20150610-164136

(様式3)
平 成 27年 2月 24日
(データ配信日 平成 27年 2月24日)
教 育 長 様
代表者 校園名( 大阪市立淀商業高等学校
)
校園長名( 大西 敏朗
) 印
(電話 06-6474-2221
FAX 06-6473-9950 )
申請者 校園名( 大阪市立淀商業高等学校
)
職名・名前 ( 教諭 秋月 麻衣
) 印
(電話 06-6474-2221
FAX
06-6473-9950 )
代表者校 学校事務職員名( 宮崎 和彦
)
平成 26 年度「がんばる先生支援」事業報告書
平成 26 年度「がんばる先生支援」について、次のとおり報告します。
1 研究コース等
( 個人 ・ グループ )研究
( 基礎 ・ 今日的課題 )研究コース
2 研究テーマ
「ICT タブレット端末(デジタル教科書)を活用したコミュニケーション能力の育成 」
~高小連携 ピア・サポート活動を通して~
3 研究目的
本校は、進路の大半が就職を希望する商業高校であるが、生徒はコミュニケーションに自信がなく
対人関係を作ることを苦手とする傾向がみられる。社会に求められる人材を輩出するためには、賢く
意見を主張する力や人間関係を調整できるといったコミュニケーション能力の育成が急務である。そ
して、新学習指導要領では言語活動の充実があげられ、商業教育の質的改革が求められている。
そこで、ICT タブレット端末を活用することによって即時にフィードバックを行う授業が可能になれば、
コミュニケーション能力を向上させるという“メタ認知力”を飛躍的に向上させることが見込まれる。ま
ず、実践対象として本校の目玉であるコミュニケーション科学コースの生徒を「ピア・サポーター」とし
て鍛え上げる。そして、先駆的な事業として“高小連携”に挑戦し、異年齢による言葉の交流活動を
実践する。生徒が学んだスキルを教室内に留まることなく、実践することで、生徒の自己有用感を高
め、人間関係調整能力に必要な“自他尊重の言語力”を育成することを目的とする。さらに、商業教
育活性化をにらんだコミュニケーション教育のリーダー的役割を果たしたい。
4 取り組み内容(具体的に取り組んだ研究内容を記述ください)
<コミュニケーショントレーニングの研修・習得>
・ピア・サポートトレーナー養成講座・カウンセリングコミュニケーション講座の受講
・日本学校教育相談学会全国大会にてピア・サポート実践報告を聞く
・「人間関係づくりトレーニング」講座の受講
・総務省における実証研究(フューチャースクール推進事業)認定学校への視察研究
<高小連携授業とピア・サポート活動による実践活動>
・歌島小学校との高小連携授業(エンカウンター、相談活動)
・校内でピア・サポート活動(1年生総合)
・ピア・サポート実践校(中、高、大学)との交流会
<年間の取組み>
4 月16日
8 月 4日、 5日
8 月 8日~10日
1年生の総合で校内ピア・サポート活動(エンカウンター)
ピア・サポートトレーナー養成講座受講(大阪市教育委員会主催)
日本学校教育相談学会全国大会にてトレーニング研修(群馬)
9 月
6日
9 月 8日
10月 9日~10日
11月15日
11月16日
12月15日~22日
1 月16日、19日
2 月20日
カウンセリングコミュニケーション講座の受講
(関西カウンセリングセンター主催)
歌島小学校3、4年生へピア・サポート活動(エンカウンター)
グループワークで学ぶ『人間関係づくり 18 のコツ』講座受講
日本・精神技術研究所主催 講師:南山短期大学名誉教授
和歌山県立城東中学校公開授業 視察
「大阪ぴあっ子大集合」参加研修(大阪ピア・サポート学会主催)
授業内にて傾聴トレーニング研修
歌島小学校6年生へピア・サポート活動(相談活動)
総務省における実証研究(フューチャースクール推進事業)認定学校
佐賀市立西与賀小学校への授業視察
5 具体的な検証方法と明らかになった成果
「PERSPECTIVE(見通す)」「PRESENTATION(主張する)」「PARTNERSHIP(連携する)」とい
う3つのコミュニケーション能力を身に着けることを目的に、コミュニケーション科学コース3年生
に、アサーショントレーニング、コンセンサス(合意形成)・グループワークトレーニングを実施。
実践フィールドとして、校外でのピア・サポート活動を段階にわけて3回実施した。
<第1段階 歌島小学校3年生と4年生の異学年交流サポート>
生徒自ら、エンカウンターを企画。論理的かつ丁寧な説明スキルを実践する良い機会となっ
た。いかに自分たちは、言葉足らずであるか、小学生の反応を見ながら適切な対応をする“自
分軸ではなく相手軸のコミュニケーション”の難しさを実感。当日のビデオを見て改善点を振り
返ることができた。
<第2段階 『大阪ぴあっ子大集合』への参加>
大阪府下のピア・サポート活動をしている中・高・大学生8校と交流。コンセンサス(合意形成)
ワークを生徒自ら司会進行させるファシリテーターにチャレンジ。大学生のリーダシップ力を体
感し、サポートされる側を体験。
<第3段階 歌島小学校6年生に向けてお悩み相談教室を実施>
前で立って話すことができなかった生徒も前段階の反省を踏まえて小学生の前では、リーダ
ーシップを発揮することができた。中学へあがる前に不安を持っている小学生の悩みを傾聴す
ることにより、「自分には役割がある」と再認識することができ、自己有用感が向上した。
<ピア・サポートの実践効果を尺度を用いて測定>
心理測定尺度(コミュニケーション尺度 ENDCOREs)を用いて、ピア・サポート活動前後で、生
徒の変容を分析。コミュニケーションスキルを構成する5つの基本スキル(自己統制、表現力、
解読力、自己主張、他者受容)を7件法で、尺度得点を算出。結果は下記の通り。
実験群:コミュニケーション科学コース3年 26名。 統制群:流通科学コース3年 26名。
プレテスト:12月末。ポストテスト:1月末。
①自己統制スキル 流通(pre/post):4.22
COM(pre):4.40 ⇒ (post):4.73
対応ある2つの標本による T 検定の結果 COM(pre)⇒(post) p=0.045 < 0.05 有意差あり
②表現スキル 流通(pre):3.63⇒(post):4.02 COM(pre):4.02 ⇒(post):4.54
T 検定の結果 流通(post)⇒COM(post) p=0.045 < 0.05 有意傾向あり
COM(pre)⇒COM(post) p=0.032 < 0.05 有意傾向あり
③解読力
流通(pre):4.63⇒(post):4.71 COM(pre):4.50 ⇒(post):4.71
④自己主張
流通(pre):3.79⇒(post):3.85 COM(pre):3.75 ⇒(post):3.93
⑤他者受容
流通(pre):4.55⇒(post):4.60 COM(pre/post):5.13
特に「自己統制スキル」「表現力スキル」において向上が見られたと結論づけることができる。
6 研究発表等を実施した日・場所・参加者数
(日程) 平成 27年1月19日 (場所)大阪市立歌島小学校 (参加者数) 5名
平成 27年2月6日 (場所)大阪市立淀商業高等学校 (参加者数) 20名