[中国移転価格税制対応に関するご提案]

[中国移転価格税制対応に関するご提案]
中国では、今年から移転価格行為の有無について、企業側がそれを証明しなければならず、特に
親企業との取引については、関連取引状況および移転価格文書(TPR)を税務当局に提出する
ことが義務付けられました。これに対し、弊社より以下のとおりソリューションをご提案いたします。
目 次
1
新税法の実施に伴う、外国進出企業の税務リスクが増大
2
移転価格の認定基準
3
貴社の中国現法が移転価格課税対象に認定される可能性
4
移転価格文書をどのように作成するか
5
移転価格文書を事前に準備し、税務リスクを回避
6
移転価格報告を作成するためのリスク分析
7
移転価格文書作成に必要な資料
8
移転価格税務リスクを回避するためのコンサルティング
9
コンサルティング実施スケジュール
10
コンサルティング依頼ご検討に際して
1.新税法の実施に伴う、外国進出企業の税務リスクが増大
今年1月1日の改正「企業所得税法」の施行に伴い、従来の外国企業に対する「外国投資企業および外国
企業所得税法」と国内企業に対する「企業所得法暫行条例」との二本建の課税制度が廃止され、内外税
制の一本化が図られた。
他方、当法では、あらためて「特別納税調整」が設けられ、「移転価格、資本弱体化、タックスヘイブ
ン」などの行為に対して、特別納税調整を通じ、特別課税を行なうことができるようになっている。
従来、中国では移転価格に対して「税収徴収管理法」、「税収徴収管理法実施細則」、「国家税務総局
渉外税務調査規定」、「関連企業間取引税務管理規定」などの法律に基づき、疑わしい外資系企業に対
して税務調査を行い、移転価格行為と認定されれば、特別課税を行うことができた。
改正「企業所得税法」が実施された後、移転価格行為の有無については、企業の立証責任でそれを証明
しなければならないことが求められ、特に親企業との関連取引状況および移転価格文書(TPR)を税
務当局に提出することが義務付けられた。
当文書の内容は、複雑で、かつ税務当局が決めた様式に沿って、中国語で作成しなければならないため、
一般の企業にとっては難しい。また、当局の定めた期日内に提出できなかった場合、罰金などの懲罰も
課せられる。
企業にとっては、事前に当文書を準備し、新税法の実施に伴う税務リスクの軽減を図ることが重要と
なっている。
2.移転価格の認定基準
項目
内容
関連企業
認定基準
株式の25%以上保有
生産・経営・販売・原材料購買などにおいて直接または間接的な支配関係が存在
製品価格の決定、取引条件などの支配
董事、高級管理者を派遣、経営を実質支配
認定範囲
有形資産の販売、譲渡、賃貸、使用
無形資産の販売、譲渡、賃貸、使用
物品の売買、資金の貸借、担保
役務、労務の提供
長期欠損(連続2年以上)、隔年で利益が急上下(10%以上の幅による)する企業
移転価格
認定条件
同業他社と比べ、利益率が低い企業
年度検査および日常検査で問題が検出されている企業
過去において脱税、納税漏れ、租税回避問題があった企業
更正方法
更正年間
罰金認定
延滞罰金
独立価格比準法
□
再販売価格基準法
□
原価比準法
事前確認制度(APA) □ 査定利益方法
税務調査による課税所得額の調整は一般的に3年前迄遡及(最長10年まであり得る)
ただし、税務当局の判断が重要
追加税(本税)のほか、延滞する場合の延滞金(現在、年率18%)
罰金(5%∼500%)
3.貴社の中国現法が移転価格課税対象に認定される可能性
どのような場合、移転価格課税対象に認定されるのか。⇒「独資企業、関連取引が多く、長期にわ
たって赤字を出し続けている」企業は、移転価格課税対象に認定される可能性が高い。
特に、貸借対照表の負債項目の未払金と前受金が多く計上され、かつ赤字が続いている企業は、その
危険性が高い。
項目
内容
認定リスク
出資比率
100%
高い
経営規模
売上高3億円以上
移転価格文書の提出が義務付け
関連取引
全体の2/3以上
高い
経営状況
経営赤字2年以上
高い
未 払 金
多く存在
前 受 金
多く存在
移転価格が認定されれば、当項目が関連会社への負債項
目として認められず、子会社の売上金として加算され、
多額の増値税を支払わされる可能性がある。
4.移転価格文書をどのように作成するのか
特別納税調整管理規程(試行)では、企業は年度税務を申告する場合、新たに下記内容の移転価格文書
(TP報告(Transfer Price
Report) )の作成と提出が求められている。
移転価格文書の準備・作成・提出ができなかった場合、罰金などの懲罰が課せられるだけでなく、税
務当局の疑念を増幅させるおそれもあるので、要注意である。
【組織構造】
【関連取引状況】
企業グループの組織構造
関連取引の相手方、金額、条件、決済
企業関連取引関係の発展と変化
関連取引の業務フロー
関連取引の相手方、および適用税率
価格決定
取引の価格決定に対する影響力
契約と履行状況
【生産経営状況】
企業の業務状況
企業の売上構成
取引価格に影響する経済的・法的要素
関連取引における親子間の費用、利益の区分
【比較分析】
企業の経営戦略と事業計画
比較分析の要素
企業の市場地位と市場競争環境分析
有形資産の物理特性、融資の正常利率
企業の内部組織構造、リスク分析
比較分析の情報選定
企業の年度財務報告、会計監査資料
比較分析により生じた差異についての説明
関連取引相手方の財務報告、会計監査資料
【移転価格方法の選択と使用】
企業融資、金額と調達
移転価格を選ぶ理由
関連取引の方式、変化と原因
移転価格と独立価格の算定
5.移転価格文書を事前に準備し、税務リスクを回避
移転価格文書を作成する目的は、移転価格課税リスクを軽減にすることにある。
移転価格文書の作成、税務当局への説明などは、企業独自の対応が望ましいが、中国税務知識と経験も
必要なため、アウトソーシングによる対応がコスト・効率・効果の面でメリットが大きい。
また、移転価格文書の作成をきっかけとし、中国現法の経営状況に関する経営診断を行い、問題点を見
つけ出し、税務対策の構築をはかるとともに、経営効率の向上にも役立つ。
現法の経営・財務・収益状況をチェックし、税務リスクを分析する。
税務リスク対策、回避方法を策定する。
移転価格対応策を構築する。
移転価格文書を作成するための資料を集める。
新法令に基づき、移転価格文書を作成し、税務当局に提出する。
税務当局との交渉・協議を行う。
移転価格認定による税負担の発生を回避する。
必要があれば、現地弁護士・会計士との共同作業を行うことがある
6.移転価格報告を作成するためのリスク分析
リスク分析項目
主要内容
研究開発
共同開発、費用の分担、成果所有権の帰属、技術指導、技術契約、特許申請
研究
製品と生産工程の設計
製品設計、生産工程の編成、収益の配分、費用の有無、無形資産の帰属の有無
開発
過程
包装
包装工程の有無、包装費用の負担、契約の有無
品質チェック
品質基準の決定者、検査機械の提供者、費用の分担、品質リスクの分担の有無
購買
購買計画の決定者、購買費用・市場リスクの負担、グループ内部購買の比率
製品
生産
生産設備計画
生産設備の提供、生産設備購入の決定権、設備投資リスクの負担
工程
品質管理
品質管理基準、最終製品の認可権、品質管理技術と設備の提供者、費用負担
在庫
在庫の有無、在庫場所、在庫費用・リスクの負担、
販売価格
販売計画・価格の決定者、販売費用の負担、注文書の流れ、市場リスクの負担
販売戦略、販売方法
販売方法の決定者、関連取引の比率、内外販売の比率、自主販売
商標
商標の使用権、商標使用契約の有無、使用料の支払、条件、方法
物流
物流ルートの決定権、物流費用の負担、
アフターサービス
アフターサービスの提供者、費用リスクの負担
企業管理
企業管理、職務権限制度の有無、本社統制、自主経営の有無
価格政策
価格の決定権、関連取引の価格設定、利益配分、価格鞘の有無
融資
親子ローン、利息の決定、融資リスク
人事
人事の決定権、派遣社員の人件費負担、教育訓練の実施、費用の負担
財産使用権
財産の賃貸、金型の賃貸、機械設備の賃貸、費用リスクの負担
製品
販売
過程
企業
管理
過程
7.移転価格文書作成に必要な資料
分類
1
2
3
4
5
6
7
8
9
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11
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30
31
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33
34
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提出資料の主要内容
企業
概況
● 設立日、投資者、登録資本金、投資総額
● 出資比率、経営範囲、沿革、優遇措置
● 企業概況を説明するその他の資料
経営
状況
● 会社の経営状況、納税状況
● その他の会計資料(最少でも3期分が望ましい)
組織
構造
●
●
●
●
企業グループの組織構造・機能
関連企業とのリスク関係(発展変化状況)
関連企業概況、適用税率表
取引価格に影響力のある関連企業
生産
経営
状況
●
●
●
●
●
●
●
●
産業概況、市場概況、競争環境
グループ集団における戦略地位と価格政策
主要製品、売上高、売上構成、利益、利益構成
事業計画、収益予算計画、親子ローン
企業機能リスク分析表
関連企業の財務報告書、会計士の審査報告
親子企業間の貿易方式、理由と変化
子会社に対する融資、金額、調達源
関連
取引
状況
●
●
●
●
●
●
関連取引、時期、金額、決済通貨、取引条件
関連取引の業務プロセス
主要契約の締結と履行状況
関連取引に影響する経済と法律要素
関連取引の合理性を説明する資料
企業関連取引財務状況分析表
比較
調整
● 移転価格選定の理由
● 移転価格と独立価格の算定理由
● 企業グループへの収益貢献
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必要資料
批准証書
営業許可証
定款
フィージビリティスタディ
監査報告書
貸借対照表
損益計算書
キャッシューフロー計算書
組織図(グループ組織図、子会社組織図)
主要経営者
職務権限範囲規程
親企業の適用税率表
関連取引企業リストと概況
産業・市場・競争環境に関する分析
業界の利益水準、収益状況に関する分析
製品カタログ、企業HP
親企業の財務報告書
親企業の会計監査報告書
子会社の財務報告、税務検査報告
リスク分析
事業計画、収益予算
基本取引契約書
技術供与契約書
役務供与契約書
社内購買規程、
親企業との関連取引--製品売買
親企業との関連取引--融資、資金支援
親企業との関連取引--労務
親企業との関連取引--資産譲渡
親企業との関連取引--資本弱体化
親企業との関連取引--対外支払
親企業との関連取引--新規投資
比較方法選定の理由
企業グループ収益の構成比
その他の資料
8.移転価格税務リスクを回避するためのコンサルティング
貴社の財務諸表から移転価格課税対象に該当するかどうかをまず確認する。
該当しない場合、当該コンサルティングは、第一ステップで完了することがありうる。
現状確認
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅴ
問題抽出
売上収益などを通じて会社の経営状況をチェック、移転価格課税対象に該当するかどうかを確
認する。
対策策定
移転価格に該当することが確認できた場合、移転価格税務対策を策定する。
税務リス
クの算定
会社の会計報告をベースに、中国の移転価格の算定基準に照らし合わせ、移転価格課税金額を
算定し、税務リスクを確定する。
回避対策
税務リスクに対して、「ゼロ課税」という回避対策を検討、対策案を立てる。
移転価格
文書作成
中国の会計基準に基づき、移転価格文書を作成する。
資料収集
市場独立取引の基準に基づき、必要とする契約書類の作成、充実を図る。
当局への
文書提出
移転価格文書を作成し、税務当局への提出を準備する。
交渉協議
必要であれば、税務当局との交渉・協議を行う。
社内管理
体制構築
移転価格税制を根本的に回避するための社内体制構築を図る。
危険防止
中国の会計税務基準に基づく費用とリスクの合理的配分比率を策定。
移転価格文書の作成に必要な各種資料を作成する。
移転価格文書の事前申請を行う
市場独立取引にかかわる各種の書類を作成。
9.コンサルティング実施スケジュール
全体のコンサルティング期間は、約半年
税務当局の移転価格文書に対する認可を得た時点でコンサルティングの終了日とする。
1ヶ月目
Ⅰ
現状確認
問題抽出
対策策定
Ⅱ
税務リス
クの算定
回避対策
Ⅲ
移転価格
文書作成
資料収集
Ⅳ
当局への
文書提出
交渉協議
Ⅴ
社内管理
体制構築
危険防止
2週間
2ヶ月目
3ヶ月目
4ヶ月目
5ヶ月目
6ヶ月目
法律に照らし、移転価格対象に該当するかどう
かを確認した上、適切な対策を策定。
1ヵ月
移転価格、売上高不認定などを算定し、税務リスク最
大値を算定する。このリスクを回避するため、税務対
策に基づく、移転価格文書を作成。
約3ヶ月
移転価格文書を作成し、文
書の効果をシミュレーショ
ンし、検証する。
事前の税務当局との協議を踏まえて、提出を行う。
問題が指摘されれば、税務当局との協議・交渉を
行う。
コンサルティング全期間
社内の中国税務管理体制の構築、リスク防止体制の確立
1.5月
10.コンサルティング依頼ご検討に際して
先ずはお気軽にご連絡ください。貴社現法様の状況をお聞きした上で、
コンサルティングの方向性、お見積りを提出致します。
弊社コンサルティングの特徴
貴社の方針・戦略を反映して、移転価格文書を作成します
中国ビジネス展開に関するご相談を受け、最適解決案を提示します
税務当局との交渉、協議を行います
政府関連機関のご紹介、税務戦略相談などに関する適切なアドバイスを行ないます
移転価格文書は日中両国語で作成します
移転価格対応のための必要書類の作成を行います
アフターサービスを重視し、現地状況の変化に応じて制度のメンテナンスを行います
株式会社中国ビジネスネットワーク
www.cbn-2005.com
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2新倉ビル4F
TEL:03-5209-0588 FAX:03-5209-0589
担当:藤田、薛(セツ)、大谷 [email protected]