第2章 大気中の水蒸気の変化(教p242~) 1 空気中の水蒸気の変化 目に見えないが空気中には水蒸気が含まれている →これらはどのようなときに水になるのだろうか? (教p243図8の実験) ペットボトルの温度を下げると内側がくもる →水蒸気が水滴に変化する ペットボトルの温度を上げるとくもりが消える →水滴が水蒸気に変化する つまり、水蒸気は冷やされると水滴に変化する ※このような気体→液体の状態変化を凝結という ○露点 水蒸気を含む空気が冷え、水滴ができ始める温度の こと 露点の高い空気ほど多くの水蒸気を含んでいる (実験1)露点をはかろう (目的)露点を測定することで、空気中にどのくらい水蒸 気が含まれているか調べる (材料・器具)温度計・セロハンテープ・金属製コップ・氷 (方法) ①はじめに気温を測った後、金属製のコップにくみ置き の水を入れ温度を測る ②氷を入れた試験管を用いて水温を下げ、コップの表 面がくもりはじめたときの温度を読む。 (結果) はじめの温度: くもりはじめの温度: (考察) 露点: このとき空気1m3中には何gの水蒸気が含まれている か?(教p244図9を参考に) ○飽和 水蒸気をそれ以上含むことのできない空気の状態 ○飽和水蒸気量(g/m3) ある温度で1m3あたりの大気が含むことのできる最大 の水蒸気の質量(g) (温度が高いほど飽和水蒸気量は大きくなる) ①例えば、30℃で17.3gの水蒸気を含む1m3の空気の 飽和水蒸気量は30.4であるから、30.4gまで水蒸気を含 むことができる ②グラフより20℃の飽和水蒸気量は17.3であるから、① の空気は20℃で露点に達し、凝結が起こる ③そのまま10℃まで冷やすと、10℃の飽和水蒸気量は 9.4であるから17.3-9.4=7.9gの水蒸気が凝結して水 ※水蒸気の凝結と飽和水蒸気量 滴になる ○(相対)湿度 ある温度での飽和水蒸気量に対して、実際に含まれて いる水蒸気量の割合 相対湿度 = 実際に含まれている水蒸気量(g) ×100 その温度での飽和水蒸気量(g) (%) つまり、同じ水蒸気量でも気温が高ければ湿度は低く なり、気温が低ければ湿度は高くなる (教p245問い) ① 12(g)÷30(g)×100=40(%) ② 12.8(g/m3)×0.5=6.4(g) (例題)右の図は飽和水蒸気量と温度と の関係を表している (1)30℃の空気は1m3中に最大何gの 水蒸気を含むことができるか 30.4g (2)Aの状態にある空気の露点は何℃ か 10℃ (3)Aの状態にある空気10m3を、水蒸気の出入りなしに 0℃まで冷やすと何gの水蒸気が凝結するか (9.4-4.8)×10=46g (4)Bの状態にある空気の相対湿度は何%か 100% (5)Bの状態にある空気を30℃に温めた時の相対湿度 は何%か 9.4÷30.4×100≒30.9% (トピック;教p246) ○霜を防ぐ工夫 霜がおりる原因の1つは放射冷却によって地面が冷や されるため →それを防ぐため、ファンを回して上空の暖かい空気 を混ぜ合わせている ○乾湿計でなぜ湿度がはかれるのか 水が蒸発する(液体→気体の状態変化)が起きるとき、 周りから熱を奪っていく この周囲から奪っていく熱の量は、湿度が低いほど大 きくなる →これを温度計で測ることにより、その差から湿度を 求めることができる 2 雲ができるわけ(教p247~) 大気圧(気圧) ※マクデブルグの半球 ※大気圧(コップ) ※大気圧で机を持ち上げる その地点より上にある大気の重さによる圧力 →上空ほど大気が少ない=気圧が低い (便覧87-2C) ※大気 :地球を取りまく気体のこと ※空気 :大気のうち地表面に近い部分 上空の気圧は、高度が約5.5km高くなるごとに半分に なる 山に登ると ○周りの気圧が低いため、お菓子の袋が膨らむ 山頂(外気圧低) 地上 ⇒ ※飛行機は上空約11km程度を飛ぶとすると、その 高度の気圧は地上の約1/4 →飛行機の機体も上空を飛ぶとき膨らむ ※富士山頂実験室(水の沸騰実験) ○水の沸騰する温度が低くなる ※気圧低下によるお湯の沸騰 山頂(外気圧低) 地上 ⇒ 100℃で沸騰 100℃未満で沸騰 ※水が沸騰すると周囲から熱を奪うので、冷たくなる ○気圧の単位 アトム 海面での気圧を1気圧(atm;atmosphere(大気))とする 1気圧 =101325Pa(パスカル) ≒1013hPa(ヘクトパスカル) ※h(ヘクト)は100の意 (教p248図14) また、気温は一般に上空ほど6℃/kmずつ減少する 雲のでき方 (実験2)雲ができるようすを調べよう (目的)雲はどのようにしてできるのか、その生成条件を 調べる (材料・器具)丸底フラスコ・スタンド・注射器・ゴム栓・温 度計・線香・マッチ・風船・ひも (方法) ①右図のような装置を作り、ピストンをすば やく引いて、フラスコ内の様子を観察する ②フラスコ内を少量の水でぬらし、線香の 煙を入れる。その後、ピストンを押したり 引いたりして①と同様に観察する (結果) ①のとき 温度:低下する 風船の様子: 膨らむ フラスコ内の様子: 変化なし ②のとき 温度 低下する 上昇する 風船の様子 膨らむ しぼむ フラスコ内の様子 引く くもる 押す くもらない ※雲生成実験 (考察) ○②でフラスコ内がくもった理由 ピストンを引くと気圧が下がり、空気が膨張する →空気が膨張すると、温度が下がる(※) →温度が下がったことで空気が露点に達したため ※膨張するということは、言い換えればまわりの空 気を押し広げるということ(エネルギーを消費する) 空気は周囲と熱のやり取りをしにくい(これを熱伝導 率が低いという)ので、エネルギーを消費した分、温 度が下がる →これを断熱膨張による温度低下という ○②でピストンを押したときの変化 ピストンを押すと気圧が上がり、空気が圧縮される →空気が圧縮されると、温度が上がる(※) →温度が上がったことで空気の温度が露点より高く なったため、飽和状態でなくなった(湿度が100%で なくなった)から ※断熱圧縮による温度上昇という ○線香の煙が果たす役割 水蒸気が凝結して水滴になる際の核となっている これを凝結核という →よって、①では凝結核がないのでくもらない (まとめ) ○雲のできかた (便覧87-2D) 何らかの要因(上昇気流など)で空気が上昇する →周りの気圧が下がり、空気が断熱膨張する →空気の温度が低下していく →どこかの高さで露点に達する(凝結高度という) →ちりや海塩粒子などを凝結核として水滴や氷の 粒(雲粒)となり、雲ができる ※霧:地表付近にできた雲のこと 3 雨や雪のでき方(教p251~) 降水 :雨や雪など。乱層雲や積乱雲によってもたらさ ※積乱雲 ※乱層雲 れる 雨量 :一定時間に降った雨の量 雨や雪の降り方 雨滴は雲粒が雲の内部で成長して(集まって)形成さ れる 雲粒 :半径約0.01mm 霧粒 :半径約0.1mm 雨粒 :半径約2mm 雨には形成過程が異なる「冷たい雨」と「暖かい雨」の 2つがある ①冷たい雨(氷晶雨) 雲の中の温度が0℃以下になる場合の形成過程 ○ゆっくり冷やされた水は0℃以下でも-20℃程度まで ※過冷却水 ※過冷却 は液体として存在する(過冷却水滴) →よって雲の中では氷と水が混在し、その中で氷が水 から水分を受け取ることで徐々に成長し、氷晶ができる →これらが上昇気流に耐えられず地上に落ちてくる。 気温が高いときは溶けて雨になり、低いときは雪にな ※雲が発生するしくみ る ②暖かい雨 雲の中の温度が0℃以上の場合の形成過程。熱帯地方 や夏の中緯度地方で見られる ※雨について(18:00~) 単純に雲粒同士が雲内部でくっついて大きくなっていく 4 水の循環 水圏 (地球の水の部分) (便覧88-2) 氷河(1.75%) 陸水(3%) 地下水(0.72%) 湖沼・河川水(0.03%) 海水(97%) 移動 8 蒸発 14 降水 22 陸地 河川 降水量>蒸発量 8 雲・水蒸気 蒸発 86 降水 78 海洋 蒸発量>降水量 水・水蒸気・氷と状態を変えながら自然界を循環 →太陽放射のエネルギーを輸送している (トピック;教p255) ○雨と森林の密接な関係 ・森林の保水力 →土石流や洪水などの災害を防ぐと共に多様な生 物種を維持する ・森林の二酸化炭素吸収能力 →地球温暖化の抑制
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