関西における地域コミュニテイスペースの事例と地域活性の有効性について

関西における地域コミュニテイスペースの事例と地域活性の有効性について
山中鹿次(NPO法人近畿地域活性ネットワーク)
Keyword: 関西、コミュニテイスペース、地域活性、有効性
【問題・目的・背景】
Ameblo.jp/kumagai-momo/entry-11997447006.html
個人の自宅の一部を活用し、朝の時間帯にはモーニング
今日、高齢化社会の進行や核家族の増加。個人経営の飲
食店の減少に伴い、個人の自宅に集まっての会合や、地域
の仲間同士で懇談する場:居場所が減少している感がある。
しかし全国的な商店街の空き店舗の増加や、空き家の増
加。NPO団体や一般社団法人の増加やSNS仲間同士の
オフ会などに伴い、青少年会館など公共ホールではないが、
など喫茶。水曜または木曜に着物展示会、希望があれば
会合に貸し出しをしている。
最寄駅から徒歩 10 分程度で市役所の支所にも近く、地
域の人が集う「居場所」として好適な立地である。
また運営者の関心分野の集会場所と、自宅を兼ねたス
ペーco-arc(クオーク)が大阪市東淀川区にある。
やみくもに営利を求めず、公益性を帯びた会合や、地域の
人々の居場所:コミュニテイスペースが増加してきた。
現在の関西でのコミュニテイスペースの事例を紹介し、
地域活性での有効性を報告する。
【研究方法・研究内容】
関西各地のユニークなコミュニテイスペース(不登校
の子どもの居場所、地域住民向けの喫茶店、サークルや
市民運動向けの集会場所など)を訪問し、関係者の事情聴
取やイベント参加を行い、その地域での地域活性に果た
している役割や有効性を研究:提示を行う。
(上の写真2、発達障害の子どものフォーラムの模様)
この施設の運営者は教育問題を中心とした現場支援事
業の一般社団法人コアプラスを運営。
運営者自体のフォーラムの他、教育や市民活動のセミ
【事例紹介。研究・調査・分析結果】
① 自宅利用の場合。
地域住民向けのコミュニテイカフェも増えている。大
阪市では小学校の空き教室を活用した「ふれあい喫茶」
が地元自治会で運営されている。
農地と住宅地が混在する小規模都市でも、ユニークな
コミュニテイカフェも運営されている。写真は滋賀県高
島市の「ももカフェ」である。(下の写真1)
ナーへの貸し出しなど行っている。JR 新大阪駅からも徒
歩可能な、JR東淀川駅から徒歩2分くらいの立地のた
め、極めて利便性の高い場所にあり、開催するセミナー
は定員を超える場合も多い。
また自宅兼事務所のマンションの一室を、コミュニテ
イスペースとして活用しているのに「ケイゾクエナジー」
がある。
(http://keizoku-energy.com)
大阪市の中心部の北区梅田から近く、活動拠点としての
利便性の高い場所にある。但し集合住宅の一室のために、
場所のわかりにくさが先の事例よりは劣る難点がある。
②
自宅外を使った市民活動拠点
これに対して、自宅以外を使った市民活動拠点とカフ
ェ機能を併せた店舗が、大阪市浪速区にある討論バーシ
チズンである。
(http://ameblo.jp/griripon)
この店舗は 2012 年にオープンし、運営者が講師を招
る天五中崎商店街に立地する。
き他会場を借りセミナーを行った経験から、市民がいろ
商店街での集客関連イベントとして、子どもサイエン
んなセミナーを自発的に開催し、飲食できるスペースが
スカフェや、大人の教養講座が実施されている。
恒常的にあればと運営している。
(上の写真5:こども面白サイエンスカフェのチラシ)
(上の写真3は討論バーシチズンで開催の労働と暮ら
【考察・今後の展開】
しのセミナーの模様)
平和運動や政治:経済の意見交換会:セミナーと様々
な活動が行われている。
これら事例で示したコミュニテイスペースが、利用者
にとって、ホテルの会議室のように使用が高くなく、公
好評なのが、ユースト配信ができ、お店の使用に際し
共ホールのように理由に融通が利かない(飲食がしにく
て、プロジェクターが料金に含まれているので、公共施
い、時間単位の区分が制限が多いなど)ことは少なく、あ
設よりセミナー開催での利便性が高い。
る意味、管理者と利用者がそのつどやりとりして決めて
懇親会が同じスペースでできるので、リピーター使用
が多いのも特徴である。
いける柔軟さがある。
さらに管理者の個性が利用者にとっての大きな魅力で
あり、利用する市民にとって居心地のいい居場所になっ
③ 商店街空き店舗を使ったコミュニテイスペース
ている感がある。
だが行政や民間の営利企業ではないため、安定的な補
今、全国的に増加していう商店街の空店舗を活
助も収益がないこと。個人の自宅を開放した利用の場合、
用したコミュニテイスペースが増えている。
家族の理解も継続していけるか否かの一因となる。
(下の写真4北天満サイエンスカフェ)
さらに増加する空き家の有効活用の期待の一方で、バ
リアフリー対策や耐震性をどうするかも、継続できるか
否かで重視せねばならない要因となるだろう。
立地する自治体の補助や、寄付制度の充実、地域のプ
レミア商品券を使い使用すれば恩典がある制度の検討
が課題になるだろう。
【引用・参考文献】
訪問施設のホームページ
(www.kitatenma-cafe.com/)
この店舗は大阪市で最大規模の天神橋筋商店街と、大阪
最大の都心部の梅田を繋ぐような形で東西方向に立地す