P- -1 バスキュラーアクセスエコーによる血流測定誤差の検討 P-

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バスキュラーアクセスエコーによる血流測定誤差の検討
さとに田園クリニック
○松川英樹、島 彬子、本多理沙、武田陽子、西垣千春、南條友典、
福本真理絵、太田匡彦
【背景 目的】
近年、バスキュラーアクセス(VA)の機能評価にエコーが用いられ、パルスドプラ法によって測定可能な上腕動脈血
流量(FV)および血管抵抗指数(RI)によるVA管理の有用性について多く報告されている。
しかし、FV、RIの測定は技術を要し、測定値の精度を高めることに苦慮した経験をもつ。現在、比較的安定した測定
値が得られているが、測定値には幾分かのバラつきがみられる。また当院は検者を2名に増員し検者間の測定値の差
においても十分な把握が必要と感じた。
今回我々は同一患者に複数回測定したFV、RIのバラつきから測定誤差を求めた。また2名の検者間における測定値の
差についても検討をおこなった。
【方法】
1名の検査者が同一患者に対しFV、RIを複数回測定し、平均値、標準偏差、変動係数を算出し、測定値のバラつきを
検討した。
2名の検査者が同一患者に対しFV、RIを複数回測定し、両者の平均値、標準偏差を比較し、それぞれ有意差を検討した。
【結果】
当院の測定誤差の範囲は、FVにおいては測定値の9%~16%、RIにおいては測定値の3%~10%と認識することがで
きた。
【結語】
今回の検討で我々の測定誤差を認識することができた。今後、精度改善策を熟考し、検者間の差や、測定誤差を可能
な限り小さくすることに努め、エコーにおけるVA管理の精度をさらに高めていきたい。
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当院でのエコーガイド下穿刺
(医)一陽会 一陽会クリニック 血液浄化部1)、
(医)一陽会 一陽会クリニック 看護部2)、
(医)一陽会 一陽会クリニック 医局3)
○木谷博之1)、多川和宏2)、昌木秀介1)、山形智子2)、廣兼美佐子2)、
森田直美1)、藤川 博2)、本丸忠生1)、丹治知恵3)、碓井公治3)
【目的】当院では2013年7月よりポータブルエコー機GE社LOGIQ-e、2015年4月より東芝社
Viamoを導入し、シャント管理で活用している。また、エコーガイド下穿刺マニュアルを作成し、
2014年7月から穿刺困難患者に対しエコーガイド下穿刺を導入している。今回は、エコーガイ
ド下穿刺に関連した当院の現状と課題を明らかにする。
【方法】ポータブルエコー機2台を使用し、穿刺者とエコー操作者2人による長軸法を中心と
したエコーガイド下穿刺を実施した。なお、2014年7月から2015年6月までのエコーガイド下
穿刺の実施リストの記録を基に成功率を集計し、エコーガイド下穿刺導入前後での月別再穿刺
率の比較を行った。
【結果】エコーガイド下穿刺205件中成功率は93%であった。再穿刺率は、エコーガイド下穿刺
導入前の2013年11月は1.65%、導入後の2015年4月は0.71%であった。エコーガイド下穿刺で
エコーを操作できるスタッフは38名中8名となった。
【考察】エコー下穿刺を導入し、視認下での穿刺が可能となり穿刺困難患者の再穿刺率は低減
した。患者から、見ながら刺してもらえるので安心する。スタッフから、穿刺困難への重圧感
が軽減された。との声があり、患者、スタッフの精神面負担軽減につながった。エコーを扱え
るスタッフが常駐しているとは限らず、エコーを操作できるスタッフ育成の必要性がある。
【結論】穿刺困難患者に対してのエコーガイド下穿刺は有用である。今後は、エコーガイド下
穿刺でエコーを扱えるスタッフの育成が急務である。
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血管難易度別 穿刺技術のスタンダード化
医療法人聖比留会セントヒル病院腎臓センター 看護部1)、
医療法人聖比留会セントヒル病院腎臓センター 泌尿器科2)、
医療法人聖比留会セントヒル病院腎臓センター 腎臓内科3)
○岩橋 歩1)、田中真貴子1)、岡村多美江1)、宮崎亜希子1)、中川眞澄1)、
岡 明美1)、大塚智明2)、藤井善蔵3)
穿刺は、透析治療で患者一人あたり年間に300本以上である。患者には「針を刺される」
身体的苦痛と「穿刺ミスをされる、シャントがだめになるのではないか」など精神的
苦痛があり、スタッフには「ミスしたら信頼を失くさないか」「痛くないように刺せ
るのか」など精神的苦痛がある。そこで当院では、5年前から双方の苦痛の軽減をす
るために穿刺ミスゼロを目指して取り組み始めた。
当初は簡単な血管は経験の少ないスタッフが穿刺、難しい血管は熟練者が穿刺を行う
ことで、ミスの減少=患者の苦痛・スタッフの苦痛の軽減と考え、患者の血管に難易
度、スタッフに熟練度をつけて当院独自の穿刺基準を作成し穿刺を行ってきた。しか
しスタッフ熟練度を経験年数で行っていたため、経験年数から穿刺ランクが1つ上
がったばかりのスタッフに穿刺ミス回数が増加しはじめた。従来のマニュアルには、
穿刺困難患者のための穿刺手順は存在しない。
そこで穿刺困難患者のための穿刺手順を作るために、穿刺ミス原因調査と各自の穿刺
手技を客観的に観察した。原因には血管の把握不足が多く、手技ではその時その時で
異なっていた。一方、熟練者は、ランク別に同じ穿刺手技を行なっていた。そのため、
熟練者の皮膚刺入角度・血管留置角度を測定し、血管難易度別に穿刺技術をスタンダー
ド化した。穿刺基準にその穿刺手技を追加し運用しているので報告する。
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バスキュラーアクセスの開存に影響を与える因子の検討
特定医療法人あかね会 中島土谷クリニック 透析センター1)、
特定医療法人あかね会 中島土谷クリニック 透析センター2)、特定医療法人あか
ね会 中島土谷クリニック 透析センター3)、特定医療法人あかね会 中島土谷ク
リニック 透析センター4)、特定医療法人あかね会 中島土谷クリニック 透析セ
ンター5)、特定医療法人あかね会 土谷総合病院6)
○長岡剛史1)、森石みさき2)、渡邉祥嗣3)、松田政二4)、谷川智彦5)、土谷晋一郎6)
【はじめに】
当院では2004年より超音波検査(US)によるバスキュラーアクセス管理を行っている。VAは透析治療に不可欠であり、質の高い透析
療法を行うための機能を有することが求められる。今回、導入期のUS結果と患者基礎データよりVA開存に影響を与える因子について
検討した。
【対象および方法】
2004年4月~2015年4月に新規導入した維持透析患者156名を対象とした。
導入後5年以内のPTAの有無別にPTA群と非PTA群に分け、導入時のUSデータ{上腕動脈血流量(FV)、血管径(CSD)、末梢血管
抵抗指数(RI)}と患者基礎情報をstudent‘s-t検定にて比較、検討した。FV、CSD、RI、性別、年齢、降圧剤の内服、心・血管疾患、
高脂血症、DM、喫煙、初回穿刺までの日数の11項目に関して、カイ二乗検定を行い、独立性のあった項目に対して、重回帰分析を行い、
VA開存に与える影響を与える因子について検討した。影響のあった因子上位2つに対してKaplan-Meier法にて生存曲線を算出した。
【まとめ】
単変量解析の結果、FV=550ml/min、CSD=4.8mm以上はVA不全のリスクが少なく、RI=0.5以上、降圧剤の内服、心・血管疾患が
VA不全の危険因子と考えられた。重回帰分析の結果、FV>心・血管疾患>性別>降圧剤の内服の順にVA不全の因子と考えられた。
導入時のFV=550ml/min以上で開存率は良好であった。
【結語】
危険因子を解析することでトラブルを予見できると考える。
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穿刺針が実血流量に与える影響
医療法人辰川会 山陽腎クリニック1)、
医療法人辰川会 山陽病院2)
○砂原崇志1)、原田嵐真1)、川崎顕史1)、宮田誠治1)、森 雅弘1)、
辰川匡史2)、辰川自光2)
【目的】透析効率は、透析患者の予後規定因子の1つと言われている。透析効率を規
定する因子として、血液流量は非常に重要な因子である。そこで今回我々は、穿刺針
の太さによって、実際に得られる血液流量がどのように変化するのか検討した。
【対象・方法】当院の維持血液透析患者60名を対象とした。脱血側の穿刺針は17G、
16Gを使用し、設定血流量を開始時から1時間毎に100ml/minから300ml/minまで
10ml/minずつ上昇させ、そのときの設定血流量と実血流量を比較した。
実血流量の測定はHD-02(Transonic社製)を使用した。
穿刺針は、クランプキャス(メディキット社製)を使用した。
【結果】穿刺針が17Gの場合は、設定血液流量が140ml/minより多くなると、透析後
半に設定血液流量と実血液流量との間で乖離が認められた。また、穿刺針が16Gの場
合は、設定血液流量が200ml/minより多くなると、透析後半に設定血液流量と実血液
流量との間で乖離が認められた。
【考察】各穿刺針で得られた実血流量は、穿刺針のカタログデータより低値となった。
これはカタログデータが水系実験のため、実際の血液と粘度が異なり、そのまま臨床
に反映できないと考えられる。
【結語】穿刺針の太さによって得られる実血流量には限界があるため、適切な透析効
率を達成する為には、設定血流量に適した穿刺針を使用することが重要である。
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