学びを実感できる生徒会活動の創造

沖縄県立教育センタ−
研修報告集録
第28集
157-162
2000年9月
<特別活動・離島長研>
学びを実感できる生徒会活動の創造
−「生徒総会づくり」の実践を通して -
平良市立西辺中学校教諭
Ⅰ
テ-マ設定の理由
宮
川
時
子
そこで ,第一に生徒会活動の活性化を図るために ,
教師が生徒集団の自治能力を把握し,生徒主導の活
社会が急激に変化し,さまざまなものが揺らぐ時
代の中で,平成10年に中学校新学習指導要領が告示
動をどう創りだすか。第二に ,「実践」のみに焦点
され,学校教育における教育経営の改善が行われて
に学級活動とリンクさせて活性化を図っていくか。
第三に ,「討議」と「決定 」,「総括」に至る過程の
があてられがちな昨今の生徒会活動に対して,いか
きている。しかし,生徒一人一人の価値の多様化が
日々進行している中で,生徒の集団離れや利己性が
年々広がりを見せ始めている 。「生徒会活動の形骸
化」は,それらの結果として表出されてきているマ
中で,どのような支援をしていけば,生徒一人一人
が「学び」を実感できるような生徒会活動を創るこ
とができるのか 。以上3点の課題意識を掲げて ,
「学
イナス要因ではないかと考える。
在籍数 63人という小規模校の本校においてもそれ
びを実感できる生徒会活動の創造」を目指すことに
らの傾向が見られ,生徒会活動が本部役員の活動と
<研究仮説> 生徒総会づくりにおいて ,「討議」
と「決定 」,「総括」を行う場を計画的に設定し学
した。
いう考えが生徒の意識下にあるのが実状である。そ
の意味で,生徒一人一人の自治的活動が最も端的に
表れる生徒会活動を見直し創造していくことは現場
級活動と効果的にリンクさせていけば,生徒一人一
における今日的な課題であると考える。
ができるであろう。
Ⅱ
1
人が「学び」を実感できる生徒会活動の基礎づくり
研究内容
研究の全体構想図
研究テ−マと研究内容の関連を明確にするため,下記の全体構想を立て,テ−マに迫るようにした。
特別活動の課題
○自ら学び,自ら考える力の育成
○豊かな人間性,主体性や社会性の育成
本校の課題
○話し合い活動の充実
○発表力,表現力の育成
学びを実感できる生徒会活動の創造
研究
テ−マ
研究
仮説
目指す生徒像
○主体的に考え,自分の言葉で表現できる生徒
○他を思いやり,共に伸びていこうとする生徒
−「生徒総会づくり」の実践を通して−
生徒総会づくりにおいて,「討議」と「決定 」,「総括」を行う場を計画的に設定し, 学級活動と効果的に
リンクさせていけば,生徒一人一人が「学び」を実感できる生徒会活動の基礎づくりができるであろう。
理
論
研
究
1特別活動が目指す教育活動
4「学び」のある生徒会活動
2生徒会活動の特質とその内容
5 討議,決定,総括の場の設定
3学級活動との効果的リンク
とその工夫
実践:生徒総会づくり
1指導案作成
2生徒の実態調査
3検証授業
年間指導計画の見直し
1生徒会活動年間指導計画の作成と
見直し
2生徒会活動日と生徒朝会の位置付け
授業
仮説
学級の事前の活動とリンクさせた「討議」と「決定」の場を計画的に設定していけば,生徒一人一人が「学び」を実
感できる生徒総会を展開することができるであろう。
指導の
工夫
1「学びノ−ト」を活用することで,学級や個人としての意見を自主的に発表することができるように学びを支援する。
2 討議,決定の仕方を体験的に学ぶことができるような指導の場を設定する。
3 発表方法を工夫する。
評価の
方法
○
○
生徒の感想(「学びノ−ト」の声)
総括(学級活動)
○
アンケ−ト結果の分析
- 157 -
○
授業観察
2
特別活動が目指す教育活動
新学習指導要領では,特別活動の目標を「望まし
い集団生活を通して,心身の調和のとれた発達と個
より重要な意味を持つ時代でもある。そこで,生徒
性の伸張を図り,集団や社会の一員としてよりよい
こととした。
会活動を通して身に付けたい能力や態度を明確に
し,生徒会活動における「学び」とは何かを考える
(1)
生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる
とともに,人間としての生き方についての自覚を深
め,自己を生かす能力を養う」としている。その目
集
団
的
問
題
解
決
能
力
標を達成するために求められることは,次の5項目
に留意した教育活動である。
( 1)
( 2)
人間としての生き方を追究・改善
ガイダンス機能の充実
( 3)
家庭や地域に開かれた教育活動の展開
( 4)
( 5)
学校教育全体と関連した活動の展開
生徒の主体的な活動の展開
また ,「集団活動を通した教育活動」という特別
生徒会活動を通して身に付けたい能力と態度
能 力
態 度
○思考力
自 ○自分たちの問題
集団の 諸問題を
発
を自分たちで考
主体的に考え討
的
え解決していこ
論する力
・
うとする態度
○判断力
自 ○仲間と連帯・共
集団と してのよ
治
同して進んでい
りよい方向性を
的
こうとする態度
探る力
な ○計画したことを ,
○実践力
態
最後までやり遂
共通の目標に向
度
げようと努力す
かって責任ある
る等の粘り強い
行動をする力
態度
きる喜び」を味わわせ,集団の自治が学べるような
教育活動の展開こそが,特別活動の目指す教育活動
(2) 生徒会活動における「学び」とは
沖縄県教育センタ−発行の研究紀要(第 9 集)で
は ,「内的自己と対話し,響き合う世界を求めて少
であると考える。
しずつ経験の世界をひろげていく自分探しの旅」を
3
生徒会活動の特質とその内容
学校の全生徒(異年齢集団 )を会員として組織し ,
実践的な取り組みを通して豊かな人間性や社会性を
「個々の学び」として定義している。そのことと生
育てる場が生徒会活動である。そのため,子どもた
できるのではないかと考えた。
活動の特質を念頭に ,「共に学ぶ楽しみ 」,「共に生
徒会活動の特質とを念頭に ,生徒会活動における「学
び」を次のように捉え,その世界をひろげることが
生徒会活動における「学び」
学級や異年齢集団の仲間たちと ,共に考え合い ,
ちの全人的な成長を願って ,「なすことによって学
ぶ」体験的活動という特別活動の特質がある。
また ,「生徒が相互に意見を出し合ってそれを集
違った捉え方,違った意見に気付き,それを集約
約し,共通の目標に向かって,共通の方針のもとに
して自分の考えをまとめ主張していく過程を通し
共通の行動を行う全生徒による自治的な活動」とい
う点にその特質があると言えよう。
て培われる人間性,社会性
また,その獲得の過程が図1に示す「生徒会活動
さらに,将来,社会を支え主権者として主体的に
における学びのサイクル」と捉え,活動の基本とし
生活し,行動する人間を育てることを目標とし,下
記の内容が設定されている。
て位置付けた。
自分の考え
生徒の自発的活動
を主張
☆ 学校生活の充実や改善向上に関する活動
実践
仲間と考え
合う
☆ 生徒の諸活動についての連絡調整に関する活動
☆ 学校行事への協力に関する活動
☆ ボランティア活動など社会参加等に関する活動
人間性
社会性
発見
生徒の自治的活動
自らの考えを
まとめる
集約
違った意見
その中でも,学校生活の充実や改善向上に関する
活動は,生徒が抱える身近な諸問題の解決に向けて
主体的に考え取り組む活動として,生徒会活動の核
になるものであると考える。
4
構築
「学び」のある生徒会活動
多様なメディアが普及する中,学校の存在価値そ
図1
に気付く
生徒会活動における学びのサイクル
(3) 「学び」のある生徒会活動の構想
個々の生徒に,自主性や自治の力を身に付けさせ
る方法は一概に見つかるものではない 。しかし ,
「話
し合い活動を充実:討議と決定」させること ,「自
のものが問われる時代になってきている 。そのため ,
分の考えや活動を振り返る作業:自己評価」をする
学校教育における「学び」の捉え方やその中味が,
場を計画的に設定することで,自治的方法を教える
- 158 -
(2)
ことは可能である。話し合い活動を通して他者との
学級における「討議」「決定」「総括」の場の設定
かかわりに目を向け(集団性 ),自己評価を通して自
分の変容(個性 )を見つめていくことで ,自ら学び ,
と学びの視点
生徒総会の意義は,当日の討議や決定もさること
判断し,行動することのできる生徒を育成すること
ながら,事前の取り組みにおいて,学級における討
ができると考え,図2で示すような「学び」のある
議を深めることがポイントとなる。総会に臨む積極
生徒会活動の構想を考えた。
的な姿勢をつくっていくためにも,議案書に対する
意見や修正案を集約し,個人や学級としての意見を
「生きる力」の育成
まとめていくことが必要である。
<生き生きとした学校生活>
本部役員会
生徒会活動の活性化
話し合い活動
原案づくり
自己評価
(集団性)
「学び」のある生徒会活動
(個性)
取り組み内容
学びの視点
把 議案書の読み ○議案書を読みきる
握 合わせ
○情報を整理,分析
中央委員会
課題に気付く
主体的思考
原案の審議と修正
よりよい行動
する
議案書の検討 ○話し合いの進め方
討 ○疑問点
生徒会活動の意義の自覚
諸問題を解決していくた
(条件整備,内容の見直し )
めの方向性の模索
学
級
会
議案書の審議
議 ○質問・意見
○修正等
修正案の集約
生徒総会
<教職員の総合力を生かす>
主体的な活動ができるような支援
○学級または個人と
しての意見の出し方
○修正案の出し方
○個人の意見を集団
的に練りあげる力
決 学級,個人と ○採決,決定のやり方
教師集団の意図的,計画的な指導
図2
5
定 しての意見の ○学級の代表を通じ
「学び」のある生徒会活動の構想図
総
括
学級活動との効果的リンク
(1) 学級活動のサイクル
生徒会活動の目標を明確にして,生徒総会の議案
について,個々の生徒が熟読し,どうせまっていく
集約
教師集団
執行機関
中央委員会
学級
かに総会成功の鍵がかくされている。また,それを
生徒会活動における自己評価について
評価にはさまざまな方法が考えられるが,特に自
学級の意見としてどう集約していくかが,ここでい
発的,自治的な活動が求められる生徒会活動におい
う「話し合い」である。そのため,下記に示すサイ
クルで学級活動における話し合い活動を捉え,生
て自己評価は必要不可欠のものである。
ところで,生徒会活動における自己評価や相互評
会活動とリンクさせていくものとする 。(表1)
価のほとんどは,生徒会役員や顧問教師が作成した
チエックカ−ドを用いて評価する形式である。
しかし,個々の生徒が活動を通して,学び,気付
表1 学級活動のサイクル
過程とサイクル
生徒の意識の流れ
自己目標
気付く
②
捉える
見通す
③
せて活用することにより,活動目標を明確にし,そ
の内容を膨らませることができよう。
点はないか考える。
(1) チエックカ-ド形式の自己評価
チエックカ−ド形式の自己評価では,意図的な評
③ 学 校生 活改 善のた めの
価項目を位置付け,個々の生徒の意識やその高まり
方法について考える。
を比較的容易に評価できる。評価項目としては,主
体性,計画力,協調性,行動力,表現力,持続性な
④ 自 分の 考え をまと め,
取り組む
④
自分なりの結論を出す。
どの項目が考えられる。
(2) 記述形式の自己評価
個々の学びの内容を把握するために有効な評価方
⑤ よ りよ い意 見や結 論を
つかむ
⑤
いたことを自由に記述する記述形式の自己評価と併
②内容に矛盾点や疑問
自己表現
自己評価
自分なりの目標を持つ
① 生 徒会 活動 の目標 や内
容を理解する。
①
6
て行動していくこと
導く。
⑥
振り返る
⑥ 話 し合 いの 過程を 振り
法である。また,表現力や主体的な思考力を伸ばし
返 り, 評価 や総括 を行
ていくためにも,自分自身のことばで活動を振り返
う。
る作業が有効であると考える。
- 159 -
Ⅲ
1
2
指導の実際
する総会の場は,とりもなおさず集団の自治を学ぶ
絶好の機会ともいえる。しかし,本校では年間活動
の原案が直接,総会にかけられるシステムであった
題材名 「学び」のある生徒総会づくり
ため,学級や生徒個人の意見が総会の場で生かされ
題材設定の理由
生徒たちは,行事に取り組むことを通して集団の
ない等の課題があった。そのため,事前の取り組み
( 特に学級活動における討議や決定 )に力点を置き ,
話し合い活動の充実を図ることを念頭に生徒総会を
主人公としての意識を高め自発的,自治的,民主的
な能力を発達させていく。全生徒が,自分たちの活
創りあげることとした。
動方針や活動目標,活動内容を最終的に討議,決定
3
生徒観,指導観(カット)
4
指導計画
月日
※
A:学校
題
材
B:執行部
計画案の検討
議案書の立案
D:中央委員会
E:専門委員会
取り組み内容
対象
A B C D E F
30 分
●
○ 前年度の反省を生かし基本構想を中心に職 ○ 特別活動改訂のポイント
30 分
15 分
放課後
●
○生徒会活動の意義の共通理解を図る。
員会へ提案
○短学活を使って個々の案を作成、提出
●
●
活動計画
○その他
○専門委員会スローガン,
●
協議確認
実施要項の検討
協議確認
各係り打ち合わせ
総会諸準備
活動方針, 活動目
標, 活動内容検討
各専門
委員会
5/ 8 原案のまとめ
9
特別活動に関する意識調査
10
原案の検討
放課後
●
○ 連帯することの意義
○ 原案の作り方,原案づくりの分担,スローガン ○ 集団の問題を解決し,集団
●
50 分
学びの視点
○ 生徒会活動の意義
の決定,活動方針,重点目標の決定
5/ 2
6 専門委員会発足集会
F:議長団
時間
活動計画の立案
3/20 平成12年度生徒会活動の指導
の方針と活動概要
4/20 生徒会活動計画(教師)
21 生徒会スローガン募集
4/26 生徒総会議案書づくり
C:学級
○ 各部署で議案をまとめる ( 放課後の時間
●
を前進させていくための方
針,原案のつくり方
○ 委員会活動の意義を学ぶ
○ 専門委員会活動原案のつく
り方
○ 意見調整の仕方
を有効に使う。
○ 特別活動の必要性とその参加の仕方につい
○ 自己評価の意味と振り返り
●
て調べる。
○議案書内容の検討
○ 提案の仕方
●
○学級会用の資料づくり
○ 論点の整理の仕方
●
放課後
の必要性
○ 意見調整の仕方
11
13
14
17
19
20
22
23
24
29
31
学級会資料づくり
生徒総会実施要項案:提案
具体的議案の提案
議案書配布および読み合わせ
議案書検討会
修正案、追加提案のまとめ
総会運営のための諸準備
生徒総会
放課後
職員朝会
職員朝会
短学活
50 分
放課後
短学活
放課後
90 分
● ●
○全職員による共通理解を図る。
○活動の全容を理解する。
●
●
○ 議案書を読み合わせ,疑問点や個人として
○ 話し合いの進め方
●
の意見をまとめる。
○第1号∼第6号までの議案を検討する。
○学級における話し合い活動の内容のまとめ
○ 意見の集約の仕方
● ●
● ● ● ● ● ○ あいさつの準備 ,シナリオづくり ,発表の
● ● ● ● ● ●
準
備・工夫,議長団の議事の進め方の学習,その
他
○第1号∼第6号議案の討議と決定
○ 論点の整理,集約の仕方
○ 修正案の出し方
○ 議事の進め方
○ 提案の仕方
○ 意見の出し方
○ 意見表明の仕方
○ 討論,決定の仕方,進め方
自己評価
活動のまとめ
自己評価
6/ 1 総括諸準備
16
17 生徒総会評価のまとめ
短学活
50 分
● ●
活動の行動化
50 分
●
○自己評価表をまとめる。
● ●
● ● ● ● ● ○評価をまとめ総括の準備をする。
○ 振り返りの必要性
○ 評価をまとめ考察する力
○ 生徒会執行部の生徒が各学級に入り,総会の ○ 活動の見通しを立てる力
まとめを行う。
30
行
5
動
○ 総会決定事項に対して ,個々どのように取り ○ 年間の見通しをたて,実践
化
組んでいるかを明確にし ,その活動の在り方
を反省する。
する力
「生徒総会」における「学び」の内容
生徒会活動には ,「原案作成 」「討議 」「実行 」「決
正案の出し方 」「採決・決定のやり方 」「要求を実
現していく過程」等を学ぶことができる。また,総
定」
「総括 」の5つの領域が考えられる 。総会では ,
会は生徒一人一人が学校の主人公として,生徒会活
「活動方針や原案の立て方 」「提案の仕方 」「学級
動を支え創り上げていることを実感できる場でもあ
や個人としての意見の出し方 」「議事の進め方 」「修
り ,民主的主権者としての力を育てることができる 。
- 160 -
6
本時の展開(一部)
生
徒
総
会
○
討 ○
議 ○
題 ○
○
○
ね ○
ら ○
い
流れ
活
動
の
開
始
活
動
の
展
開
2
活
動
開
3
第1号議題(平成11年度生徒会活動の経過報告)
○ 前年度執行部
第2号議題(平成11年度生徒会費決算書の報告)
提 ○ 前年度会計
第3号議題(平成12年度生徒会活動の方針,目標,その他)
案 ○ 本年度執行部
第4号議題(平成12年度専門委員会年間活動計画)
者 ○ 各専門委員会代表
第5号議題(平成12年度予算案)
○ 本年度会計
第6号議題(学校,生徒会,学級への要望)
○ 学級役員,その他
議案を検討,決定することを通して,生徒会が自分たちのものであるという自覚を高める。
多くの発言者が登場し,意見や要求を出し合うことのできる生徒総会をつくり,自分たちで考え,決定していくことの大切
さを学ぶ
活動の内容(生徒の活動)
時間
指導上の留意点
評 価
(1)開会のことば:生徒会執行部
評価内容①
1 分 ○簡潔にまとめさせる。
(2)生徒会長あいさつ
執行部(宮川)
2分 ○連帯の呼びかけを含めた内容になるよ
○生徒会活動に向けて,会長としての思いが伝わ
う支援する。
学級(饒平名)
るよう連帯の呼びかけを行う。
○音楽科の支援・協力を仰ぐ。
個人(下地)
(3)校歌斉唱
議長団(渡真利)
3分
(6)議事審議
① 第1号議題
5分 ○欠点ばかりに眼を向けず,良かった部 評価内容②
○前年度役員による報告に引き続き,各学級の質
分にも気付かせるような指導する。
問や意見等を発表
ただし, 改善すべき点は明確にする。
② 第2号議題
5分 ○質問に関して,前年度執行部は的確に
○学級からの代表質問
答えられるよう事前の準備を促す。
③ 第3号議題
○本部役員による提案 ○学級代表質問
15 ○活動の姿勢,活動目標,重点活
票決:一人一票制
:カードで意志を表示
分
動を明確に打ち出せるよう発表
を工夫させる。(パワーポイント
写真1
賛成:赤
修正を含んだ賛成:黄
の活用)
反対:青
○一部の委員会のみに質問が偏ら
④ 第4号議題
ないよう事前に指導する。
○各専門委員会代表による活動案の発表
※個人としての意見や感想なども
○委員会の発表後,各学級からの代表質問
出てくるように議事進行の工夫
をする。
(8)先生方の一口感想
5分 ○全教師が生徒会活動を支え,生徒と共 評価 内容③
に取り組もうとする意志が伝わ
るような共感的な感想になるよ
写真2
(9)総括:生徒会執行部
写真3
2分 う配慮する。
活
動
の
ま
と (10)西辺中学校総会宣言
(執行部,中央委員)
め
2分 ○総会全体を振り返り,意欲みな
ぎる総括になるよう支援する。
(11)閉会の言葉:生徒会執行部(みんなで創りあげ
る生徒会活動を目指し,自信を持った発表にな
るよう心がけ,生徒総会の締めを行う。)
計
6
1分 ○本部役員のリードで全員が声に
して,討議の結果,決定した本
年度の活動方針を確認する。
90
授業の評価
は ,「学級会(事前の取り組み)が総会の場で生か
よい
(1) 本時の授業
評価
① 教師 による
評価より
子 ども たちの
6
12
82
普通
0
20
80
11
73
もう少し
9
16
②
12
22
69
されている」等の声が目立った。
10
生徒の自己評価より
自 己 評 価を , 6
つ の 観 点 から 行 っ
78
た と こ ろ ,下 記 の
持続性
A
主体性
B
表現力
C
学習活動の様子
グ ラ フ が 示す よ う
を「 活動の開始 」 個人 学級 委員会 議長団 執行部
「活動の展開 」「活動のまとめ」の3場面で評価し
な結果が得られた 。
行動力
「 生 徒 会 活動 が 自
てもらった 。「全員が学びノートを持って参加して
分 た ち の もの で あ
いるか 」など13の項目を評価したところほぼ8割の ,
「よい」という高い評価を得ることができた。
0%
50%
100%
る と い う 自覚 が 高
まった 」(主体性調査項目)とする生徒が7割以上
また,個人の意欲面や1学年の取り組みを中心に
を占め ,本時のねらいはほぼ達成できたと考えるが ,
学級の取り組みの評価も高く,自由記述の評価欄で
協調性
計画力
表現力の部分で課題が残る結果となった。
- 161 -
D
E
(2) 仮説の検証
① 生徒総会議案書の内容の定着度
生徒総会について同様の内容項目でアンケトを実
ることを習慣化する取り組みを行った。
<「学びノ−ト」の実際とその活用の視点>
( )月( )日
行事名
議題名
施し生徒がどのように変容しているかを考察したと
ころ,次の結果が得られ,その意識が大幅に変化し
曜日
校時
①
①
一応理解できた
理解できなかった
決
定
他者との関係を
深めあう段階
②
③
感想と反省
③
自己評価
振り返る段階
<「学びノート 」: 7 月 14 日の生徒の声より>
平成11年
2年
平成12年
2年
平成11年
3年
平成12年
3年
○自分の意見をはっきりということの大切さを学びました。
○総会前は,人前で発表するのは恥ずかしかったけど,今で
は進んで発表できるようになりました。
○1年生から3年生まで意見や考え方が違っていたが,話し
合えば解決できるということを学んだ。
○重点目標の清掃や読書,うわばきの整頓などを気をつけて
取り組むようになった。
○みんなが学校のために一生懸命考えていたから自分も決定
したことには努力するし,友達にも呼びかけています。
図3
生徒総会の議案書の内容理解
このことは,学級における討議の場,決定の場が
計画的に設定されたことはもとより,担任による意
図的な指導が行われた結果だと考える。
② 特別活動に関する意識調査(実践前と実践後 )
(3)
の比較分析
特別活動に関する意識調査( 15 項目)を1学年
※調査対象( 1 学年)※調査期日:実践前(平成 12
年 5 月 12 日 ),実践後(平成 12 年 7 月 14 日)
問5:あなたは,学校生活がよりよくなるよう学級
会や生徒会で話し合いをしたいと思いますか。
80
61.1
実践前
60
38.933.3
33.3
20
Ⅳ
実践後
5.6
どちらとも
☆
☆
☆
☆
☆
☆
☆
☆
☆
学びの内容
共生することの意義
集団的問題解決能力
ボランティアの精神
企画・運営力の育成
協力することの意義
自主,自立の精神
連帯意識の高揚
企画・運営力の育成
次年度の活動を見通す力
まとめと今後の課題
1 成果
(1) 「学びノ−ト」の記録を継続的に行うことで
生徒会活動における個々の「学び」の内容が明確に
27.8
0
はい
生徒会活動の年間活動計画(一部)
活動名
○平和学習会
○校則を考える集会
○校外クリーン活動
○運動会を成功させ
る集会
○生徒手帳検討会
○高校入試激励会
○卒業を祝う会
○生徒会活動総括
一
学
期
二
学
期
三
学
期
対象に行った。本研究に関連する1項目を取り上げ
て比較分析し,今後の活動の手だてとしたい。
40
②
討議で決ま
ったこと
100%
80%
60%
40%
20%
0%
意見、活動
自分のの考えを
見つめ構成する
段階
私の意見
私の活動
たことが分かった。
理解できた
活用の視点
いいえ
なり,事後の活動へのステップとなった。
(2)
生徒会活動に対する意識(教師,生徒)が徐
図4 特別活動に関する意識調査
【考察】 自分たちの問題に関して,主体的に取り組
んでいこうとする姿勢が徐々に育ってきていると判
々に高まり,課題解決に向けて共に進もうとする態
度が育ちつつある。
断できる。総会後の中央委員会においても,これま
2 課題
(1) 総合的学習とクロスした生徒会年間活動計画
でにない前向きな意見が飛び交うようになった。
③ 「学びノ−ト」の活用を通して
生徒会活動は明確な目標を持って行われるので,
の構想を明確に打ち出し,活動の基礎となる条件整
備(活動内容の精選と活動時間の確保)を行う。
(2)
生徒一人一人がその活動過程を通して ,
「何を学び ,
どう育ち変容したか」を振り返るため, 自己評価す
<主な参考文献>
五十嵐弘晃 1995
坂本光男
1978
『楽しい生徒会をつくる 21 の秘訣』
『生徒会の自治を彼らに』
活動計画の実践化,および重点活動の常時化
を図り,集団的問題解決能力を培う。
明治図書
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明治図書
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