低温高圧下における帯磁率測定 C0 P

低温高圧下における帯磁率測定
固体物理研究室 A0174027 加藤達人
emu/mol)
–4
H//b–axis
2
0.07 GPa
0
20
40
H//c–axis
8
0 GPa
7
0.375 GPa
6
0.64 GPa
5
0.98 GPa
0.13 GPa
20
40
Temperature (K)
4
0
NaV2O5 の b 軸方向(上)、c 軸方向(下)
の加圧下での帯磁率
Fig.1
.
Temperature [K]
<実験結果>
SQUID 磁束計用圧力アンビル・セルについて
は 0.98 GPa まで試料を加圧し、帯磁率測定を行う
ことに成功した。
NaV2O5 の b 軸方向、c 軸方向の帯磁率測定結
果を Fig.1 に示す。両軸方向とも、34 K 付近で帯
磁率が減少して相転移を起こし、非磁性相へ転
移している。加圧するにつれて転移温度が低下し
ていくことがわかる。これらの各圧力での転移温
度は、X 線回折の実験から求めたP相(常磁性)
から非磁性相への転移温度と一致した。(Fig.2)
Rb2Cu2Mo3O12 の帯磁率測定結果を Fig.3 に示
す。加圧するにつれて Tmax の温度が低くなり、低
温での帯磁率が増加することがわかる。また、各
圧力で M-H 測定を行ったところ、加圧していくと
Cs2Cu2Mo3O12 に似た磁化曲線を示すことがわか
3
9
40
H//c–axis
帯磁率
H//b–axis
帯磁率
磁気励起
消滅温度
(Raman)
P
C1/4
20
C0
0
0
1
2
3
Pressure [GPa]
NaV2O5 の X 線回折、ラマン散乱及び本
実験から求めた圧力-温度相図
.
Fig.2
susceptibility(emu/Cu mol)
<実験方法>
SQUID 磁束計用圧力アンビル・セルでフロリナ
ート溶液を圧力媒体として用いて試料を加圧し、
SQUID 磁束計で帯磁率を測定した。低温での圧
力は Sn の超伝導転移温度の圧力依存性から求
めた。NaV2O5 では 1 T、Rb2Cu2Mo3O12 では 0.1 T
に磁場を印加し、常圧から 1 GPa 付近まで加圧し、
各圧力下で温度 2∼50 K での帯磁率の温度依存
性を測定した。
0 GPa
0.31 GPa
0.63 GPa
0.94 GPa
4
.
SQUID 磁束計用圧力アンビル・セルを用いて、
NaV2O5 と Rb2Cu2Mo3O12 の低温高圧下における
帯磁率測定を行った。
スピンギャップ系物質 NaV2O5 の b 軸方向では、
Tc=34 K 付近で電荷整列相転移を起こし、常磁性
から非磁性に転移する。また、加圧により Tc が下
がり不整合相が現れることがわかっている。本研
究では、格子系や電荷系に長周期構造等を示す
b 軸方向や c 軸方向の静水圧力下での磁気的性
質を明らかにすることが目的である。
また、一次元量子スピン系物質 Rb2Cu2Mo3O12
の帯磁率は Tmax =14.3 K 付近に極大を示す。し
かし、2 K まで相転移は観測されていない。加圧
したときに相転移が現れずに、Tmax の変化から
第一及び第二近接変換相互作用による競合系の
研究ができると期待される。
った。Cs のイオン半径が大きいことにより、化学的
な圧力が Cs 化合物に印加されていると考えられ、
Rb 化合物での圧力セルでかけた物理的圧力下
の帯磁率の振舞と似ていると考えられる。
χ (10
<はじめに>
0.03
0.765 GPa
0.97GPa
0.02
0.425 GPa
0.01
Fig.3
0
0.1 GPa
20
Temperature (K)
40
Rb2Cu2Mo3O12 の加圧下での帯磁率