北関東水害調査レポート 2015 年 9 月 13 日 台風第 18 号による大雨で

北関東水害調査レポート
2015 年 9 月 13 日
台風第 18 号による大雨で、茨城県や栃木県、福島県、宮
城県等では河川の決壊や溢水により、大きな被害が発生した。
東京都内においても個人のボランティア、NPO、ボランティ
ア推進機関より、この水害に対する問合せ等も入っているこ
とから、今後の東京ボランティア・市民活動センターの支援
方針を検討するため、東京災害ボランティアネットワークと
共に被災地の調査を行った。
日時 平成 27 年 9 月 12 日(土)午前 9 時~午後 8 時 45 分
鬼怒川沿いの農地。家屋の被害も大きいが農
地被害も深刻。
職員 東京ボランティア・市民活動センター 副所長 長谷部俊介
〃
災害担当 加納佑一
東京災害ボランティアネットワーク 事務局
福田信章
訪問先 常総市社会福祉協議会 ふれあい館(社協本所)
常総市社会福祉協議会 障害者福祉センター(災害 VC 設置予定場所)
大楽寺(常総市)
境町社会福祉協議会
<常総市>
◆避難所の状況
(1)常総市社協「ふれあい館」
・常総市社会福祉協議会の事務局のある「ふれあい館」を訪問。
・お話を伺ったのは、社協事務局長 滝本氏、細谷氏。
・ふれあい館は避難所となっており、常総市社協職員 10 人~
15 人が避難所運営にあたっていた。
・ふれあい館には 140 人の避難者がおり、中には視覚障害者
や外国人も避難しているが情報提供はできているとのこと
(9 月 12 日朝現在)
。
・また、ふれあい館前にある水海道第一高、水海道小も避難所
となっており、支援物資等は偏りが出ないよう3つの避難所
で調整を行っている。
・避難所のある地域は断水と電話が不通。携帯電話も使えず、
社協職員同士は SNS でグループを作り連絡を取り合ってい
る。電気は通っている。
ふれあい館(社協本所)の様子。掲示板には
様々な情報が掲示されていた。
・日赤が避難所に常駐しており、体調の悪い方の対応を行って
くれている。
・水海道 JC が 9 月 11 日に避難所で炊き出しを行った。
・他の避難所の状況が全く分からない。福祉課が避難所を回っ
ているが、市からも情報が来ない。
(2)大楽寺
・副住職の奥さんにお話を伺う。
・お寺が避難所になっている。最大で 180 人が避難。
ふれあい館では、すき家が炊き出しを行っ
ていた。
9 月 12 日夜の時点で 120 人程が避難。
・水が引いてきたので、避難者が少し減っている。
・市の職員が常駐している。
・炊き出しはお寺としてはやっていないが、被災直後は支援団
体によるカレースープ等が提供された。
・断水している。仮設トイレが4つ設置されている。
・給水車が来ており、在宅避難者もお寺に給水に来ている。
・個人的なつながりで坂東市からお弁当が届く。避難所だけで
なく在宅避難者にも提供している。
・副住職の奥さんが余った物資を持って地域を歩き、在宅避難
者で支援が行き届いていない人へ物資を渡している。
◆災害ボランティアセンターの状況
(1)茨城県災害ボランティアセンター
・茨城県が茨城県社協、常総市、常総市社協と連携して
大楽寺の様子。断水が続いているため、仮
設トイレ用の水がバケツで用意されてい
る。
9 月 12 日に設置。
・運営は県職員が実施。設置場所は石下総合体育館。
・活動内容は、避難所の支援や物資の仕分けなど。
(2)常総市社会福祉協議会 災害ボランティアセンター(名
称未定)
・常総市社会福祉協議会が中心となり、茨城県、茨城県社協、
常総市、常総市社協の4者が災害ボランティアセンターを障
害者福祉センターに設置する予定。
・9 月 14 日ボランティア受入れ予定。
・9 月 12 日 11 時より、障害者福祉センターに集まっている団
体で顔合わせ。
ジャパン・プラットフォーム、JVOAD 準備会、チーム中越、
NGO 結、富士フィルム、日本 JC、コモンズ、災害ボランテ
ィア支援プロジェクト会議、茨城県社協、東海村社協、常総
市社協、東災ボ、東ボラ。
災害 VC 設置予定の障害者福祉センター。
様々な支援団体が集まっていた。
・9 月 12 日 12 時より、上記団体で情報共有会議。
各団体がこの間把握した情報(避難所情報、道路
情報、地元団体の取組み等)を共有するとともに、
12 日午後の活動予定を共有。
・なお、常総市社協は職員を市内各地に派遣し、住
民や民生委員にヒアリングを行い情報収集を行
うこととなった(夕方の情報共有会議で報告)。
◆常総市社協の状況
夕方に行われた情報共有会議。昼間より多くの支援団体が
集まり、情報共有が行われた。なお、市からも職員が参加。
・社協職員全員の安否は確認できているが、床上浸水のあった職員が 10 人以上。床下浸水の職員
は把握できていない。また、臨時職員が多いがそこまで把握できていない。
・職員はふれあい館の避難所運営と災害ボランティアセンター設置運営準備に追われており、通常
業務(障害者福祉センター運営、日常生活自立支援事業など)が十分に機能していないように見
える。
◆住民からの声(夕方の情報共有会議での報告含む)
・水海道付近では防災行政無線が使えなかったため、
市からの情報が届いていない(防災行政無線は 9
月 12 日午後に復旧した模様)
。
・ガレキやゴミの処理が出てくるが、分類の仕方や
収集方法、集積場所などがはっきりしていない。
・水が引いている地域では乾いてホコリが舞ってい
る。住民はマスクをして作業をしている。一方で
全く水が引かず1メートル以上浸水している地
域もある。
行方不明者の救出のため救急車・消防車が浸水地区近くで
待機している。一般車両は通行不可。
・農協の職員や地元の高校生ボランティア、個人的なボランティアが活動しており、住民も喜んで
いる姿が見られる。
・断水のため泥を流すことができない。
・ある地区では民生委員が担当地区を回って一人暮らし高齢者の状況を把握しているが、全ての地
区で行われているかは不明。
・堤防が決壊した付近の地域では泥が多く、丸太や大きなゴミが片付けられずに残っている。
・ある地域では、地元の土建屋が重機で泥出ししている。また、地元有志で炊き出しも行われてい
る。
・常総市内は各地で通行止となっているが、刻々と交通規制状況が変わっている。それに伴い、一
部の道路に車が集中し、渋滞が発生している。
・交通規制内の地域はコンビニエンスストアなどの商店が閉鎖している。規制外の地域には車がた
くさん泊まっており、避難者は物資を求めて規制外の地域に買い物に出ている様子が伺える。
◆境町
・9 月 11 日の時点で境町の床上・床下浸水の数字がはっ
きりしておらず、また、ホームページ等でも状況が確
認できなかったことから、現地調査を行った。
・境町社会福祉協議会の仲村会長、須藤常務理事にお話
を伺った。
・被害状況は床上浸水が 67 件、床下浸水が 280 件。
・町役場から災害ボランティアセンター設置の要請を受
もともと沼地だった地域が完全に浸水し、湖のような
状況になっていた。
け、センターを 9 月 12 日に設置。翌 13 日もセンター
を開設し、活動を実施する予定。その後のことは町役
場の要請にもとづいて検討するとのこと。
・住民には防災行政無線でセンター設置と住民からの要
望の受付をお知らせした。
・12 日は 7 件のニーズに対し、ボランティア 21 人が活
動した。未完了 1 件のみ。
・仲井戸川、宮戸川の堤防が決壊し、付近一帯は未だに浸
床上浸水地域ではあるが、既に水は引いており、使え
なくなった家財も外に出されていた。
水している。ただし、もともと沼地だったところで住家はない。
・災害直後は冠水した場所が多く、移動困難箇所も数多くあったようだが、12 日現在では、水は引
き、通行止めは一部に留まっている。
・床上浸水地域は一部地域にまとまっている。川の氾濫による被害ではなく、区画上数十 cm 低地
になっている箇所(街道間 50m ほど)に雨が溜まった形の被害となっている。そういった箇所
が4箇所程度見られた。
・地域住民の助け合いで片付けが行われている。住民に話を聞いたところ「1階が浸水したため、
使えなくなった家財等を外に搬出している。12 日夕方の段階でほぼ作業は終わっている」とのこ
と。
作成:東京ボランティア・市民活動センター 加納佑一
東京災害ボランティアネットワーク 福田信章
以上