!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 解 説 3 ウルトラハイテン 成形品の新しい ホットスタンピング技術 豊橋技術科学大学 森 謙一郎* !!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 自動車の燃費を向上するために、自動車の軽量 プレス成形後に下死点で保持し、成形品はトリミ 化が望まれており、高張力鋼板の自動車部品への ングや穴あけなどの後加工が行われる。ホットス 利用が急増している。引張強さが 1 GPa を超え タンピングは次のような利点を有している。 る超高張力鋼板も開発され、衝突安全性を向上す るために自動車ボディの骨格部材に使用されるよ うになってきている。しかし、超高張力鋼板の冷 間プレス成形では成形荷重・スプリングバックの ①変形抵抗が減少して、成形荷重が大幅に減少 する ②スプリングバックがほとんどなくなり、形状 凍結性が高い 増大、成形性・金型寿命の低下、遅れ破壊などが ③延性が増加して成形性が向上する 問題となっている。特に、1. 2 GPa 以上の超高張 ④金型によって急冷して焼入れを行うダイクエ 力鋼成形品のプレス成形法はまだ確立されていな ンチ効果が得られ、1. 5 GPa 程度の引張強さ いのが現状である。 を有する超高張力成形品が得られる ホットスタンピングは、加工中は柔らかく、加 ホットスタンピングの特徴 工後は非常に硬い製品が得られ、理想的な成形法 である。その一方で欠点は次のようになる。 金属は加熱すると変形抵抗が減少して延性が向 ① 900℃ 程度に加熱されるため成形品表面の酸 上し、成形が容易になる。このため、鋼板を熱間 化が著しく、スケール除去のためにショット 加工温度で成形するホットスタンピングが超高張 ブラスト処理が必要になる 力鋼成形品に対して適用されるようになってきて いる。図 1 に示すように板材を高温炉で加熱し、 * (もり けんいちろう):機械工学系教授 〒441−8580 愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘 1−1 TEL : 0532−44−6707 FAX : 0532−44−6690 ②酸化防止のためのアルミまたは亜鉛めっき処 理鋼板は高価である ③高温炉からの取り出しやダイクエンチのため の下死点保持などに時間が必要なり、生産性 が低い 下死点保持 板材 加熱 プレス成形 後加工 図 1 ホットスタンピングの工程 第 49 巻 第 2 号 (2011 年 2 月号) 33
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