「4年生の国語: 一つの花』お父さんとの別れ・・・」 『

学校だより
四街道市立八木原小学校
平成 21 年 11 月 11 日第 63 号
在籍児童数 計472名
地域に根ざした夢いっぱいの学校
・
心を開く表現力をもった子の育成
「4年生の
『一つの花
年生の国語:
国語:
つの花』お父さんとの別
さんとの別れ・・・」
・・・」
担任が出張その他で授業ができない時、担任
以外の教師が授業をします。この日は、塚本幸
男校長が4年1組で授業しました。
1
どん な 場面 ?
学 習問題 を 作 っ て !
「今日は先生は学校に来られません。そこでみ
なさんと一時間『一つの花』の授業をします。」
こう言ってこの場面を読んでもらい、どんなこ
とが書いてあったか言ってもらいました。A「一
つの花
つの 花 をあげる場面
をあげる 場面 」
B「お
B「 お 別 れの場面
れの 場面」
場面 」
C「お
C「 お 父 さんが、
さんが 、 最後にゆみ
最後 にゆみ子
にゆみ 子 にお話
にお 話 をする場
をする 場
面」と出て、さらに、「学習問題を作って!」と
いうと、一人の子が、すぐに 「 この場面
この 場面のお
場面 のお父
のお 父
さんの気持
さんの気持ちを
気持ちを読
ちを読み取ろう!
ろう!」と発言しました。
その問題を考えることにしました。
2
どこにさいていましたか ?
〈作品〉お 母さんが、
さんが、ゆみ子
ゆみ子を 一生けん
一生 けん命
けん命 あやしているうちに、
あやしているうちに、お 父さんが、
さんが、 ぷいといなくなってし
まいました。
まいました。 お父さんは、
さんは、 プラットホームのはしっぽの
プラットホームのはしっぽの、
のはしっぽの 、ごみすて場
ごみすて場 のような所
のような所 に、わすれられたよう
にさいていたコスモス
にさいていた コスモスの
コスモスの花 を見つけたのです。
つけたのです 。あわてて帰
あわてて 帰ってきたお父
ってきたお 父さんの手
さんの手 には、
には、 一輪の
一輪 のコスモス
の花がありました。
がありました。
ここで 、「プラットホーム」や「ごみすて場にような所」の意味、
花の咲いていた場所を話し合いました。そうして 、「コスモスは、一
輪しか咲いていなかったの?
それともたくさん咲いていたの?」と
聞きました。子どもたちは、活気づいて 、「一輪だけしか咲いていな
① 1 人、② 31 人、③ 3 人
かったから一輪持ってきた」「たくさん咲いていたんだけど、ゆみ子が一つだけと言うから、一輪だけ持
ってきた」「いっぱい咲いていたら、いっぱいもってくるよ。最後だもの」「願いがあるから一輪だけな
んだよ」と、どんどん言ってきました。そこでコスモスが群れて咲く花だということ、でも、一輪だけ
咲いたコスモスを見たことがあるならという子には、「珍しい。見ることができて
よかったね」と言い、ただ大事なことは 、「誰も気づかなくて、お母さんも気づか
なくて、お父さんだけが気づいてゆみ子にとってきた」ことを話しました。
3
喜 んでくれると 思 った ?
〈作品〉「ゆみ。
ゆみ。さあ、
さあ、一つだけあげよう。
つだけあげよう。一つだけのお花
つだけのお花、大事にするんだよう
大事にするんだよう・
にするんだよう・
・・・・。」 ゆみ子
ゆみ子は、お父さんに花
さんに花をもらうと、
をもらうと、キャッキャッと
キャッキャッと足をばたつかせて喜
をばたつかせて喜びました。
びました。
「でも、ゆみ子のほしがっているのは、おにぎりだったよね。ほしいものとちがうものを持ってきた
お父さん。A多分喜んでくれると
多分喜んでくれると思
んでくれると思ったかな。Bきっと喜
きっと喜んでくれると思
んでくれると思ったかな。『多分』が50%ぐ
らいだとすると、『きっと』は90%ぐらいの確率で喜んでくれるとしよう。そして、Cは、だめかもし
れないという人?
れない
みんなは、コスモスをゆみ子にあげるお父さんの気持ちとしては、Aか、Bか、C、
どれだと思う?」するとAが2人、Bが21人、Cが7人となりました。それぞれの考えの子が、意見
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を言いました。「ゆみ子にあげるものがなくて、困ってあげたものなのでだめか
もしれないと思った」
「それでも、一つだけ・・・、一つだけ・・・・というゆみ子には、
本当に一つのものなので、多分喜んでくれるかもと思った」「ゆみ子にあげた一
つの花は、今まであげていなかったもので、食べ物じゃないもの。そこにはお父
さんの願いがあって、食べ物以外のものでも喜んで・・・・・という強い思いがある。
だからきっと喜んでくれると思った。」と、とてもいい意見が幾つも出てきまし
た。
4
大事 にするって ?
「最初に、この場面は?
と聞いた時に、一つの花をあげる場面で、別れの場面
でもあるし、最後の大事なお話をする場面でもあるといってくれましたね。お父
さんは、ゆみ子に大事なことを伝えたかった。それが一つの花を渡して、『一つだけのお花、大事にする
んだよう・・・・・。』という言葉なんですね。 考えてみると、
えてみると、それはとても無理
それはとても無理なことをいっている
無理なことをいっている。
なことをいっている。だっ
て、 どんなに大事
どんなに大事にしたくたって
大事にしたくたって、
にしたくたって 、コスモスは
コスモスは 、三日もたてば
三日もたてば枯
もたてば枯 れてしまうから・・・・
れてしまうから ・・・・」
・・・・」子どもたち、三
日で枯れるんだ・・・・とつぶやいています。
すると女の子が手を上げて言いました。「大事にするとは
大事にするとは、
にするとは、時間じゃないと
時間じゃないと思
じゃないと思います。
います。食べ物以外のも
物以外のも
のにも大事
のにも 大事なものがあるっていうこと
大事なものがあるっていうこと。
なものがあるっていうこと 。きれいなものを喜
きれいなものを 喜ぶことだと思
ぶことだと 思います」
います」 他の子も次々に言いま
した。「たとえ一日だって大事にできるもん!」「今までゆみ子はずっとおなかがすいていて、食べ物を
もらうために一つだけ一つだけと言っていた。そうじゃないものもほしが
って、と言っているのだと思います」子どもたちは、本当に目の覚めるよ
うな意見を言ってきました。もう一度どの意見かを聞くと、Aが4人、B
が25人、Cが6人に変わっていました。「一番多いのが、Bのきっと喜ん
でくれるという意見ですね」というと、他の意見の子が、「間違ってたんだ
・・・・」と、がっかりしてため息をつきました。そこで、こう言いました。
「で
もね。
もね 。 お 父 さんの身
さんの 身 になって考
になって 考 えてみると、
えてみると 、 ずっと同
ずっと 同じ 気持ちっていうの
気持 ちっていうの
は、あり得
あり得ないよね。コスモスの
コスモスの花を見つけたけれど、食べ物じゃない。だめかもと思
だめかもと思った。それでも、
もうすぐ汽車
もうすぐ 汽車も
汽車 も来ちゃうし、
ちゃうし 、これしかないから。
これしかないから。一輪摘み
一輪摘 み取った。
った。その花
その花 のきれいさを間近
のきれいさを 間近で
間近 で見た 時、
多分、
多分、 ゆみ子
ゆみ子 は喜んでくれる!
んでくれる!
と思 った。
った。 そうして急
そうして急 いでゆみ子
いでゆみ子の 所へ 戻った時
った 時、食 べ物 じゃないけ
ど、 ゆみ子
ゆみ 子は、 食べ 物以外のものでもきっと
物以外 のものでもきっと喜
のものでもきっと喜 んでくれると思
んでくれると思った。
った。 だって、
だって 、美 しいものだから・・・・
しいものだから・・・・。
・・・・。
それが、
それが、 お父さんの願
さんの 願いでもあるのだから・・・・
いでもあるのだから・・・・。『だめかも』、『多分』、『きっと』、 喜んでくれる・・・・
んでくれる・・・・。
・・・・。
短 い時間だけれど
時間 だけれど、
だけれど、 お父さんの心
さんの心 は、 みんなが考
みんなが考えたようにいろんな気持
えたようにいろんな 気持ちにゆれ
気持 ちにゆれ動
ちにゆれ動いていたんだと思
いていたんだと思
いますね」
いますね 」 それを聞くと、すると子どもたちは、すごく満足して言いました。「みんな、あってたん
だ」「いろんな気持ちが混ざっていたんだ」
5
嬉 しかったのはお 父 さんだけ ?
〈作品〉お 父 さんは、
さんは、それを見
それを見 て、 にっこりわらうと、
にっこりわらうと、何 も 言
わずに汽車
わずに 汽車に
汽車 に 乗 って行
って 行ってしまいました。
ってしまいました 。 ゆみ子
ゆみ 子 のにぎってい
る一つの花
つの花を見つめながら・・・・・
つめながら・・・・・。
・・・・・。
「そうして、コスモスをゆみ子に渡した。どうだった?
ゆ
み子は?」『
「 キャッキャッと、足をばたつかせて喜』んだ」「そ
れを見てお父さんは、どう?」『
「 にっこりわらうと、何も言わずに汽車に乗っていってしまいました』
と書いてあるから、安心したんだと思います」「嬉しかったんだと思います。何も言わなくていいんだか
ら」「 嬉しかったのは、
しかったのは、お 父さんだけ?」
さんだけ ?」と
?」と 聞いてみた。「 お母さんも!
さんも!」「いや
「いや、
いや、 三人とも
三人とも!
とも!」「そうだ
「そうだ
ね。この別
この別れの場面
れの場面は
場面は、この家族
この家族にとって
家族にとって一生忘
にとって一生忘れられないものになったろうね
一生忘れられないものになったろうね。嬉しかったのだから。
まだ小
まだ小 さいゆみ子
さいゆみ子は 、覚えていなくても、
えていなくても、お 母さんは、
さんは、 お父さんの伝
さんの伝 えたかったことをずっと考
えたかったことをずっと考えたろ
うね。嬉しい気持
しい気持ちで
気持ちで・・・・・
ちで・・・・・。どうでしたか?
今日の授業は?」と、子どもたちに聞いてみました。
「す
ごく深い気持ちがわかった」「お父さんの気持ちがとてもよくわかった」「なんだか、深く考えて、おも
しろかった」
「そうだね。みんなで考え合うと楽しいね。、いっぱい考えられるね。じゃあ、終わります」
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