クオン

UD トラックス株式会社
ESCOT-V
通称名
車両型式
エンジン型式
適用時期
出典資料
クオ ン
LDG-CK系
LDG-CV系
LDG-CD系
LKG-CD系
LDG-CW系
LKG-CW系
LDG-CG系
LKG-CG系
LDG-GK系
GHllTA
GHllTB
GHllTC
GH13TD
GH13TE
2
0
1
0
.
7~
整備 要領書 2
0
1
0 大型トラ ック 別 冊
トランスミッシ ョン
.ESCOT-V
1 概要 (
図 -1)
前モデルの ESCOT※ -AT Nの性能を 更 に向上させ, 2ペダル方式を採用し,発進から停止及び後退までク
ラッチ操作を不要 とした 。 1
2段トランスミッションは ,前モデルよりワイドなギヤ・レシオを備え,発進
に使用する低速段側のギヤ・レシオを深く,かつ,巡航に使用する高速段側ギヤ・レシオを浅くする ことが
できる 。 高い発進駆動力と経済的な巡航を両立するハイポテンシャルなトランスミ ッションであり, 高度 な
自動変速制御と組合せることで,幅広い 走行シーンで「カ」と「経済性」の両立 を図 った。
&Safety.Controled.Transmission
※ ESCOT:
Easy
図 -1 ESCOT-V
i
司
ウi
つム
・
・
-E E
1
) 操作方法(図-2)
ESCOT-Vは,変速操作を自動で行う 。
発進ギヤ段の選択をすれば,アクセルを踏むだけで自動クラッチにて発進し停車時には発進ギヤ段をセッ
トした状態に戻る 。走行中 は 自動変速するので,発進から停車までシフト・レバー操作な しで走行できる 。
自動変速の走行中でも,シフ ト ・レバーをアップ・ダウン操作するだけで任意の変速も可能で,エンジン・
オーバランを起こすような変速は受け付けないので安心して操作できる 。
SPLスイッチ
、
u
ウォーニング・ランプ
黄色
_
.
1
"_
_
_E.Dモード-
~
赤色
ESCOTESCOT
スイッチ
パイロット・ランフ。
ECO
E・
D
│回 j
図 -2 操作方法
(
1
) 発進ギヤ段のセット方法 (
図 - 3,4,5)
ブレーキ・ペダルを踏みながら,シフト・レバーを“ Hold(H)"位置からアップ(又はダウン)操作すると,発
進段ギヤがセッ トされる 。操作後,シフト・レバーから手を離すと Hold(H)位置に戻る 。
発進ギヤ段
アップ操作時
l 速 LOW~3 速 HIGH 間の最適な前進ギヤを自動選択
ダウン操作時
l速・ LOW
①ニュートラルを確認
s
l
i
①シフト・レバーを“アップ"
又は“ダウン"に操作
DOWN
②ブレーキ・ペダルを踏みながら
④発進段ギヤ・セット
図 -3 発進ギヤ段のセット方法
-2
7
8-
R
・
・
-E E
ブレーキ・ペダルを踏まずに,
た場合,
シフト・レバー操作をし
~
t
の場合,発進段ギヤはセットされないので,ブレーキ・
ペダルを踏みながら
~
~
ブレーキ操作要
“ブレーキ操作要"のメッセージを表示する 。 こ
"
'
"
'
シフト・レバーを再操作する 。
発進段ギヤがセットされると,多重表示モニタにギヤ位
置を表示する 。
シフト・レバーをアップ又はダウン操作すると,必要に
より発進ギヤ段を変更することができる 。
図 -4 メッセージ表示
ギヤ位置表示を確認し,パーキング・ブレーキを戻して
から,ブレーキ・ペダルから足を離しアクセル・ペダルをゆっくりと踏み込むと,
自動でクラッチが接続さ
れて発進する 。
、
①パーキング-ブレーキを戻す
③アクセル・ペダルを踏み込む
②ブレーキ・ペダルを離す
図 -5 発信方法
(
2
) 自動変速走行(図 -6,7
)
発進して走行状態になると, E.Dモード・スイッチが“ ON"でシフト・レバーが H
o
l
d(
H
)位置にあれば,
アクセルの踏み込み加減とエンジン回転速度に応じて自動変速する 。
E.O
アクセル・ペダルを踏み込む
シフト・レバー (H)位置
UP N Hold
刊
DOWN
N
R
図 -6 自動変速走行 (
1
)
-2
7
9-
1
1
_
.
.
アクセル・ペダルの踏み込みが少ないと低いエンジン回転速度でシフト・アップ,踏み込みが多いと高いエ
ンジン回車え速度でシフト・アップする 。
アクセル・ペダルを踏んでいても
走行状況によりシフト・ダウンする場合がある 。
エキゾースト・ブレーキ・スイッチを“ 3段日'又は“ 4段目"位置にしておくと,アクセル・ペダルの戻しに
‘
‘
2
.
1
.
連動して自動で適切なギヤ段にシフト・ダウンする 。
4段目
3段目
段目
段目
図 -7 自動変速走行(
2
)
キック・ダウン・セレクト機能の“踏力変化点"を越えてアクセル・ペダルをいっぱいに踏み込むと動力性能
を重視したギヤが選択されシフト・ダウンする 。
亙E
キック
ダウン
セレクト機能とはアクセル・ペダルを軽く踏み“踏力変化点"があるところから,更に強く
踏み込むと若干の踏み込み代がある 。この踏み込み代がキック・ダウン・セレクト機能のアクセル範囲である 。
踏み込み代は全ストロークの 10%程度と少なく,事前にエンジン停止状態で確認すること 。
シフト・ダウンはアクセルの踏み込み加減と走行状況により 1
2段の中から最適なギヤ段が選択される 。
(
3
) 走行中のシフト・レバー操作
図 -8
)
(
イ
) 変速パターン例 (SPLスイッチ“ OFF"時) (
SPLスイッチを“ OFF"にした場合, 1回のレバー操作で l段ずつシフト・アップ・ダウンする 。 (
6段モード)
-吟シフト・アップ操作
〈コシフト・ダウン操作
回き巨司君固さ圃き固き圃
r
1
~
司君巨司君固さ司君巨司君圃
図 -8 変速パターン例 (SPLスイッチ“ OFF"時)
-2
8
0-
1
1
.
.
.
(
口
) 変速パターン例 (SPLスイッチ“ ON"時) (
図 - 9)
SPLスイッチを“ ON"にした場合, 1回のレバー操作で半段ずつシフト・アップ・ダウンする 。(12段モード)
- 吟 シ フ ト・アップ操作
Cコ シ フ ト ・ ダ ウ ン 操 作
固圃団団固固
¢ぞ与さ予ぞ写ぞ¢ぞ 4
5EEEEE固 圃 固
図 -9 変速パターン例 (
SPLスイッチ“ ON"時)
川 E・Dモード・スイッチとの関係
E.Dモード・スイッチが“ ON"で自動変速による走行中も,シフト・レバーのアップ・ダウン操作で変速
ができる 。
E.Dモード・スイッチが“ ON"で,走行時にアクセル・ペダルを踏みJながらシフト・レバーで変速したと
PLスイッチが“ OFF"でも, 1
段ずつシフト ・アップ・ダウンしない場合がある 。 これは適正なギヤ
きに, S
FF"にして,シフト・レ
段への変速を行うためで異常ではない 。必要に応じて E.Dモード・スイッチを“ O
バー操作を行う 。
登坂路の手前であらかじめ適正なギヤ段を選択するなど,道路状況を先読み したシフト・レバー 変速を併用
することで,よりスムーズな走行が可能である 。
シフ ト ・レバー操作を行っても,エンジンがオ ーバランやアンダランするような 変速は受け付けない 。 この
場合,車速を見直してシフト・レバー操作をやり直す。
-2
8
1-
・
・
-E E
(
4
) 走行から停車 (
発進ギヤ段の自動セット )(
図一 1
0)
E'Dモー
ド ・スイッチが“ O
N"で“自動変速"による走行中に,アクセル・ペダルを戻してブレーキ・ペダ
ルを踏んで減速すると,車速の低下に合わせてシフ ト ・ダウンする 。
E'Dモード・スイッチの“ ON/
OFF"に関わらず,停車時は自動でクラッチを切って発進ギヤ段に切り替え,
“発進ギヤ段の自動セッ ト"の状態で待機する 。
① 2速で走行中
3
5
J
③発進ギヤ段の 自動セット
②ブレーキ・ペダルを踏みながら
減速→停車
図 -10 走行から停車 (
発進ギヤ段の自動セット )
(
5
) 長時間停車・駐車の操作 (
図 -11
)
長時間停車したり駐車したりする際は,シフト・レバーを“ NH
o
l
d
"位置に操作して,ギヤ位置 iNJ
表示又
一
凶
ハ
パ
はブザー音(ピピッ)を確認する 。
一 N
d 合
DOWN
R
図 -11 長時間停車・駐車の操作
-2
8
2-
1
.
.
(
6
) 後退(
R
)時の操作(図 -12)
車両停止状態でブレーキ・ペダルを踏みながら,シフ ト・レ バー“ R"位置に操作すると,後退段ギヤがセッ
トされる 。
RJ
に切り 替わる 。
後退段ギヤがセッ トされると,ギヤ位置表示が i
ギ ヤ 位 置 表 示 を 確 認 し ブ レ ー キ ・ペダ ルから足を離しアクセル・ペダルをゆっくりと踏み込むと,自動で
クラッチが接続されて発進する 。
セットされるギヤ段
SPLスイッチ“ O
F
F
"
N
"
S
P
Lスイッチ“ O
R.LOW
R.HIGH
①ブレーキ・ペダルを踏みながら
③後退段ギヤ・セット
S
N
J
。
②シフト・レバーを“ R
"に操作
(
H
)
S
H
J
日
UP
N Hold
DOWN
R
図 -12 後退 (
R
)時の操作
(
7
) E・Dモード・スイ ッチ“ OFF"時の走行
E'Dモード・スイッチ“ OFF'のときは,手動変速モードになり,走行中はシフト・レバー操作で変速する 。
右・左折時の減速など,大きく減速 したと ころから再加速する場合は,シフ ト ・レバーを“ N"→“アップ(又
はダウン)"操作する 。車速に合わせて 最適な ギヤ段が選択できる 。
2
8
3
1
1
_
.
(
8
) ブザー音と操作メッセージ(図 -13)
ブザー音とともに多重表示 モニタ内の操作メッセージで
運転状況や操作方法を知らせる。
• • •
T T .
.
.
‘
レバー N操作要
ブザー音
シフ ト・レ バー操作により,“ N"
に変速が完了 (N確定フサー)
「ピッピッ j
断続音
「ピー ッ ・ピー ッ
・
ピー ッ・
・
…
.J
断続音
「ピ・ピ・ピ・ピ・ピ...
J
対応操作
状況
メ ッセー ジ
2回音
“
R"にギヤが入っています
(
後退ブザー )
E盟 国 国 国
周囲の安全を確認して運転してくだ
さい
l 降車する場合は,シフト・レバーを
発進ギヤ段の自動セット状態中に │
│‘
NH
o
l
d
'位置にして パ ーキング・
ドアが聞きました(ドア開け警報) I
│ブレーキをかけてください
-彊謹誼置誼国・
シフト
EZ
盟E直宮霊ヨ・
ブレーキ・ペダルを踏まずに発進 │ブ レ ー キ ・ ペ ダ ル を 踏 ん で 発 進 ギ
ギヤ・セ ッ ト操作されました
│ヤ・セ ッ トし てください
E富盛田iI+l!II
ESCOT.ROLLが作動中
レバーが故障しました
│非常シフ ト装置で走行してください
周囲の安全を確認して運転してくだ
さい
図 -13 ブザー音と操作イメージ
(
9
) 非常メイン・スイッチ(図一 14,1
5
)
通常走行から非常走行モードに切り替えるスイッチである 。
非常シフト操作時又はエンジン再始動する場合は,安全カバーを開け非常メイン・スイッチを“ ON"にする 。
これにより非常シフト操作の準備ができる 。
押す :非常走行
図 -14 非常メイン・スイッチ
-2
8
4-
1
'
_
.
〈安全カバーの開け方〉
安全カバーを外すときは,図示の凸部を利用して取り外す。
図 -15 安全カバーの開け方
。同非常シフト・スイッチ(図 -16)
シフト・レバーのかわりにトランスミッションのギヤ段を切り替えるスイッチである 。
非常メイン・スイッチを“ ON"にした後,ブレーキ・ペダルをしっかりと踏み込み非常シフト・スイッチを
回すとギヤ段がセットされる 。
多重表示モニタのギヤ段表示を確認し,ブレーキ・ペダルを離し,アクセル・ペダルを踏み込むと非常走行
カまできる 。
N)から後退 (
R
),又は後退 (
R
)からニュートラル (N)へ操作するときは,ゆっくりと多重表
ニュートラル (
示モニタのギヤ段表示を確認しながら操作する 。急激に操作すると,ギヤ・シフ ト ・ユニットの作動が追従
できず,ギヤ・シフトが正常に行われないことがある 。
非常シフト・スイッチ使用後は“ N"位置に戻し必ず非常メイン・スイッチを“ OFF"にすること 。
場合によっては,ギヤ段を表示しない場合がある 。
図 -16 非常シフト・スイッチ
(
1
1
) N Hold口ック解除レバー(図 -17)
ESCOTシステムの故障時に,ブレーキ・ペダルを踏ま
なくても,シフト・レバーを“ N Hold"位置から“ N"位
置への操作を可能にするレバーである 。
レバーを押し込んでいる間,ロックが解除される 。
NHoldロック解除操作時は,安全カバーを開けレバー
を押し込みながら,シフト・レバーを“ N Hold"位置か
ロック解除
安全力パー
図 -17 N H
o
l
dロック解除レバー
ら
“ N"位置に操作する 。
-2
8
5-
・
・
-E E
(
1
2
) フリー・ローラ使用時の注意事項(図 -18)
ESCOT-V搭載車で,フリー・ローラを使用して車検又は一般整備などを行う場合,以下の点に注意する o
E'Dモード・スイッチ "
O
F
F
"(手動変速モード)で変速する 。
ESCOT-Vの変速は,フロント・アクスルの車輪速信号を使用して自動変速を行っている 。 よって,後輸
のみローラ上で回転している場合は,前輪が固定されているため,フロント・アクスルの車輪速信号が来な
くなり,正常な自動変速をしない 。
1
0秒以上続けないように注意する 。
特有の制御により, E
'Dモード・スイッ
フリー・ローラ上など,後輪のみ回転している場合, ESCOT-V
/
OFFに関らず「フルアクセル状態を 1
0秒以上継続させる J
操作をすると 非常にシフト・アップしに
チ ON
フルアクセル状態を
くくなる 。
ASR(UDSC)付き車は, ASR(UDSC/
A
S
R
)カット・スイッチを OFFにする 。
※フ リー ・ローラ使用時,シフ ト・ア ップ しないなどの現象が発生 した際は ,下記のいずれかの対応をする 。
① 一旦,車両をフ リー・ローラから 移動 し,再度 ローラを使用する 。
FFコ約 1
0秒経過コキー
② ブレーキ・ペダルを踏んだ状態で「キー O
FFコキー
(ブレーキ・ペダルを踏まずに「キー O
ONJすると,
ONJ操作をする 。
EBS系エラーを検出してしまう可能性があ
る。)
チ圃ドド
Mモモ
ッ
一
一
園
田
1 . B圃
J-速 速
い-変変
J
,-動動
ト-自手
-- ---D
E1
NF
E
・0
0
N Hold
ら
選
N
R
E.Dモード・スイッチを
OFFにする。
DOWN
・ ・・
.
.
. Up
H
H
図 -18 フリー・ローラ使用時の注意事項
2) クラッチ
ESCOT-Vでは,クラッチ・ブースタが,クラッチと同軸にあるクラッチ・シリンダに変わり,重量を低
減し応答性が向上した 。
ESCOT-ATN
ESCOT-V
有り
なし
有り
なし
-2
8
6-
・
・
-E E
3) ギヤ・ボックス(トランスミッション )
ESCOT-V専 用 の 新 1
2段 ト ラ ン ス ミ ッ シ ョ ン を 採 用 。
新1
2段 T/
M諸元
ユニット呼称
AT02612D
操作方式
オートマチック式 (ESCOT-V)
ギヤ歯
ヘリカル・ギヤ(全速)
変速比
オイル量 [
L
J
l速 LOW
1
1
.
7
2
9
l速 HIGH
9
.
2
1
1
2速 LOW
7
.
0
9
4
2速 HIGH
5
.
5
7
1
3速 LOW
4
.
3
4
8
3速 HIGH
41
4
3.
4速 LOW
2
.
6
9
8
4速 HIGH
2
.
1
1
8
5速 LOW
1
.
6
3
2
5速 HIGH
l
.2
8
1
6速 LOW
l
.0
0
0
6速 HIGH
0
.
7
8
5
後退
LOW
1
3
.
7
2
7
後退
HIGH
1
0
.
7
7
9
オイル・クーラ付き
1
6.
0
オイル・クーラなし
1
6
.
8
PTO出力トルク [NmJ
5
0
0
4
) 電子制御
(
1
) 自動変速 (
E'Dモード)
より精度が高い勾配検知と重量推定が可能になった 。 コンピュータが車両の負 荷状態をきめ細かくチェック
し,最適なタイミングで自動変速する 。 また,停車時に適切な発進ギヤを自動で選択する 。
E.Dモード・
スイッチ操作
1
発進時の
クラッチ操作
発進モード
変速時の
クラッチ操作
変速時の
レバー操作
変速モード
OFF
不要
自動発進
不要
要
手動変速
ON
不要
自動発進
不要
不要
自動変速
(
イ
) 発進時
勾 配 と 重量に応じて適切な発進ギヤ段を自動で選択する 。 スムーズな発進・加速により交通の流れに乗った
走行が可能である 。
(
口
) 通常走行時
アクセル操作に応じて適切なタイミングでシフト・アップ,ダウンを行う 。 走 行 状 態 に 応 じ て よ り 燃 焼 に 適
切なギヤ段を自動で選択する 。加速時に 重 量 に 合 わせて 最 適 な 飛 びシフトを行うので,経済的な走行が可能
である 。
川登坂路走行時
登坂勾配,重量に合わせて適切なタイミングでシフト・アップ,ダウンを行う 。 変速後の車両挙動を予測し
て変速するので,シフト・ダウンの遅れによる失速やシフト・アップ・ダウンの繰り返し(ビジー・シフト)
を最小限に抑えたスムーズな走行ができる 。
-2
8
7-
・
・
-E E
(
ニ
) 降坂路走行時
降坂状態を的確に検知してギヤ位置を保持するので,エンジン・ブレーキを利かせた走行ができる 。エキゾー
3段目,
スト・ブレーキ・スイッチ (
4段目)を使い iESCOTオートシフトダウン機能 J
を併用すると,更に
安心な降坂走行が可能である 。
(
2
)
ECONOMYE・D(エコノミ・イーディー) (図一 19)
通常より早めのタイミングでシフト・アップする。
より低いエンジン回転での巡航走行を可能とし,省燃費運転をサポートする 。
ON: 平坦路での省燃費走行をアシストする変速モードである 。 (低回転変速モード)
OFF:山岳路,起伏のある地形での動力性能を重視した変速モードである 。 (ONに対 して 高回転モード)
①
E.Dモードの表示を確認
②
ECONOMYE.Dスイッチを ONI③ ECOE・Dランプの点灯を確認
注意!
このスイッチは,シフ卜・ノ
ブ相自の fE'Dスイッチ jが,
“
ON"状態でないと作動しま
せん。
図 -1
9
ECONOMYE・D
(エコノミ・イーテεイー)
(
3
) ESCOT'ROLL(工スコット・ロール) (図一 2
0
)
アクセル閉で惰行走行時,自動で、スプリッタ・ギヤをニュートラルにする 。
エンジン・ブレーキを庶断して惰行走行時の速度低下を抑制する 。
再加速時に必要な燃料をセーブすることで省燃費運転をサポー トする 。
'
'
車速
・
-E
翠翠a
加速時聞が短い
ために効果有
/'三》燃料消費量の差
&
・
ー
'
ー
累積燃料
消費量。
-
.
.
・
・
・・
・
・一 '
・・ ー
s
ヨ望L一
一一一-
1
0
0
図 -2
0
200
300
ESCOT・R
O
L
L
(工スコット・ロール)
2
8
8
400 走行距離 (m)
u・
(
4
) ESCOTオート・シフト・ダウン(図 一 2
1)
エキゾースト・ブレーキ・スイッチのレバー操作位置に応じて減速時オート・シフト・ダウンのエンジン回
転速度を選択できる 。
エンジン・ブレーキを強く効かせるように,低めのギヤ段を選択する 。
エンジン回転を 高 めることで,補助ブレーキ力をより効果的に働かせることができる 。
エキゾースト・ブレーキ・スイ ッチを 3段目又は 4段目に位置 しておくと,アクセル・ペダルの戻 しに連動
して自動で、
適切なギヤ段にシフト・ダウンする 0
・レバー 3段目:アクセル閉で減速時に通常より高めのエンジン回転になるようなシフト・ダウンが作動する 0
・レバー 4段目 :
3段目より更に高めのエンジン回転になるようなシフト・ダウンが作動する 。 より 高いエン
ジン回転で減速するので
強い補助ブレーキ力を効かせることができる 。
リターダ ・
スイッチ位置
OFF
補助ブレーキ
エキゾースト・ ブレーキ
及び EEブレーキ
ESCOTオート・
シフト・ダウン
×
×
l段目
O(
弱)
×
2段目
O(
強)
×
3段目
O(
強)
O(
弱)
4段目
O(
強)
O(
強)
図 -2
1 ESCOTオート・シフト・ダウン
-2
8
9-
1
1
.
.
.
2 構造・機能
1
) 構成部品の構造・作動
(
1
) クラッチ (
図 -2
2)
クラッチ・シ リンダは,クラッチの摩耗を計測するポ ジション・セン サ を持つインプッ ト ・シャフ トの周り
を同 心 状 に動くクラッチ・ハウジングの中に位置 している 。バ ルブ・ユニ ッ トは クラッチ・シ リンダをコン
トロ ールし,クラッチ・ハウジングの外側 に位置する 。
直童日
クラッチ関連の部品交換が発生した場合は,専用診断機器にて校正作業が必要。又,校正作業時には同時に,
車両データを管理 しているデータ・ベースにクラ ッチ ・ストローク開始位置の数値が登録される 。
01
)
ポジション・センサ
バルブ・ユニッ ト
図 -22 クラ ッチ
(
2
) ギヤ・ボックス (トランスミッション )(
図 - 23, 24)
トランスミッションの構造は 三つの主要部分から構成される 。 クラッチ・ハウジング
及びレンジ・ハウジングである 。 クラッチ・ハウジングは,
ベース・ハウジング
トランスミッションの前端部プレー トを構成す
る。 ベース・ハウジングは,メイン・シャフ ト, カウンタ・シャフト及びリバース・シャフトに加えて,
コ
ン トロール ・ハウジングに組み込まれるセレクタ・ユニッ トを含む 。 レンジ・ハウジングにはレンジ・ギヤ
遊星車装置及びアウトプッ ト ・シャフ トを含む。
図 -23 ギヤ・ボ ック ス(トランスミッション )
(
1
)
-2
9
0-
・
・
-E E
(
イ
) シンク口・ナイザ (
図ー 25)
スプ リッタ・ギヤ (
A
)はシンクロ・ナイザ付き 。
B
)のギヤにシンクロ ・ナイザなし 。
メインのギヤ・ボックス・ハウジング (
レンジ・ギヤ (C)はシンク ロ ・ナイザ付き 。
図 -2
5 シンク口・ナイザ
(
口
) パワー・トレイン (
ギヤの組み合わせ代表例) (
図 ー 26)
(凡例)ス リーブの動き
4
・:スプ リッタ 4
・:メイン・ギヤ
告 :レン ジ
〈
ニュー トラル 1)
ス プ リッタ
メイン ・ギヤ
レン ジ
Low
フ リー
Hi
又は Low
スフ。
リッタ
メイン・ギヤ
レン ジ
Low
R
Low
メ イン・ギヤ
レン ジ
〈
後進ギヤ R1(レンジ Low))
<
6速ギヤ 3-Hi(レンジ Low))
ス プ リッタ
H
i
3
1
2速と同じ
-2
9
2-
Low
u
.
トランスミッションの 主要部分は,インプット・シャフト,メイン・シャフト,セレクタ・ユニット付きレ
ンジ・ギヤ,カウンタ・シャフト,
リバース・シャフト付きオイル・ポンプに加えて,セレクタ・ユニ ッ ト
付きコントロール・ハウジングである 。
後進ギヤの従動輪及び標準ギヤはメイン・シャフトに位置する 。 レンジ・ギヤのサン・ギヤもメイン・シャ
フトに組み込まれている 。 カウンタ・シャフトには固定ギヤが付いている 。
レンジ・ギヤには遊星車装置が添付されており,アウトプット・シャフトと統合されている 。
パワー・テイク・オフを装備したトランスミッションにもドライブ・シャフトが添付されている 。
セレクタ・ユニット付き
コントロール・ハウジング
リパース・シャフト付きオイル・ポンプ
セレクタ・ユニット及びリターダドライブの付いたレンジ・ギヤ
図 -24 ギヤ・ボックス(トランスミッション )
(
2
)
-2
9
1-
1
1
_
.
.
(
7速ギヤ 4-Low(レンジ H
i
)>
スプリッタ
メイン・ギヤ
Low
レンジ
H
i
l速と同じ
図 -2
6 J¥ワー・トレイン
川
レンジ・ギヤ (
図ー 2
7)
レンジの同期装置はリング・ギヤの外にあり,ユニットの長さを短く制限している 。広い同期エリアはギヤ・
シフトの時間を短縮し幅のある斜め歯の遊星歯車のため堅ろうで静かである 。
図 -27 レンジ・ギヤ
-2
9
3-
-U D
・
(
ニ
) コントロール・ハウジング (
図 -2
8,2
9,3
0, 3
1)
ギヤは , ギヤ・セレクタを使用して選択する 。 ギヤを選択すると,システムはエンジン・トルクを適 当なレ
ベルに下げた後,ギヤをニュートラルにシフトする 。
トランスミッションがニュートラルにシフトした後,エンジン回転速度は選択したギヤの回転速度を 受 け入
れるように調節され,その後ギヤ・シフトが行われる 。
コントロール・ハウジング・カバーには, 二つ又は 三つの 電気 ソケットが付いている 。
車両通信
図28 コントロール・ハウジング
コントロール・ハウ ジ ングには
9個のソレノイド・バルブが付いている 。
J、
図 -29 ソレノイド・バルブ
コントロール・ハウジングには以下のコンポーネントが付いている 。
・スプリ ッ ,
ト l
/
R及 び 2/3並びにレンジからなる 4本のパラレル・シリンダ 0
.4個のピストン位置決め用誘導 センサ
・メイン・シャフト用及びカウンタ・シャフト用に各 l個 , 計 2個のスピード・センサ。 インプ ッ ト・シャ
フト・スピードはカウンタ・シャフト・センサによ って調整 される 。
-油温センサ,スプリ ッ ト・ギヤのセレクタ・フォーク及びメイン・トランスミ ッション 。 油温センサはス
ピード・センサの配線の中に位置する 。
-圧 力 セ ン サ 0
・トランスミ ッション用コントロール・ユニ ッ ト(
TECU)
。
-2
9
4-
1
1
_
.
レンジ・シリンダ
ポジション・センサ
図 -30 コンポーネント
図 -31 ポジション・センサ及びスピード・センサの位置
除) カウンタ・シャフト・ブレーキ (
図一 3
2)
カウンタ・シャフト・ブレーキは
カウンタ・シャフトの前部にあって発進ギヤが入 っているとギヤ・ボッ
クスの回転パーツにブレーキを掛け,これによりギヤ・ボックス摩耗,蓄積物及び騒音が減る 。高速への切
り替えでギヤ・チェンジを速くするため
ブレーキも使用されることがある 。 これは
ダを使って作動する 。
2 カウンタ・シャフト ・ブレー キ
図 -3
-2
9
5-
内蔵圧縮空気シ リン
・
・
-E E
(
ヘ
) 潤滑システム(図-3
3
)
トランスミッションは圧力と吹きかけの組み合わせによって潤滑が施される 。
オイルはメイン・シャフトに送られ,
レンジ・ギヤに加えてインプ ッ ト及びメイン・シャフトのベアリング
も潤滑し冷やす。
カウンタ・シャフト・ブレーキ,アウトプット・シャフト・ベアリング,緊急用ステアリング・サーボ・ポ
ンプ・ドライブ,
リターダ・ギヤ及びパワー・テイク・オフも潤滑される 。
図 -33 潤滑システム
-2
9
6-
・
・
-E E
(
a
) オーバ・フロー・バルブ(図-3
4
)
潤滑システムには 二つのオーバ・フロー・バルブが付いている 。一つのバルブは,万一 フィルタが詰まった
場合でもトランスミッションの潤滑を保証しもう一つのバルブは,コールド・スター ト時などに起 こる恐
れのある過大な圧力を未然に防止する 。バルブは圧縮スプリング及びバルブ・ペグから構成される 。
〈フィルタが目詰まりした場合,ギヤ・ボ ックスを潤滑してくれるオーバ・フロー・バルブ〉
〈
過大な圧力を防止するオーバ・フロー・バルブ〉
図 -34 オーバ・フロー・バルブ
(
b
) オイル・クーラ(図-3
5
)
オイル・クーラは 二つのタイプがあり,エンジンの冷却水を利用した水冷式で、
ある 。
〈
オイル・フィルタ・ハウジングに小型のオイル・クーラを装備(低馬力仕様 TC-MWO))
.
:
$
;
(TC-MWO)
〈
ギヤ・ボ ックスの左側に別体式の大型のオイル・クーラを装備(高馬力仕様 TC-MWOH2))
.
:
$
;
(TC-MWOH2)
図 -35 オイル・クーラ
-2
9
7-
・
・
-E E
(
c
) オイル・ポンプ (
図 -3
6, 37)
オイル・ポンプはギヤを通じてカウンタ・シャフ トによって駆動される偏心ポンプである 。 ポンプはリバー
ス・シャフ トの二つのニ一ドル・ベア リングの中に搭載されている 。
件
シー リング・リング
図 -36 オイル・ポンプ
ポンプの高圧側にインサー ト ・フィルタ式のフル・フロー・オイル・フィルタがある 。 フィルタはメイン・
ハウジング上のフィルタ・ハウジングの中に位置し,サポート・パイプがオイル・フィルタ・ハウジング底
部のカバーに取り付けられている 。サポート・パイプは,その外側にあるフィルタがつぶれるのを防止する 。
図 -37 フル・フロー・オイル・フィルタ
2
9
8
u
_
.
_
(
d
) ベンチレーション (
図 - 38)
ベンチレーション(通気)は,メイン・ハウジングの 二つのバルブ穴付き組み込み型エア・ダクトを流れる 。
図 -38 ベンチレーション
(
卜
) 工ア系統 (
圧縮工アの接続)(
図 -39,40,4
1)
-クラッチ・シリンダ用にコントロール・ハウジングとバルブ・ユニットを結ぶ圧縮空気接続部。
図 -39 工ア系統 (圧縮工アの接続)(
1)
-高圧システム用にコントロール・ハウジングと 4ウェイ・バルブを結ぶ圧縮空気接続部。 高圧システム用に
コントロール・ハウジングと圧縮空気タンクを結ぶ圧縮空気接続部。
~
図 -40 工ア系統 (
圧縮エアの接続)
(
2
)
-2
9
9-
1
1
.
.
.
-コントロール・ハウジングとカウンタ・シャフト・ブレーキ間の 空気接続部。
なお,コントロール・ハウジング内及び,メイン・ハウジング内にもエア回路が存在する 。
3
)
図 -41 エア系統(圧縮エアの接続)(
3 点検・整備のポイント
1) オイル・レベルの調整(図 -42)
オイル・レベルは,
レベル・グラスを使用して点検し ,二つ のドレン・プラグ及び二つ のフイラ・プラグに
よって調整する 。過充てんオイルもレベル・プラグで調整する 。
〈オイル・レベルを点才食するためのレベル・グラス〉
MAX.OI
L.LEVEL
MI
N・OI
L・LEVEL
図 -42 オイル・レベルの調整
-3
0
0
1
1
.
.
.
2) 潤 滑 油 の 交 換
(
1
) 潤滑油の性能及び定期交換時期
名称
規格 (SAE)
分類
純正 UD ギヤ・オイル・メガ
GL-4(合成油)
GL-4
4
0C以下
定期交換時期
4
0
0,
000km走行毎又は 3年毎
SAE75W/8
0
0
(
2
) 潤滑油の量
量(リットル)
仕様
標準
1
6
.
0
PTO付き
l
.2増し
別体式大型オイル ・
ク ーラ付き
0
.
8増し
(
3
) 交換作業の要領
・ドレーン・プラグ締め付けトルク
(
2箇所共通) :30~40N. m 1
3
.
1~4.1kgf' mf
-ギヤをニュートラルにし, 1分間以上エンジンを運転する 。
-オイル・レベルを点検する 。 レベルが下がった場合は補給し
もう 1分間エンジンを運転する 0
・エンジンを運転しでもレベルが下がらなくなるまで,点検と補給を繰り返す。
3) オイル・フィルタの交換
(
1
) 交換時期
交換時期:トランスミッション・オイル交換毎
(
2
) 交換作業の要領 (
図ー 4
3,4
4)
① オイル・フィルタのドレーン・プラグを外してオイルを排出する 。 オイルの排出が終わ ったらオイル・フイ
ルタのドレーン・プラグを取り付ける 。
0
N
'm1
3
.
1~4.1kgf'
ドレーン ・プラグ締め付けトルク:30~ 4
m
l
図43 交 換 作 業 の 要 領 ①
② オイル・フィルタ・カバーとガイド・スリーブを取り外し,フィルタを交換する 。
ぜ
三R
~、
-",,-~
図 -4
4 交換作業の要領②
-3
0
1-
・
・
-E E
③新品のフィルタを取り付け,オイル・フィルタ・カバーを取り付ける 。
5~ 55N.m 1
4.
6~ 5
.
6
k
g
f.mf
オイル・フィルタ・カバー締め付 けトルク :4
a
④ トランスミッション・ギヤ・オイルを注入後エンジンを始動し,オイル漏れがないことを確認する 。
4) ESCOTシステム警報 (
図 -45)
ESCOTシステム故障時は,ウォーニング・ランプが点灯 し,多重表示モニタにウォーニング・メッセージ
を表示して知らせると共に
必要な処置をコメントで表示する 。
ウォーニング・メッセージとコメントは交互に表示する 。
ぜ‘
ウォーニンク ・
ラ
ン
フ
。
a
ザ‘
ル
¥U
内
F﹂
T
O
CV
企
(赤)
﹄V
FO
T
O
F﹂
v
﹄
b
企 C'
(黄)
図 -45 ESCOTシステム警報
ウォ
ング・
ランフ。
ウォ
ーング・
マーク
ウォ
ーング・メッセージ
及びコメント
状況
対応操作
赤
ESCOT
ESCOTシスァム異常
。サービス工場に連絡して下
さい
赤
ESCOT
車両を停止して下さい
。サービス工場に連絡して下
さい
発進,走行など車両を動
かすことができません
ただちに車両を停車して,サー
ピス工場に連絡し修理してく
ださい
赤
診
〈
トランスミッション油温異常
。停車し油温を下げてくだ
さい
トランスミッションの油
温が高温になってます
ただちに車両を停車して,油温
をさげてください
黄
ESCOT
ESCOTシステム異常
。サービス工場に連絡して下
さい
黄
ESCOT
ESCOTシスァム異常
。サービス工場で点検して下
さい
ESCOTシステムに故障
が発生しています
サービス工場で点検してくださ
黄
ESCOT
通信異常
。サービス工場で点検して下
さい
他のシステムとの通信異
常が発生しています
サービス工場で点検してくださ
D
:
!
PTO異常
。サービス工場で点検して下
さい
安全な場所に停車して,サーピ
トランスミッション PTO
ス工場に連絡し修理してくだ
が正常に動作しません
さい
4
ト
クフツチディスク摩粍
。サービス工場で点検して下
さい
クラッチが摩耗していま
す
クラッチが摩耗してきています
ので,サービス工場で点検し,
必要に応じて交換してください
黄
診
〈
トフンスミッション油温異常
。停車し油温を下げてくだ
さい
トランスミッションの油
温が高温になってます
安全な場所に車両を停車させて,
油温を下げてください
黄
ESCOT
空気圧不足
。空気圧を上げてください
システムを作動させるた
めの空気圧が足りません
ただちに安全な場所で停車し
エンジンをアイドリング運転し
て空気圧を上げてください
黄
黄
-3
0
2
ESCOTシステムに故障
が発生しています
ESCOTシステムに故障
が発生しています
ただちに車両を停車して,サー
ビス工場に連絡し修理してく
ださい
安全な場所に停車して,サーピ
ス工場に連絡し修理してくだ
さい
v
¥
v
、