4.北陸における潜在的ユネスコスクール支援大学間ネットワーク活用 5

自治体との連携、COC 事業、大学間ネットワークの活用による福井大学の ESD
福井大学教育地域科学部
前園泰徳
これまで福井県内の大学(大学4校、短大2校)では、ESD(環境教育も含
む)の研究・実践を行う研究室や講座がなく、大学生が ESD について学ぶ機会
はほぼ皆無であった。特に教員養成課程における学ぶ機会の欠如は、教員が現
場で ESD を実践できないことに直結し、ESD 実践校の少なさ、実践内容の質
の低さ、ユネスコスクールの浸透の遅延、県民の ESD への無関心という形で表
面化していた。このような背景において、福井大学は来年度より上記の課題を
克服し、大学そのものから、県全体の持続可能性の向上を目的として、ESD の
研究と実践を開始する。本発表ではその取り組みや可能性を紹介したい。
福井大学は、医学、工学、教育地域科学の3学部だけで構成される小規模な
国立大学である。これまでは ESD に関連する講座は全くなく、環境教育につい
ても研究室や講座が存在しなかった。福井県の持続可能性を危惧する声が高ま
るなかで、本学は今年度に文部科学省の COC 事業「地(知)の拠点整備事業」
に採択された。その大きな柱の1つに、本学と6自治体の連携による「持続可
能な社会・環境づくり」が掲げられている。また、本学は昨年度より北陸の ESD
分野の大学間ネットワークに加盟し、他大学との連携による県内外への ESD の
浸透と実践を始めている。以下に、今後の具体的な実践計画を記す。本学にお
ける試みへの意見と、高等教育機関における ESD 浸透のあり方の議論に期待し
たい。
1.コアカリキュラム設置による全学部における ESD プログラム実施
2.地域における学生のアクティブラーニングプログラム実施
3.6自治体との連携による ESD 共同研究と地域課題の解決
4.北陸における潜在的ユネスコスクール支援大学間ネットワーク活用
5.県内の他大学における ESD 情報の共有
6.学校拠点方式による県内小中高校での ESD 実践サポート
7.現職の教員や、教員免許更新時の教員を対象とした ESD 研修実施
8.教職大学院における ESD ゼミ導入
9.大学主催による ESD シンポジウムの開催