第2学年A組 図画工作科学習指導案 授 業 者 研究協力者 1 題材名 進藤 長瀬 亨 達也 かみのふくろが大へんしん~こんな友だちがいたらいいな~(立体) 2 子どもと題材 (1) 子どもについて 子どもたちは,1年生の2学期に箱を組み合わせて動物をつくった。ほとんどの子どもは 大きな箱を胴体にして,足や首になる小さな箱を付け加えながら体全体をつくっていった。 「う ちゅうからきたキリン」をつくった子どもは,UFOらしさが表れるようにキリンの背中に カップを乗せ,ストローなどの部品をさらに付け加える工夫をした。 3学期には,アルミホイルを素材にして誰も見たことがない想像の生き物をつくった。「強 い」,「速く飛べる」などの特徴が表れるように,羽や尻尾,トゲなどの部分を付け加えなが ら工夫してつくる子どもが,2学期の活動よりも多く見られた。 つくりながらこんなふうにしたいという思いをもったり,作品を見合って互いにアドバイ スし合いながら工夫したりする力が育ってきている。 (2) 題材について 本題材では,紙袋をつなぎ合わせ,一緒に遊んだり,ピンチの時に助けてくれたりする「友 だち」をつくる活動を行う。最初に,クラフト紙でつくった袋をモールで縛って大まかな形を つくり,小さな紙袋でつくった部品を付け加えていく。 クラフト紙でつくった袋は,モールで縛る場所によって様々に形を変えられる。「この形が ◯◯に見える」と見立てながら,面白い形を見付けようと試行錯誤する姿が期待できる。両面 テープやセロテープを使うことで,形を整えながら接着したり,接着をやり直したりするこ とも可能である。 また,クラフト紙は,切ったり,ねじったり,丸めたり,包んだりすることが容易である。 しっかりと揉むことで柔らかくなって可塑性が増し,さらに形がつくりやすくなる。柔らか くした感触から発想が広がっていく素材でもある。よって,つくっていくうちに膨らんでく る「友だち」のイメージを,部品を付け加えながら表していく活動に適した素材であると言 える。しかし,以前扱った箱やアルミホイルとは違った表し方のギャップが予想される。そ こに,材料との「対話」や自分や仲間,教師との「対話」が生じると思われる。 本題材の活動を通して,何かに見立てて形を見る力,試行錯誤を繰り返しながら発想を広 げる力,自分の思いに合わせて形を変えたり付け加えたりしていく力が育つと考える。 (3) 指導について 本題材における新たな価値を次のように考える。つくりたい「友だち」のイメージをもち, その特徴が表れるように形を変えたり付け加えたりしていくこと,自分一人ではつくれない ところを友達からアイデアをもらって表していくことである。 そのために,つくりたい「友だち」の大まかな形をつくる際に,モールを使って様々な部分 を縛ることで,いろいろな形を試行錯誤しながら思い付くことができるようにする。また, 友達の作品から発想を広げられるように,互いの作品を見合い面白い形を見付けていく。大 まかな形ができたら,一緒にしたい遊びや特徴などを考え,「友だち」のイメージを膨らませ る。ここで考えたイメージを表すことができるように,様々な部品を付け加えていく活動を 展開していく。つくりながら発想を広げることも多いと思われるので,最初のイメージを変 えることを認める。 「仲間との対話」を必要とする子どもの姿を次のようにとらえている。つくり方がわからな くなり活動が停滞している,これでいいのかを確認したい,もっと○○な感じにしたいけれ ど,どうすればよいのか困っている姿である。教師が参考作品を提示したり,助言したり, 手伝ったりして積極的にかかわって活動を支える場面と子ども同士でアドバイスし合う「仲間 との対話」の場面を個に応じて設けることで新たな価値の創造を支えていきたい。 -1- 3 題材の目標〈記号は本校の資質・能力表による〉 (1) つくりたい「友だち」をつくる活動に進んで取り組もうとする。 〈A-a-1〉 (2) つくりながら発想を広げ,形を変えたり,新しく付け加えたりするものを考える。 〈A-b-6〉 「友だち」の特徴が表れるように,形やつくり方を工夫する。 〈A-c-21〉 (4) 自分や友達のつくった作品の表し方の面白さやよさに気付く。 〈B-d-3〉 4 (3) 題材の構想(総時数5時間) 時間 学習活動 1 教師の主な支援 評価(本校の資質・能力との関連) ねらい: 自分がつくりたい「友だち」の大まかな形をつくる。 (1) 袋をモールで縛る場 ・ 形を変形しやすくでき ・ 自分がつくりたい「友 所を変えながら,面白 るように,紙をしっかり だち」の大まかな形を考え い形を探していく。 と揉むように促す。 つくっている。 ・ つくりたい「友だち」 〈A-b-6〉 のイメージをもつことが できるように,紙袋を縛 った形をお互いに見合う 場を設ける。 2 ねらい:「友だち」の特徴が表れるように,形やつくり方を工夫する。 (2) 3 本時 発想を広げながら, ・ 活動が進まない子ども ・ つくりたいイメージが 形を工夫して「友だち」 に対して,どんどん活動 表れるように,袋の形を をつくる。 を進めている子どもから 変形させたり,材料を付 制作のヒントになるよう け加えたりしながらつく にアドバイスをもらえる っている。 4 ようにかかわりを促す。 ・ 〈A-c-21〉 思いを形にすることが できるように,個に応じ た技能面や発想面の支援 を行う。 5 ねらい:お互いの作品の表し方の面白さやよさに気付く。 (3) つくった作品を見合 ・ 表し方の面白さやよさ ・ 自分や友達のつくった い,表し方の面白さ を見付けやすくできるよ 作品の表し方の面白さや やよさを見付ける。 うに,「友だち紹介タイ よさを見付けている。 ム」を行いながら,お互 いの作品を見合う場を設 ける。 -1- 〈B-d-3〉 5 本時の実際 本時(3/5) (1) ねらい つくりたい「友だち」の特徴が表れるように,形やつくり方を工夫する。 (2) 展 開 ○:「対話」の機能を活かすための手立て 時間 学 2分 ① 5分 ② 33分 5分 習 活 動 教師の支援 本時の活動を確かめる。 学習課題 「もっと○○」がわかるように,ぶ ひんをつけくわえて,「友だち」をし んかさせよう。 ・ 評 価 つくりたい「友だち」と自分との繋がり を深められるように,「友だち」と一緒に したい遊びや「友だと」の得意技を確かめ る場を設け,「どんな『友だち』をつくり たいのか」と問う。 お互いの作品を見合って,作品づく ・ 作品づくりの見通しがもてるように,前 りの見通しをもつ。 【自分との対話】 時までの作品を見合う場を設け,大まかな 形の変形や部品の付け加えのヒントになる 〈予想される子どもの姿〉 ようにする。 ・面白い形だな。自分の作品のヒントに しよう。 ○ これでいいのかを確認したい子ども,も ・自分と似たような作品だな。つくった っと○○な感じにしたいけれど,どうすれ 人に相談できるな。 ばよいのか困っている子どもに対し,似た ようなテーマでつくっている子どもを紹介 ③ 発想を広げながら,形を工夫して「友 して,アドバイスしてもらう場を設け,イ だち」をつくる。 メージを具体化していく。 【自分との対話】⇔【仲間との対話】 ・ つくり方がわからない子ども,イメージ 〈予想される子どもの姿〉 を形に表せない子どもには,参考作品を提 ・どうすれば部品がくっつくのかな。 示したり,付け加える部品を提案したり, ・これでいいのかな。 つくり方を示したりする。接着で困ってい ・もっと○○な感じを出したいな。 る子どもには,部品ののりしろのつくり方 ・この調子でどんどんつくろう。 や両面テープでの補強,セロハンテープで ・みんなのアイデアも知りたいな。 の丈夫な接着の仕方を示す。 ・すごいのができた。見てほしいな。 ④ 本時の活動をふり返る。 ・ どこがよくなったのかが具体的にわかる ように,「最初と変わったところ」「友達 にアドバイスをもらって参考になったとこ ろ」を問う。 つくりたいイメージが表れるように,紙 袋の形を変形させたり,材料を付け加えた りしながらつくっている。 〈A-c-21〉 (活動,作品) -1- (3) 「仲間との対話」を通して新たな価値を創造する子どもの姿 《学習活動③において》 【協働して追究する「問い」】 「もっと○○」が表れるようにするには,どこにどんな部品を付 け加えたらいいのかな?」 子どもの姿 ・ ・ ・ つくり方がわからなくて活動が停滞している。 これでいいのかを確認したい。 もっと○○な感じにしたいけれど,どうすればよいのか困っている。 【教師の手立て】 ・ つくり方がわからない子ども,これでいいのかを確認したい子 ども,もっと○○な感じにしたいけれど,どうすればよいのか困 っている子どもに対して「仲間との対話」を個に応じて設定して いく。「仲間との対話」を問題解決のために一時的に集まる仲間と してとらえる。 ・ 「だれから教えてもらいたいか」「手本にしたい作品はあるか」 などを問い,主体的な活動を促す。 ・ つくりたい「友だち」のイメージを膨らませることができるよう に, 「一緒にしたい遊び」 「困ったときに助けてもらいたいこと」 「得 意技」などのキーワードを示し,つくりたい「友だち」にストーリ ー性をもたせる。 ・ つくりたい「友だち」のイメージをはっきりさせることができる ように,どのような形に変形したり,どのような形の部品を付け 加えたりすればよいのかを「大きさ」 「長さ」 「数」 「形のつくり方」 などの視点とともに作品を示す。 仲間との対話 ・ 「一緒に空を飛んで世界旅行をしたいな。」「大きな羽を付けたら いいよ。」「羽の数が多いと速く飛べるよ。」「ジェットエンジンを 付けたらもっと速く飛べるよ。」「乗る場所があってもいいね。」 ・ 「一緒に宝探しにいきたいな。」「レーダーを付けたら宝を発見 できるよ。」「穴を掘るためのドリルがあったらいいね。」「長い腕 を付けると深いところまで掘れるね。」 ・ 「一緒に猛獣狩りに行きたいな。 」「爪を付けたり,手の数を増や したりすると,猛獣を捕まえやすくなるよ。」「キャッチする道具 もつくろうかな。」 ・ 「部品がうまくくっつかないな。 」「ぼくは,上手にくっつける ことができたよ。作品を見て。コツは○○だよ。」 目指す 子どもの姿 ・ 試行錯誤しながら,変形させたり部品を付け加えたりすること で,「つくりたい友だち」の特徴が表われるようにつくっている。
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