平成 23 年度新潟薬科大学薬学部卒業研究Ⅱ 論文題目 溶融 RbI-AgI 及び RbBr-AgBr 混合系の イオン伝導率測定に関する研究 Ionic conduction studies on molten RbI-AgI and RbBr-AgBr mixtures 物理学研究室 6 年 06P186 武者 薫 (指導教員:大野 智 教授) 要 旨 固体状態で、陰イオンは結晶と同様に格子を形成し、規則正しく配列しているが、 陽イオンは物質中を比較的自由に動き回っている特徴的な物質を超イオン導電体と 呼んでいる。この物質は、陽イオンが液体的な振る舞いを示すことから、その陽イオ ンが移動し易い性質がある。一方、陰イオンは、固体のように取り扱うことができる。 動き易い陽イオンが多数存在することからこの超イオン導電体は、固体であるが、溶 融塩と同程度の電気伝導率を示すことが知られている。 本研究の初期段階では、液体のイオン伝導率(σ)の測定方法を学び、その後、溶融 RbI-AgI 混合系の σ の温度依存性及び組成依存性の測定を行った。次に、溶融 RbBr-AgBr 混合系の σ の温度依存性と組成依存性の測定も行った。測定方法として 4 端子交流法で行った。 σ の温度依存性に注目すると、溶融(RbI)c(AgI)1-c 混合系も(RbBr)c(AgBr)1-c 混合系も、 ともに混合によって融点が下がる傾向にあり、低い温度領域では σ の温度変化が大き い傾向が見られる。一方、高い温度領域では σ の温度変化は小さい傾向が見られた。 どの組成も融点直下で急激な減尐を示し、(RbI)c(AgI)1-c の AgI 濃度の高い組成を除き、 超イオン導電体の性質は見られなかった。σ の組成依存性に注目すると、溶融 (RbI)c(AgI)1-c 混合系も(RbBr)c(CuBr)1-c 混合系も、RbI や RbBr の組成 c が増えるに 従って、σ が直線的に減尐するわけではなく、c = 0.4 まで曲線的に比較的急激な減尐 が見出されるのに対し、c = 0.4 ~ 1 では変化が小さいことがわかった。 キーワード 1.超イオン伝導体 2.構造モデル 3.AgI 4.RbI-AgI 混合系 5.AgBr 6.溶解塩 7.イオン伝導率 目 次 1. 研究背景と研究目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2. 実験方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 3.実験結果と議論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 4.おわりに 謝 辞 引用文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 1.研究背景と研究目的 固体状態で、陽イオンや陰イオンが動き回れる物質のことを、超イオン導電体と 呼んでいる。ここで扱う超イオン導電体は、陰イオンが格子を組み、固体のように 取り扱うことができる。一方、動き回れる陽イオンが電気を運べることから、溶融 塩と同程度の電気伝導率を示す。工業的には、液漏れのない全固体燃料電池や電気 化学センサーの材料としての利点に注目されている。 AgIは典型的な超イオン導電体として知られている物質で、147℃以上になると、 Agイオンのみが動き始める。これまでにTaharaら[1]は、AgIの液体状態について、 実験とシミュレーションから、構造モデルを導出している (図1.1参照)。その結果、 Agイオン同士が近づき、連動して運動している可能性を示唆する結果が報告され ている。プラスの電荷を持つAgイオンどうしが近づけることは、常識的には考え にくいが、理論研究者らの指摘によれば[2,3]、Ag-Ag間の共有結合性の存在やIイ オンの分極効果などを考慮すると、実験結果をうまく再現することがわかってきて おり、伝導のメカニズムの解明に徐々に近づきつつあると考えられる。 一方、AgBr は固体の状態から融点まで、温度を上げても超イオン導電体にはな らないが、融点直下では高い伝導率を示すことが知られている。 本研究では、溶融AgIと溶融AgBrにRbIとRbBrをそれぞれ混合することによっ て、イオン伝導がどのように変化するかを測定によって調べている。溶融RbI-AgI 混合系とRbBr-AgBr混合系の比較によって、どういうところに相違性や共通性が あるかを調べることを目的としている 図1.1 溶融AgIの構造モデル。水色と紫色の球はそれぞれAg イオンとIイオンを表している。 1 2.実験方法 イオン導電率の測定システム イオン導電率の測定を行うにあたって、実験システムを以下のように組み立てた。 組み立てた実験方法の概要は図 2.1 に示した。交流導電率測定(4Hz~1MHz) は Chemical Impedance Meter 3532-80(インピーダンスメーター)という測定 器を用いて行った。このインピーダンスメーターは RS-232C ケーブルを通して PC で制御されている。サンプルとインピーダンスメーターは 4 つのプローブで接続さ れている。サンプルの周りの加熱器は KANTHAL 抵抗ワイヤーでできている。サ ンプルの温度は、Temperature Controller と Thyristor Regulator によって約 1000℃に制御されている。このシステムの直流導電率測定は DC power supply , nanovolt meter 34420A(Hewlett-Packard)、Standard resistivity この 3 つを Relay board に通して測定することができる。これらの直流、交流測定はオリジナ ルプログラムを使うことによって行われる。装置は直流、交流両方測定できるよう にセットアップしているが、今回の測定では交流法で測定した。 図 2.1 実験システムの概要 2 図 2.2 (a) Impedance meter 3532-80 (b) Nanovolt meter 34420A (c) PC (d) Temperature controller (e) DC power supply (f) Standard registance (g) Thyristor regulator (h) Relay board 図 2.3 KANTHAL 加熱器 3 石英ガラス管の端から端の長さが 14cm になるようにガラス管を切り、14cm に 切った石英ガラス管にセロハンテープを貼り、2.8cm 間隔に印をつける。 図 2.4 14cm に切った石英ガラス管 印をつけた箇所に研磨剤を垂らし、超音波ドリルで 5~10 分位かけ 4 つ穴を開け る。ダイヤモンドペーストをつけ、研ぎ終わったら、炭素ピンを 4 つの穴に入れる (炭素ピンは研磨機で先を細くする)。4 つの穴は液体サンプルの漏れを防ぐため、 モリブテンバンドで固定する。モリブテンバンドとインピーダンスメーターをつな ぐため、モリブテンの導線を用いる。電流は外側の 2 つの電極から供給される。そ して、電圧は内側の 2 つの電極で測定される。温度は電極に直接取り付けられた 4 つのクロメル‐アルメル熱電対によって測定される。 図 2.5 (a) 石英セル (b) 円錐型の穴 (c) 炭素電極 (d) ニッケル製の薄いバンド (e) モリブテン製のバンド (f) モリブテン線 4 サンプルの準備 混合物は AgI と RbI、AgBr と RbBr の粉末を秤量し、測定用セルに注意深く入 れた。 図 2.6 準備したサンプルの粉末 測定方法 まず直流、交流の切り替えレバーを「交流」に切り替える。パソコンの画面の「Ire exe」をクリックし、開いたら「OK」をクリックする。サンプルプログラムが出て くるので、「測定」をクリックし、その後に出てくる画面の「周波数特性」をクリ ックする。そして、 「自動設定」をクリックする。その後の画面の「OK」をクリッ クし、「測定開始」をクリックし、25℃変化するごとに 1 回測定する。 測定は、モリブテン線とサンプルの酸化とサンプルの蒸発を防ぐためアルゴン雰 囲気下で行った。測定中の液体サンプルの中に形成してしまう泡は石英ガラス棒で できるだけ除去した。 5 サンプルサイズの調整 イオン導電率はσで表す。 σ= I L I =β V S V L はサンプルの長さ、S はサンプルの断面積、βはセルの定数、I と V はサンプル に与える電流と電圧を表す。βはセルのサイズに依存することからβは KCl 溶液 の 標 準 溶 液 を 使 う こ と で 決 定 す る 。 こ の 研 究 に お い て β は 約 0.04545 と 0.38461/cm の間であった。 セル係数の導出 まず、オープン補正、ショート補正という作業を行う。この 2 つの補正は、試料 とは別のケーブルの長さや機器の誤差を可能な限り無くすために行う。オープン補 正とショート補正の違いはケーブル同士を導通しない状態と導通した状態である。 そして KCl 溶液の準備をする。試料セルに KCl 溶液を入れる。このとき、真上か ら試料セルに試料を入れると、気泡ができてしまうため、尐し斜めに傾けてから試 料を入れる。(電流が良く流れないときは、気泡ができているため完全に試料が入 っていない可能性がある。) 次にセル係数を出す。PC、インピーダンスメーター、Thyristor Regulator の電 源を入れ、PC 画面上の「experiment」をクリックし、「GL200_80⋯」をクリック し、「本体と接続」をクリックし、「閉じる」をクリックし、「デジタル表示」をク リックし、「セル定数導出 xisx」をクリックする。インピーダンスメーターの 「FREQ」が 1,000KHz になっているのを確認する。(なっていなかったら、メニ ューを押し、 「FREQ」を押す。1,000KHz にあわせる。)インピーダンスメーター の「σLA」の値を 1.5 に合わせる。温度、σ の値を「セル定数導出 xisx」が開いた 状態の表に入れ、セル定数を出す。 6 3. 実験結果と議論 3.1. 溶融 RbI-AgI 混合系のイオン伝導率の温度依存性 溶融(RbI)c(AgI)1-c 混合系の測定を行った。図 3.1 に溶融(RbI)c(AgI)1-c 混合系のイ オン伝導率, σ,の温度依存性を示す。溶融 AgI の σ の値はおよそ 2.5(S/cm)程で、過 去の文献データと良く一致した[4]。また、溶融相から超イオン導電相へ相転移す る 555℃近傍でイオン伝導率の急激な上昇もこれまでの報告と同じ傾向が見られ た[4]。この上昇は、I イオンが体心立方格子を組むことで、Ag イオンの伝導パス ができることが関係していると言われている。 c が増えるに従って、σ の値が小さくなる傾向がある。σ の温度依存性は溶融 AgI 及び RbI では、ほぼ直線的であるのに対し、これらの混合した組成領域では曲線 的な傾向を示す。また、高い温度領域では σ の温度変化は小さい傾向があるが、低 い温度領域では σ の温度変化が大きい傾向が見られた。溶融 RbI の σ は融点直下 で急激な減尐を示した。 3.2. 溶融 RbBr-AgBr 混合系のイオン伝導率の温度依存性 溶融(RbBr)c(AgBr)1-c 混合系の σ の温度依存性を図 3.2 に示している。溶融 AgBr の σ は融点直上でおよそ 3.2(S/cm)程度であり、文献値とよく一致した[5]。溶融 RbI-AgI 混合系と同様、溶融(RbBr)c(AgBr)1-c 混合系のσの値は RbBr の混合の割 合が増えるに従って、減尐する傾向がある。この混合系は、融点直下で σ は急激な 減尐を示し、AgI のように融点以下で σ が上昇することはなかった。図 3.2.より c = 0.4 の 600℃付近で σ の値が安定しない領域があるが、これは試料中の気泡の影響 で、測定が安定しなかったと考えている。 7 図 3.1 溶融 RbI-AgI 混合系の電気伝導率の温度依存性。図中の矢印は融点を表し ている。 8 図 3.2 溶融 RbBr-AgBr 混合系の電気伝導率の温度依存性。図中の矢印は融点を表 している。 9 3.3. 溶融 RbI-AgI 混合系のイオン伝導率の組成依存性 図 3.3 に溶融 RbI-AgI 混合系のイオン伝導率(σ)の組成依存性を示している。温 度ごとのプロットも 850℃、700℃、570℃、450℃、300℃の各点で示す。温度に よっては、プロットされているデータ点が尐ないが、組成によっては固体になって おり、液体のデータが測定できないためである。例えば 300℃の c = 0.1 のデータ などがプロットされていないが、この組成の融点はおよそ 465℃であり、300℃で は固体になっているため、液体としてのデータはない。 850℃のデータ(赤線)に注目すると、 溶融 AgI(c = 0)のσは 2.58(S/cm)であるの に対し、溶融 RbI(c = 1)のσは 1.12(S/cm)と比較的低い値を示し、およそ 2.3 倍の 差がある。 3.4. 溶融 RbBr-AgBr 混合系のイオン伝導率の組成依存性 溶融 RbBr-AgBr 混合系のイオン伝導率(σ)の組成依存性を図 3.4 に示す。温度ご とのプロットも 760℃、700℃、600℃、500℃、400℃の温点で示している。温度 の低い領域でデータ点が欠けている理由は、溶融 RbI-AgI 混合系と同じである。 溶融 AgBr の σ は、RbCl よりも高い値を示し、Ag が速く動いていると考えられ る。 σ の組成依存性を見ると、溶融 RbI-AgI 混合系と同様、直線的な減尐ではなく、曲 線的に比較的急激な減尐が c = 0.4 程度まで観測されるのに対し、c = 0.4 ~ 1 では 変化が小さいことがわかる。 10 図 3.3 溶融 RbI-AgI 混合系の電気伝導率の組成依存性。850℃、700℃、570℃、 450℃、300℃での結果について示している。 11 図 3.4 溶融 RbBr-AgBr 混合系の電気伝導率の組成依存性。760℃、700℃、600℃、 500℃、400℃での結果について示している。 12 3.5 議論 図 3.3.と図 3.4.について、まず分子動力学の結果から定性的に検討する。溶解 AgI の高い導電率については、古典分子動力学(MD)シミュレーションによると、 Ag イオンは I イオンに比べて 5 倍程度の高い拡散係数を持ち、速く動いているこ とが指摘されている[3]。このことから、AgI は液体状態になっても、比較的ゆっ くり動く I イオンのまわりを Ag イオンが高速に動くような、超イオン導電相での 性質とよく似たイメージができる。一方、溶融 RbI の MD シミュレーションによ ると、Rb イオンは I イオンに比べて 1.5 倍程度の高い拡散係数を持ってはいるも のの、AgI の Ag ほど速くは動いていないことが組成依存性の理解に役立つ[6]。 次に定量的な解析を試みる。溶融塩のイオン伝導率 σ は T = Aexp(-Ea / kBT) ・・・・ (3.1) と書かれる。ここで、A は定数、Ea は活性化エネルギー、kB はボルツマン定数で ある。活性化エネルギーはイオンの移動に対するエネルギー障壁の高さに関係する 値であり、イオンの移動のしやすさの目安になる。つまり、陰イオンが格子を形成 しているのに対して、陽イオンが安定なところから別の安定なところに移動するの に必要なエネルギーである。超イオン導電体や溶融塩などイオンの移動が起こる系 では、lnσT を 1000/T に対してプロットした、いわゆるアレニウス・プロットの傾 きから活性化エネルギーを導出することができる。今回イオン伝導率を測定した溶 融 RbI-AgI 及び RbBr-AgBr 混合系のアレニウス・プロットを、図 3.5 と図 3.6 に それぞれ示している。どちらの混合系も、RbX (X = Br, I)の濃度が高くなるにつれ て、傾きは大きくなる傾向が見られる。 これらの傾きから導出した活性化エネルギーの組成依存性を図 3.7 に示した。溶 融 RbI-AgI も RbBr-AgBr 混合系も、RbI や RbBr の濃度の増加とともに活性化エ ネルギーが増加する傾向があり、イオンの動きに対するエネルギー障壁が高くなっ ていくことがわかる。ただし、RbI-AgI 混合系では c = 0.667 〜 1 の領域でほぼ一 定になるのに対し、RbBr-AgBr 混合系では一定の領域が現れないという違いが見 られる。0 < c < 0.4 の組成領域で溶融 RbI-AgI と RbBr-AgBr 混合系の活性化エネ ルギーの値はほぼ等しいことがわかった。 c = 0 ~ 0.4 の範囲では Ag イオンどうしの相関が強く働いているに対して、c = 0.4 ~ 1 では Ag+イオンの減尐に伴って弱くなっていることなどが考えられる。 13 図 3.5 溶融 RbI-AgI 混合系の電気伝導率のアレニウスプロット 図 3.6 溶融 RbBr-AgBr 混合系の電気伝導率のアレニウスプロット 14 溶融 AgBr の Ag イオンどうしは、溶融 AgI ほどは強い相関を持っていないこと が報告されているので、溶融 RbBr-AgBr 混合系の σ の組成依存性は、溶融 RbI-AgI 混合系とは異なる可能性を考えていたが、今回のイオン伝導率の実験結果から、溶 融 RbI-AgI 混合系と似た振る舞いをすることがわかった。 また、図 3.3.と図 3.4.の 700℃の組成依存性に着目すると、溶融 RbI-AgI 混合系 と溶融 RbBr-AgBr 混合系で σ の値が異なるのは、I-イオンと Br-イオンのイオン半 径の差と考えられる。I-イオンは Br-イオンに比べ、イオン半径が大きく、I-イオン が動き回りにくいと考えられる。したがって、σ の値は I-イオンの方が小さいこと が明らかになった。 図 3.7. 溶融 RbI-AgI 混合系と溶融 RbBr-AgBr 混合系の活性化エネルギーの組成 依存性 15 4.おわりに 溶融 RbI、AgI、AgBr の σ の温度依存性は既に測定されたデータが報告されて いるので、今回の実験データと比較すると良い一致が得られた。このことから、本 研究での σ の測定方法などに問題はないと考えられる。 <σ の温度依存性について> 溶融(RbI)c(AgI)1-c 混合系も(RbBr)c(AgBr)1-c 混合系も、ともに混合によって融点 が下がる傾向にあり、低い温度領域では σ の温度変化が大きい傾向が見られる一方、 高い温度領域では σ の温度変化は小さい傾向が見られた。どの組成も融点直下で急 激な減尐を示した。 <σ の組成依存性について> 溶融(RbI)c(AgI)1-c 混合系も(RbBr)c(AgBr)1-c 混合系も、RbI や RbBr の組成 c が 増えるに従って、σ が直線的に減尐するわけではなく、c = 0.4 まで曲線的に比較的 急激な減尐が観測されるのに対し、c = 0.4 ~ 1 では変化が小さいことがわかった。 この傾向は(RbI)c(AgI)1-c 混合系と(RbBr)c(AgBr)1-c 混合系とでは異なる可能性も考 えていたが、よく似かよっていることがわかった。 <活性化エネルギーの組成依存性について> イオン伝導率のアレニウスプロットから活性化エネルギーを導出した結果、溶融 RbI-AgI も RbI-CuI 混合系も、RbX (X = Br, I)の濃度の増加とともに活性化エネル ギーが増加する傾向があり、イオンの動きに対するエネルギー障壁が高くなってい くことがわかる。ただし、RbI-AgI 混合系では c = 0.667 〜 1 の領域でほぼ一定に なるのに対し、RbBr-AgBr 混合系では一定の領域が現れないという違いが見られ る。0 < c < 0.4 の組成領域で溶融 RbI-AgI と RbBr-AgBr 混合系の活性化エネルギ ーの絶対値はほぼ等しいことがわかった。 16 謝 辞 卒業研究の指導をして頂いた大野智教授と琉球大学理学部物質地球科学科の田 原周太助教に感謝します。又、論文を審査してくださる星名賢之助准教授に感謝し ます。 研究を手伝ってくれた近藤さん、瀬野君、山本君に感謝します。 17 引 用 文 献 [1] S. Tahara, H. Ueno, K. Ohara, Y. Kawakita, S. Kohara, S. Ohno and S. Takeda J. Phys.: Condensed Matter in press [2] F. Shimojo, T. Inoue, M. Aniya, T. Sugahara and Y. Miyata 2006 J. Phys. Soc. Japan 75 114602 [3] V. Bitrián and J. Trullás 2008 J. Phys. Chem. B 112 1718 [4] K. Ishida, S. Ohno, T. Okada, 1999 J Non-Crystaline solids, 250-252 488 [5] G. Janz 1967 Molten salts handbook, Academic Press in New York, New York [6] G. Ciccotti, G. Jacucci, and I. R. McDonald, Phys. Rev. A 13 426 (1976) 18
© Copyright 2024 ExpyDoc