男子校、人気の予感

男子校特別編集
安田先生の「中学受験の見方&味方」 2013-Vol.04
2013年度入試の状況
まず男子校の2013年度入試の状況を見てみよう。下の表は受験者が200名以上(各入試回の合計)
いた学校を取り上げたもの。
生の
安 田 先ィール
フ
プロ
(株)学習研究社で雑誌の編集長を務めた後、教育書籍の企画・編集にあたる。幼児部門から就職部門までの若手を集めた教育
情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。同社を退社後、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、
セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
著書に「中学受験 わが子をつぶす親、伸ばす親」
(NHK出版)、
「中学受験 ママへの個別指導」
(学研)などがある。
都県で白地は東京を表す。
なお、千葉には男子校はなく、埼玉も表にある立教新座、城北埼玉、城西川越の3校だけと少ない。男子校は東京・神奈川に多く存在する。
■ 2013年度入試で200名以上受験者がいた男子校
男子校への期待は「充実した学習指導」と「大学進学」
保護者がわが子を男子校に入れようと考える理由の上位2項目
と言える。開成、駒場東邦などのように学年の枠を超えた縦割りの
が「 学習指導 」
と
「大学進学」だ。そのほかの理由では、
12歳くら
チームで競う体育祭がものすごく盛り上がるのも男子校らしいとこ
いだとどうしても女子のほうが精神年齢が高く、女子が主導権を
ろと言えそうだ。
握ってしまうので、
そのことを嫌って女の子のいない男子校を選ぶ
部活動は、スポーツが盛んで運動系の部活が多種多様あると
というケースが増えてきている。そのため昔とは違って、女子がいる
いうのが共通する特徴。
しかし、
すべての部が同じレベルで活発に
ことが負担にならない、積極的な男の子が共学校に進み、小学校
活動しているわけではないので、志望する場合は、お子さんがやり
時代に女子に頭を押さえつけられていたおとなしめの男子が男子
たい部活の状況がどうなのかといったことを事前に調べる必要が
校を選ぶという逆転現象も生まれている。
ある。また、強豪として有名な種目は、高校からスポーツ推薦ですご
都県
学校名
13実受験者数
13実質倍率
巣鴨
848
2.72
都市大付属
2,431
4.70
駒場東邦
686
2.44
埼玉
立教新座
1,731
2.12
栄光学園
682
2.24
早稲田
1,649
3.56
筑波大駒場
665
5.12
浅野
1,634
2.61
芝浦工業大学
622
2.52
海城
1,578
3.03
慶應普通部
544
2.94
城北
1,563
2.45
京華
532
2.00
高輪
1,502
3.16
城西川越
524
1.27
世田谷学園
1,473
3.04
学習院
514
1.77
芝
1,451
3.17
足立学園
483
3.26
明大中野
1,408
3.58
安田学園
455
2.90
聖光学院
1,304
3.47
桐朋
435
1.90
攻玉社
1,281
2.31
武蔵
433
2.45
トップ校くらいで、多くの男子校は学校が勉強面でも生活面でも非
城北埼玉
1,226
1.59
立教池袋
419
3.04
常によく面倒を見るようになっている。
んは女性なので、男の子のことがわからない。そこで、男の子をどう
開成
1,206
3.12
日大豊山
374
1.39
それでも、攻玉社や巣鴨、早稲田のように耐久歩行の行事があ
育てたらいいのかについても、
ここでアドバイスしておこう。
本郷
1,170
2.01
佼成学園
354
2.17
るといった体を鍛える伝統行事があったりするのは男子校ならでは
神奈川
逗子開成
1,123
2.49
早大学院
331
2.59
神奈川
鎌倉学園
1,010
3.11
日本学園
310
1.79
神奈川
法政第二
961
3.44
藤嶺藤沢
305
1.55
獨協
923
2.63
聖学院
262
1.11
神奈川
サレジオ学院
905
3.14
暁星
240
2.38
成城
883
2.20
明法
202
1.58
麻布
858
2.23
神奈川
神奈川
埼玉
神奈川
神奈川
埼玉
神奈川
*安田学園は2014年度から共学化。
男子校、
人気の予感
今年は、東京でも神奈川でも男子校フェアに驚くほど大勢の受験生・保護者が訪れた。
実験教室などに嬉々として参加する男の子の姿を見ていると、2014年度入試では男子校に多くの受験生が
詰めかけそうな予感がする。
そこで、男子校の入試状況、男子校の特性などについて取り上げてみよう。
い能力の子が入ってきて、中学組はとてもレギュラーにはなれない
●「男子校」は昔と違ってソフトなイメージ
というケースもある。学校生活において部活の比重は大きいので、
最近は、男の子自体が大きく変化しているので、男子校も昔な
その辺のことも受験前に調べておきたい。
がらの硬派な学校は少数で、多くはソフトなイメージになっている。
授業も行事もそうだが、男子校だからという固定したイメージを抱
また、大人扱いして自主性尊重で育てている学校はごく一握りの
くと、実態とは異なることがある。個々の学校を見ることが大切だ。
昔から、男の子のほうが育てるのが難しいという。それに、お母さ
男子の受験は女子より大変
つい最近、
ある私立学校に招かれて、受験生の保護者向けに「わ
そのため、いわれなくても机に向かうなどということは、まずな
が子を男子校で学ばせる意味」
という講演をした。当然「男子校を選
い。いわれなくても自分からテキストを開くような子は御 三 家に
択する意義」
といったことが話の中心だったが、
このことを考えること
受かる子。
は同時に、
「男の子をどのように育てるか」
を考えることでもあった。
いつまでもゲームをしていて一向に机に向かう気配がなく、お母
男子の受験が大変という意味の一つは、女子校の数に比べて
さんのイライラが高じ、
これからはお母さんはストレスがたまる一方
男子校の数が圧倒的に少ないので、首都圏でいえば、女子は選
になる。
ばなければどこかしら入学先があるのに対し、男子は受験者数の
だから、難しい学校を受けるから受験生活が大変、易しい学校だ
90%くらいの定員しかない。つまり、10人に1人は全滅を余儀なく
から楽ということはない。むしろ易しい学校を受ける幼い子のほうが
される環境にあるということ。
お母さんはシンドイ思いをすると、覚悟しておいてほうがいい。
二つめは、男の子は精神年 齢が幼く、受 験は自分のためにす
るものという自覚がない子がほとんど。
「ママのために受験する」
今のうちに男の子のそうした特性を押さえて、受験に臨んでいた
という意識の子が多い。
だきたい。
▶ 2013年度入試の主な動向◀
〇男子はチャレンジ志向が目立つ
立 教 新 座など男 子 校の多くが 減らした。男 子は大 学 進 学 段 階
第1回入試の増減に着目してみると、麻布、開成、海城①、攻玉
で国 立 大 学を考えている家 庭が 一 定 の 割 合でいることが 、こ
社①、芝①、城北①、世田谷学園①、サレジオ学院A、聖光学院
うした現 象につながったと思われる。
①といった難関校が応募者を増やした。一方、減らした学校として
〇理系大学の付属校が人気に
は駒場東邦、巣鴨Ⅰ、本郷①、武蔵、浅野、栄光学園、鎌倉学園
①、逗子開成①などがある。
表に、都市大付属、芝浦工業大学と出ているが、
こうした理系
の大学の付属校がここ数年人気になっている。このほか共学校
〇男子付属校は減が目立つ
でも東 京 電 機 大 学 、東 京 農 業 大 第 一 、芝 浦 工 大 柏 、東 邦 大 付
付 属 校では早 大 高 等 学 院 中 学 部 、早 稲 田 、慶 應 普 通 部 、
東邦などが応募者を増やしている。