 井 物 産 の ロー ブ リバ ー お
よ び 三 菱 商 事 ・丸 紅 の ハ マ ス レ ー ・パ ラ バ ド ゥ鉱 区 くい ず れ も オ ー ス ト ラ リ
ア 〉 の6件
で あ り,総 合 商 社 が 投 融 資 主 体 と な っ て い る 大 規 模 プ ロ ジ ェ ク トで
あ る。
総 合 商 社 が 鉄 鉱 石 輸 入 の 条 件 変 化 に 対 応 で きた 理 由 の 第 三 は,資
金 調達 能 力 ,
ま た は 投 融 資 リ ス クや 金 利 負 担 に 耐 え う る 財 務 体 質 に あ る。 開 発 輸 入 プ ロ ジ ェ
ク トの 大 規 模 化 に と も な い,こ
れ を担 うた め に要 求 され る資 金 調 達 能 力 もます
ま す 大 き く な り,鉄 鋼 専 門 商 社 に よ る投 融 資 は 困 難 に な った 。
反 対 に,50年
代 の 鉄 鉱 石 開 発 輸 入 の 担 い 手 で あ っ た 鉄 鋼 専 門 商 社 は,こ
のよ
う な 条 件 を もた な か っ た た め60年 代 に は 開 発 輸 入 の 主 体 と し て 存 続 しえ な く
な っ て い っ た 。 次 第 で は こ の 点 を 木 下 座 商 の 分 析 を 通 じて 詳 し くみ て み よ う。
III鉄
鋼専門商社 の限界 一
木 下 商 店 は 戦 後 三 井 物 産,三
も と で 八 幡 製 鉄,富
原 料 輸 入,製
18)総
木 下産商 を中心に
菱 商 事 の 解 散 に よ っ て鉄 鋼 流 通 が 混 乱 して い た
士 製 鉄 両 社 の 指 定 問 屋 と な り,国 内 流 通 を 基 礎 と しな が ら
品 輸 出 へ と進 出 し,急 成 長 を 遂 げ た 鉄 鋼 専 門 商 社 で あ る 。
合 商 社 の 海 外 資 源 開 発 に た い す る輸 銀 融 資 の 役 割 に つ い て 触 れ た もの と して は ,杉 野 幹 夫
月 書 店,1989年,が
あ る。
「
総 合 商 社 の 市 場 支 配1大
鴎(412)
第154巻
第8表
日本 輸 出 入 銀 行 の 海 外 鉄 鉱 石 開 発 関 連 融 資(1970年
融資 承
諾年 度
1951
53
54
相
ゴ ア(シ
手
先
香 港(馬 鞍 山)
ゴ ア(シ
リ ガ オ お よ び コ ス テ ィ)(追
フ ィ リ ピ ン(ラ
ラ ッ プ).
マ レ ー シ ア(タ
マ ン ガ ン)
57
マ レ ー シ ア(エ
ン ダ ウ)
マ レ ー シ ア(タ
マ ン ガ ン)(追
加)
8
Qゾ
rJ ﹁V
リ ガ オ お よ び コ ス テ ィ)(追
加)
ゴ ア(シ
リ ガ オ お よ び コ ス テ ィ)(追
加)
マ ン ガ ン)(追
チ リ(ア
タ カ マ)
チ リ(ア
タ カ マ)
マ レ ー シ ア(ポ
ン テ ィ ア ン)
マ レ ー シ ア(ポ
ン テ ィ ア ン)
ゴ ア(サ
6ユ
加)
ゴ ア(シ
マ レ ー シ ア(タ
加)
ン コ ル デ ム 他)
マ レ ー シ ア(ロ
イ ン ド(キ
ゴ ア(ベ
ン ピ ン)
リ ブ ル)
ッ ー ル ・ア ル バ リ テ ン ポ)
マ レ ー シ ア(ウ
チ リ(ア
ォ ー デ ィ バ ー ン)
タ カ マ)(追
ウ︼ 3
6 ハ0
イ ン ド(キ
加)
リ ブ ル)(追
マ レ ー シ ア(ロ
加)
ン ピ ン)(追
加)
4
6
5
6
︻
0
6
イ ン ド(キ
リ ブ ル 〉(追 加)
イ ン ド(ゴ
ァ=サ
イ ン ド(バ
イ ラ デ イ ラ)
ン コ ル デ ム 他)(追
オ ー ス トラ リ ア(サ
67
イ ラ デ ィ ラ)(追
加)
イ ン ド(バ
イ ラ デ ィ ラ)(追
加 〉
Qゾ 0
ハ
0 7
オ ー ス
ト ラ リ ア(マ
ア ン ゴ ラ(カ
加)
ベ ー ジ リ バ ー)
イ ン ド(バ
ウ ン トニ ュ ー マ
ン)
シ ン ガ)
オ ー ス ト ラ リ ア(マ
ウ ン トニ ュ ー マ ン)(追
オ ー ス
ー ブ リ バ ー)
ト ラ リ ア(ロ
パ ナ マ(砂
鉄)
イ ン ド(ゴ
ァ=サ
ン コ ル デ ム 他 〉(追 加)
オ ー ス ト ラ リ ア(パ
ラ ブ ル ヅ ー)
1 2 所
注 注 出
単 位:百 万 円
「
技術 」 は技術 提供 金 融。
日本 輸 出 入 銀 行
「20年の歩 み」1971年
。
度 ま で)
融資 形 式
リ ガ オ お よ び コ ス テ ィ)
55
56
60
第5号
加)
輸
投
輸
輸
輸
輸
輸
輸
輸
輸
輸
投
輸
投
輸
輸
輸
輸
輸
輸
輸
輸
輸
輸
輸
投
輸
技
投
輸
投
投
融資 承 諾 額
出
428
資
134
出
出
518
38
出
出
904
出
出
出
39
出
105
500
144
206
入
資
入
資
1,461
出
221
出
出
入
284
66
ユ87
6
698
ユ13
出
入
497
出
256
出
22
出
94
200
入
62
出
1,990
資
3,339
出
40
68
投
輸
術
資
出
資
資
資
出
輸
出
3,743
536
950
19,604
744
576
1,225
原料開発輸入体制の形成史における商社 ・メーカー協調(4工3〕85
木 下 商 店 が51年 か ら と り くん だ フ ィ リ ピ ン の ラ ラ ッ プ鉄 鉱 山 の 開 発 は,商
社
参 加 の 鉄 鉱 山 開 発 プ ロ ジ ェ ク トの 原 型 と さ れ る もの で あ り,同 社 の 成 長 の 契 機
と な っ た 。 当 時 日本 の 鉄 鉱 石 輸 入 総 量 が 年 間400万
こ の 鉄 鉱 山 は 年 間100万
ト ン程 度 に す ぎ な い も とで ,
ト ン を 産 出 し た 。 木 下 商 店 は55年 に そ の 一 手 輸 入 契 約
を 結 ん で い る 。 同 社 の64年 度 の鉄 鉱 石 取 扱 高 は600万
入 量 の20%以
60年,木
上 を 占 め,商
ト ンを 超 え て 日本 の 全 輸
社 中 工位 で あ っ た19)。
下 商 店 は 八 幡 製 鉄,富
士 製 鉄 お よ び取 引 銀 行 の 協 力 を得 て 資 本 金20
億 円 で 貿 易 商 事 部 門 を 木 下 産 商 と し て独 立 さ せ,総
合 商社 化 へ の指 向 を う ちだ
した 。 木 下 座 商 は 日 本 と イ ン ドネ シ ア と の 賠 償 協 定 に も と つ く同 国 へ の 船 舶 輸
出 を 取 り扱 い,こ
れ を 足 場 と して 機 械,木
材,農
水 産 物 ,繊 維 な ど の 分 野 へ 多
角 化 に の りだ し た 。
鉄 鋼 業 界 で は 公 販 制 度 が 動 揺 ・崩 壊 しつ つ あ り,61年
秋 の金 融 引 締 め を き っ
か け に 多 く の 品 種 で 在 庫 が 膨 張 す る と,鉄 鋼 分 野 に特 化 して い た 多 くの 鉄 鋼 専
門 商 社 が 大 打 撃 を 受 げ る こ と と な った 。 木 下 産 商 も鉄 鋼 製 品 価 格 の 下 落 に よ る
利 益 の 減 少 や 問 屋 金 融 の 金 利 負 担 増 に 直 面 した 。 これ に加 え て 鉄 鉱 石 開 発 輸 入
に と もな う金 利 負 担 の た め に 同 社 の 経 営 は 悪 化 し,そ の 後 八 幡 製 鉄,富
富 士 ・三 菱 両 銀 行 の あ っ せ ん に よ っ て,65年6月,営
士 製 鉄,
業権 譲 渡 の形 態で 三井 物
産 に吸 収 され た 。
三 井 物 産 が 木 下 産 商 吸 収 を 決 断 した 最 大 の 動 機 は 、 同 社 の 鉄 鉱 石 商権 の 継 承
に あ っ た 。 そ の こ と は 社 史 の 次 の 記 述 に も表 れ て い る。 「こ の 合 併 の 最 大 の メ
リ ッ トは,い
う ま で も な く鉄 鋼 原 料 つ ま り鉄 鉱 石 の 輸 入 お よ び そ の 関 連 分 野 に
お け る貴 重 な 商 権 が 継 承 し う る こ と に あ っ た 。 … …(中 略)…
れ ば,そ
の 取 扱 は約1,000万
ト ン と な り,全 体 の30%を
る ば か りで な く,ひ い て は 運 輸
に も役 立 ち,非
て も,こ
保 険,造
… 両社 が 合 併 す
占 め る こ とが確 実 で あ
船 部 門 な ど広 く関 連 事 業 の 商 権 拡 充
常 に 大 き な 合 併 効 果 を も た らす こ と が 期 待 さ れ た 。 短 期 的 に み
の 分 野 の 商 権 は ほ ぼ確 実 に 全 部 継 承 で き るだ け で な く,長 期 的 に も 開
19)日 本経営史研究所編 「
稿本三井物産株式会社100'史1下 ,1978年,357ベ ージ。
第 ユ54巻
86(414)
第4-a図
第5号
木 下 座 商 の 商 品 取 扱 高 構 成 第4-b図
三 井 物産 の商 品取 扱 高 構 成
その 他
1,027
その 他
65
燃料
80
繊 維
(11.9)
金 属
(1工.①
2、178
1.066
〔3.6)
(18.7)
(1ユ,5)
機械
280
合計
2,210
(12.71
(10①
鉄 鋼製 品
合 計
1.089
9,287
〔49.3}
食 糧
(100)
機 械
1,738
2,006
非 鉄 金属
⊥9(o.9) 製 鉄 原 料
(18.7)
(21.6)
化 学 品
ユ、272
477
(13.7)
(21.6)
注1)単
位:億 円 〔%)
注2)aは1962年1ユ
月 ∼63年10月,bは1962年10-63年9月
。
出所)aは
日本経 営 史研 究所 編 『
稿 本三 井物 産株 式 会社100年 史4下,1978年.
353ベ ー ジ よ り,bは
『
有 価証 券報 告書 総 覧2よ り作 成。
発 輸 入 構 想 や 長 期 契 約 な ど,木
下 の 布 石 に は み る べ き も の が 多 か っ た 」2%当
時 三 井 物 産 は 鉄 鉱 石 輸 入 に つ い て シ ェ ア8%程
い で3位
で あ っ た が,こ
前 節 に お い て,60年
度 で,木
下 産 商,三
菱 商 事 につ
れ 以 後 ユ位 の 座 を 占 め つ づ け る こ と に な る 。
代 の 鉄 鉱 石 輸 入 商 社 に 求 め ら れ た 機 能 と し て,取
の グ ロ ー バ ル 化,取
扱 商 品 分 野 の 多 角 化,財
の 場 合,第
南 ア ジ ア の ほか オー ス トラ リア の ロ ー ブ リバ ー の 開 発 を 手
一 に,東
が け て は い た も の の,こ
り,木
務 体 質 の3点
扱地域
を あ げ た。 木 下座 商
の プ ロ ジ ェ ク トは 三 井 物 産 が 開 発 に 成 功 し た も の で あ
下 座 商 は 出 荷 ま で 担 う 能 力 を も た な か っ た 。 第 二 に,同
高 構 成(第4-a図)は,鉄
4-b図)と
鋼 製 品,鉄
鋼 原 料 が 約7割
社 の63年
で あ り,三
井 物 産(第
比 較 す る と 鉄 鋼 分 野 に 偏 重 し た 構 成 で あ る 。 第 三 に,財
弱 点 こ そ が 木 下 座 商 の 鉄 鋼 専 門 商 社 と して の 限 界 を 規 定 す る 直 接
で あ る 。 木 下 産 商 は 当 時 総 合 商 社 化 の 途 上 に あ っ た の で,鉄
の取 扱
務体 質 の
・最 大 の 要 因
鋼 分 野 に特 化 して
い た 多 く の 鉄 鋼 専 門 商 社 と は 若 干 異 な る 面 を も つ21)。 し か し そ れ は 端 緒 的 な 段
2①
21)木
同 上g
下 産 繭 は 機 械 分 野 な ど の取 引 も拡 大 して お り,鉄 鋼 分 野 で の損 失 を ほ か の 分 野 で補 う こ と/
原料開発輸入体制の形成史における商社 ・メーカー協調(415)87
階 に と ど ま っ て お り,結 局 は鉄 鋼 専 門 商 社 と して の 限 界 を 克 服 す る こ と が で き
ず に,ほ
か の 総 合 商 社 に 吸 収 さ れ る こ と に な った 。
木 下 産 商 の 三 井 物 産 へ の 吸 収 は,八
幡 製 鉄 ,富 士 製 鉄 な ど の 鉄 鋼 企 業 が,鉄
鋼 専 門 商 社 の 強 化 に 見 切 り をつ け,総 合 商 社 の 利 用 へ と踏 み 切 った こ と を 示 す
もの に ほ か な ら な い 。50年 代 に 鉄 鉱 石 輸 入 を 担 っ た 鉄 鋼 専 門 商 社 の う ち ,主 要
な も の は 木 下 座 商 と 同 様 に 総 合 商 社 に 吸 収 さ れ て い く。 東 通 は ,65年
不 況の な
か で 山 陽 特 殊 鋼 が 倒 産 す る と,同 社 へ の 売 上 債 権 の 焦 げ つ き を き っ か け と して
経 営 危 機 に 陥 り,日 本 鋼 管,東
に 吸 収 合 併 さ れ た 。 ま た,フ
きた 南 洋 物 産 は,60年
京 銀 行,富
士 銀 行 の 仲 介 に よ っ て ,66年,丸
紅:
ィ リピ ンの シブ ゲ イ鉱 山 の融 資 買 鉱 にか か わ って
に は 同 プ ロ ジ ェ ク トを 三 井 物 産 に譲 渡 した う え で73年 丸
紅 に吸 収 合併 され た 。
他 方,各
鉄 鉱 山 の 下 位 窓 口 商 社 と して ,そ
し て い る(第9表)。
の 後 も多 数 の 鉄 鋼 専 門 商 社 が 存 続
こ れ ら 下 位 商 社 は ,第 一 に,取
扱 量 に おい て 総 合 商社 に
く ら べ て 不 安 定 で あ る 。 多 く の 鉄 鉱 山 に つ い て 総 合 商 社(幹
シ ェ ア は 比 較 的 安 定 して い る が,下
ゴ ー ル ズ ワー ジ ー(オ
在 した が,70年
総 合 商 社3社
取扱
位 窓 口 商 社 は 変 動 が 激 し い 。 た と え ば,
ー ス トラ リア)で
は68年 度 の 段 階 で 窓 口商 社 は 十 数 社 存
以 降 山 元 や 鉄 鋼 企 業 の 意 向 に よ っ て9社
を 含 む7社
事 商 社)の
に 整 理 さ れ ,93年
現在
に 絞 ら れ て い る。 商 社 の 輸 入 取 扱 シ ェ ア は ,鉄 鋼 企 業
に よ る 割 当 制 で あ る た め に つ ね に 不 安 定 さ を 内 包 して お り
,幹 事 商 社 で な い 窓
口商社 の 地位 は尊 重 され ない の で あ る。
第 二 に,に
の は,そ
もか か わ ら ず 鉄 鋼 専 門 商 社 が 鉄 鉱 石 輸 入 商 社 と して 存 続 し て い る
の こ とが 鉄 鋼 企 業 に と っ て 利 益 に な る か らで あ 否
。 鉄 鋼 企 業 は,自
ら
の鉄 鉱 石 輸 入 の大 部 分 を少 数 の総 合 商社 に握 られ る こ とは総 合 商 社 との対 抗 上
不 利 で あ る か ら,輸
入 の 一 定 部 分 を 必 ず 専 門 商 社 に 割 り当 て て い る 。 ま た,こ
の 時 期 以 降 鉄 鋼 企 業 自 ら が 分 身 と し て の 「メ ー カ ー 商 社 」 を 育 成 し
,総 合 商 社
\ が で き た。 イ ン ドネ シ ア へ の 建 設 資 材 の 輸 出 な ど 開 発 建 設 プ ロ ジ
た が,こ
れ は 鉄 鋼 専 門 商 社 と して は例 外 で あ る。
ェ ク トを 媒 介 す る 能 力 が あ っ
.川 鉄 商 事
鍵45
塾
鍵
団
一
一
一
370
812
一
一
624
110
一
1,162
491
一
業
1,434
メ
ン
1,366
一
10,032
4,886
1,000
4,459
138
54
54
2,489
一
1,653
1,571
一
1,420
20ユ
176
20
} 44 50一
2
257
一
一
38
96 45
19,178
8,186
線 は 幹 事 商社 。
輸 入 鉄 鉱 石 年 鑑 』 テ ック ス レポ ー ト, 且973年 度 版 よ り 作 成 。
2,500
2.500
3,436
223
52
110
3,982
一
911
461
262
224
278
332
11,753
152
568
213
213
計
ユ5,273
一
唖
鎖
合
5,321
64,397
漕 U螂
32 [ 92 62
﹂隈
2 2
資 料)「
}
巡
1そ の 他
干 ト ン)
熟 頴 ら藤
産
ー
66 60 85 82 67
1 3 3
本
21,344
巡
サ ベ ー ジ
リ バ ー
『
一
2,464
825
一
ト
注)下
ワー ジ ー
一
山
計
ゴー ル ズ
リバ ー
堕
一
一
合
ロ ー ブ
(単f立
3 3 2 6 92 6 3 10 7
16
94
56
6 1
03
29
26
2 5
74
42
21
09
64
53
8
73 2 2 2 2 1 1
産
紅
事
事
事
井
易
64 12 24 62 34
産 紅 事 事 車 井 易 事 業 ン商 事 事 易 産 機 易 美 材 事 事 業 業 美 材
高 商 商 岩 質 商 産 メ江 商 商 貿 物 鋼 質 実 鋼 高 商 産 産 産 銅
下
菱 藤 友 南 京 鉄 本 一松 内 鋼 南 金 谷 村 綿 阪 サ 蒼 生 丸 字 田
三 井 物
丸
三 菱 商
伊 藤 忠 商
住 友 商
日 商 岩
東 京 貿
ハマ ス レー
〔1973年度)
(
摩 e
マ ウ ン ト
ニ ュー マ ン
オ ー ス トラ リア 鉄 鉱 石 銘 柄 別 窓 口商 社 一 覧
。。。。
銘柄
商社
三 丸 三 伊 佳 日東 川 山 ト兼 垣 神 東 住 岡 野 日 大 ラ大 日 入安 津
一
一
一
一
第9表
原料開発輸入体制 の形成史における商社 ・メーカー協調
〔417)89
に 対 抗 さ せ は じ め た 。 六 大 総 合 商 社 へ の 集 中 傾 向 が70年 代 に 鈍 化 し,そ れ 以 上
進 行 しな いの は このた めで あ る 。 これ は総 合 商社 へ の 集 中 が鉄 鋼 企 業 の 利 害 に
反 す る側 面,鉄
鋼 企 業 に よ る総 合 商 社 へ の 対 抗 を あ ら わ して い るが,こ
に か ん し て は稿 を 改 め て 論 じ る こ と とす る 。
の側 面