制動放射線照射で製造できるRI 東北大学電子光理学研究センター 菊永英寿 2015/3/17「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ 発表内容 ○電子加速器(制動放射線照射)によるRI製造について ・どのような核反応が起こるのか? ・どのような核種が製造できるのか? ○電子光理学研究センター電子加速器でのRI製造能力 ・核医学用核種99Moと67Cuを例にして ○まとめ(当センターで可能なRI製造研究) 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ 原子核と光の相互作用 ○原子核は光を吸収して反応を起こす(光核反応) 断面積 巨大共鳴 (7-30 MeV) 準重陽子効果 (30-200 MeV) ∆共鳴 (>140 MeV) 光子エネルギー Nucl Instr Meth B 155 (1999) 373 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ 光核反応 ○ 数十MeVの光子を原子核が吸収すると,核子の結合エネルギー(~7 MeV)を 超えるため,核子放出反応が起こる。 p n Auに光を照射したとき 生成し得る核種 陽子数 50 MeV:32核種 20 MeV:6核種 中性子数 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ 電子加速器によるRI製造 ○ 加速した電子を物質に入射したときに発生する制動放射線を利用する。 (電子光センターでは主に20-50 MeVで入射) W, Pt etc. e- Target 光核反応 光子(制動放射線) Giant resonance ※どの入射エネルギーでも低エネルギーほど 光子数が多い連続スペクトルになる 低エネルギー核反応が優先的に起こる。 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ 制動放射線によるRI製造 ○ 比較的低いエネルギーでも起こる(γ, n), (γ, p), (γ, 2n), (γ, pn)反応が中心。 Ni-58(γ, X)反応の相対効率(実験値):(γ,n)=1とする (γ, p) (γ, n) (γ, 2n) (γ, n) Target (γ, pn) (γ, pn) (γ, p) (γ, 2n) ※ターゲット核種やエネルギーにもよるが プロトン放出反応はある程度起こる。 ライフサイエンス,核医学関係で使用する 無担体(高比放射能)RIの製造が可能 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ 制動放射線によるRI製造 ○ サイクロトロンで作りにくい中性子過剰側のRIが製造できる。 (速中性子による反応((n, 2n),(n, np)反応など)と似た経路) 68Zn(γ, p)67Cu T1/2(Cu) = 61.8 h Cuを単離すると無担体RI 100Mo(γ, n)99Mo → 99mTc T1/2(Mo) = 66.0 h, T1/2(Tc) = 6.0 h Tcを単離すると無担体RI ※このような核種は核図表を見ていると案外見つかる。 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ 制動放射線によるRI製造 ○有用RIの例(National Isotope Development Centerから適当に抜粋) 58Ni(γ, p)57Co (T1/2 = 272 d): 44Ca(γ, 検出器校正 p)43K (T1/2 = 22 h): ライフサイエンス 核医学核種(診断,治療) 64Zn(γ, 2n)62Zn → 62Cu (T1/2 = 4.7 m) 106Pd(γ, p)105Rh (T1/2 = 35 h) 68Zn(γ, p)67Cu (T1/2 = 62 h) 48Ti(γ, p)47Sc (T1/2 = 3.3 d) 192Os(γ, n)191Os → 191mIr (T1/2 = 5 s) 91Zr(γ, p)90Y (T1/2 = 64 h) 100Mo(γ, n)99Mo → 99mTc (T1/2 = 6 h) 92Zr(γ, p)91Y (T1/2 = 59 d) 84Sr(γ, 2n)82Sr → 82Rb (T1/2 = 1.3 m) ○大強度電子ビームのメリット ・大量製造が可能 ・少量のターゲットでも製造可能 (濃縮同位体,アクチニドターゲットなど) 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ 電子光センターでのRI製造能力 ○電子光センターでの一般的な照射セットアップ 10 30 mm SUS 1 mm Pt 2 mm Target Materials (φ10 mm) 照射ターゲット (石英封入) Sealed container (generally quartz tube) eBremsstrahlung Water Water 照射ボート 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ 電子光センターでのRI製造能力 ○最初に制動放射線のプロファイルを測定した。 ※10 μm厚のNi箔をターゲット位置に置いて,制動放射線照射。 照射後のNi箔中に生成した放射能に対してオートラジオグラフィを 行った。 Pt 2 mm Ni箔 10 μm 30✕17 mm e50 MeV 40 MeV 30 MeV Bremsstrahlung Water Water 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ 電子光センターでのRI製造能力 ○制動放射線のプロファイルを画像解析した。 ○放射能分布中心の直径10 mmを打ち抜いて57Niを照射量標準とした。 (つまり,このときが最も制動放射線が当たっているとする) Voigt関数でfitting 50 MeV FWHM = 15.5 mm 40 MeV FWHM = 16.5 mm 30 MeV FWHM = 17.7 mm 1150 Bq/mg/h/uA 1170 Bq/mg/h/uA 606 Bq/mg/h/uA 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ 電子光センターでのRI製造能力 ○natNi箔,natMo箔, natZn箔を同時に照射して,99Moと67Cuの製造量を評価した。 (モニター反応:natNi(γ, X)57Ni) 99Mo:3000 Bq/mg/μA/h@50 MeV (Target:100Mo metal) 30 gの100Moを用いると,1日で1 Ci以上の 67Cuが得られる。 67Cu:345 Bq/mg/μA/h@50 MeV (Target:68Zn metal) 5 gの68Znを用いると,1日で1 GBq以上の 67Cuが得られる。 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ まとめ(センターで可能なRI製造研究) ○現段階でも(使う人がいれば)RIを供給することは可能 99Mo:3000 67Cu:345 Bq/mg/μA/h@50 MeV Bq/mg/μA/h@50 MeV ○現在は少量のターゲットを用いたテスト実験を行っているのみ。 スケールを大きくした製造実験実験のテストが必要。 ※但し,非密封RIの使用許可がそれほど多くないという問題がある。 (近日中にいくつかの核種の許可量を変更する予定) ○直接50MeVの電子をターゲットシステム(MoO3ターゲットなど)に 照射することによって,ターゲットシステムの耐性試験が可能。 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ ご清聴ありがとうございました。 2015/3/16「⼤強度電⼦ビームとその応⽤利⽤」研究会@電⼦光セ
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