「シティズンシップ教育」の取組

第6回 自治体教育政策シンポジウム
~地域に学び「市民性」を培う
八幡市教育委員会の
「シティズンシップ教育」の取組
八幡市教育委員会学校教育課
主幹兼指導主事 川中 尚
八幡市立中央小学校
教頭 羽野 豪
八幡市の概要
市制施行 昭和52年11月1日
面
積 24.37平方km
人
口 73.559人
近畿圏のほぼ中央の京都府の南西部に位置し、豊かな緑と
水に恵まれ、また石清水八幡宮や松花堂など優れた歴史・文
化資源を持っています。
本市では、自然と歴史文化が調和した個性あふれるまちづく
りを進めています。
京都・大阪都市圏の豊かな生活の場として、現在、約74,00
0人が暮らし、5,600人の小中学生が学んでいます。
わたしたちはこのような“まち”をめざします。
~人の心も美しい まちの姿も美しい~
活力あふれ みどり彩る 生活都市
八幡市学校教育の概要
小学校 8校
中学校 4校
児童数 3,892名 教職員数 219名
生徒数 1,712名 教職員数 131名
学校教育改革の流れ
平成17年度 学校UD化構想
子ども達が、“夢”と“志”を 持って、魅力ある人間としての主体
的に生きる力としての「人間力」(にんげんりき)を身につける。
平成18年度 八幡市学校改革プラン
学校づくりの方向性
平成20・22年度 小学校の学校再編整備
H20 小学校11校が、9校に
H22 小学校9校が、8校
平成23年度 中学校の校区再編
1中学校2小学校のキャンパス構想が完成
教育のビジョン
<学校のUD化構想>
『⾃分を磨き、やわたをつくる」
ユニバーサルデザイン(UD)の視点に立った
学校教育の実現
ユニバーサルデザイン
「一人ひとりの個性やニーズを尊重し、自分たちの身近にあ
る当たり前のものを見直し、改善を重ねることにより、すべて
の人にとって暮らしやすい環境をつくっていこう」
『自分を磨き、やわたをつくる」子どもの育成
文部科学省「研究開発学校」での研究概要
【研究主題】
効率的で効果的な指導方法の研究開発
~基盤技術の定着とシティズンシップ教育の研究を通して~
①
新設教科の設置
基盤技術の定着
「総合基礎科」・・・・・・年間70時間
「やわた市民の時間」 ・・・年間10時間程度
② 教育課程
シティズンシップ教育
小学校・国語算数の授業時数や総合的な学習の時間の見直し
中学校・選択教科や総合的な学習の時間の見直し
研究仮説について
「豊かな市民力」「しなやかな身体力」としての
シティズンシップは、「意識」「知識」「スキル」を
分解的に学習するのではなく、コア・プログラ
ムを中核に、その他の取組や活動をサブ・プ
ログラムとする統合的な構成によって効率的
効果的に育成できるのではないか。
シティズンシップ教育の3つの視点と10のビジョン
④社会の規範、ルール・マナーを理解している子ども
⑤民主主義に必要な権利や義務を理解している子ども
⑥経済や金融の意味や意義とキャリアデザインについて理
解している子ども
⑦ユニバーサルデザインについて理解している子ども
①自分を大切にしようと
する子ども
②他者を思いやろうとす
る子ども
③自分の行動に対して責
任をとろうとする子ども
⑧他者とコミュニケーショ
ンができる子ども
⑨必要な情報を収集し、判
断、分析できる子ども
⑩社会を正しく見ようとす
る力を身に付けた子ども
本市シティズンシップ教育の取組
やわた市民の時間では、「豊かな市民力」「しなやかな
身体力」の育成を目指し、各学年10時間の「やわた市民
の時間」を新設し、小中9年間の系統的なコア・プログラ
ムと各教科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間を横
断的に関連させたサブ・プログラムを通して、市民意識
の育成に取り組む。
(1)見識ある市民となるための教育の在り方
(2)積極的に社会や地域に関わる活動的な市民となる
ための教育の在り方
コアプログラム
観点 発達段階
プ ロ グ ラ ム
【経 済 ・キ ャ リ ア 】
小学低学年
「お金はたいせつだね」「お金と仕事の関係について知ろう」
小学中学年
「ものの値段について考えよう」「校区に出店しよう」
小学高学年
「かしこい消費者になろう」「税金の使われ方」
中学1年
「お金と自分の関係(経済)」「自分を知ろう!(キャリア)」
中学2年
「中学生はもう大人?まだ子ども?(経済)」
「自分の適性を知ろう!(キャリア)」
中学3年
「自分と税金の関係(経済)」「自分の人生設計!(キャリア)」
【ルール・
マナー 】
小学低学年
「家と学校の違い」
小学中学年
「みんなで行動するために」
小学高学年
「ルールと責任・役割」
中学1年
「生徒の心得はなぜ必要か?」
中学2年
「地域の人々とともに」
中学3年
「市長になったら!」
コアプログラム
観点 発達段階
プ ロ グ ラ ム
【民 主 主 義 】
小学低学年
「よりよい家庭生活」
小学中学年
「よりよい学校・学級生活」
小学高学年
「身近な権利と義務」
【
ユニバーサルデザイン】
中学1年
「クラスづくり」
中学2年
「徹底検証:自分の学校」
中学3年
「理想の八幡市」
小学低学年
「ポスター(又は絵日記)であらわそう」
小学中学年
「地域を歩いてみよう」
小学高学年
「すごろくを作ろう」
中学1年
「ユニバーサルデザインの理解」
中学2年
「ユニバーサルデザインの現状と課題」
中学3年
「ユニバーサルデザインを理解した上での社会貢献」
評価について
向かう(towards)
ちょうど(at)
超える(beyond)
関心を持とうとして 関心を持ち、自ら 関心を持ち、他者
関わろうとしている と協働して関わろ
意 識 いる
うとしている
基本的な事柄を理 課題に関する事柄 知識を活用して、
他者に分かりやす
知 識 解しようとしている を理解している
く説明している
自分の意見を言お 他者の意見を受け 他者の意見を認め
うとしている
止めてから、自分 つつ、自分の意見
スキル
の意見を言ってい を言っている
る
研究の成果
• 八幡市独自の指導計画の作成
• 年間指導計画の作成による小中連携の充実
• シティズンシップ教育による児童生徒の変容
• 共通の評価基準の作成
研究の課題
• 指導計画及び指導案の検証
• 評価の在り方の検討
• 授業の指導方法の工夫・改善
• 家庭・地域との連携
八幡市立中央小学校の概要
昭和51年(1976年)創立
八幡小学校から分離
本年度は、創立38年目
・学 級 数14
(特別支援学級3含む)
・通級指導教室1
教員数 27
他 14名
児童数287名
(5月1日現在)
現在 286名
事務職員2
学校図書館司書1
心の居場所サポーター1
まなび・生活アドバイザー1
英語ジョイント1
特別支援教育支援員1
学習支援員1
初任者指導1
給食調理員4
庁務員1
小中一貫教育の推進
9年間を見通した継続的な指導
確かな学力
男山中
豊かな心
健やかな体
男山中学校キャンパス
八幡小
中央小
保育園・幼稚園
本校の現状と課題
1経済的に困難な家庭や未だ厳しい家庭環境で育っている児童が多い。
(準要保護・要保護率 約5割)
2人権を大切にしない言動が目立ち、自己肯定感が低い児童が多い。
3家庭学習時間や読書量が少なく、テレビの視聴時間が多い。
携帯電話の所持率が高いが、情報モラルを知らない児童が多い。
4遅刻・不登校の発生率が高い。
5国語・算数とも学力に課題があり、学年が上がるにつれ学力格差が
広がる傾向にある。
6コミュニケーションが上手くとれずトラブルになることが多く、
様々な問題事象も目立つ。
7望ましい食習慣がついていない児童が多い。朝食ぬきの児童も多い。
本校の実態から
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地域の状況
家庭の状況
小中一貫教育
教育ニーズ
9年間を見据えて
将来のモデル
男山中学校キャンパスのシティズンシップ・・・
中央小学校のシティズンシップ
「一人前」になるために
「この子たちの15歳像」
具体的な授業実践例1
スタートカリキュラム
『やわた市民の時間』
よりよい学級
よりよい学校
よりよい街は
人からはじまる
「一人前」になるために
具体的な授業実践例2
模擬株式会社をつくろう
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起業計画を立てよう
商品は何に?
出資者(保護者)への説明会(プレゼンテーション)
広報活動
男山中絆フェスタのブースで販売
店員として 接客マナー(態度)話し方(言葉づ
かい)
やわた市民の時間で
気づく・思う
意識
わかる 知識
技能 できる
スキル
身につけて欲しいこと
地域・家庭との連携
• 保護者を巻き込んでの授業展開を
• 保護者・地域とともに育つ子どもを
※「親すた」の取組
• 学校支援地域本部と協働して
• 地域支援相談員との連携
研究開発校後の状況
• コアプログラム10時間の実施の課題
発達段階に応じた重点内容の検討 等
• 10のビジョンの検討
ex. 男山中キャンパス…「いのち」に関わること
• 市内各キャンパスでの温度差の課題
• 改善・見直しを続けることの確認
市内データベース化 等
研究開発校後の展開
コア・プログラム(新設教科)
「やわた市民の時間」 ・・・年間10時間程度
「やわた市民の時間」の位置づけ
小1~2 「生活科」
小3~中3「総合的な学習の時間」
新指導要領の教科・領域のねらいを踏まえ、シ
ティズンシップの視点を生かす。
研究開発校後の展開
小・中一貫教育の推進
シティズンシップ教育で作成した小・中を貫く
年間指導計画を生かす!
「学力向上と不登校児童生徒の解消には、子ども
の成長をできるだけ長い期間、同じ視点で指導・
支援できるシステムを作ることが効率的で効果的
な指導である。」
・1中学校2小学校のキャンパス構想の推進
・キャンパスにおける共通の教育目標・目指す子ども像
の設定
研究開発校後の現状
学校の実態
学力へのシフト
地域の状況
児童・生徒の状況
教職員の意識
やらされている感
子どもの変容の実感
カリキュラム
教科・領域のねらいとの整合性の整理