2015年3月〔隔月版〕 政府予算案は香港の長期的な経済発展を促進 多角的な開発こそが、香港の競争力強化の鍵です 香港の財務長官 曾俊華(John Tsang)は2015年のGDP成長率を1~3%と予想しました。また、平均総 合物価上昇率3.5%、基本物価上昇率3.0%とそれぞれ推定しています。 予算に関し、香港特別行政区政府 投資推進局 局長 サイモン・ガルピンは次のように述べました。 「インベスト香港は、スタートアップエコシステムを育成し、クリエイティブ産業及びビジネス・専門サー ビスの競争力を強化するとともに香港の金融ハブとしての地位を確固たるものとすべく、努めて参り ます。」 スタートアップ支援 スタートアップという形で起業家精神の新しい波は、世界中で出現しています。多くの新規事業が従 来の手法を打破し、新しい技術、とりわけ情報技術を大胆に活用しています。最先端技術の活用に より、競争力のある製品やサービスを生み出すことで、消費パターンに変革をもたらし、新たな市場 を切り開いています。 インベスト香港は世界有数の起業ハブしての香港の利便性を強化するため、2013年に大規模なプ ロモーションキャンペーン「StartmeupHK」を開始しました。同キャンペーンでは、可能性を秘めた革 新的なスタートアップを香港へ誘致し、そして多くの国際的なエンジェル投資家及びベンチャーキャ ピタルの関心を香港を拠点とするスタートアップに集めました。 スタートアップは、その成長に伴い、資金需要が増加します。スタートアップの資金調達をさらに円滑 にするため、サイエンスパークに拠点を持つ、あるいはサイエンスパークのインキュベーションプログ ラムに参加したことのあるスタートアップを対象に、香港科技園公司(HKSTPC)は、民間資金との同 額拠出形式で、共同投資のための企業ベンチャーファンドを立ち上げ、5,000香港ドルの原資を割り 当てます。 更に、「科学技術ファンド」への50億香港ドルを追加拠出し、対象企業の支援強化に役立てます。 また、金融技術は、多くのベンチャーキャピタリストやクラウドファンディングの投資対象になっていま す。支払い、決済システム、ビッグデータ分析、クラウドコンピューティング、情報・リスク管理およびネ ットワークセキュリティなどの機能を強化する金融技術は、運用効率を高め、金融部門の新たな発展 に道を拓きます。国際金融センター香港には、技術面で長年の経験が蓄積されており、金融技術開 発にとって理想的な都市です。産業界、研究開発機関や規制当局と共に金融技術のハブとして香 港を発展させる方策を研究・模索するフィンテック運営委員会を設立します。 創造性の推進 地域社会に創造性を吹き込み、経済の多様化と商機拡大を図るため、文化・クリエイティブ産業部 門の支援に予算が割り当てられます。 investhk.gov.hk 2 文化、クリエイティブ産業部門: • クリエイト・スマート計画」に4億ドルを追加注入し、さまざまな部門を支援し、才能ある人材に訓 練プログラムを提供するとともに、海外との交流やインターンシップを実施する。 • 香港のファッション産業のため5億ドルを割いて、3年間の試験プログラムを実施する。同プログラ ムは既存および新規資源を活用し、ファッションデザイナーとブランドのプロモーションを行い、 デザイン分野の新興企業向け支援プログラムを作り出し、さらにファッションデザインを学んだ卒 業生に海外でのインターンシップや学びの機会を提供する。 • 3億ドルの「芸術発展同額助成試験計画」を始動する。この計画の下、対象の芸術団体が民間 から集めた寄付や協賛金と同額の助成金が政府から支払われる。 • 地元映画製作数を増やし、映画人材を育成するため、「映画発展基金」に2億ドルを追加支出す るとともに、予算が1000万ドル以内の映画製作を対象とした助成制度を導入する。 国際ビジネスセンターである香港は、域内に高付加価値のIPサービスを提供する知的財産(IP)ビジ ネスのハブとしても最適な都市です。IPコンサルティング、人材育成などのサービスを中小企業へ提 供するため、2,300万香港ドルの資金が今後3年間の予算に組み込まれます。 詳しい予算については、www.budget.gov.hk.をご覧ください。 中小企業(SME)支援措置: • • • • 中小企業金融保証制度の下で提供されている特別優遇措置の適用期間を 2016 年 2 月 29 日まで延長 「中小企業市場開発・発展支援基金」に 15 億香港ドル注入 「中小企業発展支援基金」の下で各プロジェクトの資金援助の上限を 200 万 香港ドルから 5 百万香港ドルに増額 「中小企業市場開発基金」の適用範囲を拡大 3 国際イベント・スケジュール 3 月 15 日~17 日、香港 Art Basel Hong Kong アジア太平洋地域から出展するギャラリーが半数を占める香港 Art Basel は国際美術界において大 変重要な役割を担い、地域のアーティストに国際美術界への参入のきっかけを提供しています。 主催:Art Basel www.artbasel.com/en/Hong-Kong 3 月 23 日~27 日、香港 Mines & Money 本イベントには、機関投資家、鉱業関連の起業家、仲介業者、投資アナリストや業界の専門家など 2,500 名以上が出席、270 社以上の鉱山会社が出展し、個別プロジェクトのプレゼンテーションが 100 件以上行われます。5 日間の開催期間中には、交流会、投資分析および商談の機会が用意されて います。 主催:Beacon Events www.minesandmoney.com/hongkong/organisers/ 3 月 27 日~29 日、香港 Cathay Pacific/HSBC Hong Kong Sevens Hong Kong Sevens は、世界でも最も人気のあるスポーツイベントの一つで、毎年香港で開催されま す。本イベントには、毎年、海外から多くのビジネスマンが訪れ、海外メディアも多数集まります。 主催: Hong Kong Rugby Football Union www.hksevens.com/eng/tickets/hk_residents.php 4 月 15 日~16 日、香港 5th Annual Shopping Mall Summit 本イベントでは、未来志向のモール開発、貸借事業戦略、ショッピングモール全体のプロデュース及 び運営等の斬新なコンセプトやアイデアを模索し、単なるショッピングをする場所から人々が行きたく て仕方ないと感じる場所への変革の道筋を探ります。 主催: Trueventus www.trueventus.com/event.php?intid=271 4 月 30 日、香港 カナダコミュニティ レセプション (Canadian Community Reception) カナダ企業による香港への貢献に対して謝意を表すための交流会。 主催: インベスト香港 5 月 6 日、香港 HOFEX 2015 本イベントには、飲食業界、フードサービス機器業界、および関連サービス業界から 1,900 の企業が 出展し、85 カ国から 35,000 名のバイヤーが集結します。 主催: Hong Kong Exhibition Services Ltd www.hofex.com 4 5 月 6 日~9 日、香港 IPBA Conference 本国際的なリーガルコンフェレンスには、IPBA メンバー、企業弁護士、国際弁護士が、世界の各地 域から集まります。 主催: IPBA (環太平洋法曹協会) www.ipba2015hk.org/en/index.php 5 月 29 日、香港 フランス商工会議所中小企業表彰式・ディナー (French Chamber SME Award Ceremony and Dinner) 本イベントでは、香港で活動する最も優れたフランスの中小企業が選出され、表彰されます。 主催: フランス商工会議所 www.fccihk.com/fccihk/en/events/sme_awards2015.html インベスト香港主催行事 詳細については、www1.investhk.gov.hk/events をご覧ください。 5 注目の分野: 海運 波に乗れ! – 国際海運センター 香港には、中国本土やアジア太平洋地域の国際海運センター(IMC)としての条件が、全て揃って います 香港籍商船の船腹量は世界第 4 位を誇ります。国際的に有名な船主の多くは、所有する船舶を香 港籍として登録しており、世界中の商船の総トン数の約 8%が香港で操業、管理されています。香港 には、海運関連企業がおよそ 700 社集積しており、船舶管理、仲介及び用船、船舶金融、海上保険、 海事法および仲裁に関連したサポートサービスなど総合的な海事サービスが提供されています。 中国本土における、海運業並びに造船業の継続的な発展に伴い、香港の海事サービス分野は潜在 的に大きな発展を遂げる可能性を持っています。「世界進出」を目指す中国本土の船舶会社にとっ て、香港は世界市場への跳躍台として機能しており、また、国際的な船舶会社にとっては、中国本土 市場へ参入するためのプラットフォームとして機能しています。 香港では幅広い海上保険商品並びに関連サービスが提供されています。また、世界で最も多くの保 険会社が集中している都市でもあります。現在、香港には、150 社を越える認定保険会社が存在し、 その内 91 社が、海上保険並びに貨物保険商品を提供しています。こうした認定企業には海上賠償 責任保険であるP&I保険を提供する国際 P&I グループ(International Group of P&I Clubs, IG) のメ ンバークラブ 13 団体のうち 7 つが含まれており、世界ではロンドンに次ぐ拠点となっています。 新たな海事組織 国際海運センター(IMC)としての香港の役割は、中国の「第 12 次 5 カ年計画」で明確に支持されて います。香港特別行政区政府は、経済成長と雇用を創出する有望な産業として海事サービス産業を 捉えており、その更なる発展を目的に、新たな海事組織の設立を推進していきます。海運業界の更 なる発展、並びに高度な専門性を持つ海事サービスの専門家の育成の為、香港特別行政区政府は、 香港航運発展局(Hong Kong Maritime Industry Council)の機能強化にも力を入れています。 海運業界に精通した人材を多数確保することもまた重要です。香港特別行政区政府は、2014 年 4 月、海運及空運訓練基金(Maritime and Aviation Training Fund)を設立しました。同基金の目的は、 海運業界で働く若者の育成と、その専門知識およびスキルの向上を経済的にサポートすることで す。 商船三井グループのひとつであるMOL Liner Ltd.はコンテナ船 100 隻を超える船隊規模を操業し、 最近、香港にグローバル本社を移転しました。MOL Liner 会長兼最高経営責任者(CEO)池田潤一 郎氏が、香港を移転先として選択した主な理由として挙げたのは、業界業務に精通した優秀な人材 が豊富な点、海運業界に対する確固たる歴史と実績、成長地域に隣接した地理的条件、良好で整 備されたインフラ、効率的な行政、法順守が確保された商習慣などです。「我々にとって香港は当然 の選択でした」と、池田氏は述べました。 インベスト香港は、海外や中国本土で開催されるプロモーションイベントに積極的に参加し、そうした 活動を支援することで、より付加価値の高い海運サービスを提供する企業の香港への誘致に努めて 参ります。 連絡先: Benjamin Wong ベンジャミン・ウォン 運輸・工業部 部長 Tel: (852)3107 1088 Email: [email protected] 6 注目の分野: StartmeupHK 香港 - スタートアップにとっての世界へのかけ橋 香港は投資家、インキュベーター、人材、潜在顧客、志を同じくするビジネスパートナーを繋ぐ最先 端の起業ハブです ヘリテージ財団により、香港は 21 年連続で、世界で最も自由な経済体制が維持されている都市にラ ンクされました。すなわち、香港は、新規事業の立ち上げを目指す起業家や起業家精神に富む事業 家にとっても、最善の都市と見なされています。香港域外に本社を持つ 7,000 社以上の企業が、香 港に拠点を構えています。創業者の出身地、活動拠点、業種といった点において、香港はまた、非 常に多様性に富んだ、拠点になっています。 2014 年後半にインベスト香港が実施した調査によると、香港での新規事業の創設者の背景は多岐 に渡っています。香港の地元出身者、(主に北米からの)帰還者、海外からの駐在員、中国本土出 身者など多種多様です。香港の新興企業の半分以上は、地元の人々によって設立され、40%が海 外や中国本土からの人々により設立されています。また、7%が海外や中国本土から帰還した香港 人です。 コワーキング・スペースの数も増加しました。2010 年の 3 箇所から、2014 年には 35 箇所に増え、政 府系のインキュベーターによるものと民間のインキュベーターによるものとを合わせると、2,826 ものス ペースが提供されています。こうしたコワーキング・スペースを活用し、1,065 社が創業し、2,381 名の 雇用が創出されました。 最近では、2 月 6 日に北京の企業 Tus-Holdings Co Ltd.が同社初のイノベーションスペース TusPark (香港)を開設したと発表しました。香港での事業拡張に関し、中国本土のサイエンスパーク開発事 業者は、香港の急成長するスタートアップエコシステムを高く評価しています。商務経済発展長官 蘇錦樑(Gregory So)はオープニングセレモニーで次のように述べました。「スタートアップは、香港の 将来を形作る駆動力となるでしょう。革新的で創造性に富んだアイディアをビジネスに繋げる情熱を 持ったスタートアップをサポートすることで、スタートアップは香港経済の新たな推進力になるので す。」 業界別にみると、ICT、電子商取引や技術関連事業が最大のシェアを占めることが、同調査で分かり ました。有名ブランド企業は、常に競争力を維持するために革新と創造を追い求めています。従って、 そうした企業は斬新なスタートアップやソリューションへの投資に何よりも積極的です。例えば、P&G、 ユニリーバ、Mondelez といった、有名消費材ブランド企業は率先して新しいインキュベーション手法 を提供し、スタートアップの資金調達に協力し、サポートしており、時には、自社の研究施設の使用を 認めています。こうしたサポートはスタートアップが大企業と協業する状況を生み出し、製品及びサ ービスを向上させる機会を提供しています。 香港も例外ではありません。昨年、AIA は Nest の協力のもと、AIA Accelerator と呼ばれるインキュベ ーションプログラムを開始しました。12 週間に亘って実施される同プログラムでは、最大 8 社のスター トアップを香港に招き、招かれたスタートアップが進める健康関連技術やウェアラブル関連ビジネス の発展が図られます。また、Swire Properties は、“blueprint” と呼ばれるプログラムを開始しました。 B2B のハイテクスタートアップ 10 社を対象にした 6 ヶ月のアクセラレータープログラムを実施しており、 Taikoo Place のオフィスビル内にあるハイテク企業用のコワーキング・スペースや多目的イベント会場 を提供します。2013 年初め、Google はスタートアップのためのインキュベーションプログラムを策定す るために、香港中文大学と提携しました。これらは、サイバーポート、香港サイエンスパークが提供す る公的機関によるインキュベーションプログラムといった従来の形とは異なる、民間による新たな取り 組みの一つです。 7 技術関連のスタートアップに対する大陸横断的な支援としては、Level39 と Nest の提携が挙げられま す。Level39 は、金融、小売、サイバーセキュリティと未来都市開発の技術を対象とする、ヨーロッパ 最大のテクノロジー·アクセラレータの一つです。2 月初旬、Level39 は、Nest と提携し、Level39 の支 援を受ける企業は、香港を訪れる際に活動拠点が提供され、一方、Nest の支援を受ける企業は、ロ ンドンの Canary Wharf にある Level39 のスペースを使用することができるようになりました。このグロー バルかつクロスボーダーなパートナーシップは、香港とロンドン、そしてスタートアップにとって有益な ものです。 新規事業の立ち上げに際し、資金、投資家、人材さらに中国本土や地域市場との近接性は、非常 に重要な要素です。香港にはスタートアップを対象とした、約 20 の資金調達スキームが用意されて おり、また、エンジェル投資家やベンチャーキャピタリストの数も増加しています。受賞歴のある音楽 アプリ Jamn の創業者 Johnny Quattro 氏によると、香港では新しいものに果敢に挑戦し、従来のやり 方を打破する情熱的な若手開発者が多く、非常に人材が豊富です。モバイルアプリおよび O2O ソリ ューションの成功事例を持つスタートアップ Cherrypicks は、ハードウェア・ソフトウェア開発を行うスタ ートアップにとって香港を戦略的な拠点として挙げており、製造拠点として隣接する深圳や珠江三角 洲(パールリバーデルタ、GPRD)の活用を重視しています。 投資推進局 局長 サイモン・ガルピンは香港の Paperclip’s Startup Academy で 160 名以上の意欲 的な起業家を前に、インベスト香港、とりわけスタートアップを支援する StartupHK チームによる、スタ ートアップエコシステム発展に向けての支援について説明しました。「起業に最適なタイミングは、今 しかありません。」とガルピンは述べました。インベスト香港による調査の詳細については、 http://www.startmeup.hk/assets/docs/2015.01-startup-en.pdf をご覧ください。 新興企業の業種別分布 (25 名参加者からアンケート回答を得た) 連絡先: Jayne Chan ジェイン・チャン StartmeupHK 部 部長 Tel: (852)3107 1014 Email: [email protected] 8 インベスト香港顧客紹介 日本 La-vie Photography JAPAN は、1995 年に株式会社レックの一事業部として神戸で立ち上げられまし た。「幸せの瞬間を写真におさめる」というコンセプトで、La-vie Photography JAPAN は決まったポー ズで撮影される日本のウェディング写真に変革をもたらしました。同事業のコンセプトは日本のブライ ダル業界において大きな成功を収めたばかりでなく、「ラヴィデザインアルバム」とともに、ブライダル 業界における新たなステージへと発展し、業界のパイオニアとしての地位を確立しました。 La-vie Photography JAPAN は日本で 16 店舗を運営しており、年間 3 万組のお客さまにウェディング 関連サービスを提供しています。結婚する香港のカップルに対し、豪華で上質な日本式の「前撮り写 真」とウェディングサービスを提供することを目的に、2014 年に香港に支店を開設しました。 産業部門:日本式「前撮り写真」とウェディングサービス www.la-viephotography.com
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