反応確率と断面積と中性子束千葉豪

反応確率と断面積と中性子束
千葉豪
中性子と原子核との反応
空間に中性子が密度 [/cm3]
で存在するとする。
この標的媒質に原子核が
存在するとする。
単位時間で中性子と標的媒質の原子核とが反応する量は、
のみで決まる？
中性子と原子核との反応
空間に中性子が密度 [/cm3]
で存在するとする。
さらに、これら中性子が速度 [cm/s]
で運動しているとする。
単位時間で中性子と標的媒質の原子核とが反応する量は、にも依
存する → 中性子の密度に加えて、その速度も、中性子と原子核と
の反応量（反応率）を考える点において重要
反応確率と断面積
中性子密度 [/cm3]
微小長さ：
[cm]
こちらに断面積 [cm2]をも
つ原子核が密度 [/cm3]で
存在するとする。
中性子速度 [cm/s]
なお、密度は非常に小さい
ため、原子核は中性子ビーム
に対して「重ならない」とする。
面積：
[cm2]
中性子束
[cm]
中性子密度 [/cm3]
面積：
[cm2]
中性子速度 [cm/s]
断面積 [cm2]
原子核密度 [/cm3]
1秒間に、右の円筒空間を通過する中性子数は？
中性子束
中性子密度 [/cm3]
[cm]
面積： [cm2]
断面積 [cm2]
原子核密度 [/cm3]
中性子速度 [cm/s]
1秒あたり、右の円筒空間を通過する中性子数：
[/s]
1秒あたり、右の円筒空間の単位面積を通過する中性子数：
[/s/cm2]
中性子束
中性子密度 [/cm3]
[cm]
面積： [cm2]
断面積 [cm2]
原子核密度 [/cm3]
中性子速度 [cm/s]
1秒あたり、右の円筒空間の単位面積を通過する中性子数：
[/s/cm2]
これを中性子束（Neutron flux）と言い、
と定義される。
反応確率と断面積
中性子密度 [/cm3]
[cm]
面積： [cm2]
断面積 [cm2]
原子核密度 [/cm3]
中性子速度 [cm/s]
円筒領域に到達した中性子が原子核と衝突する確率は？
反応確率と断面積
中性子密度 [/cm3]
[cm]
面積： [cm2]
断面積 [cm2]
原子核密度 [/cm3]
中性子速度 [cm/s]
円筒領域に到達した中性子が原子核と衝突する確率：
円筒表面の面積が [cm2]、そのうち原子核が占める面積が
/
[dimensionless]
[cm2]なので、
反応確率と断面積
中性子密度 [/cm3]
[cm]
面積： [cm2]
断面積 [cm2]
原子核密度 [/cm3]
中性子速度 [cm/s]
1秒あたり媒質に到達する中性子数：
[/s]
媒質で原子核と衝突する確率：
1秒あたりの中性子と原子核との衝突数：
媒質の体積は
なので、単位体積あたりに直すと、
[/s]
[/s/cm3]
反応確率と断面積
1秒あたり媒質に到達する中性子数：
[/s]
媒質で原子核と衝突する確率：
1秒あたりの中性子と原子核との衝突数：
媒質の体積は
なので、単位体積あたりに直すと、
[/s]
[/s/cm3]
・原子核数密度 [/cm3] と断面積 [cm2] との積
[/cm] は巨
視的断面積Macroscopic cross sectionと呼ばれ、「Σ」で記述す
る。巨視的断面積に微小厚さを乗じたΣ は「で反応を起
こす確率」として定義される。
・「」は巨視的断面積と区別して微視的断面積Microscopic
cross sectionと呼ばれる。
微視的断面積と巨視的断面積
微視的断面積
[cm2]、数密度
[1/cm3]
微視的断面積
[cm2]、数密度
[1/cm3]
巨視的断面積Σ
・微視的断面積は原子核固有の物理量である。
・巨視的断面積は媒質によって決まる物理である。
微視的断面積の単位：barn
微視的断面積：もの凄く小さい
~ 10-21[cm2]
原子核数密度：もの凄く大きい
~ 1022 [1/cm3]
そこで、微視的断面積の単位として、1 [barn]=10-24[cm2]
を定義する。これを用いると、原子核数密度は
1024 [1/cm3]= 1 [1/cm/barn] と書ける。
反応率Reaction rate
毎秒あたり媒質に到達する中性子数：Anv [/s]
媒質で原子核と衝突する確率：σNdx
毎秒あたりの中性子と原子核との衝突数：Anv×σNdx [/s]
媒質の体積はAdxなので、単位体積あたりに直すと、nv×σN [/s/cm3]
中性子束と巨視的断面積を用いることで、
単位時間・単位体積あたりの反応量は [/s/cm3]と記
述される。これを反応率Reaction rateと言う。
角度中性子束
中性子束の定義：
単位面積を単位時間あたりに通過する中性子数
正確には、角度に進む中性子が、角度に対して垂直な
単位面積を単位時間あたりに通過する数
→ 角度中性子束Angular neutron flux
スカラー中性子束
スカラー中性子束：
,
, ,
「さまざまな方向からの中性子の流れに対して単位大きさの表面積
を持つ「微小球」を単位時間に通過する中性子数」と考えるとイメー
ジしやすいでしょう（巽雅洋氏のイメージに基づく）。
中性子束のエネルギー依存性
中性子束の大きさは中性子エネルギーに依存します。
微視的断面積のエネルギー依存性
核分裂反応に対する微視的断面積（核分裂断面積）
微視的断面積は入射中性子のエネルギーに依存します。

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