IRCAM Prepared Piano

ソフトウェア ユーザー マニュアル
Software Version 1.0
JP 160314
ソフトウェア使用許諾
(EULA)
以下の使用許諾規約を理解され、承諾するまで、本製品を使用しないでく下さい。
本製品をお客様あるいはお客様が許可した方が使用することは、本書の規約に同意したことになります。
本使用許諾書(以下本規約書といいます)は、IRCAM Prepared
3. 所有権
スをお客様に付与する為の条項を記載しています。本規約書に記載され
よって保持されます。本ライセンスは本製品の使用許可により、そのコ
本製品と本製品に付属するサウンドとソフトウェアの所有権は移譲する
れたものです。
Piano(以下本製品といいます)をインストールし利用出来るライセン
条項を慎重にお読み下さい。
ことは出来ません。製品の転売とコピーをすることも出来ません。
ライセンスと保護
1. ライセンス許諾
本製品の所有権、
デジタル記録された音は、
(いかなるコピーも)UVIに
ピーをお客様に付与します。本ライセンスのみがお客様によって購入さ
4. 契約期限
この契約期限は、本製品のパッケージの開封あるいは使用を開始し、終
了するまで有効です。
お客様がこの期限条件内に何かを破棄した場合、
この契約は終了します。終了に際して、UVI に本製品のコピーおよび関
連書類をすべて破壊し返却することで合意します。
UVI は次の条件でお客様に製品のオーソライズコピー毎に、非排他的、
5. 規制
本製品はUVIの資産であり、
お客様はミュージカルパフォーマンス
(以下
くはタイムシェアを禁じています。
譲渡不能のライセンスを付与します。
「演奏」
といいます)、
ライブまたはレコーディングなどの一部分として
本契約許可される場合を除き、本製品および関連書類は販売、
リース、
賃貸、
ライセンス許可、配布、転送、複製、再プロデュース、公開、改造もし
使用することのみがライセンス付与されます。
このライセンスは再販売も
しくは配布利用の為に本製品を使用することを禁じます。その範囲は、
他のディスクやデバイスに収録、再フォーマット、
ミックス、混合、
フィル
ター、再合成に及びます。
サウンド、
マルチサウンド、
サンプル、
マルチサン
プル、
ウェーブテーブルに組み込み為の編集行為、
サンプラーやマイクロ
チップなどソフトウェア、
ハードウェアを問わず、全てのサンプル再生装置
の為のプログラムやパッチ編集も禁止事項に含まれます。
本製品を使用して他者が可能のサンプリングまたはサンプル再生デバイ
スを販売あるいは配布することは出来ません。
ライセンス違反が認めら
れた時点で、本契約は終了します。
その場合、
コピーを含め、全てのUVIソ
フトウェアとドキュメントを速やかにUVIに返還しなければなりません。
UVI の保有する全ての権利は本書で明示していません。
2. ソフトウェアの保護
お客様は、本製品にコピープロテクションが使用されていること、本製
品を利用するにあたってコピープロテクションに関する操作を行うことに
同意するものとします。
*本規約書を解釈するにあたっては、英語版を使用します。
©2016 UVI. All rights reserved.
お客様は、UVI によって実装されたコピープロテクション技術の回避、改
全ての登録商標はその権利帰属者の所有物です。
造あるいは変更を加えないことにも同意するものとします。
2
目次
イントロダクション............................................................................................................ 4
操作画面
エディット(Edit)
ページ...................................................................................... 6
エフェクト
(Effects)
ページ.................................................................................. 7
設定
(Settings)
ページ.......................................................................................... 8
IRCAM Prepared Piano 演奏テクニック......................................................... 9
プリセットとプリパレーションリスト........................................................................ 13
リンク.................................................................................................................................... 16
クレジットと謝辞............................................................................................................... 17
3
イントロダクション
IRCAM Prepared Piano
無限のサウンド ポテンシャル - 究極のアバンギャルド ピアノ
莫大なライブラリ - 45のプリパレーションテクニックを網羅
世界最先端の音響音楽研究所:IRCAM と UVI のコラボレーションによ
IRCAM Prepared Piano は、
45のプリパレーションを1つ1つ丹念に
る究極のバーチャル プリペアドピアノ音源です。
サンプルの収録は、
パリのIRCAMの研究室でおこなわれました。
IRCAM
Prepared Piano は世界トップクラスのプレイヤーによる、
現代音楽で
使用する45のテクニック
(プリパレーション)
を収めています。
特別な音色
のみならず、
丹念に調整された Yamaha C7グランドピアノ、
最高級の機
材によるマルチサンプルされた音色そのものも魅力的です。
その結果、
市場で最も柔軟かつ洗練されたプリペアドピアノを完成させる
ことができました。
ノートごとに最大2つのプリパレーションを施すことが
収録し、
こうした集められたサンプル数は12,000を超えます。
これらのプ
リパレーションは、
ノートごとに設定可能で、組合わせて使用することも
可能です。
ネジ、消しゴム、
コイン、選択ばさみ、
スティックなどの一般的な手法から
マレット、
ピック、
弓、
さらには EBow まで、
40以上に異なるプリパレー
ションが用意され、
その音色を自由に試すことができます。
さらに、
ノート
ごとに2つの異なるプリパレーションを施し、
ミキシングやレベルやピッチ
の設定も可能です。
可能で、異なるポジションのマイクミキシング、
ランダマイズ機能など、
自
由にカスタマイズできます。予め用意されたプリパレーションでも、
オリジ
ナルの設定をするにも、
ちょっとした操作で即座に演奏できます!
この史上最も先進的かつ柔軟性を備えた完全なプリペアドピアノは、
UVI エンジンのパワーなしに実現は不可能でした。
IRCAM Prepared
Piano、
UVI エンジンのサウンドクォリティと機能を最大限に利用したソ
フトウェア音源の1つです。
最低システム条件:
UVI Workstation 2.6以降またはFalcon 1.0以降
•
4.5GB以上の空きディスク容量
•
インストールとオーソライズに関する詳しい情報はサウンドバンクインストールガイドを
ご覧ください。
4
IRCAMとJohn Cageについて
IRCAM Centre Pompidou
John Cage (1912-1992)
http://www.ircam.fr/
http://johncage.org/
1969年にジョルジュポンビドゥー国立美術文化センターが管轄する音響
プリペアドピアノは80年以上前に、作曲家John Cageによって開発され
音楽研究所として設立したフランス国立の施設。正式名称はInstitut de
た楽器です。
ピアノ弦にネジ、消しゴム、
コインを挟み込むなどのモディファ
Recherche et Coordination Acoustique/Musiqueで略してIRCAM
イによって生まれたこの楽器は、通常のピアノとは異なる特別な音色を
(イルカム)
と呼ばれる。作曲家で指揮者のPierre Boulezを初代総裁と
持っています。その響は弦に挟み込む素材によって異なるため、
アコース
して迎え入れたIRCAMはその創設以来、未だに世界で他に類を見ない現
代音楽の研究と制作に特化した施設として存在します。
ティックのシンセサイザー・サンプラーとも言えます。
もともとJohn Cageはピアノを打楽器アンサンブルの代替えとしてこの楽
IRCAMは可能な限り外部からのノイズを遮断した地下施設で、
コンサー
器を考案しましたが、
この発明以降、
この楽器は彼の作品とともに進化し、
トホールには残響コントロールするための可動壁や常設スピーカーを数多
様々な音色を生み出していきました。
Imaginary Landscape (心像風景
I
く有し、無響室やレコーディングスタジオをはじめとした様々音響実験施
第1番 - 1939)
では、
アシスタントによって弦をリアルタイムに変化させ、
設はもちろん、
コンピュータ端末によるマルチメディア図書館なども備えて
Second Construction in Metal
(構造第2番 - 1940)
では、
ネジとコル
います。
IRCAMには音楽に対して様々な科学的見地で研究する特別な組織があ
クボードを挟み込んだ音色を奏でました。
そして3ヶ月後、
初のプリペアドピ
アノのソロワーク:Bacchanale
(バッカナール - 1940)
を発表しました。
ります。物理学(音響学と力学)、音声処理、
コンピューターサイエンス、認
この楽器は1人の指揮者によって制御されたパーカッション楽団とイメー
知心理学、
もちろん音楽学などを音楽的見地で研究しています。
ここでの研
ジすることもできます。
この技術革新によって、幾つかの鍵盤にプリパレー
究はテーマごとにスペシャリストを集めた特別な研究チームでおこなわれ
ションを施すことで幅広いサウンドを生み出し、主にソロ演奏時の表現に
ます。各チームはその研究成果を論文、
ソフトウェア開発、
ライセンス契約、
格段に広げることになりました。
共同作業、
講演など様々な形で発表していきます。
現在、
IRCAMではHugues Vinetの監督下に、
90におよぶ人間
(研究者、
エンジニア、大学院生、音楽専門家および運営スタッフなど)が研究と開
発に携わっています。
5
操作画面 - エディット
(Edit)
ページ
画面切替
2 ハイライトキー
1
3 ランダマイズスイッチ
4 プリセット選択
レイヤー1音色選択
5
レイヤー1コントロール 6
オクターブダウン 7
8 オクターブアップ
レイヤー2音色選択 9
レイヤー2コントロール 10
キー 11
IRCAM Prepared Pianoは2つのレイヤーを装備し、88鍵の範囲でノートごとにプリパレーションを最大で2つ設定することができます。プリ
セットメニューを使用することで、すべてのキーまたはレイヤーを一括設定することが可能です。
ご注意:IRCAM Prepared Pianoは10,000以上のサンプルを同時に扱いますので、その分CPUパワーとメモリを消費します。
1
画面切替ボタン
5
設定画面:Edit、
Effectsおよび Settings
の切替をします。
2
ハイライトキー
オンにした場合、MIDIノートで入力した
オクターブ範囲を自動表示します。
プリパ
レーションの設定をする際に便利です。
3
ランダマイズボタン
レイヤー1または2、
あるいはその両方のプ
リパレーションをランダマイズ設定します。
4
プリセット
(Presets)
メニュー
» Preset 1/2
レイヤー1または2を一括設定するための
プリセットを選ぶためのメニューです。
» Preset 1+2
レイヤー1と2を一括設定するためのプリ
セットを選ぶためのメニューです。
音色選択 - レイヤー1
レイヤー1のプリパレーションの選択に
使用します。
6
コントロール - レイヤー1
9
音色選択 - レイヤー2
レイヤー2のプリパレーションの選択に
使用します。
10 コントロール - レイヤー2
» 音量
レイヤー1の音量調節をします。
» 音量
レイヤー2の音量調節をします。
» チューニング
レイヤー1の音程を調節します。
(±24半音)
» チューニング
レイヤー2の音程を調節します。
(±24半音)
7
11 Key
オクターブダウン
(◀︎)
プリパレーション設定の表示領域を一オク
ターブ下げる際に使用します。
8
プリパレーションの設定に対するノート
名を表示します。
オクターブアップ
(▶︎)
プリパレーション設定の表示領域を一オク
ターブ上げる際に使用します。
6
操作画面 - エフェクト
(Effects)
ページ
ディレイ 1
リバーブ
1
2
Delay
(ディレイ)
2
Reverb
(リバーブ)
» オン・オフボタン
» オン・オフボタン
» Mix
(ミックス)
原音とエフェクト音のバランス調節使用します。
» Mix
(ミックス)
原音とエフェクト音のバランス調節使用します。
» Time
(タイム)
ディレイタイムを設定します。
» Size
(サイズ)
リバーブのルームサイズ
(4〜50m)
を設定します。
» Feedback
(フィードバック)
フィードバック量
(リピート数)
の調節をします。
» Decay
(ディケイ)
リバーブ効果の残響時間を設定します。
» Cutoff
(カットオフ)
ディレイ音にかかるフィルターのカットオフ周波数を設定しま
す。
» Low Decay
(ローディケイ)
低域の残響時間を調節します。
» Spread
(スプレッド)
ディレイ効果のステレオの広がりを調節します。
»
Low XOver
(ロークロスオーバー)
Low Decayが作用する周波数帯域の調節に使用します。
» High Decay
(ハイディケイ)
高域の残響時間を調節します。
» High XOver
High Decayが作用する周波数帯域の調節に使用します。
7
操作画面 - 設定
(Settings)
ページ
マイク 1
2 グルーバルパラメーター
5 バーヒッツ
アンプリチュード 3
ダイナミクス 4
1
MIc
(マイク)
» オン・オフボタン
マイクのオン・オフをします。
» Level
(音量)
» Mic 1
(DPAマイクロフォン)
クローズポジションのマイクロフォンです。
» Mic 2
(Shoepsマイクロフォン)
プレイヤーポジションのマイクロフォンで
す。
2
Global Parameters
» Release Vol.
(リリースボリューム)
リリースサンプルの音量を調節します。
» Resonance Vol.
(レゾナンスボリューム)
ペダルを踏んだ際の共鳴音の量を設定し
ます。
» Tone
(トーン)
ピアノ音色全体の明るさ調節に使用しま
す。
» Global Tune
(グローバルチューン)
ピアノ全体の音程調節に使用します。
3 Amplitude
(アンプリチュード)
» プリパレーションメニュー
アンプリチュード調節対象のプリパレー
ションを選択します。
» ADSR
一般的なADSRパラメーターで、
プリパ
レーションのアンプリチュードエンベロー
プを調節します。
4
ダイナミクス
» Dynamics
(ダイナミクス)
ピアノ全体のダイナミクス
(ベロシティによ
る強弱幅)
を調節します。
» Vel. Curve
(ベロシティカーブ)
演奏スタイルに合わせたベロシティ感度の
調節をする際に使用します。
5
Bar Hits
(バーヒッツ)
» プリパレーションの選択
ピアノのC-1〜G#-1ノートの金属バーを
特別な方法で収録しました。
これらのバーを手(hands)、スティック
(sticks)
またはマレット
(mallets)
で叩い
た音を選ぶことができます。
» 再生ボタン(スピーカーアイコン)
プリパレーションの試聴に使用しま
す。
» Extra Length CC1 / CC2
(エクストラレングスCC)
ピアノ弦をかき鳴らす際ためのMIDI
CCを設定します。
プリペアドピアノでよく用いられる使
用していないパートの弦をかき鳴らす
奏法をおこなう際に使用します。
» Una Corda CC
(ウナコルダCC)
ウナコルダペダルを使用する際のMIDI
CCを設定します。
(ウナコルダは2または3
弦に適用したプリパレーションのみに作用
します。
)
» Sostenuto CC
(ソステヌートCC)
ソステヌートペダルを使用する際のMIDI
CCを設定します。
8
IRCAM Prepared Piano演奏テクニック
ご注意:実際の楽器と同様に特定の効果やプリパレーションを
IRCAM Prepared Pianoのすべての音域で扱うことはできま
せん。
例えば、
ネジのプリパレーションは低音のノートで選ぶことは
拡張テクニック
打弦(弦を叩く)
Mallets(マレット):ビブラフォンのマレットを弦をたたくテクニッ
できません。
これはピアノの構造上、低音域には1つの弦しか張ら
クです。一般的なハンマーアクションによる発音に似ていますが、
れていないため、
ネジを挟み込むことが不可能であるからです。
より柔らかい音色が特徴です。
*ここでは演奏テクニックと記載していますが、音色(プリパレー
ション)
の解説とご理解ください。
通常の演奏テクニック
Sustain と None
Sustainは通常のピアノ音色です。弦は打鍵によるハンマーアク
Wooden Stick(スティック)
:木製のドラムスティックで弦をた
たくテクニックです。
アタックが強く短い、
ダルシマーに似た音色が
特徴です。
プレッシャー操作でフォルテペダルを操作できます。
Stick Rebound
(スティックリバウンド)
:通常のスティックのプ
ションで振動し、発音します。
この音色ではウナコルダとフォルテ
リパレーションと基本は同じテクニックですが、弦をたたいた後に
ペダルを使用することが可能です。弦振動に作用する物体(プリパ
スティックが弦を上を跳ねます。
レーション)
はありません。
Noneはプリパレーションはもちろんのこと、
ハンマーアクションを
含めた音を発生する要素が一切ありません。従って、打鍵をして
Muted Stick Rebound(スティック リバウンド ミュート)
:ス
ティックリバウンドと同じテクニックですが、
ミュートした弦をたた
きます。
(ミュートの項目を参照).
も音は出ません。
この設定は、
ミスタッチを防いたり、あるいは
Gyorgy Ligetiのエチュード:Touches bloquées
(リゲティの練
習曲 第3番:妨げられた打鍵)
を演奏するのに適しています。
(冗
談です...)
9
IRCAM Prepared Piano演奏テクニック[続き]
撥弦(指による弦のかき鳴し、爪弾き)
Pizz.(ピチカート)
:弦をピックで、
1つの弦(ノート)
を弾きます。
この結果、
ギターのような音色を出すことが可能で、
このテクニッ
Andre Dalbavie(マーク=アンドレ ダルバヴィ)
によるJ.S.バッ
ハのContrapunctus XIX
(コントラプンクトゥス XIX)
でも、
この
テクニックを確認することができます。
クは、Georg Crumb
(ジョージ クラム)
の Makrokosmos
(マク
ロコスモス)
や Gerard Pesson(ジェラール ペソン)
の器楽合奏
このプリパレーションは通常、一般的なハンマーで弦をたたく演
曲 Rescousse(器楽合奏のための)
などに代表される一般的に
奏を利用します。場合によって、何かの物体を弦に置く手法を用い
広く用いられる手法です。
る際にも適用する場合があります。
このようなプリパレーションを
施す場合、実際のピアノはいくつかのノートにまたがっておこなわ
Scratch(スクラッチ)
:爪で弦を引っ掻く手法です。
このテクニッ
クによって、倍音に満ちた音色を出すことができます。
このテクニッ
れますが、IRCAM Prepared Pianoはノートごとに施すことがで
きます。
クは通常、他の手法と組合わせます。Horatiu Radulescu(ホラ
チウ ラドゥレスク)
の Clepsydra
(for 16 players with sound
物体を弦の間に挟む場合、通常は3本弦のキー:ミドルベース
icons/16人の演奏家とサウンドアイコンのため)
でこの奏法を確
(F1)以上の鍵盤に対して施します。
1弦と2弦の間に1つの物
認できます。
体、
2弦と3弦の間にもう1つの物体を挟む場合もあります。
IRCAM Prepared Pianoでは、
低音域:1本弦
(F0 以下)
または
持続音(サスティンの効いたサウンド)
2本弦(F#0 - E1)
のキーに対しても、物体や演奏テクニックを適
Bow(弓)
:バイオリンの弓で 2-3本の弦を擦りながら、1つの音
用することができます。
ウナコルダペダルを操作した場合のみ、
2
程を構成します。
こうして持続したサウンドが発生します。
このサ
弦と3弦のプリパレーションが有効になります。
これはオルガンテ
ウンドは弓を切り返す時の音色変化が特徴的です。音色の変化は
クニックのラインを弾く際に、
このペダル操作が機能することを意
弓の松脂の量や位置によっても発生する場合があります。
味します。
Ebow(イーボウ)
:エレキギターでサスティンを電磁的に引き伸
す機器を使用したテクニックです。電気によって発生した磁界に
よって、
ピアノ線の振動を持続させることで、サスティンが続く音
色を生み出します。
アタックがマスキングされた音色が特徴です。
弦上に物体を置いたテクニック
Paper(紙)
:丸めた紙を弦の上に置いたテクニックです。低音域
のエコー効果を生み出す場合があります。
Aluminium foil(アルミ箔)
:アルミ箔を弦の上に平らに敷い
その他の弦演奏テクニック
たテクニックです。
この手法によって、非常に長くかつ特徴的で金
Harmonics(ハーモニクス)
:通常のハーモニックスは、弦(ピア
属的な振動が得られます。金属のコインを置いた際の効果に良く
ノ線)
の中間点に指の圧力によって発生したオクターブ上の音と
似ています。最初にこの方法が使用された作品はGeorg Crumb
なります。鍵盤は普通に演奏をし、弦振動を指でコントロールして
(ジョージ クラム)
のMakrokosmos (マクロコスモス第1集)
I
と
発生させます。
ハーモニックスは、弦に作用するポイントを変更す
なります。
ることで、音程を変更可能で、
この音源ではすべての弦のハーモ
ニックスを再現することができます。
デチューンボタンをダブルク
iPhone(アイフォン)
:iPhoneを弦の上に横置きしたテクニック
リックすることで、特別なデジタルコードで演奏をすることも可能
です。
この手法を用いることで、金属的なダンピング効果と弦の上
です。
このテクニックはソロ楽曲、例えばGeorg Crumb(ジョー
で弾む効果が得られます。iPhone をピアノ線の間に挟んだ効果
ジ クラム)の作品のような演奏に適しています。また、Marc-
ではありません。
10
IRCAM Prepared Piano演奏テクニック[続き]
ミュート
(Mutes)
:指をブリッジ付近でおさえて、弦振動を制限
この手法は様々な音色を造り出す際の基礎として用いられます。
したテクニックです。
この類のプリパレーションには、弦の間に布
そのサウンドは豊かな倍音共鳴が特徴で、
ゴングタイプの音色で
やフエルト、
ウィンドウシールド
(ゴム)
を用いる場合もあります。
い
す。
ノートを強く弾いた際は、細かなバイブレーションが加えられ
ずれの方法も振動を抑えることで、音色の時間に作用する効果を
ます。
生み出します。
このテクニックを学ぶには、
Michaël Levinas
(ミカ
エル レヴィナス)
の作品を確認することをおすすめします。
弦で物体を挟んだテクニック
Rubber(ラバー)
:消しゴムを用いたプリパレーションです。深い
低音のゴングに似たサウンドを生み出すことができます。
これを用
いた最初の楽曲はJohn Cage(ジョン ケージ)
の Amores(ア
モーレス)で、
3つのノートをゴムミュートした“打鍵の妨げ”効
果を創り、他のプリパレーションの共鳴の強調に利用しました。
Half Spring-type Clothespin(洗濯バサミ)
:バネタイプの
木製洗濯バサミを使用したプリパレーションです。固い木材の洗
濯バサミを使用した場合、
ゴングに似た特性の音色になります。
IRCAM Prepared Pianoでは柔らかい木材の洗濯バサミを使
用し、
より鈍い、
ダンピングされた音色を得ています。
この手法は、
しばしゴムミュートのプリパレーションと併用されます。
また、
この
手法ではしばし、響板に接するように設置します。
これによって強
く短いアタック効果を生み出します。IRCAM Prepared Piano
では“add soundboard”の設定で、
その効果を追加できます。
すべてのケージの作品には最低でも1つのネジが使用されてい
ます。Prelude for Meditation(瞑想への前奏曲)
では4つの音
符で演奏されています。全てのノートはボルトによるプリパレー
ションを施した音色を通常のピアノのサウンドに加えられ、
その効
果をハッキリと確認できます。Daughters of the Lonesome
Island(孤島の娘たち)
では、39鍵にプリパレーションが施されて
います。
ほとんどのノートにはネジが使用され、
その豊かな音色は
ガムランのアンサンブルをイメージさせます。
このようにこのテク
ニックは様々な場面に応じて活用できます。
Screw / Bolt + Loose Nut(ボルトとナット)
:前出の手法と
同じくネジを使用したテクニックです。
この方法では、
ナットを緩
く装着したボルトを使用し、演奏をした際に、
ナットの振動(バズ)
音を加わります。
このプリパレーションはJohn Cage
(ジョン ケー
ジ)
の Amores(アモーレス)
で確認できます。
2つのノートはナッ
トを装着したボルトのプリパレーションが施されています。
この作
品はまた、
ケージが施したプリパレーションを要約した楽曲として
も知られ、
プリペアドピアの演奏を知るのに良い題材です。
Screw / Bolt(ネジ)
:ネジまたはボルトは最も一般的なプリパ
レーションです。
ネジの様々な形状;長さや厚み、頭の大きさや形
など、全ての要素が弦振動に影響し、音色のキャラクターを特徴
づけます。
11
IRCAM Prepared Piano演奏テクニック[続き]
Coins(コイン)
:コインを弦の間に挟んだ手法です。
1弦と3弦の
上、
2弦の下に設置したこのプリパレーションは音色を豊かにし、
柔
らかいゴングのようなサウンドを得ることができます。
時には非常に
滑らかなバイブレーション効果が加わります。
この音色は、
ネジを使
用したテクニックよりもまるいのが特徴です。
John Cage
(ジョン
ケージ)
のA Room
(部屋)
の低域のノートはこの手法を知るのに
最も良い例と言えます。
この作品ではネジのプリパレーションと組
合わせて使用されていますので、
比較例としても最適です。
効果音
Glass Slide(グラス スライド)
:ガラス製のボトルネックを弦の
上のスライドさせたテクニックです。グリッサンドアップとダウン
が用意されています。
グリッサンドダウンはダンパーから離れるよ
うにグラスバーを動かします。
Bar Hits(バーヒッツ)
:ピアノの響板上の金属フレームをた
たくテクニックです。手、
ドラムスティック、マレットの3つの奏
法が用意されています。これらのサンプルは、一番低いベース
ノート:A-1 よりも下の音程で演奏することができます。Jacky
Terrasson
(ジャッキー テラソン)
の Caravan(アルバム Mirror
に収録)では手によるフレームをたたくインプロビゼーション
が収録されています。ビデオ(http://www.youtube.com/
watch?v=RxTi9lJSHyY)
の 2:35 の箇所で確認できる演奏を
IRCAM Prepared Piano でも奏でることができます。
Extra Length
(エクストラ レングス)
:ピックで弦をブリッジと
チューニングピンの間でスライドさせたテクニックです。
この一
般的ではない両手を使用したポリフォニックの奏法をIRCAM
Prepared Pianoで再現するために2つのパラメーターが用意さ
れています。
12
プリセットとプリパレーションリスト
Presets
IPP - All All Mics
IPP - All DPA Mics
IPP - All Shoeps Mics
IPP - Bow
IPP - ClothesPin
IPP - Coins
IPP - Ebow
IPP - Eraser
IPP - Glass Slide
IPP - Harmonics
IPP - Mutes
IPP - Phone
IPP - Piano
IPP - Scratch
IPP - Screw and Nut
IPP - Screw
IPP - Sustain
Sustain Stick
Mutes Stick rebound
音域 A-1 〜 C7
音域 A-1 〜 C7
Sustain Stick rebound
Harmonics
音域 F1 〜 C#6
音域 A-1 〜 F5
Mutes
Harmonics Pick
音域 A-1 〜 C7
音域 A-1 〜 F5
Mutes Pick
Harmonics Mallets
音域 A-1 〜 C7
音域 A-1 〜 F5
Mutes Mallet
Harmonics Stick
音域 A-1 〜 C7
音域 A-1 〜 F5
Mutes Stick
Eraser
音域 A-1 〜 C7
音域 A-1 〜 G4
Preparations
Sustain
音域 A-1 〜 C7
Sustain Pick
音域 A-1 〜 C7
Sustain Mallet
音域 A-1 〜 D5
13
プリセットとプリパレーションリスト[続き]
Eraser Pick
iPhone Stick
Clothes pin Pick
音域 A-1 〜 G4
音域 A-1 〜 G4
音域 A-1 〜 G4
Eraser mallet
Coins
Clothes pin mallet
音域 A-1 〜 G4
音域 F1 〜 D#5
音域 A-1 〜 G4
Eraser Stick
Coins Pick
Clothes pin Stick
音域 A-1 〜 G4
音域 A-1 〜 G4
音域 A-1 〜 G4
iPhone
from A-1 to B6
Coins mallet
Screw
音域 A-1 〜 G4
音域 A-1 〜 C7
iPhone Pick
Coins Stick
Screw Pick
音域 A-1 〜 G4
音域 A-1 〜 G4
音域 A-1 〜 G4
iPhone mallet
Clothes pin
Screw mallet
音域 A-1 〜 G4
音域 A-1 〜 C7
音域 A-1 〜 G4
14
プリセットとプリパレーションリスト[続き]
Screw Stick
Ebow
音域 A-1 〜 G4
音域 A-1 〜 C7
Screw+Nut
Scratch
音域 A-1 〜 C7
音域 A-1 〜 E1
Screw+Nut Pick
Glass Slide Up
音域 A-1 〜 G4
音域 E2 〜 F5
Screw+Nut mallet
Glass Slide Down
音域 A-1 〜 G4
音域 E2 〜 F5
Screw+Nut Stick
Aluminum Foil
音域 A-1 〜 G4
音域 A-1 〜 F6
Bow
Paper
音域 A-1 〜 C7
音域 A-1 〜 A#5
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リンク
UVI
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クレジットと謝辞
UVI プロデュース
ドキュメント / 技術解説
Yan Maresz
Nicolas Mondon
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Kai Tomita
John Cage プリセット
Kevin Guilhaumou
ソフトウェアとスクリプト
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Remy Muller
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GUIデザイン
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謝辞
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