コンビナートシンポジウム大分開催 毎年、日本の石油化学コンビナートが今後どのようにしていけば競争力を向上させ、生き 残っていけるのかと同時に地方の活性化に貢献していけるか、ということを中心テーマと して、シンポジウムが開催されている。今年は、1 月 20-21 日大分、大分オアシスタワーホ テルで開催された。主催は地方経済産業局である。今回は大分コンビナートをベースに開 催された為に、九州経済産業省が主催となり、共催が中国産業省局であった。これまで、 水島、徳山を中心に開催されていたが、今年は初めて九州での開催となり、大分で開かれ た。参加は、中国、九州コンビナート関係以外にも全国のコンビナートからの関係者も含 まれている。凡そ 150 名程度で会場は満席である。今回も九州経済産業長、大分県知事、 大分市長、大分コンビナート企業協議会会長の挨拶に始まり、東京理科大大学院橘川武郎 教授の基調講演「大分コンビナートと地域経済~水素活用も視野にいれて~」が行われ、 続いて大分県の取組紹介、石油関連施策・予算の紹介が行われた後、 「コンビナートから地 方を元気に」というテーマでパネルディスカッションが行われ閉会となった。閉会後は交 流会が同会場で催された。翌 21 日は昭和電工大分コンビナート又は、JX エネルギー大分 製油所の工場見学会が行われた。昨年は周南徳山で開催されたが、各コンビナートも異企 業との連携を通して、競争力強化の為に様々な工夫がなされているが紹介される。また、 地元住民の協力、理解を深める努力もいろいろされている。今回の大分では、昭和電工自 身が、アジアでの最高レベルの競争力を目指し、プラントの改造も行っていることを紹介、 非ナフサ原料の比率を 30%近くまで引き上げている。 日本の石油化学は原油・ナフサ価格の値下がりにより、一息ついた状況である。しかし、 米国のシェールガス革命、中国の経済成長の減速はこれからも継続する問題であり、一方、 中国の過剰設備問題は、石油化学分野においても一部表面化している。その場合、コスト の考え方に差異があることも念頭に置く必要がある。中国の場合、石炭化学で競争力があ るとされているのは CASH COST ベースであり、それは現金で支払われる直接製造コスト である。減価償却、資本コストは含まれない。CASH COST をクリアーすれば現金は回る。 1970 年代、日本の石化も償却、資本コストを国内販売でクリアーできれば、輸出は CASH COST をクリアーすればよいという時代で積極的に輸出に取り組んでいた時があった。こ れからの中国が石油化学市場においてどのような姿勢で取り組んでいくのか、注目される ところである。いよいよ第 13 次 5 年間計画の始まりである。
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