ダブルネットワークゲルの溶媒による物性の関係 2015 年度木曜班 1.背景 きなかったと考察できる。 一般的なゲルは,ゼリーや豆腐のように,僅かな力 また、アクリルアミドが 8 mol/L の DN ゲルでは 1st を加えただけで簡単に壊れるほど弱い.DN ゲルは、 network ゲルの添加量が大きいほど破断時応力が大き 大きく膨潤した 1st network ゲルと延性の大きい 2nd くなった。これは 1st network ゲルがエチレングリコー network ゲルからなる相互侵入網目構造を持つ極めて ル 中 で 水 よ り も 膨 潤 し な い た め 、 ゲ ル 全 体 に 1st 強靭なゲルである。 network ゲルが広がるための量が増えてしまったため 既存に作られている DN ゲルは溶媒に水を用いたハ と考察できる。 イドロゲルである.DN ゲルはその強度や柔軟性によ 0.16 り生体内での人工関節に使用することが期待され研 ングリコールを溶媒とした.溶媒を変えたことにより, 水を溶媒としたものとの機能性の違いなどを研究す る. 0.12 応力σ[Mpa] 水から水よりも低凝固点および高沸点であるエチレ 0.24 g 0.14 究がおこなわれている.木曜班では DN ゲルの溶媒を 0.1 0.12 g 0.08 0.06 0.06 g 0.04 0g 0.02 0 0 1 2 3 1st network ゲルのモノマー(2-アクリルアミド-2-メ 4 5 6 ひずみε 2.実験 Fig. 1 EG を溶媒としたアクリルアミド 8 mol/L の チルプロパンスルホン酸),架橋剤(N,N'-メチレンビス 応力-ひずみ曲線 アクリルアミド)と光重合開始剤(α-ケトグルタル酸)を 0.16 水に溶解させた水溶液を調製した.その溶液に UV を 0.14 照射しゲルを合成した。合成したゲルを乳鉢で砕き、 架橋剤由来の未反応の二重結合を不活性化した。ゲル を乾燥機で乾燥させ、さらに細かく砕いた。 応力σ[Mpa] α-ケトグルタル酸水溶液に浸し UV を照射しモノマー、 水 0.12 0.1 EG 0.08 0.06 0.04 水、エチレングリコールに乾燥させた 1 st network 0.02 ゲル、アクリルアミド、N,N'-メチレンビスアクリルア 0 0 1 2 3 4 5 6 ひずみε ミド、α-ケトグルタル酸を入れ 1st network ゲルが十 分に膨らむまで放置した.その後、ダンベル型重合型 Fig. 2 溶媒を水、EG とした DN ゲルの に入れ UV を照射しゲルを合成した。 応力-ひずみ曲線 合成したゲルに引張試験を行い、応力-ひずみ曲線 を描いた。 3.考察 水を溶媒とした DN ゲルはアクリルアミドが 2 Table.1 水、エチレングリコールゲルの比較 切断時伸び 切断時応力 溶媒の重量% 水 2.95 0.122 Mpa 85.8 EG 4.58 0.141 Mpa 46.8 mol/L で合成できたのに対しエチレングリコールを溶 媒とした DN ゲルでは 2、4 mol/L ではゲルの合成がで 以上のことから水を溶媒とした DN ゲルと同様の破 きなかった。これはエチレングリコールの粘度が大き 断時応力をエチレングリコールを溶媒とした DN ゲ いためにかご効果が働き重合開始剤効率が低下した ルで得るにはモノマーの重量を大きくする必要が ために重合開始剤の絶対量が小さいものでは合成で あった。
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