このコーナーでは、明日からの皆さんの授業に生かせる「板書」「学習

このコーナーでは、明日からの皆さんの授業に生かせる「板書」「学習カード・シート」「活動」
などのアイテムを紹介します。
3回目の紹介は、
「板書」。後期授業学習会において、総合的な学習の時間「進め 雪レンジャー」
(北光小 倉内明子先生の実践)の授業の冒頭では、子どもたちが地域に飛び出し、身近な大人の
人に「あなたは雪が好きですか?嫌いですか?」というインタビューを敢行した結果を報告し合う
場面がありました。授業者はその報告を板書に位置付け、子どもたちの思考の一助としていました。
こんな時、あなたならどんなことに気をつけて板書を構成しますか?この授業の後の話し合いにお
いて、北光小学校の山田真己校長先生は、このような場合の板書について「好き」「嫌い」や「正
しい」
「間違い」、
「やめるべき」
「続けるべき」などの相反することがらについて比較しながら学習
を展開する場合には、黒板を二分し対立を生むように構成するのが常套手段なのでは?と教えてく
ださいました。
では、会員の皆さんは板書を考える際、どのようなことに気をつけているのでしょうか?「構造
的に」「チョークの色を内容ごと(課題・意見・つながり・まとめ)に分けて使う」などの方法も
あるようですが…。
自分自身もまだまだ研究中です。同じ学年
に社会を研究している先生がいますが、その
課
先生方は、構造的な板書をしており、参考に
しています。ほとんどの場合、図のような構
成が多いようです。自分では、子どもの発言
子ども
の考え
題
比較させた
り対立させ
たり…
子ども
の考え
をとらえながらゆっくり書くようにしていま
すし、自分の板書を写真にとって見直すよう
ま
と め
にしています。
(資生館小
大宮
健一先生)
構造的に書く、というのは確かに大事にしていますが、その際、子供たちがノートに書き
写せるようにすることを最も大事にしています。子ども自身がノートを見直したときに、そ
の1時間でどういう学習したのかがわかるように板書を構成しているのです。例えば、構造
的にするあまり、黒板の横幅いっぱいに書いてしまうと、子どもは自分のノートの幅に対応
させられません。あえて、その時間だけノートを横にして書くということもできるのかもし
れませんが、ノート指導ということを考えると普段のノートの形で書き写せるようにしたい
と思っています。
また、まとめやその時間の重要事項などは、独自キャラを登場させふきだしで書くように
します。すると、後で見直したときに、そのキャラの場所がその学習の大事な内容であるこ
とが子どもたちにもひと目で分かるというわけです。
理科や図工などでは、子ども自身が見て確認できるようにその時間の活動でやることの手
順を番号を振って黒板のはじに書いておくということもしています。これは、耳からの情報
が入りづらい子のためのもので、特別支援の「視覚支援」という手法です。
社会など資料が出てくる場合は、予めカラーコピーしたものを掲示したりカメラで撮った
ものを拡大して映したりすることもあります。総合的な学習の時間では、子どもたちの考え
が板書に書き出されたものを写真に残し、見とりに使うこともありますね。
(美園小
髙橋孝一郎先生)
基本的に板書は、ノート指導と考えています。そのため教科学習の場合は、板書がそのま
ま子どものノートと同じになるようにしています。
「3マスあけてこの文を書く、ここには自
分の考えを書く」というように具体的に指示を出しながら、ノートづくりをさせていくよう
に板書をつくっています。
総合的な学習の時間では、子どもの活動の様子をビデオに収めておき、前時のふりかえり
としてそれを流して利用するという手法が多いですね。ですから、あまり板書を使って…と
いうのはないように思います。
(米里小
紙谷
健一先生)
総合的な学習の時間において板書をするのは、話し合いの場面が多いです。ですから、話
し合いの論点(対立点など)がはっきりするように心がけています。そのためには、子ども
の発言を全て取り上げて書き込んでいくのではなく、ポイントとなる部分が明確になるよう
に意識して書くようにしています。
教科においては(特に国語科)、その 1 時間で学んだこととその授業の中での子どもたちの
思考の流れがわかるような板書を心がけています。1 時間の学習のスタートにある『学習課題、
そこから生まれた問題』がどういう思考の変遷をたどって『最終的な答え(みんなの共通理
解)』にまで導かれていったのか、というような『流れ』が板書の中に表れるようにしたいと
思っています。
(厚別通小
大野
睦仁先生)
子どもの思考の流れがある程度想定される場合には、その流れにそってポイントとなる意見(考
え)を整理しながら板書を進めていくことができそうです。だからこそ、行き当たりばったりでは
いけないのですね。
板書は、その時間が終わると消されてしまうものです。だからこそ、カメラに収めておくという
手法をとっている先生方は多いと思います。見取りや次時へのつながりを考えること以外にも、よ
りよい板書作りを研究するためにも見直すことは重要なのでしょう。そういえば、昨年10月に連
盟より発行された「生活・総合新時代」には、2008年度に開催された資生館小学校での全国大
会での授業の板書がたくさんカラー掲載されています。「これを参考に勉強してほしい」と、前出
の山田校長先生が話していらっしゃいました。
「電子黒板」なるものが各学校に導入されました。講習会を聞いている限りでは便利そうなので
すが、本当にこんな風に電子化されていいのだろうか?とも思います。1時間の授業の中で子ども
たちの発言や考えを盛り込みながら、その時間の学びの足跡が残る、子どもに返る、そんな板書を
つくっていきたいものです。会員の皆さんの【会心の板書】がありましたら、是非、組織部鵜飼
(fwka5176@nifty.com)まで写真データを送ってください。
(文責
鵜飼【東白石小】)