4.勧誘事例 【事例1】 平成 27 年1月のある日、自宅で家事をしていた

4.勧誘事例
【事例1】
平成 27 年1月のある日、自宅で家事をしていた消費者Aは、自宅に電話がかかってきた
ので応対すると、「消火器のヨツバです。今日は○○地区を回っています。お宅の消火器、
使用期限がきてますので、伺ってよろしいか。」と言われた。Aは、常日頃から消火器は必
要な物と認識していたため、
「使用期限がきているなら交換しないといけない」と思い、そ
の日の夕方来訪するよう伝えた。
電話を終えた後、不審に思ったAは、台所に置いてある消火器を確認したところ、消火
器に表示されている期限まで、あと4年もあることが判明したため、従業員が訪問したと
きに説明してもらおうと考えた。
その日の夕方、同社従業員Zの来訪を受けたAは、Zを玄関まで案内し、
「交換期限まで
まだ4年もあるのに、どうして交換しないといけないのか。」と尋ねたところ、Zは、「薬
剤が変わったので、交換しないといけない。」と説明した。
AはZの説明に納得できなかったので、再度「薬剤がかわっただけで、なぜすぐに替え
ないといけないのか。」
「期限までまだ4年もある。まだ使えるのではないか。」と質問した
が、Zは「薬剤が変わったので、交換しないといけない。」と繰り返すだけで、やはりAは、
納得できなかったが、しぶしぶ新しい消火器を購入することにした。
翌日、Aは、Zの説明した事実を確認するため、購入した消火器の製造者に電話をかけ
たところ、もともとAの自宅にあった消火器は交換時期にきていないことと薬剤も変える
必要がないことを知り、居住する市の消費生活センターに相談し、クーリング・オフする
こととした。
【事例2】
平成 26 年 11 月頃、消費者B宅に男性の声で、
「消火器の使用期限が来ているので交換に
行かせて貰っていいですか。」と電話があった。Bは以前、別の消火器の訪問販売事業者Y
から消火器を購入したことを思い出し、今回の電話もYからの電話だと思った。
Bは、当時、家庭の事情で多忙であったため、とりあわずにいたが、翌年春頃の夕方、
偶然特別な用事もなく自宅でのんびり過ごしていたところ、自宅の電話が鳴ったので応対
すると、男性の声で「今日は近くを回っていますので、これから交換に行かせてもらって
いいですか。」と言ってきた。
このときBは手があいていたので、「今、いいですよ。」と応じ、電話を切ったところ、
10分ほど後にインターホンが鳴り、「電話した者です。」と言って同社の従業員Xが訪問
してきた。
Bは、XをYの従業員と思い込み自宅の玄関内に案内したところ、Xは「ヨツバ117
に会社の名前が変わりました。会社の名前が変わっただけで経営者は同じです。お宅の消
火器は使用期限がきているので、交換をせずこのまま置いていたら大変な事になりますよ。」
と言ってきた。
Bは、XがYの従業員でないことを知り、少し不安になったが、それを見越したように
Xが「これ見てください。これは5年前に消火器を買って貰ったお客さんの名簿で順番に
回らせてもらい、交換させてもらっています。」と言って、Bに名簿のようなものを見せた。
その書類には、たくさんの人の名前や数字が記載してあり、Bは、その中に自分の夫の名
前を見つけた。その後もXは、Bに消火器のパンフレットや契約書等を見せながら消火器
の説明を続けていたが、やがてBが消火器を購入することについて承諾していないにも関
わらず契約書や領収書の記載を始めた。
Xは、契約書を書きながら、消火器の価格、下取り料、出張費、会員保証、消費税の金
額を読み上げ、
「会員保証は消火器とセットみたいなもので、買ってもらった方は入会して
もらっています。これは、保険みたいなもので、お宅や近所で火事になり、その時この消
火器を使った場合、新品と交換しますし、お宅の家が火事で全焼したら 50 万円の見舞金が
出ます。」などと説明した。
合計金額を聞いたBは、
「えらい高いやん、そんな高い消火器いらん。」
「そんなお金ない。」
と何度も断ったが、Xは、何度も「交換時期に来ているので交換しないとダメですよ。」
「爆
発しますよ。」
「火事になり液がでなければ、えらい事になりますよ。」と言って勧めてきた。
やがてBは、「爆発したら怖いし、この人、買うまで帰れへんやろな。」と思い、仕方な
く購入することにした。
その日の夜、Bは、仕事から帰ってきた家族に今日の出来事を話したところ、家族は、
パソコンで調べ、一般家庭では交換する義務がないことを知り、翌日、地元の消費生活セ
ンターに相談し、クーリング・オフすることとした。
【事例3】
平成 27 年5月頃、消費者C宅に男性の声で、「Cさんの家の消火器は、とうに期限が過
ぎていますよ。」「消火器も設置が義務付けられたので、新しい消火器と交換しないといけ
ませんよ。」「期限が過ぎた消火器は使いものになりませんよ。」「早く新しい消火器と交換
しないと火事になったとき大変なことになりますよ。」と電話があった。
Cは、5年前に消火器の中身を交換しており、それから1回も使ったことがなかったの
で、まだ交換する必要はないと考え、「要りません。」と断り電話を切った。その後、1週
間に1回くらいの頻度で執拗に購入を勧める電話が入りだしたが、Cはその都度きっぱり
と断り続けていた。
同年6月、いつものように電話があり、Cは「今まで言っているように要りません。」と
断った。しかし、この日は、
「期限の切れた消火器は、消火器ではないのですよ。」
「消火器
も設置が義務付けになりましたから、期限の切れた消火器は、何の役にも立ちませんよ。」
「いざ火事になったときどうします。早く交換しないといけませんよ。」と、いつも以上に
しつこく勧めてきた。そうするうちにCは、
「これだけ勧めるのには、本当に交換しないと
いけないのかもしれない。設置義務もあるように言いはるし。」と消火器を交換する気持ち
になり、後日の来訪を承諾した。
翌々日、同社の従業員WがC宅に来訪した。Wから勧められた消火器の値段の高さに驚
いたCは、「高いので要りません。」と断ったが、Wはしつこく勧めてきた。それでもCが
断り続けると、Wの顔色が変わりだし、段々と大声になりだした。そして、Wは、近所に
聞こえる位の大きな声で、
「何回も言ってるでしょう。お宅の消火器は期限がすでに過ぎて
いるので交換しないといけないのですよ。」と言った。
Wのこの様子からCは、
「どうしよう、私が買うまで絶対に帰れへんわ。このまま興奮し
て家に入って来て居座られたら怖い、どうしよう。」と怖くてたまらなくなり、「買うまで
帰ってくれへんやろ。このまま居座られたら嫌や。高いけど買わなしゃあない。」と考え、
仕方なしに買うことにした。
その日の夜、Cは帰ってきた家族に相談し、居住する市の消費生活センターに行き、ク
ーリング・オフすることとした。
【事例4】
消費者Dは、5年前に本件事業者とは別の事業者Vから消火器を買っており、会員にな
っていた。平成 27 年2月、D宅に男性の声で、「前の会社から事業を引き継いだヨツバイ
イナです。Dさんの名前が当社の名簿に載っており、当社の会員になっています。以前買
っていただいた消火器は5年経っていますので、新しい消火器と交換の時期に来ています。」
と電話があった。Dは、
「まだ買って5年しか経っていないので、交換する必要はない。買
い替える気持ちは全くないので、要りません。」と、きっぱり断り電話を切った。4月に再
び同様の電話があったが、このときもDはきっぱり要らないと断った。
5月になって、これまでと同じように電話があり、
「Dさんの家の消火器は5年経過して
いますので、新しい消火器と交換することになっています。今からお家に伺わせてもらっ
ていいですか。」と、新しい消火器の購入を勧めてきた。しかし、Dは、「5年経っていて
も、一般家庭には会社などのように消火器を交換する義務はない。」と思っていたので、
「前
にも電話があったけど、うちは消火器いらんで。5年経ってても交換する義務はない。1
回も使っていなかったら8年でも9年でも交換せずに持っていてもいいはずや。」と言った。
すると電話の相手は、「一般家庭でも5年で交換することが法で決まっていますよ。」と法
律で決まったように言ってきた。これを聞いたDは、
「一般家庭でも企業のように法律で義
務付けが決まったんか。法律で決まったら仕方ないな。」と思う反面、「家の消火器まだ1
回も使ってない。本当に法律で決まったんか。家に来てもらって話を聞こう。」と考え、自
宅への来訪を承諾した。
電話を切って約3分後にインターホンが鳴り、同社従業員Wが「事業を引き継いだヨツ
バイイナです。」と言ってD宅を訪問してきた。
DはWに対し、家の消火器を示し、
「これは一度も使用していない。有効期間はまだ5年
くらいあるはずや。本体ごと交換しなくても、中身だけ交換すればいいはずや。」と説明を
求めた。しかし、Wは、
「今はそのようになっていないですよ、違いますよ。」
「法で決まっ
たから交換しなければいけない、仕方がないことです。」と述べた。そのためDは、「何を
言っても法で決まったから交換するしかないのか。」としぶしぶ納得し買うことにした。
数日後、Dは、様子を見に来た家族に、消火器を買ったときの様子を詳しく話した。家
族が消防署に電話をして確認したところ、
「個人住宅に消火器の設置義務はないので、5年
に1回の充填や交換をする義務もない。」との回答を得た。そのためDは、消費生活センタ
ーに相談し、解約することとした。