第57回中国・四国地区高等学校PTA連合会大会 第57回中国・四国高等学校PTA連合会大会岡山大会が、平成 27 年 7 月 10 日(金)、岡山市の岡山市民 会館にて開催され、9県から約1,700名が参加し、海田高等学校からは、長谷会長、越智、福川、松原 副会長の 4 名が参加しました。岡山県は「晴れの国」と呼ばれているだけあり、梅雨が明けたのかと思われ るようなよく晴れた暑い日でした。 中国大会のテーマは【 「つなごう子育て 結ぼう手と手」~晴れ の国からもんげー夢を~】で、「もんげー」とは「ものすごい」と いう意味の岡山弁です。 高等学校教育の振興、高校生の健全育成及び高等学校PTA活動 の推進等に関する需要な課題について研究協議することを目的に、 講演、高校生による発表、研究協議が行われました。 1.講演(10:30~12:00) 午前中開会行事に続き、社会福祉法人岡山県視聴覚障碍者協会理事(元岡山県立岡山盲学校講師)の 竹内昌彦氏による講演が行われました。講演テーマは『「私の歩んだ道」~見えないから見えたもの~』 で、氏は、障害者の人権理解、いじめ苦やその他の理由による自死に対し命の大切さを訴え、現在も年 間120回、過去20年間で全国2000回に上る講演活動を行っておられます。 講演の中で、氏は、つい最近の岩手の中学生の自殺にも触れ、「子供は自分の命を自分一人のものと 思ってないか、自分は親そのまた親へとずっとつながっている、その自分が死んだら明日から親がどれ だけの暗闇で生きていくことになるのかわかっているのか。親は子供を助けるならいつでも死ねる」と 言われ、また、「健康であることがどれだけありがたいことか、自分も眼さえ見えれば何でもできるの にと絶望したことがある。しかし、この悲しみ苦しみが一生続くと思うから絶望する。でも絶対に次に いいことがある。そう思って今の苦しいことを凌げと言いたい」と言われ、ぜひこの講演を子供たちに も聞かせたいと思いました。会場内もすすり泣く保護者でいっぱいでした。 また、目が見えないという障害について詳しく具体的な例を挙げて説明 してくださり、私たちに対し、元気な子供を授かっているということが どんなにありがたく運のいいことかすぐ忘れているがそれを忘れないで ほしい、この平和な時代に生まれて安全な大地に住んでいることがどん なにありがたいことかわかってほしいとして、障害児を育てている家庭 がどんな思いをしているか考えられるようになってほしいと要望されま した。とても素晴らしい内容で、講演後の拍手が鳴りやみませんでした。 2.高校生による発表(13:00~14:00) 昼食後、13 時から地元の高校生による発表が行われました。 まず、岡山県立高松農業高等学校が壮大で力強い最上太鼓を披露し、次に 就実高等学校が優雅なバトン演技を披露してくれました。そして、最後に 部員数 113 名という驚くべき人数の岡山県立岡山南高等学校の吹奏楽部が、 指揮者の顧問の先生もかわいいトトロの着ぐるみを着て、隣のトトロから の楽しいメドレーや部員の女の子のボーカル付きの演歌、楽しいダンスな ど演奏してくれました。どの高校の生徒たちからも私たち参加者を楽しませたい、岡山に来てくださっ てありがとうと思いが強く伝わってきてとても楽しい時間でした。 3.研究協議(14:10~15:40) 研究協議では,3つの高校が発表されました。まず3つの発表が通して行われ,その後質疑応答をうけ るという形で進められました。 ○発表テーマ「進路指導と PTA」(鳥取県立倉吉東高等学校) 「子供の背を押す育友会~NPO 法人倉吉鴨水館の設立をめぐって~」 <発表概要> 鳥取県では,予備校が少ない地域性に対応し,進学を志す浪人生のために「専攻科」が県立高校3校 に設置されていましたが,県による民業の圧迫と浪人生への県費投入を問題視する声を受けて,平成 25 年 3 月に廃止されました。しかし,存続を望む声が大きく,倉吉東高校同窓会と育友会(PTA)は 専攻科に変わる学びの場の設立に動き,県に陳情を行った結果,議会での採択を受け NPO 法人を認証 され,NPO 法人倉吉鴨水館を設立しました。その設立までの活動や,日ごろの PTA 活動,平成 18 年 には国公立大に強いベスト 150 高校で全国 1 位にランキングされた進学指導の取り組みなどについて 発表されました。 <感想> 進学指導のための特色ある教育プログラムや NPO 法人を設立して浪人生を応援する取り組みは素晴ら しいと思いました。また PTA 活動ではPTA 総会前に行っているという「大人(おせ)の一言」という保 護者によるミニ講演会(各クラス 1 人ずつ 15 名の保護者が講師となり, 「仕事に対する思い」や「まち づくり事業」など実に多彩なテーマで講演するもの)と,本校と同じ大学訪問で,訪問時にその大学に通 っている同校 OB や OG から生活費,アルバイト,卒業後の進路や高校時代の勉強法などを聞くという取 り組みが印象に残りました。 ○発表テーマ「生徒指導と PTA」(広島県立松永高等学校) 「忍の一字で見守る PTA」 <発表概要> 松永高校は誰もが認める地域の拠点高でしたが,平成 10 年前後から年間平均 50 人の退学者,年間平 均 200 件前後の問題行動が発生し,悪いイメージが定着しつつありました。そうした状況の中,さまざ まな取り組みにより,とりわけ平成 24 年以降からは,市内でも有名だった悪いイメージが一新し,「激 変した松永高校」として評価を得る学校に大きく変容したその取組を紹介されました。タイトルの「忍 の一字で見守る」とは「学校の対応を信頼し,見守る」という「保護者の覚悟(理解と協力)と信頼」を 意味し,これが教職員には大きな安心と精神的なバックアップとなり,幅広く多様な指導や教育につな がって状況が改善できたというお話をされました。 <感想> 近年学校の対応に過度に反応する「クレイマー」により, 教職員を萎縮させてしまい,その活動を後退させてしまう 現象が起きているとの説明はそのとおりだと思いました。 学校を改革していかなければならない状況の中では,子供 のため,学校と保護者が目的を共有化し,協力することが 重要であると改めて感じました。 ○発表テーマ「社会貢献活動と PTA」(岡山県立岡山工業高等学校) 「保護者・生徒・地域が協力した社会貢献活動~虹の架け橋プロジェクトを中心として~」 <発表概要> 岡山県の県立高校では,卒業までの3年間で5日間の社会貢献活動を推進しており,虹の架け橋プロ ジェクトは東日本大震災ボランテイアを契機として始まった被災地支援事業です。岡山工業高等学校で は,岡山市内の商店街の文化交流空間を無料で借り,毎月1週間程度,被災地の民間団体等で製作され た商品を販売しており,生徒が担当できない時間帯はPTAが運営の手伝いをしています。昨年度の活 動では,生徒約 600 名,保護者約 170 名(のべ人数)の参加があり,生徒の社会貢献活動への関心の 高まりと自己肯定感,自己効力感の向上という本校の社会貢献活動の目的がある程度達成できたと発表 されました。 <感想> 本日の講演会で竹内先生が「子供に人に感謝される経験を沢山させてほしい」とおっしゃっていたこ とを思い出し,今回の取り組みの中でも,被災地の方からの勇気づけられたとの感謝の言葉が子供たち の自己肯定感の向上に結びついたとのことで,改めてこういった機会が子供たちの成長に必要であると 実感しました。 <終わりに>全体を通して細部までよく考えられ準備された大会で、130名で準備されたとのことで すが、さぞかしご苦労され大変だっただろうと思います。心から大会を支えられた方々に敬意を表した いと思います。そして、とても充実した大会で、今回参加させていただけたことを心から感謝いたしま す。保護者として、皆さまにこのような機会があればぜひ参加されることをお勧めいたします。 (1 年生副会長 松原千穂子)
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