テレマティクスのプロトコル概要 (コネクテッドカーの通信サービスに必要なプロトコル) Agenda 携帯電話網におけるIPパケット通信の概要 プロトコルスタックの概要 2 Copyright© ANRITSU CORPORATION 携帯電話網におけるIPパケット通信の概要 プロトコルスタックの概要 3 Copyright© ANRITSU CORPORATION ■携帯電話網の構成概要 インターネット 通信キャリアの範囲 LTE IPパケット通信 基地局(eNB) S-GW 2G/3G P-GW 基地局(NB) IMS SGSN ※上記構成は説明用に簡略化表記しています。実際の構成には、GGSN(Gateway GPRS Support Node)やMME(Mobility Management Entity)なども存在します。詳細は、3GPP TS 23.401参照。 S-GW: Serving Gateway、LTEと2G/3Gのユーザパケットのルーティング機能 P-GW:Packet Data Network Gateway、IPサービス(インターネット、IMS)とのアンカー機能 SGSN:Serving GPRS Support Node、2G/3G向けのユーザパケット管理機能 4 Copyright© ANRITSU CORPORATION ■携帯電話網の構成概要(ポイントは?) ポイントは以下の4つ。 ①IPパケット通信用パスの確立 ②IPアドレス、DNSサーバアドレスの付与 通信キャリアの範囲 ③DNSによる名前解決 ④Httpなどの上位層プロトコル通信 インターネットの範囲 Http PDNコネクション 通信キャリアの範囲 IPパケット通信 S-GW IPアドレス DNS ③DNSによ る名前解決 DNS ①IPパケット 通信用パス 基地局(eNB) LTE インターネット P-GW ④Httpsなど 上位層プロト コル通信 ②アドレス付与 2G/3G 基地局(NB) IMS SGSN 5 Copyright© ANRITSU CORPORATION ■IPパケット通信用パスの確立(ポイント①) インターネット PDNコネクション 通信キャリアの範囲 LTE IPパケット通信 IPパケット 通信用パス 基地局(eNB) S-GW 2G/3G P-GW APN 基地局(NB) IMS SGSN IPパケット通信のために、PGWとの間で論理的な通信用パス=PDN(Packet Data Network)コネクション を確立する(2G/3Gの場合はPDPコンテキストという) 端末の論理的なコネクション先として、APN(Access Point Name)が用いられ、このAPN毎に通信用パスが 確立される。 APNの例:access123.com.mnc123.mcc456.ims APNネットワーク識別子 事業者識別子 6 Copyright© ANRITSU CORPORATION ■IPアドレスの付与(ポイント②) インターネット PDNコネクション 通信キャリアの範囲 LTE IPパケット通信 基地局(eNB) S-GW IPアドレス DNS P-GW IPアドレス pool アドレス付与 2G/3G ユーザ情報 データベース 基地局(NB) SGSN IMS PDNコネクション確立の手順において、IPアドレスやDNSサーバアドレスを端末に付与する。IPアド レスやDNSサーバのアドレスの付与方法には大きく以下2つのTypeがある。 • PPP(IPCP)によるアドレス付与(PDNコネクション確立時に合わせて実施) • DHCPによるアドレス付与(PDNコネクション確立時、あるいは確立後に実施 IPアドレス付与の際、端末の認証(SIM情報を用いて実施する方法やCHAP/PAPなどのようにPPPセッ ション毎に実施する場合)を行う場合もある。 7 Copyright© ANRITSU CORPORATION ■DNSによる名前解決(ポイント③) PDNコネクション 通信キャリアの範囲 URL http://www.anritsu.com/ja-JP/ IPパケット通信 LTE インターネット SGW PGW IMS http://www.anritsu.com/ja-JP/ にアクセスしたいが・・・ サーバのIPアドレスが分らない?? DNSによる 名前解決 DNS DNS レコード http://www.anritsu.co m/ja-JP/のIPアドレスは、 210.133.103.186 DNS(Domain Name System)は、インターネット上で ドメイン名を管理・運用するために開発され たシステム。 インターネットを利用するときに必要不可欠なシステムの一つとなっている。 IPパケッ ト通信では、IPアドレスで通信相手を特定するが、 数字の羅列は人間が識別するのは非常に困難であ ることから、 人間が覚えやすいように「***.***.com」といった文字列からなるドメイン名を利用し、 変換できるようにしている。 出典:https://www.nic.ad.jp/ja/basics/beginners/dns.html/ 8 Copyright© ANRITSU CORPORATION ■Httpなどの上位層プロトコル通信(ポイント④) PDNコネクション 通信キャリアの範囲 IPパケット通信 LTE URL http://drive.nissancarwings.com/WEB/index.htm インターネット SGW PGW IMS 210.133.103.186 へHttpでアクセス HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)は、インターネットの代名詞となったWWW(World Wide Web)上でWebサーバとクライアントが、 HTML(Hyper Text Markup Language = Webページを記 述するための言語)で書かれた文書などの情報をやりとりする時に使われる通信手順(プロトコル)であ る。 出典:https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/http.html HTTPSは、Webのデータ転送に用いられるHTTPが、SSLやTLSで暗号化されている状態を表したもの。 WebサーバとWebブラウザの間の通信が暗号化されていることを意味し、通信経路上での盗聴や第三 者によるなりすましを防止する。 出典: http://e-words.jp/w/HTTPS.html 9 Copyright© ANRITSU CORPORATION 携帯電話網におけるIPパケット通信の概要 プロトコルスタックの概要 携帯電話網のプロトコルには、大きく、 ①制御のためのプロトコル(Cプレーン) ②ユーザパケットを送受信するプロトコル(Uプレーン) の2種がある。 ここでは、説明を簡単にするために、携帯端末 – インターネット間の通信 プロトコルについて説明する。 ※IMSでの呼制御、IPパケット通信については別途まとめる。 10 Copyright© ANRITSU CORPORATION ■プロトコルスタック(Cプレーン) Cプレーンは、各装置間で通話やネットワークを制御するための信号を伝送するもの。パケット 呼を接続し、データを伝送するために伝送路を設定したり、ハンドオーバーの制御などを行う。 UEとeNodeB間の無線制御では、RRC(Radio Resource Control)という無線区間のチャネル の割り当てなどを行います。パケット呼の接続などは、UEとコアネットワーク間で、NAS (Non-Access Stratum)というプロトコルによって行われる。 出典:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1001/13/news105_2.html 通信キャリアの範囲 NAS NAS RRC RRC S1-AP S1-AP PDCP PDCP SCTP SCTP RLC RLC IP MAC(無線) MAC(無線) L1(無線) L1(無線) 端末 GTPv2-C GTPv2-C IP UDP/IP UDP/IP L2(有線) L2(有線) L2(有線) L2(有線) L1(有線) L1(有線) L1(有線) L1(有線) 基地局 MME P-GW ※上記は簡略表示。 11 Copyright© ANRITSU CORPORATION ■プロトコルスタック(Uプレーン) Uプレーンはユーザデータを取り扱うもの。PDCPを使用してユーザデータが正しく伝送される。 基地局までデータが運ばれると、基地局とS-GW/P-GWの間でIP伝送に適したプロトコルが使用 され、GTP-U(GPRS Tunneling Protocol for User Plane)を使用してユーザデータが伝送さ れる。 出典:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1001/13/news105_2.html 通信キャリアの範囲 アプリケーション DNS/Http アプリケーション DNS/Http TCP/UDP TCP/UDP IP PDCP PDCP GTP-U GTP-U RLC RLC UDP/IP UDP/IP MAC(無線) MAC(無線) L2(有線) L2(有線) L1(無線) L1(無線) L1(有線) L1(有線) 端末 基地局 IP IP L2(Ether) L2(Ether) L1 L1 P-GW アプリケーション サーバ ※上記は簡略表示。 12 Copyright© ANRITSU CORPORATION ■パケット通信までの流れ(無線レイヤの接続) RLC:Radio Link ControlおよびRRC:Radio Resource Controlにより、無線区間の接続を行う。 通信キャリアの範囲 無線リソースの割り当て NAS NAS RRC RRC S1-AP S1-AP PDCP PDCP SCTP SCTP RLC RLC IP MAC(無線) MAC(無線) L1(無線) L1(無線) 端末 GTPv2-C GTPv2-C IP UDP/IP UDP/IP L2(有線) L2(有線) L2(有線) L2(有線) L1(有線) L1(有線) L1(有線) L1(有線) 基地局 MME P-GW 下層から順にL1(物理層)、MAC(メディアアクセス制御)、RLC(無線リンク制御)、 PDCP(パケットデータ暗号化)、RRC(無線リソース制御)、 NAS(UE認証) 詳細は3GPP TS 36.300に記載 https://wirelesswire.jp/Close_Up_Technology/201104251354.html 13 参照 Copyright© ANRITSU CORPORATION ■パケット通信までの流れ(PDNコネクション確立) NAS(Non-Access-Stratum)により、PDNコネクションを確立する。PDCP(Packet Data Convergence Protocol) 上で、PPPによりIPアドレスを付与する。PPPによるIPアドレス付与の 前には、CHAP/PAPといったユーザ認証のやりとりが行われる。また、合わせてDNSサーバ等の IPアドレスも付与する。 DHCPの場合は、PDNコネクション確立後にDHCPサーバからアドレスを付与する。 通信キャリアの範囲 PDNコネクション NAS NAS RRC RRC S1-AP S1-AP PDCP PDCP SCTP SCTP RLC RLC IP MAC(無線) MAC(無線) L1(無線) L1(無線) 端末 GTPv2-C GTPv2-C IP UDP/IP UDP/IP L2(有線) L2(有線) L2(有線) L2(有線) L1(有線) L1(有線) L1(有線) L1(有線) 基地局 MME P-GW ※PDNコネクション確立の詳細手順は、3GPP TS 24.301 14 Copyright© ANRITSU CORPORATION ■パケット通信までの流れ(DNS/Http) IPパケット通信 PDNコネクション アプリケーション DNS/Http アプリケーション DNS/Http TCP/UDP TCP/UDP IP PDCP PDCP GTP-U GTP-U RLC RLC UDP/IP UDP/IP MAC(無線) MAC(無線) L2(有線) L2(有線) L1(無線) L1(無線) L1(有線) L1(有線) 端末 基地局 IP IP L2(Ether) L2(Ether) L1 L1 P-GW 15 アプリケーション サーバ Copyright© ANRITSU CORPORATION ■通信評価が複雑化する要因 S-GW P-GW 無線区間の確立 PDNコネクションの確立 IPパケット通信 正常時は問題がないが・・・ S-GW P-GW 単に「通信でない」 という事象の裏に、 様々な要因が。 IPアドレ ス変更 コネクショ ン再接続 DNSサーバとのやり とりができない ネットワーク上で 遅延が発生 TCP上はまだ接続中だけど・・・ ? 新しいセッション確立をトライするが・・ 16 × データ送信できないので ユーザ情報をクリア タイムアウトするま でつながらない Copyright© ANRITSU CORPORATION ■通信評価が複雑化する要因 ■主な要因 インターネットとセルラーという異なるポリシーのプロトコルが組み合わさって通信することに よるもの。 インターネットは、有線接続(物理レイヤでの切断はあまりない)かつ多段のネットワーク機器を 経由するベストエフォートな通信を前提。※TCPでのセッション管理など。 対して、無線側は、切れることを前提としたセッション管理プロトコルとなっており、これらを 組み合わせたことが複雑さを増している。 ■問題発生頻度は ケースバイケース。車載器評価の事例から、インターネット側のレスポンス遅延によって、車載 器がタイムアウトを起こすなど、インターネット側起因での問題発生が多発傾向。 ■検証の効率化には 責任分界点を明確にして規格適合性(異常系、パフォーマンス系)⇒ 相互接続性(運用性)をステッ プで実施していくことが効率化につながる。 また、異常系試験をすべて網羅することもできない状況においては、問題が発生した場合の切り 分けを効率化することが一番重要であり、この切り分けに、シミュレータが必須となる。 17 Copyright© ANRITSU CORPORATION 2016-3 MG No. MD8475A-J-Z-9-(1.00)
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